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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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67話 うさぎさん達と、諦めの悪い侵略者 その3

【新生ラビットパーカー(キリ)でも私は絶対に浮かれないぞ!】


 私の目の前に立つスペースキマイラ。

 変身を完了した私をジロジロとみながら吐息を吐く。距離は数メートルほど1回ダッシュすれば届きそうな間合いで私は身構える。

 とシホさんが興味深そうにまた聞いてくる。


「新しい服? それってそんな名前なんですか」


 私が新しく作った、正確には合成だけど新しい服の部類には入ってくるかな。

 新生ラビットパーカーこと、ノーマルアサルトラビットパーカー。

 文字をたくさん圧迫するから、今後はNAラビットパーカーもしくはノマアサとでも呼称しとこうかな。


 とりあえず能力をチェック。



【ノーマルアサルトラビットパーカー 説明:アサルトラビットパーカーとノーマルラビットパーカーを合成させたパーカー。アサルトの問題点である装備できる武器の制限がなくなり、なんでも装備できるようになっている ※一部は除く】



 ふむふむ。

 確かアサルトラビットパーカーでは、銃以外装備できなかったよな。急にこの武器は装備できませんって言われてその時はなんでとなったが、問題点これで克服できた感じ?

 では本題の能力を見ようか。おっとなんかめっちゃ強い仕様になっているぞ?


ノーマルアサルトラビットパーカー 補正 全パラ+15%↑ 装備:全て

【固】生み出す・想像したものを具現化させる(ノーマルからの継承)

【固】火力を自由に調整できる

【固】迅速なスピード・パワーを出せる(アサルトからの継承)

【固】息切れにならない・聞いたことを思い出す・遠くの音も聞ける(ノーマルからの継承)

【固】戦闘中、攻撃ヒット数・コンボに応じて攻撃倍率及び素早さが1コンボにつき×2ずつ上昇する(戦闘終了時に効力は消える)


 やっべぶっ壊れた。

 能力があたおかすぎて草。

 なに、さり気なくコンボに応じてバンプするとか。


 インチキ能力も大概にしろ!

 ってそれはさておきパーカーの性能がぶっ壊れたということを悟った私は身構えて。

 すると急に装備画面が開いて、装備一覧が表示される。

 その中に見覚えのないものが1つあった。


「ら、ラビットマント?」


 作ったことも買った覚えもない謎の装備品。

 一応そのラビットマントも確認。


ラビットマント

・敵から受ける全てのダメージを50%カットする。

・無敵板装甲:数秒だけ、不思議なオーラに身を包み、あらゆる攻撃を無効・状態異常を無効化させる。レベルに応じて持続時間が伸びる。1度使うと1時間経つまでは使えない。


 ほう。

 なんかめっちゃ強い装備が手に入った。

 これなんなのかな?


【レベルアップの報酬です。ラビットフュージョンとの付属で同時に入手しました】


 AIさんからのメッセージ。

 マジか。報酬一覧にはそんな表記はなかったが、これは隠し要素的な物なのかな。

 なら素直にここは『ラビットマントヲ入手シタ! 直チニ装備シタマエ!』とでも言うべきなのだろうか。


 言われなくともやってやら。

 ラビットマントをタッチして装備を押す。

 私の背中に大きなパーカーと同じ色をしたマントが装着され色が徐々にノマアサと同じ着色に変化していく。


「なんなの? そのマントは」


 後ろから聞いてくるミヤリー。

 なんて説明すればいいんだろ。科学現象、超常現象。

 いやなんか違う気がする。もっと別の嘘だと見抜けない理由を言わないと。


「ええと、これは私の能力! 随分前に作ったけど忘れちゃってさ! はは」


 誤魔化すように笑う。

 証拠にもならないようなことを言ってしまったような。

 だが3人は。


「な、なるほどね。まあ切り札は最後まで取っておけとか言うし」

「私も納得です。それさえあればあのモンスターなんて蹴散らせそうですよね」

「……私のマントとは少し違う感じですが、期待大ですよ愛理さん」


 みんな、言いたいことあるなら素直に言ってくれてもいいんだよ?

 そう思いながらも第2ラウンドの戦いに私達は臨んだ。


☾ ☾ ☾


「ふん、どれだけ策を要してもこのスペースキマイラには勝てん! ゆけスペースキマイラよ!」


 スペースキマイラは、再び4つの手を伸ばして攻撃。他の3人は避けるが私は。


「あ、愛理さん!? なんで避けないんですか」

「んもうバカ! 調子に乗るんじゃないわよ!」


 その場に留まった私を仲間が心配してくれるが、絶好の機会だ試運転にはちょうどいいだろう。

 向かってくる4つの腕を両手で掴み、動きをがっちりと固定させる。引っ張り合いになり敵のキマイラは口から光線を吐いてくるが。


「ふん、効かねえな」


 もろに受けはしたもののマントの効力により、全然痛みはおろか傷1つもなし。

 一見全ての物を焼き尽くすような巨大な光線だったが、どうやらこれが新装備であるラビットマントの真価らしい。神耐性ktkr。


 50%もダメージカットするとここまで差が違ってくるのか。

 汎用性高すぎてわろ。


「見て下さい、全然無傷ですよ愛理さん」

「ほんとね、邪魔しちゃ悪いしあの子がピンチになったら駆けつけるわよ」


 敵には見えない茂みに身を隠しながら、私の戦う様子を見物する仲間達。

 どうやら私を観戦する気分になったらしく、ピンチになったら伝家の宝刀ごとく駆け寄るとかそんな作戦を組んでいた。

 いや悪いけどさ。それ多分こないですよはい。


「……でも私達の出番あるのでしょうか? なんか今の愛理さん誰にも負けないような感じするので手出し無用かと」


 1人空気読める少女がその隣に。やっぱスーちゃんは分かる子だな。

 で。肝心の敵さんはというと。


「ぐ、ぐが!?」


 モンスターは顔から汗を出しながら、その場に鎮座し動きを止めていた。

 なんだよそのそんなもの聞いてねえぞみたいな顔は。へへビビってやんの。


「どうした? 私を倒すんじゃねえのか」

「ええい! 何をやっている。そんなうさぎ娘ごときに。さっさとお前の自慢の力で叩き潰せ!」


 剣幕を吐きながら荒い口調で、モンスターに指示。

 今聞き捨てならない言葉が聞こえたなあ。

 うさぎごときって。


 ムカ。

 少々半ギレ状態になった私は。


「ぐ、ぐ、ぐがああああ!」

「うさぎ舐めんじゃねえええええぞ!」


 その掴んだ4本の手を回しながら、遠くへと放り投げた。力量が大幅増えたことにより敵の力強さに劣等を感じた。空高く投げられたスペースキマイラはうなり声をあげながら叫ぶ。

 地面を思いっきり蹴り、敵の方面へと詰め寄って私は猛然とした拳の嵐を敵の腹部に叩き込んだ。


「おりゃおりゃおりゃりゃ! くたばっちまえ!」


 叩いてく内に体から力がどんどん溢れていく感じがした。

 これも能力の力か。


 たく。

 クソチートだなこれは。あまり私は俺TUEEEEEE系は好きじゃないんだけどさ。

 でもこいつを倒せるぐらいならちょうどいい強さだ。宇宙で飼育した最強モンスターか何か知らないけどこの愛理さんがぎったぎたにしてあんよ。


「ふんただで勝てると思うなよ、スペースキマイラよ特大の光線を浴びさせてやれ!」


 スペースキマイラは大きな口を開け、紫色の極大の光線を私に向けて放った。その引力は地を揺らす地震を引き起こすくらいの振動であった。


「ふははは! いくらお前でもこれは耐え切れまい飲まれて死ぬがいい!!」


 迫る寸前、私は無敵板装甲をしようと口で言おうとした。

 すると。

 言ってもいないはずなのに、体が光り謎のベールに包まれる。


 え。

 これが無敵板装甲なのか?

 唱える必要あったんじゃ。するとAIさんが。


【ノーマルアサルトラビットパーカーになったことにより、能力を使う際念じれば声に出さずとも使えるようになりました】


 マジか。

 つまり、これからはラビットパーカチェンジや、念じ能力も声に出さずとも使えるわけだ。


 よかった。

 これでいちいち恥ずかしいセリフを言わずに済む。

 んじゃ仕切り直して。

 迫り来る光線を拳で叩き。


 ドン!


 光線は2つに引き裂かれるように、ことごとくと私のパンチによって分かれる。

 今度は全くダメージも何も感じない。

 おっといけね。

 時間は……って30秒!? すっくな。


 残りあと24秒。

 なんかRTAにでもなったような気分。

 感動に浸っている場合ではないので、そのままスペースキマイラに向かい。


「へ? そそんな」


 予想外の展開に怯えるワロッサの目の前で。


「おらよっと」


 軽く念じて、パンチをぽつんと突き刺すと。


「ぐうううううううううがああああああああ!」


 スペースキマイラはその場で風船のように弾け爆散した。




☾ ☾ ☾




【チャレンジ精神は認めてやるけどさ、切りのいいところでやめろよそれは】


 スペースキマイラを倒し、ワロッサの元へと立ち会う。

 仲間達も私の元へと集合し完全に1対4に追い込まれたナメップ星人さん。


「で、どうするのさ続けるの戦い。今なら10000円分のプリカ3枚くれたら許してあげてもいいよ」

「そのぷりかという物は知りませんけど。あ、いいえその……」


 完全に戦意消失。

 燃え尽きたような火の様子で弱々しい素振りを見せ、首を軽く下げる。


「す、すんません。俺は単に遊びたくて」


 まさかのこのナメップ星人かまってちゃんだった。


「だ、だから見逃してくれると助かるな……なんて」

「どうします? 愛理さん。相当この人、参っているらしいですが」


 よほどあの一撃が衝撃すぎたみたいだ。いや、あれでも手加減した方なんだけどな。

 強くなりすぎるのって重罪なんだと改めて実感。


「ワロッサさぁ。許すから今日はかえんなよ。またいつでも勝負は受けるからさ」


 諦めがついたワロッサは、再び一礼すると酔っ払いのようなふらふらした動きでUFOに乗り。

 地球を出て故郷ナメップ星へと帰って行った。

 おいさっきまでの威勢どこいった? 砕けて尻尾巻いて逃げるとかまさか豆腐メンタルなのかお前? って本当に帰っちゃったよ。ここはなら俺が直々に相手になってやろうというパターンになることが多いが、それもなし。え、もう終わり? あっさりだなおい!!


「……また来るんですかね」

「その時はまたその時で」


 見送った後夕焼けの空を背景に、私達はひたすらと空を見つめていた。

 なぜだかは分からない。

 ただ1つ言わせてみれば、彼に申し訳ないことをしたと。

 もう少しやりがいのある戦いをするつもりだったから、今度は是非とも強い相手を用意してもらいたい。


「あのナメップ星人さん大丈夫ですかね?」

「大丈夫でしょ、自分の星ぐらいわかるって」


 宇宙は数え切れない星があるという。

 それでどうやってたどり着くのかはわからないけど。


「そうと決まれば、お腹減ったしみんな今日はギルドへ行って何かたべましょ!」


 元気なミヤリーの意見に賛同し私は街へと帰り、夕食をとるのだった。

 歩く最中私は思う。強くなりすぎるのが逆に怖いと。

 みんなも友達とゲームするときは手加減を忘れずにね。

こんばんはです。

今日は雨でしたがいかがですかみなさん。

日に日に汗を流す日を毎日送っていますが、頑張って書いていますよ私は。

さて今回はラビットパーカーのアサルト、ノーマルの合体版であるパーカーの登場です。

今後このフォームが基本のパーカーとなるので、以降アサルトラビットパーカーに白いラインが入っているパーカーを着ているんだなと思ってくだされば大丈夫です。

それにしても愛理は加減するのがあまり得意ではないと思うのは私だけでしょうか。

まあぶっちゃけ彼女はそういうキャラなのでいた仕方ないですはい。

今の章ももうすぐおわりになるので次の章また楽しみにしてくださるとなお嬉しいです。

ではみなさんまた明日お会いしましょう失礼します。

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