26話 うさぎさんと白い魔法使い。
【頑張って声だけは出してみよう。そうしたら友達増えるかも】
木々揺れる草原。
突如として現れた、全身白を基調とした魔法使い。
だが魔法使い言えどもまだ幼く、背丈は私の肩ぐらいまでしかないがどことなくしおらしい感じが漂う。
しかも保護色さながら身に纏う衣服に髪も同化するような白だ。
目は碧眼とその瞳は非常に愛着が湧いてくる。
というかこの子何歳だろう。
(ていうか全く気づかなかった。どこから現れたんだ?)
いつからそこにいたんだと、少々気がかりで熟考する時間が欲しいところ。
それとは別に、私の思っている魔法使いとだいぶ逸れている気がする。
もう少し胸を盛っている感じの……ゴホンゴホン。
おっとつい本音が漏れそうに。
(白髪のロリ、悪くないキャラだ。ぜひ可能なら義妹に迎えでもしたいなぁ)
魔法使いというと、多大な魔力を駆使して強力な魔法を使い、モンスターを次々と倒していくイメージ。
しかし見た感じ、まだ経験希薄な冒険者といった考えが濃厚。
いや人は見た目によらないとも言うし。
本当にこんな子が、魔法使いなのかと少し疑念を抱く。
決して悪い子ではなさそう。
「……」
手に持つ白い杖がまた、彼女にはそぐわない大きさをしているが重くないのそれ。
実は『外せない呪いがかかっているんです! 助けてください』ってことなら教会へ直行することになるが。
一端の、大人が持つようなサイズで重厚感がある杖だけど。
「仲間にしてほしいって?」
首肯するその白い魔法使いさん。
寡黙で一見喋りづらそうな性格。
……陰キャでよくいそうなタイプの子だが、内心やはり悪い子には到底見えなさそう。
若干照れ臭いように視線を落としているが、うんかわいい。
「別にいいけど、入っても得なにもないかも」
「なにへりくだるような言い方してるのよ」
小声でミヤリーに耳打ちし彼女をつまんで後ろを向く。
「いいか? 図にのると追々厄介事に書き込まれる可能性大だ。だからここは多少控えめに言っているわけだよ……わかった?」
「わかったようなわからないような……」
わかるようになれ!
どっちだよ! せっかく人が親切に教えてあげているのにさぁ。
だが、自分から出てきてくれたのは好都合。
多少の危険がつくような促しをかけてみたが、返答はというと。
「……問題ないです。……りですから」
ん? なんだって。最後の部分、声が小さくて少し聞き取れなかったけど聞かなかったことにしておこう(詮索したら印象悪く持たれる危険性もあるし)
第一印象は小心者っぽいけど、こういう人物に限り、特殊体質だとか潜在能力を持っていたりするけどあるのかな。
「じゃあ決定! ちょうど魔法使いが欲しいと思っていたところだし」
私の頭上に、1本の赤い旗が立ったような気が。
過度な期待はするな、という言葉を聞いたことがあるが……大丈夫ですよね? なんか照れくさそうに頬を掻いているけど。
歯切れの悪いかけ合いではあったものの、無事新たな仲間がメンバーに加わった。
【新たにロリッ子魔法使いが仲間に加わりました!】
おいAIさん、軽々しくロリという単語は使わないほうがいいぞ。
【謎の白い魔法使いが仲間に加わりました!】
そういえば名前聞いていなかったな。
話の流れで聞きそびれてしまったけど、どんな名前だろう。
白いからシロン? ホワイトンとか。もしくはシラとか。
だめだ、まともな候補名が挙がってこない。
「それでいつから私たちのところにいたの?」
普通に考えれば今日が妥当だが、ミヤリーの転職後の夜。
寝るとき視線を感じたのだが、その時からすでにいたのだろうか。
「えぇ……と。……えぇと」
「大丈夫だよ白い魔法使いさん、何もストーカー名目で怪しかったらギルドに報告するとかはしないからさ」
「愛理さん立場的にこちらが訴えられる可能性も……」
「えシホさん、やっぱこの世界でも幼い子に手出したら犯罪になるやつなの?」
恥ずかしがり屋なその子は、目を泳がせながら言いづらそうに躊躇している。
私ってそんな目つき悪い女なのかな?
イメージするんだ、爽やかなお姉さん顔で…………。
想像してみたけれど、自分がキャラ崩壊した絵面が浮かび上がって吐き気がしてきた。
うぇ。
……ならいつも通りの私でここは少女を元気付けるとしようか。
「恥ずかしがることないよ。なにも暴力とかしないからさ」
私を柄の悪いガキ大将とか思われているのかな。
いやそんなことないはず。
建前上はいいうさぎでありたい。
大袈裟ではあるけれど天地神明に誓おう。なんまんだぶなんまんだぶ……うさぎの神よ頼んます。
うさぎの神ってなんだよ。
気を改め、少女は語り出す。
「私、ステシアって言います。魔法の国から来た魔法使いでして」
「魔法の国というと、この大陸より遙か先の海を越えた中大陸にある大規模な国じゃないですか。……海を越えるだけでも普通は困難なのに」
「えそんなすごい国あるの? なにそこ詳しく聞かせて」
話の流れで当の本人も彼女に興味津々。
魔法の国、どんな国だろう。
でもその国ってそんなに遠いの?
中大陸という、興味がそそられそうな名前が挙がったが、なにそれ、めっちゃ気になるから行きたいな。
というか、ファンタジーや転生、異世界ものでよく出てくる魔法の国って実在したのか。寓話だけの創作物だと思っていたが……まぁここは、正真正銘の異世界だからしょうがないね。
でも私地理とか苦手よ? 世界各国の首都全て10秒で言いなさいって言われたらキル確定だって。……そんな私でも大丈夫かな。まあいいや。
「……あぁ。浮遊魔法を使ってきました。魔力瓶をたくさん担いではるばる海を越えてきましたが」
「デスエンカって怖いよね、橋渡ったら強すぎるモンスターと出くわしちゃうやつ」
「……でデスエンカ? よくわかりませんがモンスターには最善の注意を払いつつ進んできたので合ってはいると……思います?」
なぜ疑問。
それってあれか、ばら撒くとモンスターから見つかりにくくなるやつ?
「ところであなたは何歳なの? 年齢も聞いてなかったね……見た感じ私たちより少し下っぽいけど」
私が年齢を尋ねると。
「……13ですね」
中学生じゃないか。
ということは、私より少し下の後輩にあたる子じゃん。
現代で言うと、中1そのくらいだろうか。
中1の私は…………あぁ、ゲーセンで音ゲーやっていたら、生徒指導の先生に見つかりとばっちり食らいした苦い思い出が。
あのときは口からあくびが出るほど説教を食らったものだ。
そんな私の中1時代の体験談はさておき。
「……最強の魔法使いになると両親に言って家を飛び出し、仲間を集めるべくここにやってきたんですが、誰も見向きされなくて」
「それってどういうことなの」
「いえ、私存在が薄くて知らない間によく無視されるんですよ。……話と長くなるので今回は割愛させていただきますが」
深い事情がありそうだね。
というか、私それ非常に欲しい能力なんですけど。……ゲーセンでうるさいせんこーに見つから……ごほんごほん。悪用は控えよう、つい本音が赤裸々にでるところだったぜ。
「それでもう一度聞くけどいつからいたの?」
「ええと……そこのミヤリーさんが復活するところからずっと」
え?
「頑張って勇気だそうと、声をかけようとしたんですがタイミングを逃し。……続いて街歩くあなた達の後を付けて声かけようともしたんですが気づいてもらえず」
それから先は、どれもストーカー行為のようにみえる感じだった。
どうも、ミヤリーの復活から付けていたらしく、声かけようにもタイミングを損なったらしい。
まさか、ガチの人前で喋りづらいタイプだった! あぁでも私たちは、わりかしフレンドリーなグルだよだからそんな訝しまないでおくれ。
「大方理解したよ。つまり、今ようやく私たちに近づいて言えたってことだね?」
「……」
首肯する少女。
全く気づかなかった。というか本当に存在皆無なのかこの子。
でも誰1人として、気配すら感じなかったら……うーんどうだろう。ステレス性が備わっているとか。それは考えられないけども。
「ごめん気づけなくて」
すると、少女をその場でしゃがみ込み。
地面に丸を書くように遊びだし。
ん? 何事だ。まさか因縁つけられて勝負……。
身構える私だったが、予想外の事態に。ブツブツとなにやら独り言を語り始める。
「…………どうせ私なんて空気が薄い魔法使いですよ……ぺっ。……見向きにされずずっとぼっち……はあ」
しょげて自棄になるステシア。……なんか可哀想に思えてきた。
青菜に塩とはまさにこのことか。
急にメタル系のモンスターのごとく、後ろへ退きしゃがんだのち私たちに背中を見せ始める。
「おーい帰ってこーい。ネガティブ思考は体によくないよ~」
幼げでとても愛くるしい。
もちろん可愛い的な意味でだよ?
どこか守ってあげたい素振りを見て、このまま放っておくのは少し忍びなく感じてくる。
「あんたなんとかしなさいよ、このままじゃあの子かわいそうよ」
「そりゃまあ、頭ではわかってる……つもりだけど」
よりいっそう愛嬌が湧いてくる子だから蹴るのは、ミヤリーの言う通りかわいそうだよね。
私もかわいい幼女キャラが、ゲームにいたら真っ先に攻略するタイプですはい。みんなこれはここだけの話ね約束だよ。
でも割と豆腐メンタルな気質。
まずい、やはりこの子を絶対無視しちゃいけない。
さてどうして立ち直らせるべきか。
【大事なのはなんと言っても中身じゃね】
数分後、気を取り戻した彼女は再び私たちの元へよってきた。
慰めようと考えはしたのだが、立ち直りは早かった。
まずは軽く小手調べをしようと。
「とりあえず、実力のほど見せてくれませんか?」
提案するシホさん。
それには私とミヤリーも同意するよう頷く。
さすがに、実力を拝見せずに無断でメンバーに入れるのは私の矜持に反することだ。
厳粛に確かめるわけではないが、まずは観察が大事なのでこうしてシホさんは聞いたんだと思う。
すると立ち直ったステシアは。
「……いいですけど、そんなに期待しないでくださいね」
実力がいかがなものかは存じないが、見せてもらおうじゃあないの。
単に、勿体振っているとかそんな感じか?
まぁ自分は強くないとか言う人は、だいたいこのパターンだと周りの人がみたら『おぉすげーっ! 俺にはまねできねえぜ!』みたいなオチがあったりする。
自信がないキャラが持つ属性だけど、可能性は大いにあるな。……知らんけど。
「じゃあちょっとあそこにいるモンスターでもやっつけてよ」
視線、その先にはスライムが数匹。
狙って現れたかは知らないが、上下跳ねながらこちらを誘っている。
……どうぞ倒してくれと言わんばかりにご様子。これならサンドバッグにされても無理はない。
さてそんな実験台になろうとしているスライム達に彼女は。
「わかりました。ではいきますね」
数匹のスライム。少女は手に持つ杖を宙にかざしなにやら念じ始めた。……すると白い魔方陣が彼女の前に横列を作るように2つ出現。
「なんだこれ、魔方陣からすげー強そうなモンスターでてきたぁ!」
「こ、これは魔人と悪魔のモンスターですよ……しかも上級クラス部類ですね」
魔方陣からは。巨体を持つモンスターが2体出現した。
棍棒を持つモンスターギガンテスと、禍々しい黒い翼を身に纏ったデーモンが。
ゲームでよく見たことあるぞ。召喚獣みたいなあの部類かな?
矛先はこちらに向いていない。おそらく、魔法で抑止しているからだろうか。こちらに危険はなく害を与えてきそうには気配はない。
むしろ、彼女――ステシアの指示をひたすら鎮座しながら待っている。
「……すみません、今日もお願いしますねお二人とも」
「グゴォ!」
「ガー!」
「あ、あと……なるべくお手柔らかに」
最後の妥協は聞いたかは知らないが、彼女はモンスター2匹に目の前のスライムを倒すように指示した。
すると、指示を受けた2匹は持ち前の技量を駆使して、スライムの元へと駆けていく。それはすさむ風のような速さだ。
ギガンテスは猛突進して、2体のスライムをなぎ払い近くにあった木に叩きつける。
片方。デーモンはというと、口から黒炎を吐き出し、スライムはおろかその場一帯を焼け野原にした。
「序盤のモンスターがやっていい強さじゃねえぞおい!」
「愛理、あれは私たちには救えない世界なのよ(こくこく)」
「なにお前同情するみたいに頷いてるんだよ! 早く上方修正しろおおおおおおおおおおぉ!」
「そのジョウホウシュウセイ? の意味はわかりませんけど彼女の操るモンスターを見てくださいよ圧巻ですよ圧巻!」
んな見ればわかるって! ……私が言いたいのは。
も、もう無茶苦茶、支離滅裂である。
原型を留めていないスライムは、どろどろの状態となりすでに虫の息。なのにも関わらず滅多打ちにするギガンテスはひたすら殴り続けている。……いやもうやめてあげてよライフはもうゼロよ。
「グゴォ! グゴォ!」
迫真の滅多打ち。
……全然弱く……なかったよこの少女。
召喚したモンスターを魔方陣に吸い込むように戻すとこちらの方に振り向いて。
「今のって?」
「……召喚魔法ですね。違う場所または空間から一時的に家来にする紋章をつけて従わせます。すると受動的に使用者の命令通り、そのモンスター達は一緒に戦ってくれます。……ですがこれ相当訓練しないと習得できない魔法でして……数年くらいはかかる魔法ですよ」
それなんかやばくね。
あながち、最強の魔法使い目指しているだけあって実力も相当なものだった。
どの世界にもガチ勢っているんやな。見た目に似合わず壮観だぜ。
エアプやブラフとかいうオチはなく、正真正銘の訓練された一端の魔法使い。
将来有望な子だね~これからが楽しみだ。
「ちなみに召喚魔法以外も使えたりする?」
「えぇ。大方の魔法は。……攻撃魔法、補助魔法、回復魔法、蘇生魔法」
いや万能か。
まさかのオールラウンダーかい!
神殿周回して、経験値稼いでいたのかなこの子。
それはそうと。
どうしてこの子が誰にも気に掛けてもらえなかったのか、不思議でままならない。
「よろしくお願いします」
「よろしく……スーちゃんって呼んでいいかな?」
透けるからスーちゃんって呼ぶことにしよう。
え、安直すぎるだろって? じゃあもっと中二病全開な長文の名前にしろと?
逆にそうやると、彼女から酷い目つきで見られそうだしこれがいい。
「……母からも同じ呼び名で言われていますが、愛理さんですっけ? ……あなたはあれですか黒魔術師の使いかなにかなんですかぁ⁉」
「いやそんなことはないけど……き、気にしないで」
「……ま、まあいいですけど」
なにを言い出すかと思えば、昔の友達にもよく言われた系のあのセリフ。
わからなくもない。私も昔おじいちゃんたちにあーちゃんと言われ小学校でもあーちゃんと名付けられてはにかむ気持ちになった。もぅやめてくれ黒歴史の採掘はこりごりだ。ちーん。
「……あの愛理さん? なんでそんな青ざめた顔に。嫌なことでも言いましたか?」
「い、いやぁそんなことは。そぉーんなことないなはっはー!」
「上擦ってますけど大丈夫です? 愛理さん」
なんとかごまかそうと思ったけど、わりと難しいねこれって。
つい、声調が狂っちゃうよ。
「あ、あと私から1つ忠告しておきますけど」
「お、おうふ」
今度はなんだろう。
魔力が枯渇しているとか言わないよね?
彼女の口から出たのは。
「……私のセリフ文は愛理さんの左にいるシホさんと敬語キャラが被るので、基本的に私の文は三点リーダーで区別してください。き、基本口数少ないという位置づけですので」
「あ、あなたもメタ発言するのね」
「な、なんかすみません」
遠回りしたような気分になったが。
一同賛同し、はれて4人パーティ結成。
お、いいチームにこれなってきたんじゃないか?
するとスーちゃんがなにか言ってくる。
「……そういえば、ちょっと行きたいダンジョンがあるんですが、一緒にいくの付き合ってくれません?」
もじもじしながら言うスーちゃんに私達はこくりと頷く。
仲間の頼みだ断るわけないでしょ、うん。
まあ、肝心なそのいったいどんなダンジョンなのか。
クソギミックてんこ盛りな難関ダンジョンか?
はたまた、インチキくさいモンスターのいるダンジョンか? ちょいとwktkな私がここにいます。
☾ ☾ ☾
【対策を練ってからダンジョンに入ろう】
というわけで来ました。
街の周辺にあるダンジョン。
岩山にポツンと穴が開いた場所が。
中級向けのダンジョンらしいのだが、少女だけでは力不足らしく今まで攻略できなかったんだとか。
いや、あれぐらいの実力あったら攻略できるんじゃないの。
「スーちゃん。……なんで今までここ攻略できなかったわけ? そんな強さあるならできるんじゃないの?」
「……ここにいるモンスターは、魔法に強耐性を持つモンスターばかりなんですよ。各属性の魔法が通用せず魔法使いにとっては詰み要素のあるダンジョンです」
むしろ、なぜそんなダンジョン作ったんだよ、誰得。
趣旨は? 道理は……リーベルの反対側に立っている場所なんだけど、いったいどうして作ったんだろうね。
「なぜ魔法使いをメタるダンジョンがあるんだよ?」
「……め、メタル? メタル系は出てきませんよ?」
言葉の綾っていうやつか。
「えぇと、簡単に言えば、特定のものに対策が練られている要素があるもののことだよ」
「……なるほど。愛理さんはなかなか私の知らない言葉を知っていますね。私の国の学校では卒業が近くなると言語を30個ほど習得するというのに……盲点でした」
そっちのほうがすげぇと思うけど。
聞き間違いかな、とんでもない数の言語を覚えるみたいなこと言っているけど……じょ、冗談であってほしい。
「さ、30? と、とりあえずここに入ればいいわけね。おし」
魔法使いメタのダンジョンねぇ。
それでここにめぼしい物があると?
「ここの最上部に強力なボスが控えているとのことらしいですが、そのモンスターが超強力な武器を守っているらしいです。それが欲しくて」
あぁこういう系ね。
でもそう聞くとなんか気になるかも。
近くにあったのにもかかわらず、なぜ気づかなかったんだろう。
時間の損害に嘆く私。
「気になりますね。私も入ったことないダンジョンですので。……ぜひとも行きましょう」
「毒以外なら大丈夫よ。……あ、もうヘマはしないわよ」
以外ってなんだよ! いいかお前死ぬなよ……なるべく死ぬな!
と意気込む2人。
誰しも決意が決まっていたようなので。
「よーしスーちゃん。一緒に入るか」
「……はい、愛理さん。ふつつか者ですがお願いします」
私と、スーちゃんを先頭にミヤリーとシホさんが洞窟の中へと続く。
4人になって初めての探索。
どんな強力なモンスターが待ち構えているか少しわくわくする自分もいる。
あ、だからといって作り出す力を使うのは禁止で。
これはいざという時の、とっておきな伝家の宝刀として控えておこう。
だってゲームバランスって大事じゃん。
とスーちゃんがこちらの方をみて、頬を火照らせながらまたもじもじしだす。
いちいち素振りがかわいいなこの子。私にもこんなマイシスターが欲しかった!
よし聞いてやろうじゃないの。
「どうしたの? スーちゃんもじもじなんかして」
「そ……その」
恥ずかしがる彼女は目を瞑って言った。
「……そのうさぎのパーカー……。かわいいな~って!」
「……うぅ。…………そう? あ、ありがとう」
照れながら目を逸らしながら頬を掻く私。
……っていつものパターンかよ!
そんなオチを決めながらも仲間と共に奥に進む私であった。
こんばんはです。
昨日の2本投稿では疲れを生じていましたが今日はばりばりです。
さて、新キャラのステシア通称スーちゃんと呼んでいますが少女は天才魔法使いの部類に入ります。
オールマイティに色々な面々で活躍の機会を与えてあげるつもりなので今後共々少女をよろしくお願いします。ダンジョンの攻略にまた入った愛理達ですが、次は一体どんな敵が待ち受けているのか。
クソなモンスターだったり、クソなダンジョン。一体どのような展開になるか。明日そのダンジョンに愛理達が攻略に挑みます。夜の更新となりますが皆様よろしくです。ではでは。




