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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第10章 うさぎさん達の頂上決戦
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166話 うさぎさんのDQNな1日 その3

【異世界にコンビニってありですか? 私的にはわんちゃんあっても良い気がする(小並感)】


 コンビニ? のドアを潜ると白々とした空間が広がっていた。

 まんまコンビニじゃんといった次第。

 入り口の扉も現代的な自動ドア、塗装で誤魔化しているとかテクスチャを無理矢理貼っているのではなく、正真正銘頑丈なガラス張りの自動ドアである。


(まじで異世界にコンビニでちゃうわけここで?)


 一目散にスーちゃんが陳列台を物色し始める。

 商品はというと、この世界にあるものをナイロン袋で詰めた物。さすがにあまりにも世界観をぶち壊しはよくないぞという店員側の配慮か。


「……色んな物が置いてありますね……リーベルではなかなか手に入らない物も中にはあります。……これなんか大大陸のバザーでしか買えない貴重な一品じゃないですか」

「そ、そうなのこれ? 茶色い食べ物……いや待てこれって」


 スーちゃんの持っている物それはずばり……コーン状の茶色いお菓子がたくさん詰められた物だった。

 片手にはそのキノコバージョン。

……口に出さなくとも分かってしまった。いや分かりたくもない……それは長年論争が執り行われている品物であり私でも馴染み深い物。

 なんでこの場所にあるのさ。


 周りを見渡しても人は誰もおらず客は私とスーちゃんの貸し切り状態であった。

 おっとホットショーケースもあるじゃん。……えぇと異世界ナゲット レギュラー 銅貨2枚、異世界ナゲット ペッパー嗜好君味、多岐に渡るぞこれ。

 他にもフライドポテトやら色々と、たくさんあるなぁ。


「なんでもあるな、そうだそうだスーちゃんお腹空いているんだったね何にする?」

「……すみませんどれも気になる物たくさんありすぎて困っていました……そのあの光っている魔導具の中にある食べ物って大丈夫なんですか?」

「あーそれはホットショーケースって言うんだよ。……うん大丈夫単に温めているだけだから毒とかないから安心して」


 一時期、鶏肉に問題が出てニュースやテレビで大騒動になったことがあるが、まあ大丈夫だろう。

 店員は……なんだあの二足歩行のロボット。画面型の顔をしているけど……うんなんか私達を見てにこりとした顔してきたぞ?


「ドウゾドウゾ、オイシイ商品、揃ッテマスヨ。オススメハコノ異世界ナゲットデス!」

「うん、確かに美味しそうだけど……あなた誰ドス?」


 レジまで近づいてふざけた感じで聞いてみる。

 でもなんとなくだが、誰がこういうのを作ったのかは察しがつく。犯人は狂政、あるいはサーセン博士……いずれかのひとり(多分)


「私ハサーセン博士に作ラレタ販売用ロボット……ストアデス。ストアトイッテモ同種ガ沢山イマスヨ。ザット400種類程度デショウカ……プログラムノ内部データデハソノヨウナ情報ガアリマシテ」

「「いや多過ぎ‼ 何作ってんだあの人⁉ これも研究の一環だとか言うのなら違法建築にもほどがあるだろ‼」」

「……よくわかりませんけど、ちゃんとギルドの人にこの情報は回っているのでしょうか? 無断で作っているとなるとさすがにお腹が空いているとはいえ危ぶみたくなるのですが」


 うむ、ちゃんと許可を取るというのは大事なこと。

 どれぐらいの土地・領土を使うとか、どのような方針で建てるなどと用途は様々だが、妹じゃあるまいしちゃんと許可ぐらいは……なぁ。


「イエイエ安心シテクダサイ! コノコンビニハデスネ、サーセン博士ト狂政サンが共同デ冒険者ノ皆様ニト作リアゲタオミセナノデス! 一々月前ニ各大陸ノギルドニ申請ハ出サレテオリマス」

「なるへそ。既に許可済みというわけか。私が色々苦労している間にそんな物を……言えってんだこんくそ」

「……愛理さん狂政さんやサーセン博士は悪気があって愛理さんに言わなかったわけではないと思いますよ。でも初耳ですどうして今まで気づかなかったのでしょう」

「マアアレデスヨ。ソコハ大人ノ事情トイウコトデ。ソレデドウシマス? 何カイマス?」

「因みにここでパクってあなたを破壊したらどうなるの?」

「ココデ私ヲ破壊スルト、私ハ無限増殖シマスヨ!」


 いやバグの塊か! どんな原理で増えているか知らないけど防犯は完璧ということか。

……ということで大方把握。

 それじゃええと。


ピピ。


 すると誰かから着信がくる。……えぇとサーセン博士かこれ。

 パーカーから着信が来ていたので私はその着信に出て。


「はーいしもしも~」

『おっと愛理君ではないか……ふーはっははは! ちょうど君が私と狂政の共同作であるコンビニに来てくれたのでチュートリアルも兼ねて説明をしようとかけてみたのだが……どうだ?』

「いや、なんかおたくのストア君が大方説明してくれましたよ。というかなんで400体も……」


 なんで場所が特定できたんだとここも色々と突っ込みたい部分はあるけれども、念を押すように聞いてきてくれている気がする。


『まあ色々とな、少し商人涙目かもしれないが、気軽に使ってくれてかまわないぞ』

「ちょっとあんた商人に謝りなさいよ! ……ままあ博士がそういうんだったら……それで他にも色々狂政と作っているわけ?」

『まあな、近々ワープ装置も作ろうとしているぞ。私が君の場にいたらお披露目といきたいところだが!』


 相変わらず目立ちたがり屋だなこの人は。

 それでも憎めない人というか、頼りがいがあるなどとよく分からない人物像である。

 ワープ装置ねえ。つーか作れんの? ……ブレイブ・タウンの人ってやはり技術力はそれなりあるのか。


『そんなこんなで自由に使ってくれ。各地に構えているから遠慮なしに買って良いぞ。因みにそこを経営しているのはストア君35号君だ』

「丸暗記とか無理なんですけど……んまあ美味しそうなものばかりだし使わせてもらおうかな」

『ではな、また何かあったら遠慮なしに電話をくれ……サラダバー!』


ピッ……。


 急いでいたのかなあの人。

 所々テンパっている雰囲気だったし。

 ふむ、じゃあどうしたことか……何があるかな。


「愛理さん愛理さん」


 スーちゃんが私の袖を引っ張ってくる。

 ホットショーケースの方を指さして指名してきた。


「……あの異世界ナゲットレギュラーを」

「おっけーんじゃ私もそれにしよっと……じゃあストア君、それ2つとあとこのおにぎり2つをくれ」

「マイド、アリガトウゴザイマス(ニコリ)」


☾ ☾ ☾


 コンビニをあとにした私とスーちゃんはご飯を食べながら歩いていた。

 異世界にコンビニなしとか……そういうツッコミはいいからさ……ここの商品結構いけるぞ。

 元いた世界と変わらない味というのがまた格別。よし今度あと2人にも教えよう。


「……それで愛理さんお腹も膨れたことですし、行動再開しますか?」

「う、うん。ちょっと一緒にモンスター倒したいなんて」


 これといって何も考えていないのだが、ここまで来たからには何かしらひとつやらなくてはならないと思った私は、スーちゃんにモンスターを倒しに行きたいと口に出した。

 すると。


「……はい」

「おっと…………ってこれは?」


 スーちゃんは人が跨げるぐらいの箒を渡してきた。……これを使えと?

 にこりと笑いながら、やれやれな顔を浮かべながらも彼女は言う。


「……仕方ないですねぇ。そういえば愛理さんには色々と借りもありますし付き合ってくれたら強力な魔法の1つや2つ……教えてあげてもかまいませんよ」

「ま? 私箒とか乗れないんだけど大丈夫?」

「……大丈夫です、ミヤリーさんほどお馬鹿さんではないと思うので私が教えればすぐ覚えられますよ……多分」

「今一瞬なんで躊躇ったのスーちゃん? ね、ねぇ? ……というかさらっと私をディスったよね? ……んまあいいや」

「……冗談ですよ、冗談ですから乗り方教えますよ。話はそれからです」


 少女に馬鹿にされつつも、私は彼女に箒の乗り方を教わる。

 1回乗ってみたかったんだよ魔法の箒。これで縦横無尽に空を回って……ふふふ。

 胸を震わせながらスーちゃんと時間を潰しモンスター狩りに向かう私であった。

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