66話 うさぎさん達と、諦めの悪い侵略者 その2
【なんでも組み合わせればいいってもんじゃねえだろ!】
新たなナメップ星人からの刺客ワロッサ。
名前がどう聞いてもワロスみたいな響きにしか思えん。
なに? 宇宙ではスラングかなんか流行ってんの?
少々気になりはするが。
私達はワロッサの方へと足を出し、いつでも戦闘に入れるよう武器を身構える。
彼と私達との距離は約数十メートルほど。
だいぶ距離が開いているが今日も、この間みたいなデカブツが出てくるのではと様子を伺う。
「いいから早く押っ始めようぜ」
相手を早く出せと促す私。
すると彼は言葉に応じるように大声をあげる。
「言われなくとも! いでよ合成宇宙魔獣スペースキマイラ!」
すぺ……なんだって?
すると私達と彼の間にある空間に、謎の巨大な隙間が出現する。
次第にその隙間は姿形を整えていき姿を露わとした。
「ぐがああああああああ!」
ドスンと巨大な振動を立て現れたのは。
「なんだこのモンスター。きっしょいみため」
「色んな生物の部位が、くっ付いているように見えますがあれなんてモンスターですかね?」
シホさんがそのモンスターを初見な様子でまじまじと見ていた。
巨大な丸い胴体に枝分かれるように四方に色んなモンスターか、何かの部位があちらこちらと張り付いてうねうねと動いている。
左上には鳥の足、右上には悪魔らしき手。
左下の方は蛇の蛇体、右下にはタコかイカの触手と滅茶苦茶な合成モンスターだった。
俗に言うこれ、キマイラってモンスターなんじゃないか?
ほら、ファンタジー作品でよく出てくる色んなパーツがくっ付いているモンスター。
実物は初めてだが、これなら少しは楽しめそうだな。
【スペースキマイラ 説明:ナメップ星人が作った合成モンスター。様々な部位がまばらに動いており非常に気味が悪い見た目。気持ち悪いだけでなくパワーも段違いなので要注意】
ほらやっぱキマイラじゃんか。
力もそれなりに高いらしいので注意しながら戦うか。
スペースキマイラは四方の部位を伸ばして私達の方へ攻撃。それぞれ、散けるように攻撃をかわし攻撃を仕掛ける。
「手が伸びるとか卑怯じゃないですか! そっちがその気なら」
得意げにシホさんは、巨大な胴体に飛び移り渾身の斬撃を縦に振った。かすり傷ながらも斬撃によって傷痕を入れられたスペースキマイラは、斬られた方の鳥の腕で捕まれ力強く地面へと叩きつけられた。
「ふん、バカな女め。スペースキマイラの力も防御も段違い! その程度の攻撃ではかすりもしないわ!」
自信ありげに調子に乗るワロッサさん。
いい気になりやがって、今に見てろ痛い目にあわせてやる。
「し、シホさん!?」
叩きつけられたシホさんを、心配するよう声をかける。
叩きつけた敵の拳が徐々に持ち上がっていき、下が見えていく。
お、これは。
「なんのこれしき!」
下からは耐えながらも必死で持ち上げるシホさんの姿が。
背後に回ったスーちゃんが魔法を唱えて迎撃。
「……巨大相手にはまず多勢での連携攻撃が一番です。いきますよお二人共」
彼女の声に頷いて了承。
私はアサルトラビットパーカーに変身し銃を構える。
敵の体を一瞬にして土台とし、一気に敵の顔面まで飛ぶ。
「へっ! マヌケそうな鳥顔だな焼き鳥にでもして食ってやるぜ」
因みに敵の頭部はというと、ニワトリのような頭をしていた。
今にでもコケッコとか言いそうだが、そんな悠長なことを考えている暇はない。
引き金を引いて弾丸を解き放つ。
「ラビット・ショット!」
3発の弾丸が敵の頭部へと命中し被弾。
頭部から白煙が上げながら、そのニワトリ野郎は私を悔やむような顔で見つめる。
私を塞がっていない方の腕で攻撃しようとしたが。
「はぁ!」
スーちゃんの炎獄の魔法が炸裂し、渦巻く巨大な炎がスペースキマイラを包み込む。
その拍子に力が緩んだせいか下で耐えるシホさんは、助けに駆け寄ったミヤリーと共に巨大な腕を力一杯向こうへと飛ばした。
ドスン!
「た、助かりました」
「当たり前じゃない、私だっていつまでもみんなの足引っ張っているわけじゃないから」
シホさんの方を見てミヤリーは微笑む。
そして2人は互いに剣を重ねた後、猛スピードで敵に斬りかかる。……瞬発的に受け止めるが。
間を入れず、再びスペースキマイラは立ち上がるが2人の素早い斬撃に押され反撃すらできない。
その瞬間。奇襲をかけるよう私は敵に力一杯のパンチで殴りかかり。
スパーン!
ストレートが当たったら痛そうな腹部へと命中。
「ぐがああああああああああ!」
再び倒れ込む。
「ふん、強いと思って期待していたのになんだよこの様は」
「うるさい! その減らず口を言えないようにしてやる! スペースキマイラ! そのうさぎを捕まえろ!」
スペースキマイラは声に反応して、両腕を私の方に差し向ける。
「愛理さん!」
みんなの声に反応するのもままならず、私はその腕に引き寄せられ敵に動きを両腕で固定されてしまった。
く、動けん。
またこのパターンだよ。
なに?今度は気絶オチか? ……なんか嫌だな。気絶しまくる主人公とか思われたら『実は愛理本当はクソ雑魚キャラなんじゃ』とか読者に思われそうだからいいところみせないとだね。とは言うものの。
ギシギシと掴まれているせいで体が悲鳴をあげる。
「くっ!」
必死で解こうとするがやはり無意味だ。……どうやら相手は相当な強さを持つモンスターらしい。何よこの鉄よりも固そうな馬鹿力は。反則じゃねーか少しは加減しやがれこん畜生め。
本当ならここでストロングに変身して、反撃したいところだが生憎声が出せないのでフォームチェンジできません。あれ詰んだんじゃね。
愛理さんぴーんち。
仲間が必死で助けに行こうと、私の元へ寄ってこようとしているけど。
敵の吐く無数の光線により中々近づけない様子だった。
なんか方法ないかな?
☾ ☾ ☾
【時には物同士を組み合わせて戦うのもありなんじゃね?】
腕は使えないし、パーカーを作れやしないし。
……。
……。
……。
そういえば、こいつと戦う前のモンスター狩りで。
レベルがついに60いったな。
確かレベルアップ報酬でラビット・フュージョンってヤツがあったはず。
この際だ。
一か八かだそれを使ってみることにする。
ってことでAIさんに解説を頼み説明を受ける。
しかしそのラビット・フュージョンは念じることで使用可能かつ。
「……み、みなさん愛理さんの体が光って」
「へっ。好き放題やってくれたなだがそろそろこっちも反撃させてもらうことにするよ」
にやっと微笑む。
ラビットパーカーが発光し模様が少々変わる。
アサルトラビットパーカーに白いラインが描かれ、少々変わったデザインに。
私は頭で念じて、パワーを100万ぐらい瞬発的に引き出すよう念じ。
すると次第に私を蝕む腕が徐々に緩く感じるようになり、その腕を引き裂くように思いっきり解いて脱出。引きちぎった部分の箇所は散けるように一帯に散らばっていく。
それを見たワロッサは面を食らった表情で声を張り上げ。
「な、なにィ!?」
仲間の元へ着地して背中を見せ。
「愛理さんどうしたんですか? 赤い服に白いラインが入っていますが」
「ちょっと細工した」
と綻ぶようにシホさんに答え。
「わ、私達にも分かるように言いなさいよ」
「まあまあ慌てんなってミヤリーさん」
私が使ったラビット・フュージョンの概要はこうだった。
・ラビット・フュージョン
2つのパーカーを組み合わせて1つのパーカーにすることができる。
念じるだけで使えるため体を動かせなくてもこの機能を使える。
いわゆる合成機能。試しにノーマルとアサルトを合成してみた。
すると体が発光し、アサルトラビットパーカーにノーマルラビットパーカーの色である白のラインが入り合成完了。
ただ合成しただけでなく、能力も2つを合わせたものとなっていた。着ている感じ先ほどより力が倍増している感。今ならワンパン……出来そうかも。
そうだな、名前が欲しいな。
名前名前。
……。
安直に思いついた名前を仲間の前で晒した。
すっげえ考えなしにそのまま付け足したような名前だけどね。
「名付けて、ノーマルアサルトラビットパーカー。……そうだねわかりやすく言うなら2つの服を組み合わせたできたてホヤホヤの服だよ」
2つの服を組み合わせた新たな装備。
ノーマルとアサルトを組み合わせた、その名もノーマルアサルトラビットパーカー。
新たなうさぎさんの爆誕なのであった。




