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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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50話 うさぎさん、おつかいを頼む その3

【ちゃんと約束は守ろうかミヤリーさん】


「ただま」


 私が帰りリビングへと、行くとみんなが出迎えてくれた。

 シホは飲み物を一口。


「この紅茶美味しいですね。愛理さんも一杯いかがですか」


 すると愛理は気まずそうに半目。

 なに、紅茶に嫌な思い出でもあるわけ!?

 舌のを出して「うぇぇ」と。……あのさ愛理私が言えたことじゃないんだけど、女の子ならもうちょっとそういう下品なことは控えた方がいいわよ。


「私、味気があまりしないの好きじゃないんだよね。ジュースならいいけど」


 ジュースってなんだろう。時々愛理の口からは私の聞いたことのないような物の名前が出てくるけど、博識よね彼女って。

 数百年間眠っていた私が単に無知なだけかもしれないけど、あんたほんとどこからきたのよ。まさかとは思うけど意図的にこの場所から送り込まれた魔王の手先とか。……実はわざと記憶消失させられているとかいうオチも考えられなくもない。


……でも考え過ぎかそれは。だってよくわかんない魔法の呪文みたいな言葉使ってくるもん。『草』とか『自重しろ』その他諸々。どこでそんな言葉習ったのかと問いたいくらいよ。愛理の言う言葉に置き換えれば……「そんなの私の守備範囲外」とでも言っておけばいいかしら。


「ジュースがどう言った物かはわかりませんが、悪くないですよこれ」

「……シホさんがそういうなら、後で一杯飲もうかな。ミヤリーが買ってきたご馳走の後でも」


 ぎく。

 自然と私の体からなにやら悪寒が。このままでは私が全額カジノに投資したことがばれるじゃない。嘘ついちゃダメとかそういう領域の話をしているんじゃないのよ。今は"この場をどうやって潜り抜けるか"の効率のいい事実回避方法を探しているの。決して証拠隠滅とかは考えていないからね。

 どうしよう。嘘はよくないっていうけどさ、愛理怒るととても怖いのよね。


 ……よしそうとなれば、ならスーちゃんにでも頼も………。

 う?

 彼女の方に視線を切り替え、助けを求めようとしたが。


「すぴー。すぴー」


 可愛らしい小さいと吐息を吐く生き物が。机に顔を伏して絶賛爆睡状態だった。

 あらやだかわいい。魔法のことはさっぱりだけど、一生懸命勉強していたスーちゃんに私感服よ。

……ってそうじゃなくて!

 いや嘘でしょ!? さっきまで必死で読書していたわよね!? 数時間程度で寝ちゃう体質なわけ魔法使いって!!(※ミヤリーが勘違いしているだけです)


「そういえばスーちゃん、疲れて寝ちゃったね。私が部屋に戻るよう勧めたけど」

「自然と眠りには逆らえなかったんですね。なんて可愛らしい」

「勉強することはいいことだうん。これなら期末テスト100点は彼女に約束されたようなもの……宿題することは実にいいことだよ」

「とりあえず勉強しすぎて疲れたって解釈でいいですかね? ……まぁまだこんなお年頃ですし勉強しすぎて疲れちゃったんでしょう」


 シュクダイってなに? キマツテストって? ……今はそういうこといいの。

 私は、なんてついていないのだろう。

 愛理の座る席とは別の後ろに置いてある席に、眠るスーちゃん。

 机にはふんだんに積まれた魔術書? か何かがたくさん積まれてあるけど見るからに重そうなあの本どこから持ってきているのかしらね。


 まさかあの小さな小柄に、私の知らない力が内蔵されていたり…………魔法使いおそるべし。

 それよりも気にすることあるでしょう私。


「ところでミヤリー」


 躊躇していると、鋭い目つきをした愛理がこちらを見つめてきた。しかめた顔で私の手元をジロジロと。

 やばい感づかれているんじゃ……。


 ニブニブニブニブニブニブ。


 なんか怖いよこのうさっ子。

 適当な返答でもすれば、すぐに殴られて死ぬオチになりそうだけど。

 だからといってみんな。 過度な期待しないでよね! 私には必ずHPが1残る最強アイテムを装備している。無策だからといって仮に愛理が強力なパンチを使ってきたとする。そうすると。

 あら不思議HPが1必ず残るじゃありませんか。何回殴っても結果は同様で愛理は仕方なしに許してくれましたとさ。

 うん、私の勝利の法則は決まったわ。だから恐れることはない

 いくら愛理が強くっても死ぬわけないから心配ご無用この場は凌げるわ!


「食材どこよ?」

「そういえば見当たりませんね」

「袋がすっからからだし……ってなにその顔めっちゃ青いよ。途中道端に生えた毒キノコとか食った? ……因みに言っておくが毒キノコは派手な模様のキノコだけが毒キノコってわけではないみたいよ? ……例え全体真っ白なキノコでも無毒とは限らないから専門知識がいるとか……」


 知識の解説はいいから! そんなキノコ食べてもいないしあったとしてもいくら私でも食べないわ断じて!

 これって心配されている? それとも怪しまれているのどっち。すると愛理は私の方に近づいて。袋の方を覗き込もうとする。ちょっと近い! 詮索やめなさいよ。

 すかさず見えないように、彼女から遠ざけ。


「なんで見せないのさ。もう見るからに怪しいけど。……ミヤリーそういうのお母さんにやったことってある? 絶対ばれるヤツだからな正直なこと言えば多少罪を減刑してやる」

「いやなんでもないから! 気のせい気のせいだから」


 顔から冷や汗が。

 因みにこういうのを愛理曰く"親フラグ"……通称親フラって言うらしいわよ。急に親が部屋に乱入してきたり色々な場面で使える汎用性の高い言葉なんだとか。うーん私にはよくわかんないけど。

 袋は空だというのに、気のせいっていうのは自分で言うのもあれだけどおかしい気がする。


 頼む。

 ここは私に気をつかって見逃してくれない。

 だが、そんな私の願いが叶いもせず1枚の紙切れが袋から飛び出る。ま、まずい! 愛理そ、その紙切れは爆発するのよ!!

 ……なんて言えるはずもなく。


 あ。


「ん? なんだこれ」


 拾い上げるのを止めようとしたが、時既に遅し。

 その紙切れを見ながら徐々に、体を震わせ怒りを露わとする愛理。


 ニブニブニブニブニブニブニブ!



☾ ☾ ☾



【お小遣いは計画的に使おう私の言えた筋じゃないんだけど!!】


 彼女の様子から感じるのは。

 怒り、これ以上とないであろう殺気のオーラ。

 こうなったら最後の足掻き。

 意地でも愛理を説得する不可抗力に私はでる。


「あのね、愛理? それはそのお金が足りなくてさ、つい寄っちゃったんだよ! これで大儲けして美味しい食材を買おうとしたんだけど」


 いいでしょ別に。金銭感覚なんて私よくしらないし。結果的に稼ぐことはできなかったけど少しくらいは褒めなさいよ。ほら言いなさいよ!「ありがとう、次からはちゃんと稼いでくれよな(ポンポン)」とか!

 しかし、私の最後の言葉も無駄に終わることになる。


「はぁ!? お前ッッ(舌打ち)何吸ってんだよ!! 私は買い物やって来いっていっただろうがアアアアアあ!」

「ちょっと愛理!? 顔怖いよ怖いよ!? お願いします許してくだちょんまげ!」

「ミヤリー? これなんだかわかる?」


 私に向けられたのは愛理による力が篭った拳だった。


 ……。


 もう説明しなくても目に見えている結果だ。

 でも問題なし。

 どうせHPは1残る。例えあなたがいくら強くっても……。


「あ、ミヤリーその耐性無効にするね」

「へ?」


 次の瞬間。

 ゴツん!


 と愛理からのパンチが1発。

 耐えられる私……なはずだったが気づくと。

 見覚えのある暗黒空間に閉ざされていた。


「「なんでよおおおおおおおおおおおおおっ!」」

「ばーか! 私の能力忘れたのか? 狂政によって一時的に耐性やらを無効にする能力がついたってこと」


 し、しまった。

 そういえばあったわね。

 というかそれ反則よね? 無効とか正気の沙汰じゃないでしょ。あなたには手加減って言葉はないの。

 

……不覚。

 これは範疇になかった私の敗北。

 なんという背徳感。

 いや寧ろ自業自得というべきか。


☾ ☾ ☾


【自業自得のミヤリーさんは愛理さんに説教される】


 愛理は引き摺りながら私を部屋の外へと連れ出した。


「はあ、ミヤリー。お使いに行かせた私が馬鹿だったよ。これなら相棒のシホさんに頼むんだった」

「ええとね、愛理が今どんな様子かはわからないけど!」

「言い訳無用。ってことでミヤリー今晩じっくり反省しておいてね。……あスーちゃんには迷子になったって伝えておくから」


 この。

 言わせておけば次から次へと。

 蘇らせる気ないわね愛理。


 つまりここで反省しろと。

 棺桶の中を揺らし、必死に愛理に訴えかけようとするが、彼女は一度も振り返らず。


「お前晩御飯抜きな? じゃあな3人でうまい飯でも食ってくるわ」

「ちょっと愛理!? 待ちなさああああああぁい!!」

「どうせ死んでる時は腹すかないから大丈夫だろ(こくこく) 反省させるには丁度いいだろ……つーわけでみんなが待っているしそんじゃノシ! ミヤリー強く生きろよ! ……あ、死んでいるか」


 と矛盾する言葉を残しつつ煮え切らない様子でその場を去って行った。

 あの……死んでいるとはいえここ案外窮屈なのよ、だから蘇らせて! 愛理さんおねがいしまーーす!

 だが時間は無駄に過ぎ去っていき、その日誰1人とて私を救いにくる人は現れなかった。

 

 今更だけど言っておく。

 愛理に見られたのは、カジノの領収書。

 それを見て合点がいったわけだが、これはあんまりすぎる。

 隠して私は1日中。

 屋敷の外でひたすら野原でぽつんと、彼女達の帰りをひたすら待ち続けるのであった。

後日の後書きになりますこんばんは。

ミヤリーは説教を食らったあげく、一日追放といった感じにされてしまいました。

親に夜中遅くなって追い出される的なあのパターンですね。

いくらミヤリーが必ずHPが1残るアイテムを持っているからと言って、流石の愛理には歯が立たなかったと言うオチです。

まあ過信しすぎるのもよくありませんからね。これは彼女による誤算と言わざるを得ないです。(ミヤリーざまぁ)

基本的に死亡フラグを踏むのがミヤリーなわけでして、パーティの中で唯一頭が悪いバカキャラです。

まあ死んでも棺桶の中から喋られる世界なので殺されても問題なくツッコミ担当を担います。

さて次は一体うさぎさん達に待ち構えるものとは一体。それではまた次回お願いします。

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