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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第4章 うさぎさんと天才?ちょっと影が薄い魔法使い
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24話 うさぎさん、何か視線を感じる その1

【楽なレベル上げって本当はないかも】


 街の家屋。

 人の溢れる賑やかな街並みに囲まれながら、今日も1日のスタートを切る。


 再びおいしいクエストがないか、今日もギルドに足を運び、壁に貼られた依頼書を私達は見る。


 合板に、埋め尽くされるくらいある依頼紙がたくさん貼られているが、何層に重ねてあるんだこれ。

 天井近くまで伸びたその高さは壮観だった。


 学校の掲示板でも、こんなに多く貼られてはいないが……さすが異世界、予想を遙かに上回る量だぜ。


 シホさんとミヤリーが、クエストの内容を確認しながら聞こえる程度の声量で会話をする。


「何枚か見ているのですが、どれも上級者向けの依頼ばかり。中には出入り困難な場所もありますね」


 静かで落ち着きながら目を通すシホさん。

 だがそのもう1人のほうはというと。


「そうなの? ……あ、ほんとだ。なによこのこれ⁉『SSランク100人以上推奨』って! 団体旅行じゃあるまいしふざけるのも大概にしなさいよ!」


 一旦、とりあえず落ち着けよ。


 存外な依頼紙に記述されてある条件に、上擦った声で愚痴るミヤリー。

 声がダダ漏れのせいか、少し彼女は周りの視線を集めていた。

 お前は子どもかって。


 でもたしかに、それは頭のネジが外れたようなものに見えるが、なんでよりにもよって100人なんだよ。

 しかもSSってまだ程遠い存在。

 陽キャじゃないと無理ゲーだろこれ。


 それをシホさんがのぞき込むように確認すると。


「それ知ってますよ。上級者1人でも討伐が困難な巨大モンスターが出てくるクエストですよ。……不定期に出てくるのですが、ギルドとの話し合いでこれがちょうどいいと帰結したみたいですよ」

「現代ってそんなにモンスターが強くなってるの? ……奥深いわね」


 だからってなんで100人になるんだよ!

 それあれじゃん。完全にレイドボスとかサ終直前にゲームの運営が出してくるようなクソモンスターみたいなやつじゃあねえか。


 ぞくにいうパワーインフレ。

 瞬殺ゲーになっていたりしないよね?

 出オチ数秒キルとか、クソゲーになりかねん。


 なるほど。

 2人は耳が早い。こうもあっさり、私が知ろうとした情報源を短時間で収集してくれるとは。


「一通り見たけどどれもクソみたいなものばかりだね。ふむまともなのねぇじゃん……高杉なんだよ推奨ランクとその人数がよぉ」

「早いもの勝ちですねこれは。1日ごと入ってくるクエストの難易度はバラバラですから」


「なにその乱数。じゃあ目的にあったものなかったら1日待てって? おい、ゲームの初回限定版買えなかった人の身にもなってよ! なかったらストレスが溜まるからね!」


 ゲームでスタミナの回復が、極端に遅すぎるゲームかな?


「ランスウ? ……まあいいです、そうですねランダムなので1日待つか、他の大きな街まで行って目当てのクエストを探す……この二択ですね」

「魔法使いがいないとほぼ詰みじゃん。これでどうやって戦えと」


 私って幸運がそんなによくなかったんだけど、なぜ均等に分配してくれないの?

 もうちょっと条件緩くしてよ。


「私も昔高難易度のクエスト受けたことあるけど、頻繁に出てくるようなものではないのよ。……そうね大体月5くらいの数で10件ほど出たかな。大量発生や色々その状況によって、出具合がまちまちだけど」

「やっぱり今も昔も数少ないね。慎重派多い感じ?」


 ふむむ。ミヤリーのいた時代でも現代と状況は変わらない様子。すると飛び級なんてことは無理矢理できないか。


 そういえばミヤリーのレベルいくつになったんだろ。この間試しに軽いクエストで、モンスターを数体ほど倒しに行ったがその結果は。


 確認。


 ミヤリーの方にメニュー画面を向け、図鑑の機能で分析してもらう。

 いつも通り数秒でその作業がおわり、画面上には彼女のステータスが表示された。

 どれ拝見。


 ミヤリー レベル15

HP 15

魔力 10

攻撃力 30

防御 20

素早さ 30


 ってHP1しか上がってなくない?

 なんなの、このなけなしの数値は。心許ないんですが。


 どこかにドーピング系が落ちてたりしてないかな。


 転職しても呪いの名残りが未だに残っているとは……慈悲深く彼女に何か言葉をかけるべきか。


 さすがミヤリー。伊達に長年眠っていただけはあるな。

 正直、HPが伸びてほしいのが本音である。

 レベル1につきHPが1しか伸びないって、貧弱すぎだろこいつ。


「どうしたの? 愛理そんな顔して」

「ねえミヤリーなんでHP1しか上がっていないの?」


 仕様です、お許しください!

 なんてのは理由にならないからね、ちゃんとした理由だけを持ち込んでくれないかな。


「うーん、なんで愛理が私のHPのこと知っているかわかんないけど、どうやら呪いの名残り的なものが残ったみたい。…………ちょっとだけではあるけれどね。だからレベルが変化しても1しか上がらなかったと思うわよ。知らないけど」


 確信は持てないみたいだがなにそのマゾ仕様。


「どんな仕打ちなのそれ。ミヤリーは生まれつき不幸になる体質でもしているの?」

「知らないわよ、気づいたらなってたの! だからそんな苦い顔しないでくれる⁉︎」


 少し動揺気味な、通称死にまくりなコイツは一旦置いといて。


「ところで今日はどうしますか? この間探そうとしていた魔法使い結局情報が掴めませんでしたね」

「えぇと、そうだねぇ~」


 そういえばそんな話もしていたっけ。

 記憶力は悪いほうではないんだけど、知らずにどうして重要なことを忘れていたのだろう。

 噂によれば、純白な服に身を包んだ幼い魔法使い。


 とのことらしいがそれ以外進展は一切なし。

 ……いやそんなに遭遇率低いのその子は。

 メタルモンスターかな。

 うんわからん。


「魔法使いも気になるけど、クエストやるならできれば難易度が低めのものを……したいな~なんて」


 考えてもしょうがない。まずは目の前でやるべきすることが優先だろう。

 周囲の喧噪。

 くだらない世間話が飛び交うばかりでクエストの張り紙に集中できない。

 いや、そういうの外でしろよ。……まじで外野がうるさすぎ。


「おっとすみませんすみません、ちょっと取らせてもらいますね」


 果敢にも群衆へ身を乗り出していった彼女は。

 人々に押され気味になりながらも、ギルドのクエスト用紙を取りに行ってくれた。

 なのに私とミヤリーは棒立ち状態になっているので、少しもうしわけなく感じてくる。


 するとシホさんが、1枚の張り紙をとり、私とミヤリーに見せてくる。


「こんなのはどうですか?」

「あれ、優しいやつあったの? 早く見せてよ」


 シホさんが取ってきてくれた依頼紙を見る。

 さてさて……内容は。

 ふむふむ。


 シホさんが持ってきたクエストがちょうどいい難易度だったので、快くそれを引き受けることにした。


「よし、ミヤリー早速いくよ」

「うわ、ちょ愛理……引っ張らないでって!」


 強引に彼女の着る服の袖を引きずりながら、クエストの内容を頼りに私たち3人は指定された場所へと向かうのだった。


☾ ☾ ☾


【戦う時は慎重に戦おう】


 木洩れ日差し込む林。

 辺りから獣の遠吠え、鳥のさえずりなどが聞こえる。

 ……というかまたあの猛獣先輩とか出てくるんじゃあないだろうな。また忘れかけていたから急に現れたりするなど可能性はゼロではないので油断はできないな。


 仮にまた出てきてもそのときはラビパンで返り討ちにしてやろう。


 木々の立つ場所だったり、草原地帯を見ると自ずと彼の容姿が目に浮かぶのだが。

 隠れていたりして……いやまさか。


「なに立ち止まってごく普通の茂みをまじまじと見つめているんですか」

「……あぁいや注意を怠るのってよくないから、様子を見ていたんだよ」

「神経質すぎないそれ? どー見てもごく普通の茂みじゃない」


 私のすぐ近くにあった適当な茂みを見つめていると、それを薄目で2人は心配がけるように私に忠告してくる。

 そんなんわかっとるわ! ただの妄想だっつーの……だから、クラスで浮いている隠キャを見つめるような目力送ってくるな!


「ただの予想だよ、まじになってないから」


『ここで会ったら100年目! 覚悟ーーーー!』


 とフラグは立つことはなく。


 サッサ。


「うん? 今そこにある草木揺れなかった?」

「揺れましたね、私ちゃんと見てましたよ」

「愛理の声に反応してやってきたのよきっと」

「人を悪いように言うな!」


 目の前にあった草木が揺れた。

 そしてこちらの存在に気づいたのか、物陰は躍り出るように足音を立て前に出てくる。


「なんか変なキノコモンスターでたー! すっげえどくどくした紫色じゃん!」


 目の前に現れたのは、エリンガーというキノコを模した小型のモンスターだった。


 雨玉模様の傘状の頭をしていて、私たちの膝ぐらいまでしかない大きさだが。

 全身が青紫がかった着色が特徴的だ。


 コイツは強力な毒を吐いてくるとのことらしいが。 


 今回の目的はコイツを駆除することが目的。

 最近、そのモンスターが近くの町を荒らすようになり人々は困っているらしい。


「突かれた瞬間死ぬ! なんてしないわよね」

「ミヤリー、墓標の予約しとく? 今なら安くしとくよ~」

「気が早すぎない! てか勝手に殺すなァ〰〰ッ!」


 キノコのモンスターというとあれか、擬態化して敵を騙したりして襲ってくるあのモンスター。

 RPGなどでは度々よく見られるモンスターだが、こういう系のモンスターには慎重にならないといけないのが通。


「毒キノコかなんだか知らないけれど、とにかくかわせばいいんでしょかわせば」


と不注意にうんうんとうなずくミヤリーの後ろに移動してくる。


「おいお前後ろ!」

「へ?」


「マシュマシュッ!」


「ミヤリーさんッ!」


 後ろに回り込んできたエリンガーを。

 シホさんは持っている剣を即座に抜刀させると。

 敵の後ろへと身を一瞬で移動する。


「ッ!」


 傾斜がかった視角から放つのは。


 バサッ!


 強力な巨大斬撃だった。

 構えなんぞ見る暇もない、迅速な攻撃に敵は振り向くことができず。


「マ……シュ……」


 エリンガーは彼女の放った攻撃で体をまっ2つに切られ、足下に分断された部位がそこに倒れる。

 一瞬で倒しちゃったよ。


「あ、ありがとう」

「気をつけましょうね、なんだってここにたくさんいますから」

「まったく、かっこつけるのもいいけれど手もちゃんと動かせよ」


 1匹目から気を取られるだなんて、無防備に森に行く初心者味を感じるが大丈夫かなコイツ。

 私はいつミヤリーが、魔物の餌食になっても不思議に思わない、そんな自信があります。


 そして森の中を慎重に進みながら、シホさんがクエストの内容を伝え再確認する。


「数か所にそのエリンガーはいるらしいんですけど、30匹ほど狩るよう言われています。…………大丈夫です、人数もだいぶ増えてきましたし苦戦することはないですよ!」

「うん、シホさん意気込むのはいいんだけどさ、そーいうセリフはね私の町だとこれからやられに行く人が言う典型的なセリフなんだよ!」

「え、そうなんですか?」


 ふと彼女の頭上に、1本の赤い旗が立ったような気がした。


 曲折とした、落ち葉の溢れる道を進む。

 周りに注意を配り敵の気配を探っているが、現状その気配すら感じない。


 大きな木々がやたらと目立つが、スケールがそれなりある。

 そうだね。ゲームでよく出てきそうな頑丈そうな大木って言ったほうがわかりやすいかな。

 遮へい物となり見づらいのが難点。

 パンチ1発でドミノにできそうではあるんだけどね。


 畜生、ライドモンスターでもいたらいいのに。


「足下注意してくださいね。踏み外してなくなった冒険者さんもおられるらしいですから」

「この道たしかに枯葉が多いわね。落とし穴の1つや2つ、あっても不思議じゃないわね。おっと」


 足元を注意しながら慎重に歩くミヤリー。

 歩幅が小さいわチキン。


 それにしてもなにそれ怖い。

 ここってそんなに初見殺しを味わうような難関ダンジョンだったの?

 たかが低難易度のクエストだよここ。

 もうわけわかめ。


「あ、いましたあそこに」


 シホさんが指指す方向には。

 エリンガーだ。


 そいつが、一枚岩のように数匹群がるようにかたまっている。

 数は5匹。

 

 フラグを立てるわけではないが、これなら一網打尽にできそうだ。


「ようし蹴散らしてやる……か?」


 銃を構えると。


 その刹那。

 撃とうとした私の手をシホさんが力強くと握りしめ、攻撃をやめるよう拒んでくる。


いって。


 出し抜けにどうしたの、まさかトイレにでも? いやそれはないか。

 相変わらずこの子凄い馬鹿力だよ、というかそろそろ“加減”という言葉を覚えなさい!


「駄目ですよ愛理さん。この森ギルドが厳重に管理している森なんですから。……並の力なら問題ありませんが、愛理さんともなると巨大な穴の1つや2つができかねません。……なのでその砲弾を使うのはだめですよ」


 山火事になるからやめとけ、みたいなやつか。

 え、それもう詰みなんじゃあないですかね。


「この森全体が保存樹かなにかなの? だったらどうやって戦えと」

「ホゾン……なんですか? とにかく無闇に切り倒すと不幸なことが起きるかもしれないですよ」


 息を呑んで彼女の方に視線を向けて、恐る恐る聞いてみる。

 本当は聞きたくないけれど。


「もし、撃っちゃったら?」

「冒険者カードの剥奪。もしくは大金貨100枚支払うことになるでしょう」


 もしかして山火事防止のための措置かこれ。

 ならこういう状況で一体どうやって戦えばいいんだよ。あ、この前使った能力あったやん。1回だけデバフ消せるやつ。

 あ、でも1バトルに1度きりだしな無数相手だと無意味なんじゃね。


「困ったわね愛理。……ここは私が。ここは長年戦ってきた私に任せなさい!」

「ちょ待てよ! 果敢に前へ出るのはいいけどさ、頼り甲斐のない先輩みたいな言い方はやめとけって!」


 さっきの戦いで何を学んだんだお前。


「……フ」


 ドヤ顔で何キメているんだお前。


 私の肩をぽんと上に乗せ、前にでるミヤリー。

 おっとやる気なの。

 まさか無謀に突っ込んでいくとか変なこと考えているんじゃないでしょうね?


「戦えるの大丈夫?」


 彼女の服には何やらミサンガらしき物が見えた。


「問題ない。この『きあいのミサンガ』はどんな攻撃を受けても必ずHPが1残る。……死亡対策はバッチリよ。……あ、でも毒は勘弁ね状態異常は対象外だから」


 某ゲームにある、モンスターに持たせるアイテムのほぼ上位互換じゃないか。

 だが、毒などの状態異常を受けてしまうのは致命的だが、それでも十分戦っていけるのではないだろうか。

 いやこれは。


「説明が終わったところで……! はっ!」

「ちょっとミヤリーさん!」

「デビュー戦でよく負けるのは鉄板だぞ! おーいおーい。あ、聞こえてねえやこれ」


 手の平を前に出し、彼女を止めようとしたシホさんだったがすでに遅かった。

 当然そんな声なんぞ聞こえるわけもなかった。


「ミヤ……、言いそびれました」


 両手に携えた長剣を両手で広げ、迅速な速さでエリンガー達の方へと向かう。高速。それは目ではおいつけないほどの俊敏。彼女自身の体からはとてつもない風圧が発生し、精悍(せいかん)な圧力がエリンガー一向を襲う。


「お、これいけるんじゃね」

「そうでしょうか」


 呑気に彼女を見守る私達は、たくましく戦うミヤリーの戦闘を実況を交え観察する。

 あれは、勝ったなと確信する私。だが隣にいるシホさんは、なにやら気に病む様子で眉をひそめる。


「なんか心配ごとでもあるの?」

「そ、それは」


「あはははははは、やっぱこうでなくちゃ戦闘って! もう私を止めることは誰にもできないわ」


 先が気になるが今はミヤリーを。

 とこちらに気がついたエリンガー達ははミヤリーの方を向く。四方に散りなにやら体制取り始めるエリンガー達だが……何をするつもりだ?


 ……いやまさか。

 偶然にも数秒。動くのが遅かった1匹のエリンガーは、ミヤリーと視線が合った。……後ろを振り返りのこのこと距離を遠ざけようとするそのエリンガーだったが。


「もらったっ!」


 瞬く間に、逃げる隙も与えずミヤリーの振り落とした2本の長剣で八つ裂きにする。

 俊敏性に長けた鋭い剣の斬擊が炸裂し、目の前にいるエリンガーを次々と引き裂く。


「私さいきょー私さいきょーミヤリー様最強よぉ〰〰〰ッ!」


 上機嫌に笑いながらエリンガーを屠っていく、その姿は一振りが大きく攻撃には申し分ない強さだった。


「すっげえ力強さだなぁ。剣の扱いが手慣れているし戦闘面に関しては申し分ないよね」

「私の見る感じでは、あの技量短期間で習得できるような荒技ではないです。あれは熟練者の手つきですよ」


 戦況を見ながらシホさんが熱弁してくれる。

 ミヤリーにおける空白期間の、“100年間”になにがあったかは私の守備範囲外だがそれはさておき。


 瞬発的に剣をなぎ払いながらも敵の攻撃を退くその様は、とても頼りがいありそうに見える。

 この調子なら本当にいけるんじゃないかと、彼女1人にここは任せようとする私だったが。

 ……つめが甘かった。


☾ ☾ ☾


【図に乗ってセリフを吐くは死亡フラグの前兆である】


 茂みに隠れた他のエリンガー達は、なにやら異色の煙を巻き上げる。

 煙はミヤリーの立っている方向へと行き彼女に詰め寄り。


 おい、やめろ。危険な物・虫には触るなって習わなかったのか?


「? 何よこれ」


 きょろきょろと見回すミヤリー。


「ふん、どうせ負け惜しみよ。勝算がなくなって最後のあがきでもしたんだわきっと。……いいわわざとその最後のあがきというものを受けてやろうじゃないの! はは」


 君にフラグ建築士1級の称号を与えよう。

 逃げたほうがいいんだけど、彼女はどうもやや鈍感で思考力に関しては劣りがあるようだった。

 そういうセリフは、死亡フラグが内定しているヤツが言うセリフであって。

 とミヤリーが。


「え……なにこれ。 ……急に息が」


 ミヤリーは胸を押さえながら何やら苦しみ始めた。

 立つのもままならず次第にその場で膝をつき。


 あれ、やばくない? はよ助けにいかないと。

 でも私が突っ込むと巻き添いくらいそうで嫌。

 でも念入り声くらいはかけとくか。


「おい、ミヤリー! 逃げろ!」

「わた……しはこんな……ところ……でぇ」

「ヒーローがピンチの境遇で、起死回生の一手を打とうとしているセリフなんていいから……って……あ」

「あら、また目の前に見慣れた棺桶が」


【ミヤリーは窒息する量の毒を受けたので死んでしまいました】


 とウインドウに表示される始☆末。

 よくねぇよ。

 なにあっさりとやられているのさ。ゲーム・アニメでよく出オチ〇コマで死ぬキャラもいるけど、お前にはそんなの似合わないと思うぞ!(たぶん)


「死ぬのだから早すぎるって」

「助けに行きましょう。いえ行くべきです」

「堂々と武器構えているところ申し訳ないが、危険だからね」

「わ、わわかってますよ! ミヤリーさんの死を無駄にしては……」


 あれ、これもう例の出オチってやつなんじゃ。

 バイブレーションモードのシホさんをよそに、毒煙の中にある棺桶をどのように救出するか模索する私とシホさん。

 眼前に2人の前に現れた棺桶を、あんぐりとした顔で見ていると助けを求めてくる声が聞こえてくる。


「ごめん愛理! 油断したわ。蘇生は頼むからあとお願いね…………っガク」


 いちいち面倒のかかるヤツだなぁと呆れる私だったが、これでも大切な仲間なので策を講じようと足を引いて身構える私。

 即死対策……あればなぁ。そんな都合よくあるわけがないと思いつつも、突破口を切り開こうとしていた。

 どうすりゃいいんだよここはよぉ(当惑)

1日遅れです。みなさんこんにちは。

本当は昨日だそうとしたのですが、時間がかみ合わず出すことができませんでしたすみません。

ですが焦りは禁物ですからね、無理はよくありませんそれでも今日はお詫びとしてこの後の夜にまた出すのでその辺よろしくです。

さてちょっとキノコ型のモンスターを出してみたのですがどうでしたでしょうか。ところどころある作品のネタが挟んであったり少し小ネタ要素をいれたりしていますけど。

少し文脈の組み方を少し変えて最近は書くようにしていますが自分で言うのもあれですが結構変わったような。

それを生かしてただいま前の話の校正などを行っておりますがこれもまた大変。もっと早く知るべきでしたね(((汗)

気づいておられる方かもおられるかも知れませんが土日挟んでの校正作業をしています。平日だと最新話の更新が大幅ロスする可能性があるので基本的に休日に行っています。よろしければ過去の話も見てくださるとなによりです。では皆さん数時間後にまた出すのでその都度またよろしくですではでは。

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