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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第10章 うさぎさん達の頂上決戦
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168話 うさぎさんのDQNな1日 その5

【頭を使ったり使わなかったり……テスト前には単語カードは確認しておけ】


「……そこを真っ直ぐ。致命傷ですからそこまで遠くには行っていないはずです」

「あいよ。私も位置を確認しながら動いているけれど後ろはお願いね。……油断して噛まれてガメオベラでもなったらミヤリーになんて言われるのやら」

「……ぷ。いやいやぁそ、そ、そんなこと心配する必要はないですよくすす。仮にそうなっても私は口を紡いでおくので心配なさらずに!」

「あのすーちゃん? なんか私の情けない姿を妄想して笑ってるでしょ? ちょ笑うな私はミヤリーみたいにヘマなんてしないから……だから笑いを堪えてくれ!」


 私が無駄口を言ったせいでスーちゃんが笑いにはまる。

 必死で笑い堪えようと行使してみせるが声はおさまらない。こら、ば、ばかにしたように笑うんじゃあない。先生にも言われたでしょ、人を馬鹿にするような笑いはやめろと。


 マップの機能を駆使しながら、先ほど逃げたブラック・スネークを追尾する。

 一応、探索機レイコちゃん号を3匹ほど出現させて先に行かせているが、敵は私達はおろかレイコちゃん号よりも遙かに速い。 数秒も経たない間に10メートルをも駆け抜ける。

 はや。蛇って平均どれくらいの速度だっけ? 忘れたけど相当なものだぞこの速さは。……召喚して即爆破処理させる予定だったが、距離が距離なので不可能である。


 え、ならいつものラビット・トラップ使えばいいじゃんって? ……それがそうもいかねえんだわこれが。


 AIさんの回答。


【設置する範囲の領域を越えてしまっているのでそこには設置できません! 500m以内でなら可能です】


 とのこと。

 ま? 大体学校の校庭って400mくらいだったよな。……場所によって異なるけれど制限あったのかこれ。

 んじゃあ使いたくなかったけど、作り出す力を使用して……。


【できません。既存の能力をこの能力によって拡張させることは不可能です】


 嘘やろ。あれか後はレベル上げてから習得しようね的な? ……このように距離的に無理がありラビット・トラップの機能も皆無である。

 微妙ながら穴があるものなんだな。


「……そろそろです開けている場所につきますよ。そこにいます」

「ここか……おっと」


 木々の道をくぐり抜けると円周の広がる地表が広がっていた。所々小型の生物が入り込める穴蔵がある。

 パーカーの効力を使う。


 シュッシュ。


 これは。

 微量ながら地を這う音が聞こえる。


「……どうです? どこにいるかわかります?」

「うーん一応わかるんだけどね。どうも人が入るには小さな場所で」

「となると…………あの数ある穴にでも潜んでいると……確かにあの外郭高めにある穴の大きさからして可能性は十分大ありですよね」


 傾斜のある面沿い。中が空洞になっているか知らないが、マップの位置情報だと、ブラック・スネークは現在いる穴から違う穴へと移動また移動と、モグラ叩きみたいに場所を変えながら様子を伺っている。

 なんのつもりか検討もつかないが、さあどうする。


「スーちゃん、ここはどうするべきだと思う? ……お、レイコちゃん号が帰ってきた」

「だよ~!」

「だよ~!」

「だよ~!」


 3体一斉に手をあげながら私の方に駆け寄ってくるレイコちゃん号。

 

「……かわいいですねこれ。狂政さんのくれた試作人形……愛理さんでいうロボットですか、よくできてますねこれ。そうですね、小型なら小型で対処するのがよろしいかと。……私の魔法で一層するのもありですけど他のモンスターに襲われるのもあれですし」

「私もそれに一理ある。レイコちゃん号にはプリセット……召喚魔法みたいなやつで色んな武器を持たせてあげられるんだけど、それをやってみるか」


 レイコちゃん号は自爆させるだけでなく、予め用意された武器をそれぞれ持たせることができる。剣、弓、杖、魔法。などそれぞれ持った武器によって使用できる技や魔法、能力値が変動する。聞けば高密度な人工知能大体IQ190ほどの知能があるらしいが……本当か? 半信半疑ながらも私はそれぞれに武器を持たせ。


 1匹には剣と盾。2匹目は爪。そして3匹目には杖を持たせる。

 杖を持ったレイコちゃん号だけ、金色のラインが入った青いローブが着用される。……あいつ魔法使い好きなのか?


「1匹だけ服が変わりましたね。……魔法使いふむふむやはり狂政さんの技術力は侮れないですね。それで策はあるんですか?」

「ある……とは言い難いんだけど、この子達に指示を出して。おっけーレイコちゃん あのブラック・スネーク達をフルボッコにしてきて」


「だよだよ~!(一同)」


 アシスタント機能にこんなやつなかったっけ?

 妹がよくソース弄って遊んでいたみたいだが、この機能パーカーチェンジで言うより恥ずかしくなる……かな。


「……愛理さんフルボッコってどういう……てあれ凄い速度であのレイコちゃん号走って行きますよ!」

「まあ見てなって。多分すぐ終わらせてくれると思うよ」

「へ?」


 呆然とするスーちゃんを余所に、レイコちゃん号達はというと、尋常ではないハイスピードで加速していき、3匹それぞれ、違う穴へと侵入。

 しばらくしない間に、空洞の中からなにやら長い反響音が木霊してきた。ドンドンと地響きでも起きているかのような反りのある大きな音。何が起きているんだ中で。


「……あの穴からなにか聞こえてきますよ! しかも戦っているような」

「驚くのはまだまだ早いんじゃあないかスーちゃん。さてそろそろかな?」


 ドドドーン!


「……一番上から巨大な土煙が! ……となにやら飛び跳ねて。あれはぶ、ブラック・スネーク⁉」

「うんじゃ……スーちゃん仕留めに行ってくるよ とう!」


 アサルトに姿を変えて迅速力でダッシュ。……所々見える大きな岩を踏み台にし一蹴、一蹴と距離を詰めていく。距離が狭まったところで1度動きを止め「見えた!」と敵の位置を煙の中から捉えると、愛用の銃を構えスコープに目を当てる。照準を定め、引き金を引いて射撃。


「食らえ、ラビット・ショット!」


 撃った弾は速度を落とさず勢いよく、ブラック・スネークの飛び上がった位置まで一直線、軌道を変えずに進路をいく。


「ぎゃああああああああああああ‼」


 弾が敵に貫通すると銃を地面に刺し、再び今度は大きく一蹴りして宙に昇った。


「食らえ!」


 大きく左右の両手を振るって、攻撃し、さらに遠くへと突き飛ばし追いかけるようにダッシュ。滑空はできないので速度を落とさずに拳を入れる。得意の連続パンチを数百発空中で浴びさせ、最後の拳をひとついれたあと。


「ラビット・ライフルかもん!」


 高速回転するようにこちらの方に向かってくるラビット・ライフルを透かさずキャッチ……そして再び構え。


「出力全開、おりゃぁぁぁあ! これでおわりだあぁラビットォショォォォォォット!」


ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオン!


 ドップラー効果と共に、巨大な銃声音が空中並びに森中に響き渡たるのであった。


☾ ☾ ☾


「ただま~」

「うん? あぁ2人とも帰ったのね、……ってめっちゃボロボロじゃないの」

「……そ、その少し敵に手こずってしまって」


 家に帰ると、真っ先ミヤリーが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしながら迎えてくれる。

……つい調子に乗りすぎた私はあの連続攻撃で、だいぶ魔力を消費してしまったらしい。


「あ、ああああああああ愛理さああああああああん⁉ どうしたんですかその体土まみれで……と、とりあえずお湯は沸かしておくのでゆっくり入ってくださいね」

「あ、ありがとう。というかシホさん、その母親が部活から帰った息子に言いかけるようなセリフを言って……んまあいいけどさ」


 扉の開く音をどこからか感知したのか、姿をみせたシホさんが騒々しい足音を立てながらこちらへ近づく。まるで運動部が家に帰り、最初にその母親が部活でボロボロになった息子を見て言うセリフ「いいから汚れを風呂でながしてきなさい」みたいなそんな目つきをしておられる。

 相当心配したんだなとしみじみ感じる私。あ、あのそんな神経質にならなくても。


「どういうことか、わかりませんけど……っ無事でなによりです」

「一体私の知らないところで何を…………というより今回の話、私あまり絡んでなくない?」

「……ミヤリーさんそれに関しては口を紡いだほうがよろしいかと」

「? そ、そう、ごめん。2人で料理でも作っているから洗ってきてよね」

「あいよ。……ああと2人にこれ」


 シホさんに白いポリ袋を手渡す。帰り際にもう一度、コンビニで2人にお土産に買っておいた。

 スナック系があったからそれ系のものをふんだんと。


「どうしたんですかこれ? 見たことない袋……なにやら美味しそうな臭いが……あ、甘いにおい?」

「ほんとね、どうしたのよこれ……まさか2人で見知らぬ場所に? ずるいわよそれならそうと私にもいいなさい!」

「うん、状況的に無理だったサーセン。だからこれで我慢してくれ。その代わり今度連れて行ってやるからさ」

「ありがとうございます、今度みなさんと行ける機会がありましたら行きましょうね」

「おkおk……んじゃスーちゃん行こう」


 とそれを手渡して浴場へと向かう私とスーちゃん。

 加減をしくじった私は、その日の反省を心にとどめると疲れを入浴で洗い流すのであった。


「……そういえば愛理さん、あの技なんて名前です? せっかくですから決めてくれませんか」

「スーちゃんはゲームのモンスターにニックネーム付けたい派なの? ……うーんそうだなあ」


 ネーミングセンスがあれだしなぁ。

 唐突にあの技の名前がなんだと言われる。……知るか気か付いたら行動に移っていたんだよ。

 でも他の誰でもない、かわいいスーちゃんの願い事だ……なにか丁度良い名前は。


「……………………あ、そうだ」

「なにか思いつきましたか?」


 安直な名前だがシンプルながらの名前が、頭から振ってきた。

 組み合わせる……合わせる。よしこれだ。

 少々照れくさそうに隣に居座るスーちゃんからそっぽを向いて。


「ラビット・コンビネーション」


 あぁだめだこりゃ。

 彼女めっちゃ「は」みたいな顔しているし、地雷踏んだかこれ。

 私のイメージこれで型落ちですねわかります。

 と思った頃が私にもありました。


「……おぉ。シンプルながらも素晴らしい名前だと思いますよ愛理さん……ラビット・コンビネーション良い響きですb」

「そ、そう? ありがとう」


 思いのほか大いに評価してくれた。

 サムズアップしてくれているし彼女の本音ということにしておこう。

 満足がいくと私はお湯の中に潜り水中で数を数え1日の疲労を取るのであった。

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