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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第5章 うさぎさん達、力を付けに行きます!
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41話 うさぎさんは、嫌々ながらも頑張ります その2

 渾身の一撃。

 空遠くに吹っ飛ばされるモンスターは多数に及ぶ。


「相変わらず派手な攻撃ね」


 後ろから私を褒める声……とは言い切れずむしろこれがもう当たり前という感想の声だった。

 え? もうこれで普通なの。

 勿体振らずにもっと褒めていいんだよ?


 自然と勝利に喜びを得るどころか、戦うこと自体がヌルゲーと感じてきた自分がいる。


 というかもっと手応えのある敵は現れないのか。

 先に進む私達の目の前に現れたのは、厄介なモンスター達……もいれば大したことのない雑魚にも遭遇した。

 仲間との相談で誰が攻撃をしかけるか、相談事になりはしたものの結局名指しで私に全て任せることになった。


 シホさんはいつも通りに腹ぺこモードになったので、この状況を突破するのは私しかいないと思った上で私愛理が選ばれたわけなのだが。


 はぁ。

 めっちゃめんどくさい。


 群がる敵を助走をつけた拳で遠くまで跳ね飛ばしたが、抵抗もなく遠くまで飛んでいくその様子はまるで崩れゆくドミノのようだった。

 非常にこのエリアはエンカウント率が高いようにも見えるが、どれもモンスターが雑魚過ぎて心の中で腹を抱えて笑う私がここにいる。


 弱い非常に弱い。

 今、ようやくやっと99匹目を倒し、次で100体目と言ったところだが。


「あと1匹ね。……愛理あんな力あるなんて改めてみて恐ろしいわ」

「ふふ。ミヤリーさん愛理さんの強さを侮ってはいけませんよ。あれ以外にも秘めたるパワーが」


 うん、人気者は辛いその意味を再認識したような気がする。

 人気になっているのか? にわかには信じがたい事柄ではあるものの強いことは確かである。

 あぁでもこのないだの戦いで初の敗北をしてしまったが、次は油断しない。……というかあれはノーカンで。


「あのあまり褒められると困るんだけどな!」


 少し怖い笑顔で私は2人の方を見る。


「あ……あすみません」


 気まずそうにシホさんは申し訳ない素振りで一礼。

 いや、そこまでかしこまらなくてもいいよシホさん。


「別に謝らなくても」

「えぇ? そうなんですか。てっきりめっちゃおこなのかと」


 私ってみんなにどんな印象持たれているんだよ! 口は悪いけど不良じゃないからね!

 本当です! 信じて下さい!

 と私の一人芝居はここまでにしておいて。


 前方に広がるのは、広々とした道。

 泥の道を抜けだんだんと林が多くなっていきた。

 ……いよいよこのエリアも大詰めか。


☾ ☾ ☾


【チキン戦法は行動読まれやすいからやめとけ】


「泥道なくなってよかったね」

「確かに。私はもう汚れるのは勘弁よ」

「…………わ、私は特に嫌です」


 スーちゃんは、全身白い服着ているしなおさらか。

 私の記憶なんだが、白って色はとても目立つ色だったような。少し汚れただけでも人目につく厄介もの。


 でもこれは決して他人ごとではない。

 ノーマルラビットパーカーも一応白だし一概にも。

 と進んでいると、巨大な開けている場所発見。


 沼地と草原が混在するエリア。

 風に吹かれ木々が揺れ、なにやら危険な知らせを私達に伝えてくる。


 気のせい。

 だと思いたいところだが。

 都合の悪いことに限ってこういうのは当たるものなのだ。


ごがあああああああああああ!


「なんか出た!?」


 咄嗟に声を出す私。

 ほらいわんこっちゃない。

 心の中でもフラグを立ててしまったのか?


 ……鼻先に現れたのは、なんともとろけている泥の体をしたモンスター。


【ドロバヌバル 説明:ドロドロした体が特徴的なモンスター。口から粘度の高い泥鉄砲を撃ってくる】


 うん。

 まんま泥のモンスターって感じ。


 泥色をしたモンスターで、高さは私達よりやや上といった大きさ。

 見る感じからしてめっちゃ弱そう。

……ひとまず殴らせろ。


 敵の方向へと殴り込み。拳が泥の体に接触した瞬間にぐちょっと変な音が。

 うわ、絶対聞きたくない音が耳から。……だがその苦悩に耐えつつ目を瞑りながら得意げに騒然たる拳の嵐を敵に食らわせてやる。


「連続パンチ受けて見やがれ! あたたたたた!」


 著作権的にこれ大丈夫かな? ギリギリセーフだと思いたいが。

 父が持っていた漫画を見たくらいしかないが手応えは……。


 ドゴーン。


 ドロヌバルは壁際に激突。……そして即座に体を溶かし沼に潜り込んでいく。

 ほう。お得意さまにチキン攻撃する気だコイツ。

 ちょうど私と後ろにいるみんなが踏んでいる場所は沼地。


 進む途中までに踏んでいた沼地より、若干固めな足下が少し沈むくらいの沼だけどそこから攻撃を急に飛び出して攻撃するとかなんかだろこれ。


 ……浮かれていると。

 後ろにいるミヤリー目がけて、巨大な泥でできた手が出現。


「ぎゃあああああああああ!」

「ミヤリーさんあぶない!」


 急に体を変えて襲いかかってきた、ドロヌバルの攻撃に対してシホさんが彼女の前に立って盾を身構える。


「……任せて下さい。はぁ!」


 タイミングを合わせるようにスーちゃんがまた何かの呪文を。

 すると透明な巨大な盾が出現し、ドロヌバルの攻撃をはじき返した。


 なるほど、防御用のフィールドを貼る防御の呪文か。それとシホさんの防御も相まって防御力が格段とあがりはじき返した? のだろうけど息ぴったりだね2人共。


 お互いに向き合って「b」のポーズを取るシホさんとスーちゃん。

 ちょ。仲良すぎ愛理さんをのけ者にしないで頼むから。

 引き下がってみんなの方に駆け寄る。


「……ミヤリーさんあぶないところでしたね。あと一歩遅かったら飲まれるところでしたよ」

「でもさ、私にはアイテムの効力があるから必ずHPは1残るわよ? ……でも助けて貰ったしお礼言っとくわね」


 ミヤリー珍しく2人に礼をする。

 まあ仲間だし当たり前のことではあるけれど、これが一番だよね。


……瞬時にシホさんは振り返り、もう片方に持っていた剣を一瞬で抜き去りドロヌバルを切り飛ばす。

 斬撃の反動によって再び壁際へと叩き落とされるが、再び沼の中へ。


 きたねえぞおい。

 少しは正々堂々戦えよ。あぁでも泥だし既に汚いか。


「埒が明かないねあれ。……みんな取り敢えず草木のある場所に移動しよう」


 3人は私に続いて一目散に右側にある草木の方へと移動する。

 ドロヌバルは……姿を現さずにいる。

 数分様子をみるが、変化はなし。どうやら私達が沼地にやってくるのを待っているんだ。……攻撃の隙を狙おうとして。


「どうしましょうかあれ」

「なんなら私いくけどさ」


 こら、また死亡フラグ立てようとするこの子は。


「……ミヤリーさんやめて下さいよ。さっき愛理さんが言っていたじゃないですか闇雲に突っ込むなって」

「さっきみたいに私が囮になれば攻撃の隙がうまれると思うんだけどな」


「それ一理ありますけど、易々とミヤリーさんにそんな危険な事をさせるわけには……」


 仲間を気遣いそれは危険だと拒否するシホさん。

 囮。確かにそれは得策ではある。……でもミヤリーはただでさえHPが低い。


 300ほど上がったとはいえこの方法を使えば、またいたちごっこになりかねない。


 ならどうするか。

 ……うーん。


 いや。

 これしかないやん。

 ふと思いついたことを仲間に打ち明け。


「……私が囮になるよ」


「え?」

「え?」

「え?」


 同時に口を揃え呆然とする。


☾ ☾ ☾


【野球のバッティングはとても難しく思うのは私だけ?】


「なぜそのようなことを?」

「シホさん、私の方がHP高いしね。……それに目に飛び込んできたらすぐさま私の強烈なパンチで吹っ飛ばせるから」


「なら、愛理さんこうしましょうか。……私は反動で返ってくる場所に待機しておきます……当然近くの草木を踏んで待機しておいて」


 確かにそうしないと作戦が台無しになるよね。


「愛理さんが敵を飛ばしたら、飛ばした方向目がけて私は駆け出してそのまま切り裂きます! ……どうですか?」


 彼女のやりたいことは大体わかった。

 つまりあれ。

 野球みたいに打ち返す……ような感じでしょ?

 シホさんなら、速い瞬間移動もできるし頼りがいがあるね。


 でも一応その前に聞いておくか。

 念の為の保険として。


「空腹の方はどう?」

「大丈夫ですよ愛理さん」


 莞爾たる笑みで答えてくれるシホさん。

 どうやらいつでもOKだそうな。


「今のところ100パーセントです。なので倒れる心配はありません!」


 よし。

 それなら安心だ。

 もしここで「倒れてしまいます~」なんて答えが返ってきたらどうしようかと考えていたところだが、どうやら心配は要らないようだ。


 こうして私達4人のドロヌバルの攻略が始まるのであった。


☾ ☾ ☾


 ミヤリーは予め足手まといになりそうなので、茂みに隠れておくように指示をした。

……何かしらあった時用の切り札として彼女には控えてもらうことに。


 今度レベリングしてあげないとね。ミヤリーの為にもさ。

 スーちゃんがバフの魔法を掛けてくれる。

 俊敏性が上がる魔法を私達2人に。


「ではお願いしますね。なにかありましたら援護しますので遠慮なく攻撃なさってください」


 さすがスーちゃん。頼りがいあるなあ。

 シホさんは作戦通り、向こう側にある草木の場所に待機。

 そして私はというと。


「さてとどーんと来いや」


 拳をバシッと叩いて体を身構えて正面に立つ。

 そして小幅に歩いてゆっくりと沼地に近づく。

 次第に沈んでいく私の足下。粘度によって足が沈み敵の射程に入る。


 パーカーの遠くの音を感知できる能力によって、ドロヌバルが近づいて来る音が聞こえてくる。それは波を立てるような大音で、だんだんとその音は私の方へ。

 そして一寸。音が止まると沼地が揺れ何かが飛び出してくる。……それは。


「へ! 面があったね」


 眼前に現れたのは巨大な手を作ったドロヌバルだった。全長10メートルほどの大きさになった彼は私を握りつぶそうと掴もうとするが、私は拳に力を込めてその一撃をドロヌバルに放つ。


 反動によってその巨体は、再び壁へと一直線に飛ぶ。

 瞬時。

 飛んだ拍子に待機していたシホさんが消え、ドロヌバルの目前に姿を現われて。


「間に合いましたね。これでどうですか!」


 剣を横振りして空高く突き上げる。しかし彼女の攻撃はこれだけはおわらない。

 飛んでいくドロヌバルに向け、剣を両手で掴み振りかざす。そして周囲から光を集め、巨大な光剣を作りだし彼女が剣を力強くにぎると地が大きく揺れた。


 震える地。揺れているのにも関わらず姿勢を崩さず、ひたすら握る剣に視線を向けた。……1本の光の柱を握る彼女は、ドロヌバルに向けて全身全霊力のこもった一撃を解き放った。高々に宣言して。


「エクスターミネーション!」


 爆発する敵を後ろにシホさんは体を振り向かせた。


☾ ☾ ☾


【ノルマ達成の一時は喜ぶべき】


 翌日。

 あの後問題なくして、無事クエストの報告を済ませ依頼を達成。

 報酬の家に関しては、翌日の昼に依頼主が案内してくれるそうなので、それまで私達は時間を持て余していた。


 ギルド内から聞こえる声は、騒ぎを立てる大声だったり世間話だったり。

 ……今回ばかりは一世一代の大仕事といった感じで非常に疲れた。


 帰るまでも大変で、正直疲れがとても出たが、これで念願の家を手に入れられる……そう思うと疲れなんかあんまり気にならなくなってきた。


「ねえねえ愛理。名前とかどうするの?」

「ミヤリー家に名前とかいらないでしょ。……シンプルに我が家でいいんじゃない」

「……まあ家が手に入っただけでいいじゃないですか。まだ昼間で時間がありますねなにしましょうか」

「別にいいんじゃない? 今日ぐらいはぐーたらしてもさ」

「ミヤリーさんったら。……少しはレベル上げるとか思わないんですか」


 シホさんに激しく同意。

 私もちょうどそう切りだそうとしていたところだが。

 でもミヤリーは頬杖をついて、なにやらやりたくない様子を見せてくる。

 こら、宿題やりたくない子供みたいにそんな格好すんな。みっともねえぞ。


「もう疲れたから嫌だ」


 あんまり体動かしてないヤツが何を言う。


「ミヤリーさんほとんど体動かしていませんよね?」


 ぎくっと反応するミヤリー。

 こういうときに「顔に書いてあんぞ」と言うんでしょバレバレだって。


「……とりあえず今は昨日の疲れを取るために休憩しましょうよ。ふわぁ……。なんか眠いですし」

「なら飲み物でも頼もっか」

「……お願いします」


 こうして、念願の家を手に入れこの日時間を持て余す私達は。

 依頼主が来る昼まで、飲食しながら時間を潰すのであった。

最近暑いですねこんばんは。

梅雨のピークに入りだいぶ雨天の日も多くなってきましたが皆様どうお過ごしでしょうか。

自分は変わらずで小説書きに黙々と励んでおりますが、降り頻る雨をみるとなんか鬱な気分にもなってきます。さてそんなことはおいといて、ようやく家を手に入れるところまでようやく書けたといった次第であります。どんな家かこれから愛理一行がどのような生活を送っていくかはその話は明日にでも書くとして取り敢えずは今週のノルマは達成できたかなあって。表現足りない部分がまだあるかもですが、明日も頑張って書いていくので、みなさんそこのところよろしくです。ではみなさん今日もありがとうございました。それではまた明日ではでは。

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