番外編(2) 白き少女と未知の遭遇 その4
【居候するのも旅中の楽しみ方ですよねきっと】
また数日後。
グリモワール様の家に厄介になり始めてから2週間ほど。
2人は交互で私に強力な魔法を教えてくれました。
「そうじゃ、風の魔力を極限まで蓄え放つのじゃ」
「……はい!」
グリモワール様は少し変わられたお方です。
魔法の研究をしていると思えば、マリィさんが彼の部屋を覗き込むとどうしていたのか分かります? ……卑猥な女性の裸が書かれた本をいやらしい顔をしながら見ていたではありませんか。……その日はまた彼女に怒鳴れたのですが。
日を改め今日はそんなグリモワール様が強力な風魔法を教えてくださるとのことなので、絶賛教授させてもらっているところです。
それにしても普段とは膨大な魔力を使うせいか体に比較的きます。
家の外にある木に向かって私は杖を前に出し、不慣れながらカタカタと震わせ唱えます。
風の強力な魔力を体に集中させ、吐き出すような感じで詠唱し。
小さな風が渦巻くように発生し、次第にその風は風力を増させ大きくなってきます。
辺りの木々がなぎ倒されるくらいの大きな風の塊ができあがると、足下の草木は激しくなびいていきます。
普段はこれが強力な風の魔法――ウィンドなのですが、それ以上に加増させるように魔力を少しずつその魔法に与え続けました。
教えられた通りに極限まで魔力を与えさせ。
「いまじゃ!」
「……はい! ……ウィンブロード!」
目の前に生成された強大な風に命令するように杖を前へと振り呪文を唱えました。
すると激しいその風は、たちまち目の前にある林立とした木々を前から押し倒すように飛んでいきました。
「よくやったのうスーちゃんや」
「……できた……できました!」
跡をみるとその圧力は凄まじく地面に大きな穴できるぐらいの風でした。
木を何本も削り取るくらいの風力。今までの風魔法とは比較にならないくらいに強力です。
練習を開始してから約20分。
他の最高位クラス級の属性魔法を教えてもらったのですが、どれも最初は操作が難しく思い通りに魔法が放てませんでした。
私は飲み込みが早い方でしたので各強力な魔法を20分で習得したのですが、その度に私はいつも以上に喜びを覚えました。
グリモワール様の方に近づくと、彼は私の頭を優しく撫でてくれました。
「……あ、ありがとうございます」
「いやいやたいしたもんじゃよ。……ここ数日各最上位魔法を今日含めていくつも習得したんじゃからな」
なんというか祖父に愛でられている気分です。
自然と安らぎを感じられるというか……グリモワール様は私にとってもう1人のおじいちゃん的な存在に感じます。
とても優しい手触りが私の気持ちを癒やしてくれますよこれは。
「私もステシア殿の飲み込みには感服いたしましたぞ。……グリモワール卿なぜ早くステシア殿に最上位魔法を教えなかったのですか?」
後ろに控えていたマリィさんがグリモワール様に問いかけます。
家の壁際にすがりながら話すその姿勢は非常に仰々しくも見えましたが、寧ろマリーさんの形振りがかっこよく見えてしまいました。
私もいつかあんな魔法使いになりたいなと憧れを持つよう心に抱きながら。
「ふむ、あまりスーちゃんの前では言いたくないんじゃが……」
「はあ……そうだと思いましたよ。……いいですかグリモワール卿、あなたが言い出したのではありませんか彼女に強力な魔法をお教えたいと。彼女は“彼女”の実の娘だということで教えたくなったのでしょう?」
彼女? ……娘? なんのことでしょうか。
「おっとステシア殿取り乱してすみませぬな。彼女というのはですな……」
「その前に……スーちゃんもういい時間じゃ。夕食にしよう」
「……確かに。そうですね辺りも沈みかけです。……強力なモンスターに襲われたくないので切りがいいですね」
「これは不覚でした! ステシア殿早々に夕食を作って参るので入浴でも済ませてくださいまし」
と急進していくマリィさんは扉を開け家の中に入っていきました。
「スーちゃんや。ということじゃから先にお風呂に入っておいで」
「……いいんですか? ……というかいつの間に」
「ワシの魔法を甘く見るんじゃないぞい。先ほど魔法を使って沸かしまで済ませたわい」
因みに浴室は家の1階にあります。調理場のある部屋の反対方向です。
グリモワール様の研究室のすぐ隣にあるためとても分かりやすいですね。……聞けばすぐに行けるからそこに作ったんだとか。
「……やはり凄いですねグリモワール様。……でもそれはそうともうのぞき見しないでくださいよ? ……この間のぞき込んでマリィさんに怒られたじゃないですか」
おとといくらい前でしょうか。
私が湯船に浸かっていると、壁際に小さな隣の部屋が見えるくらいの穴がそこにありました。
もしやと思い、魔法で確認してみるとグリモワール様がのぞき見していたじゃないですか。
咄嗟に大声をあげ、マリィさんを呼ぶと彼女はしかめ面でグリモワール様を引っ張りそのあと説教されました。
壁の向こうからうるさい怒鳴り声をあげるマリィさんに対し縮こまった声で答えるグリモワール様の声がそこから聞こえてきてきたのですが、ゆっくりと浸かれなかったですあの日は。
「いやいやすまんかったって! ……別にワシはスーちゃんを……いや誤魔化してもだめじゃな……本当にすまぬ。もう2度としないからの? なっな?」
「……穴は私が修復しましたし……でも次見たら穴からグリモワール様と言えども魔法を飛ばしますからね!」
「わ、わかっとるわい! 分かったらはよいきなさい!」
と急かされるようにグリモワール様に背中を押され私は家の中へと入れられます。
やはり知られて欲しくない事だったのでしょうか。
私もちょっと恥ずかしかったのですが、次はないことを願いたいです。先ほどのははったりじゃありませんよ。大真面目で魔法を使いますから。
「……グリモワール様はやはり変な趣味をお持ちですね。……マリィさんもさぞ疲れていることでしょうね。さて行きますか」
私は肩をすくめながら浴室の方に向かいました。
~数分後~グリモワールの家 浴室
脱衣を済ませ湯船に浸かりながら考えに浸りました。
窓辺は背の届かない場所……つまりは高いところにあるので外から見られることはまずないです。
防犯は万全! と言いたいところですが例外もあるので油断は禁物です。
「……彼女の娘とは一体なんなのでしょうか。夕ご飯が終わった後でも聞きに行こうかな」
マリィさんの言及がとても気になって頭から抜けません。
彼女の娘。
……もしや私の母と何か関係がと1つ予想してみます。そういえば母は街では有名の凄腕魔法使いと言われていました。
……関係ない人なんているわけがないと。
「……そういえばお母さん昔の話を一切話してくれませんでしたね。……聞いても口を割ろうともしてくれませんでしたし……なぜに」
水面に映る自分の顔を見ながら、母の顔を思い浮かべました。
非常に私の顔は、母によく似ています。姉妹揃ってのこれは遺伝なのですが見間違えるぐらいに非常に顔立ちが似ていますね。
体は小さいですけど、いずれ立派な体になれたらなと……いう欲情もあったりなかったり。
過去にあの2人は母とどのような関係だったか知りませんが、真相気になりますねこれは。
母の昔話を聞けるまたとない機運です。……妹のイルシィにもいい土産話できそうですし聞いて損はないでしょう。
「……よし、ご飯おわったらマリィさんに聞いてみよう。夜中いつも書物の部屋におられるので探すのに困難はないでしょう」
私は問い訪ねることにし。
少しの時間日中の疲れを取るのでした。
あと何日いましょうかねこの家に。




