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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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番外編(2) 白き少女と未知の遭遇 その3

あと2~3話続くかも

【最強の魔法使いの道はまだまだ険しいかもしれないですね】


 とある森の奥で私が出会った謎のおじいさん。その方はなんとグリモア王国の魔法使いの中で最高位に位置する偉大な魔法使い様でした。

 ですが人は一瞬で変わるとも言いますよね。


 どうやら人知れぬ場所で魔法の研究をしたいと言いだし、急遽グリモアを脱走。

 以降この地で助手である、立派な魔法使いマリィさんと一緒に魔法の研究をしているようですが。

 これが前回のあらすじです。

 あのあととても美味しいごちそうをいただき、お二人の誘いでしばらくここに滞在することにしました。


 聞けば、グリモワール様は私にとびっきりの特大魔法を教える稽古をつけてくれるというこれ以上ない取り引きを持ち込んできました。……謀られているような気もしますがまあいいでしょう。

 そして3日目の今日。


「「グリモワール卿! 朝ですぞそれとポストに見覚えのない請求書が来ているので直ぐさま卓上にこられるように!」」


 早朝。

 マリィさんの大きな声が聞こえ跳ねるように起き上がりました。


「……またですか。……うぅ寝相が悪くなりそうです」


 腕を伸ばし軽く体を動かし、自前のお気に入りである白いローブに袖を通し、卓上へと向かうと。


「なんじゃい? マリィ君。年寄りなんじゃから少しは加減せい」

「そうはいきませんな! これを」

「そ……それは! ワシがオタクシティで加入した月額制エーブイの請求書じゃないか! 何故君が。あぁ確か後払いにしとったからそのせいかのう」

「………………」


 卓上によく分からない紙が1枚。はてあれは。

 あまりの惨状に私は言葉を失いました。まるで説教を食らっている子供のよう。

 聞き慣れぬエーブイという言葉が出てきましたが、それは一体どういうものなのでしょうか。

 マリィさんは顔のしわを寄せながら、厳つい視線をグリモワール様に送っていますが何かまずいことでも?


「なにを1人で納得しておられるのですか。またこんな破廉恥な物に加入して。先月で『金が浮きそうだからやめる』と言っておられたではありませんか。ステシア殿もいるので見つかったらただではすみませんぞ!」


 とても顔が出しづらい。

 すみません、今聞いたことを帳消ししたいくらいにこの場から逃げたいです。

 どうやら子供には見せられないそんな品物らしいですね。


「だって可愛い子がたくさん出てくる話がこのDVDにはいっていてな……つい」


 てへと水に流すように下を口から出して誤魔化すグリモワール様。


「そういうのを毒されていると言うのですぞ……いい加減いい年ですので、もっとまともな……も…………の…………を?」


 すると後ろに隠れる私にマリィさんの目がそこにいきました。よく見たら卓上入り口の敷居に私のローブの一部がそこに露出しています。

あ、私としたことが失敗して。


「お、スーちゃんかの? おはようそんなところに隠れていないでここに座りなさい」

「…………」


 言いとどまったマリィさんがおぞおぞと私に聞いて。


「ごほん。そのステシア殿……いつからそこに? き、聞いておられたのですか先ほどの内容を」

「………………あ、いえ先ほど起きたばかりですので、よく分かりません。朝食の話でもしてたんですか?」


 これは口に出さない方がよさそうだと思った私は、聞いてないと答えました。

 だって絶対青ざめた顔しますよね。……お互い知らない方が身のためでもありますよこれは。

 子供と大人年齢問わず言えないことの1つや2つあるんですよきっと。


「あ、そうですね。そうであります。ちょ朝食何にするかをグリモワール卿と話して決めているのでした。……ですよねグリモワール卿?」


グリモワール様に顔を近づけ同情を求めます。

 ですがグリモワール様は首を傾げて、何とぼけているんだという顔をしながら彼女を見上げながら正直なことをいいました。

 あ、空気読めず言いふらす人だこの人。


「何いっとるんじゃおぬしは! 先ほどの話より趣旨がずれていないか? エーブイの話はどこいったんじゃ!」

「……え、エーブイ? なんですかそれ」

「「ちょっと待ったあああああああ!」」

「ま、マリィ君何を!? ンンンンンンンンンン~~~!!????」


 間一髪で説明をしようとしたグリモワール様の口を塞ぎ、私にそれを伝えるのを防止しました。聞かせてはならぬまいと。

 その朝の昼食は2人から不穏な空気が流れていましたけど気のせいですよね。


「うむ、気のせいじゃぞスーちゃん」

「……あのグリモワール様勝手に人の心読むのやめてくれませんか?」

「許してくだぢゃい!!」


 だめだこの魔法使い様。早くなんとかしないと。


「多分無理じゃと思うぞい」

「……ですからやめてといっているでしょう! プンプン」


☾ ☾ ☾


「グリモワール卿! 今日は魔法の研究に使う材料を買いに行くと言っておられたではありませんか。今日は割り引セールの日。いつもより銀貨10枚分安くなる日ですぞ!」

「ん? あぁそうじゃったな。さてと」


 時間をおいて数時間後、昼前の時間帯にマリィさんが大声で魔法研究室にいるグリモワール様を呼びました。

 魔法に使う材料を近くにある販売店で購入するらしく、その日になると決まって行くようにしているみたいですが。

 どうもそこでしか手に入らないレアな材料もあるらしいです。


「それじゃワシはひとっ走り行ってくるわい。マリィ君そういえば今日はスーちゃんに魔法を教えてくれ。できればワシが教えたかったのじゃが」

「無論かまいませぬ。家事は全て終わらせましたしやって問題はありませぬ」


 外に出て箒に乗るグリモワール様を見上げながら、彼女は胸を叩き声を張り上げました。

 稽古をつける予定だったみたいですね。

 ここ来てから1日しかやってくれなかったのですが、それでも凄い魔法を教えてくれました。


 1つは2つの属性魔法を組み合わせた混合魔法。異なる属性からなるその魔法は1属性で撃つ魔法より格段に威力、及び弱点もつける優れものです。

 2つ目は対象に追加効果を与える魔法です。敵を弱体化させたり仲間を強化させたり臨機応変に使う補助魔法です。これも一瞬にして習得。凄いとグリモワール様は褒めてくれ頭を優しく撫でてくれました。

 そうしてその日は終えたのですが、私の稽古はいつかと待ちくたびれていましたが……ようやくですか。


「では任せたぞい」


 グリモワール様は飛び立って買い出しへ向かわれました。


~数分後~


「と言っても……これなんと書いてあるのですか」


 家の外にある、緑地にて修行を開始しようとしたマリィさん。

 ですが手元に持つ一切れの紙に書かれている怪文を見て、言葉を失います。……どうやら私に教える魔法の一覧を書き記した……みたいですが。


「わからんぬ。分かりませぬ。乱雑な字過ぎて解読に苦労しますぞ」

「……ですよね。古代文字か何かと間違えそうなくらい読めないです」


 きっとこの字は彼にしか読めないでしょう。

 私でもその汚すぎる文字は失礼ですが、理解に欠け何が書かれているのかどのような内容なのかと…………1つも理解できませんでした。


「仕方ありません。私の得意とする、光の魔法を教えましょう」

「……学校でもそれは習いましたけど……なにが違うのですか?」

「学校では恐らく単純に攻撃面で使う光魔法を習ったのでしょう。ですが応用は利きますよ。なんと暗い場所で使うと照明の代わりになるんですよ」


 なるほど。

 確かに学校で覚えたのは攻撃用途での魔法がほとんどでした。一部攻撃以外で使う魔法も習いましたが照明の魔法ですか……面白い。


 その魔法を教えてくださいと彼女に言うと嬉しそうな顔でにっこり。

 ここでは場所が悪いと、近くにある少々小さめの洞窟へ行き、指導を受けるのでした。


 ☾ ☾ ☾


「……………………」

「そうそう。光を丸めるイメージで唱えるのです」

「…………ッ」


 薄暗い洞窟へとやってきました。

 光源が少なく、多少の光りの筋が私の肩を遮る程度。マリィさんが今どこにいるかも性格には分からないです。

 暗い空間の中。彼女の指導のもと杖に光の魔力を集中させ大きな玉を作っていました。

 初めてなものでできるかは危ういですが……私は頑張って。


「ステシア殿今です! お唱えを」

「………………はいッ! ミエル!」


 光がぱっと弾けるように発光すると、私の杖は松明のように光り輝いていました。

 とても暗い場所なのにも関わらず、照明はとても明るく洞窟の一番向こう辺りまで光りの道は続いていたのです。どうやら成功したみたいですね。


「お見事です。それが照明魔法のミエル。暗いところを明るくしたければその魔法を使うといいですよ」

「……そうなんですね。ではマリィさん次は一体どこに?」

「はい、次は明るい場所がいいでしょう。洞窟をでましょうぞ」


 修行する時間はまだ全然有り余っていたので、私はマリィさんに連れられ次の場所へと案内されるのでした。


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