15話 うさぎさんと難攻不落なバグだらけダンジョン その3
今回は罠要素結構多めです。
中には人によっておかしく感じる物もあるかも。
【たまにはゲームの裏側で頑張っているプログラマーのことも考えた方がいいんじゃね?】
険しい山の探索は続く。
歩みを進ませる度に、戸惑う一方。
体は正直に訴えるようにして
歩幅が狭くなり悲鳴を上げる。
もはや仕掛けを道中ウンザリ
するほど見てきた。
上下が反対になる部屋
回転床を踏み進む部屋
など指折りでは数え
きれない数だ。
正直回転床は極めて
しんどかった。
ゲームでやったことはあるが
実際直々にすることになるだなんて
踏む度に酔う。
もうああいうの勘弁な。
「あの大丈夫です? 精気失った
人みたいな顔になっていますけど」
「へーき、……こ、こういうの
慣れてるから」
死んだ顔で答えているが
本心を言うとこれは拷問の
ようにも感じる。
『愛理くん、ときに逃げるのは
悪くないと思うぞ』
「作った本人が何言ってんのさ」
協力も兼ねて前を進んでいると。
「あれは」
物体らしき物を足で捉える。
「……石ころですね」
【返事がない、変哲のない石ころのようだ】
マンガじゃああるまいし喋る
わけないでしょ。
「暗くてわかりづらかったわ……と
こけそうになったじゃん」
おどかすなよ心臓に悪いわ!
「はぁだる。過労死できるなら
すぐにでもしたいくらいやわ」
「え、演技でもないことやめて
ください」
慌て両手を動かすシホさん。
心配するように身も微かに
震わせているが
そこまで気を揉むぅ?
疲弊がまた溜まってきたせいか
変なことを言い出す私。
「罠に引っかかるところ
もありましたけど頑張りましょう」
「うん、導き手のようなこと
さらっと言ってるけど、それが
フラグでないことを心に留めておくよ」
「それってどういう……。さあ探索を
続けますよ!」
あ、そこ流すんですね。
後ろからついてくるシホさんを、
時々、振り返りながら様子見して前進。
「おにぎりいる?」
「はい、ありがとうございます
倒れないうちにもらって
食べますね」
『食欲旺盛だな』
狂政が作った莫大な量の、
仕掛けに注意しながら原因を突き
止めるため探索中。
900という尋常ではない
数の修羅場をくぐり。
『愛理君それで聞いているのかね?』
「あぁ聞いているよ。で次どっち?」
『そこを右だな。また傾斜面
になっているから注意が必要だ』
でも狂政のサポートもあって、
スムーズにダンジョンを進む
ことができた。
不注意な面々もあった。
そこに関しては私からは一言も言及
しないことにして指示通り進んだ。
すると向こうから気配が。
「なんか」
「いますね」
気になる一角。
小さな岩陰から何やら動いたので、
お互いに目を合わせ相槌を打った。
そこからは
3匹の魔物が出現。
「…………」
鉄でできた体。
それをバネで繋ぎとめた風体
をしている。
投げる系のやつか?
それとも爆発する
自爆マン的なやつなのかこいつは。
(あの地面にうつ伏せすんの
イヤなんだけど……やるのアレ?)
図鑑が反応。
AIさんが起動すると
開いて説明が開始される。
【爆弾兵 説明:爆弾を模したロボット。
担いでいる爆弾をひたすら投げ
相手を殲滅する。近年村や町に多大な
被害がおよび荒らされた】
名前が露骨すぎて
どこからつっこめばいいのやら。
するとその3人組は。
体にあるハッチらしき
場所から、何かを吐き出すと
みるみるうちに大きくなっていく。
体くらいになると
それがなにか、私は理解した。
「ばばば爆弾? 明らかに」
「投げてきそうな感じですね」
「呑気に言葉繋げなくていいから‼︎」
明らかに爆弾。
こっちに『爆破オチなんて
サイテー!』
と言わせる気か?
『まずいぞ、そいつは
私が楽しいアトラクションを作ろう
とした時に開発したモンスターだ。
連発で投げてくるから要注意だぞ!』
んなモン作んな!
「「このどこが、アトラクション用
だよ! 明らかに殺戮兵器だろこれ」」
『それはノリだ!』
「堂々と高々宣言されてもなぁ……って
どんどん膨らんできたぞ!」
口論している間にまた大きくなって
いた。
そんなにやばいモンスターなのか。
「着火したなにかを持っ
ていますけど、取りあえず応戦します!」
「ちょっシホさん!」
怖いもの知らずのシホさんは
手に剣と盾を持ちながら
戦おうと試みる。
よくみたら
妙に武者震いしている。
本当は怖がっているなこれは。
私のためにそこまでしてくれる
いい味方を持ったな私。
あいや関心している場合か。
彼女はピクピクしながらも、
手に持つ武器を離そうとしない。
「わ、わ私だってできるはず……」
両手で剣を構え、
盾の取っ手を二の腕ではめる
ち万全な体勢をとった。
見た目はかっこいいんだけどな。
空気を読んでここは倒れない
ことを願わんばかりだが。
爆弾兵は背中に持った
大きな爆弾を私達目がけて
飛ばしてくる。
「させません!」
シホさんはその爆弾を
バットでソフトボールを跳ね
返すように斬り裂く!
ズドーン!
シホさんの剣に触れた爆弾は
瞬く間に爆発。
なんでだよ。
ただでは済まないような
爆音だったけど……無事かこれ。
あたりを見回し。
「ゲホゲホッし、シホさん?」
渦巻く黒煙の中。
勢いよく立ち込める場所に
人影すら見えもしない。
重症とかなってないよね。
ゴホゴホと、目を瞬かせ彼女を探す。
左右、上下
だめだ、煙が深すぎてわからない。
衝撃とはいえ、さすがこの
最強うさぎ装備。
これくらいの凄い衝撃にも動じず
かすりもしない。
なんというバケモノ耐久。
明らかに距離がシホさんとそこまで
変わらなかったはずなのに
耐えちゃったの?
近距離というより至近距離
だったぞ。
じゃなくて。
私はいいんだ私は。
着ているパーカーが、優れた耐
性を持っているから、それは
いいとしよう。
問題はシホさんのほう。
常人だと大怪我になりかねない
爆発だったが。
ひたむきに声がけをする。
「シホさん……! シホさん!
シ…………ホさん? え」
時間につれて
黒い煙がやがて薄れていく。
一面が鮮明に映っていくと
目の前にシホさんの姿が。
け、怪我は。
ってあれ。
「シ、シホさん?」
「あれ? なんともない」
大事はなかった。
それどころか目立ちづらい
煤けが多少できる程度。
ほぼ目立たないなこれ。
自分の手元を見ながら
驚く様子をさせる。
当の本人は状況をうまく
飲み込めていないが。
(……ほぼ無傷で草)
あなたの想像の百倍くらい
驚いているのはこっちだよ。
その目は己の強さを疑う
ような反応であった。
瞳孔を見開いて首を
軽く回す。
ちゃんと爆発したはず。
爆発した。
はずなのにだ。
彼女の体は無傷、
意識もしっかりしている。
そういえば出発前に、
狂政に強化してもらって
いたよな。
あれが影響して
耐性が格段に上がったとか?
『なるほど、彼女は元々ステータス
に恵まれた強さの持ち主
だったらしい』
『シホ君恐ろしいよ君は』
「褒めてるの、嫉妬してんの?」
やや鈍い口調で
感想を述べた。
恐怖を覚えたのか
低い声で話す彼は心底
彼女を気にかけている様子。
「よく知りませんけど、やっ!」
一拍おいたのち、シホさんは振る。
爆弾兵は後ろへ崩れる
ようにして倒れる。
体をまっ2つに切断されると
数匹匹丸ごとあっさりと
倒される。
「す、涼しい顔でよくそうして
振れるね」
「え、攻撃込めてませんけど?」
「……うん逆にそれがコワイよ」
体は自然と悪寒に押し潰され
震え出す。
彼女はこちらを振り向いて。
「あの、倒しちゃいましたけど」
「だーかーら自然にそうやって
物言うのやめて」
「はへ?」
薄目で彼女を見ると、
こちらに対して実感すら持てて
いない様子だった。
ウェブ小説に出てくる
チート主人公が、自分の驚く能力を
初めて使ったときのような
感想をいわれても反応に困る。
本当に困るのはこっちだよ‼︎
「とりあえず先に進もう」
「あはい。その顔色大丈夫ですか
調子悪そうな……」
「あーあー聞こえない聞こえない
きっと歩きすぎて疲れたんだよ」
うまくはぐらかすことが
できたかは
今はもうどうでもよくなっていた。
☾ ☾ ☾
【ダンジョンには数え切れない罠あるけどこりゃねーわ】
先へ進み引き続き調査。
いまだに問題となっている
箇所は見つけられず進展なし。
「変わりなしか」
「そんなうかつに前出てたら
また危ないですよ」
「また理不尽な罠でも
引っかかったらどうするんですか」
どうもクソもないと思うが。
「んな立て続けに……って
もう起きているか」
「まったく、はぐれないでくださいね
……私が倒れたらどうするんですか」
\ドスン!/
「「いやそっちかよッ!」」
てっきりこちらを懸念して
いるのかと。
執拗に眉間にシワ寄せしていたから
気になったんじゃんか!
「ふ、ふえ」
と。
あ、嫌な予感。
ほんの数秒注意喚起してきた
にもかかわらず
当たり前のようにそれは
訪れた。
「どうしたの? シホさん急に立ち止まって」
腹部をすすって腹の音を鳴らす。
苦い顔をすると彼女のほうへと
視線を向ける。
「すみません、だいぶ体力使ってしまったみたいです」
「あ、あのシホさん? 数分前言ったこと覚えてる?」
はい平常運転ですね。
時刻を確認したら、入ってから3時間経っていた。
『なんの前触れもないな彼女は』
「感想に浸っているばあぁぁいかッッ!!」
期待を裏切らないごとく
彼女は雪崩れるように倒れる。
ドスン!
(あのさぁ、空気読むってこと考えてくれねぇ!?)
「ぐふっ。腹ぺこ生活って大変ですね!」
自分で認めちゃってどうすんの。
いや笑顔でごまかしてるけれど!
「そんな生活誰も望んでないよ、要介護
適正人物とかそんな考え毛頭ないからね!」
真逆なこと言ってしまったが。
やっちまった。
そう空腹の時間を迎えたのだ。
直ぐさま私は彼女を起こし
介護にうつる。
はい、結局こうなります。
懐から食料を手渡す。
「シホさん、美味しいサンドイッチだよ。
これで元気になって頼むよ」
「そ、それはありがたいです!
さあください愛理さん」
手から差し出したのは大きな
サンドイッチ。
ハンバーガーぐらいの高さは
ありそうな重量。
巨大なその食べ物を彼女は。
さすがにもう、手は噛んでこない。
……こなかったと過去形に修正しておく。
あげたサンドイッチを一気に頬張り。
少々咀嚼する時間をとりだした。
「もぐもぐ」
もぐもぐタイム。
真横で見ているが、見た目に反して
1口が大きすぎだ。
(食いっぷりがやっぱ常人の域を
脱してる……じゃん?)
もう人差し指と親指で摘まめる
大きさへと変わり。
そして考えている間に
食事を終える。
「ありがとうございます。これでまた動けますね
それでは行きましょう」
私はもう胸を撫で下ろす余裕すら
ないかもしれない……あはは。
彼女は率先して前に進んだ。
妙に足が重いのは気のせいか?
……。
『いつもこんな感じなのか愛理君?』
「これが平常運転なんだけど」
困る質問を投げかけるなッ!
『腹ぺこ美少女シホ……侮れない
キャラだな』
「狂政さん、狙って倒れている
わけじゃありませんからね」
『シュワッと! つい本音が漏れて
しまった』
「この馬鹿」
『ば、ばか言うな!』
『観察力に長けているやつだ
と評価してくれ』
☾ ☾ ☾
ダンジョン内、谷間のエリアでは。
変哲もない空虚の道。
薄暗い奇妙な場所が
足を重くさせる。
下から聞こえてくる、低音による反響音に
不安が隠せない。
ある物に目が留まる。
「あれ、なんなの?」
キイイイイイイイイイイイイン。
左右を巡回して動く大きな刃。
高速で回転しながらその嫌な音は
私を刺激させてくる。
やがて辺りを見回すと餌食にされていた。
生かして帰す気ゼロに見えるんですがそれはっ!
「ぶあっこっ殺す気か!」
「あの、大丈夫です? 腰抜かしちゃっ
てますけど、とても」
「いやびびってねーし! 怖くて動けない
とかそんな」
『正直になることは決して悪いことではない』
『……たぶん』
たぶんってなんだ、たぶんって!
私達を挟むように、壁際から巨大なチェーンソー
カットソーが現れ。
こちらに向けて、前方後方共に私達へと間合いを
詰める、詰める。
それは正しく殺戮マシーン。
このパーカーで耐えることって
可能かな。
つーかやばいだろあれ。
絶対当たったら怪我ではすまないって!
「ひいいいいいい! 愛理さん助けてください!」
怯えて私の後ろにすがり、ピクピクと震える
シホさん。
私にも同じこと言わせる気か⁉︎
体全身を振動させる様子は、まるで携帯のバイブレーション
みたいな感じだった。
マナーモードシホさん
どこかで聞いた響きだが、しかるべきこと
のようにしておこう。はい閉廷。
「あ、あの……暗さも相まって怖いの
ですが……」
涙目になって目瞑った!
「大丈夫だって当たらなければ、
どうということはないから!」
「み、見捨てないでくださいよぉ」
いてて。
だから力強く握らないで。私プロレス
しているわけじゃないからさ!
でも見た目に反して
意外と彼女は怖がりなのかもしれない。
避け続けて前に進んでいき。
数秒。
『ちなみにそれは埋蔵金を入手した際に
しかけたドッキリの罠だ。当たったら
即死だぞ』
さっき……数行前に言え‼︎
いやオッセーよ。
そんな"上から来るぞ気をつけろ!
みたいなこと言われても。
して立ち直ったお方が約1名。
「私が……」
再起動はっや!
「いつまでも怯えているわけ
にはいきません!l
「私は正々堂々と戦士として戦います!」
何も知らないシホさんは
それに無謀にも立ち向かい。
「ハイガード!」
猛スピードで前方側の
カットソーへと駆けていく。
盾の防御技? を駆使して疾走。
そして今にも、切られそうな距離で一旦足を止め。
「「いや正気かいあんた輪切りの刑
にされてレーティング上がっちゃうよ
この作品‼︎」」
口を開く。
「蹴散らし」
「蹴散らす以前にそれ当たったら
死ぬからね!」
無謀にも戦おうとするシホさんに対して
私は。
詰め寄り彼女の手を握りしめた。
しかしシホさんは一刺し
指を天井に差しながら。
「大丈夫ですよ愛理さん。こういうのは
"作者の意向でギリギリ当たる
ことはなく回避できた"
そのようにしてもらえば私は死な
ないと思いますよ!」
どこでそんな構文覚えたんだよ
よくあるご都合主義だとかの
あれだろ。
……物理法則って言葉わかるかな。
「シホさん、メタ発言は控えようね!」
『大人の事情という最強のスキルもあるぞ。
大声で言ってみたらどうだ? もしか
したら綺麗さっぱりデリートしてくれる
かもしれないぞ!』
んなこと起きるわけねえだろ!
「うわ、ちょちょちょ回るるるるるるる……」
回避して上に乗ると回転する刃の上で
走る。
意外と怪我はせず、速度についていけた。
「このぉ!」
ドゴーン‼︎
飽きてきたんで拳を入れると
破片となって飛び散った。
この装備に常識というものは通用
しないのか。
『こ、壊しただとぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎ これ
硬度10以上はあるのに‼︎』
回避、回避。
「えぇと……えい」
バコーン!
便乗するようにシホさんは
軽く大剣を一振り。
刃は木っ端微塵になる。
「いや、アンタもできるのかい‼︎」
「なにかとできちゃったみたいです」
「あの余計かもしれないけれど、誤解
するような言い回しやめて!」
言いすぎかそれは。
引き裂かれる恐怖に怯えつつも、
最終的にヤケクソ破壊で突破。
なんとか階段付近までたどり着き
死は免れた。
おぉ怖い怖い。
心臓に悪すぎるだろこれ。
「だ、大丈夫です? すごく息が荒いような」
「き、気のせいだよ、こういうのは
気にしたら負け……っていうか」
「む、無理は禁物ですからね」
「わかりました愛理さんが
落ち着いた具合に進みましょうかね」
なぜこういうときに限って気前がいいんだよ。
まあ、一旦休憩するのも悪くない
気がする。
休んでいる私に対し、視線を合わせしゃがんでくるシホさんに優しさを感じた。
☾ ☾ ☾
坂道にて。
「なんだここ、一見何もないよう
に見えるけど」
十字の道を進んでいると
脇に坂道はあった。
魔物の気配はなく
「大丈夫だろう、ブッソウなもん
なさそうだし」
「逆に気配しないのが怖く
ないですか?」
細かいことはいいだろ。
そう思い込んで走り出すと。
「へっ?」
「急に空いて……愛理さぁんっ‼︎」
急に穴が開く。
やば、落ちる‼︎
急落下! 迂闊だったああああああああああああああ! なんでこんなところにあるんだよ⁉
「愛理さん!」
続くように空いた穴から
飛び降りてくる。
「なんでびんじょるのぉお⁉︎」
いや飛び込まなくていいから
待っていて。
ドンッ!
落下で、少々の痛みがはしるものの
気になるような、負傷ではなかった。
「たたっ‼︎」
でも当然痛みはした。軽傷ぐらいだな
こりゃ。
「あれ、あまり痛くねぇな。
……パーカーのおかげか」
「いたたた。迂闊でした、まさか落
とし穴があるなんて」
勢いよく飛び込んでせいか
軽くお尻のほうを摩っていた。
超がつくほど痛そうに
見えるが。
「それはよかったね……
とシホさん、ひとついいかな?」
「明らかにさっき高いところから
落ちた気がするけど10メートル
とかそのあたり?」
高低差だいぶあったぞ。
普通の人間が飛び込んだら
即死しそうなぐらいは。
だが、血のひとつ
すら付いていない。……なんで。
「私はこの服の
お陰でへーきだけどさ
シホさん大丈夫なの?」
私は、パーカーのおかげで
ダメージが減らせている。
でもあなたはべつでしょ?
どこかの俺TUEEE系じゃあ
あるまいし。
普通の人だし、あの高さならケガ
するでしょ。
だが涼しい顔で。
「え、あれくらい余裕ですよ?」
「山岳から下まで一気にジャンプ
しておりられるくらいですから」
ちょちょちょ狂ってるって‼︎
山岳から下まで飛べる⁉︎ あんた
マジめに答えてくれないですかねっ‼︎
「しょーきそれ⁉︎ マジで言ってんの」
「は、はいマジですよ」
「「道路交通法って知ってる⁉︎
サツとかいたら即お縄だからね‼︎
……というかこの世界のインフラ
もっとなんとかしろやっ‼︎ 無法地帯
にもほどがあるだろっ」」
「……ドウロコウツウホウ? サツ
……インフラ。す、すみません
それは新しい技か武器の名前
でしょうか‼︎ はわわ……」
また目を白黒させて回した。
もう容量オーバーかよっ!
「いやさっきの忘れて……」
「……は、はい忘れます」
切り替えもやはり早い。
「その……マンガの主人公みたいな
答えはさておき、無事ならいいや」
ツッコミどころ多すぎて
呆れているのが本音だが!
落ちた場所は
先ほどいたフロアへと逆戻り
した位置だった。
というか狂政さっきから
無言だけど。もしかして落ちた?
「またなの? はあ」
『ループには気をつけろよ
あわや抜け出せなくなるかも
しれんからな』
「聞いてたのかよ、さっきから
無言だったから、落ちた
かと思った」
『すまん聞き入っていた』
「し、心臓に悪いから
それやめてくんね?」
呆れながらも再び登り、先ほど
着いた傾斜面のフロアへと
たどり着くと。
……穴が塞がっていた。
「くそがぁぁあああっ‼︎」
「あ、愛理さん⁉︎ 顔この世の終わり
みたいになっちゃってますよ、アン
デッドみたいに顔が弛んできてます
よッッッ⁉︎」
マジで、リセット系の
クソトラップだったのか?
どこかで見たことあるぞこれ。
『あぁそれは、ランダラキアへの洞窟
を参考にした鬼畜トラップだ。
……ラスダンの風格には
丁度よいだろ?』
よくねえよ。
あれ大人でも難しいって
言われているやつじゃん‼︎
「来る人いなくなるだろこれ!」
「なんでさっきの穴塞がっ
ているんですかね」
「あれだよ、見えない床的
なやつだよ」
私は一体何を言っているんだろう。
他に説得力のある言い訳
あっただろ愛理!
もっとこうあるだろう!
的なアレ。
だが理解した様子で
手の平にぽんと拳を叩くと。
「ま、まさか幻覚を見せられて
いたとは。侮れませんね
このダンジョン」
そこは怪しいから
疑うところなのではシホさん?
こくりこくりと頷く様子で
理解する様子をみせるが。
「そ、そだね注意して進もうか」
☾ ☾ ☾
上下がめちゃくちゃになったフロアでは。
「なんか酔いそう」
視点が逆さになっているので
とても見づらい。
私の三半規管がおかしくなる
前に早々脱出したいが。
行けるのこれ?
でも重力に逆らっているのか。
酔いとかはないけれど、頭がどう
にかなりそうなぐらい居心地
が悪いんですがそれは。
「下がってるんですかこれ
それとも上ってるんですかこれ」
「ごめんシホさん、ここ出るまで
“上”と“下”を使った言葉
やめて、あたおかになる……
つーかこっちが聞きてえわ‼︎」
「アタオカって……」
下に上るという
矛盾した表現が、私を錯乱させてくる。
つまりあれだ、下方向に
進んでいる……
もう上か下なのか頭がバグレベル。
私が今歩いている床……
というか天井は、普通に地上と同じように
動けるんだけれども。
これは酔うだろ。
リバースしそうだ、つうか吐いたもの
この場合どうなるんだろう。
アレみたいな得体知れないもの
と相まって言葉では想像できない
現象が起こるかもだな。
「頭こんがらがってきました」
『進みづらいアスレチック
エリアだ。上下がバラツキ
ある仕様です、どうぞご了承
くださいになっているから
要注意だぞ』
「もっと加減しやがれ‼」
わけわかめなことを抜かして
早く出たいよこのダンジョン。
☾ ☾ ☾
「今度は巨大迷路かよ」
『ふむ、そこは油断しない方がいいぞ』
巨大な迷路エリア。
めんどくさい道をつき歩き
ようやく出口が見えてきた頃。
「これ何でしょうか?」
なにやら、シホさんが壁際に
1か所だけ出っ張りのあるレンガを発見。
……やばいやつじゃねそれって。
「ぽちっ」
「あっ」
私がシホさんに声をかけようとした
ころには。
「お、押しちゃった?」
「み、みたいです……」
「いや、焦らすような言い方
して同意求めるような顔
してもなにも出ないよ⁉︎」
マジでやっちまったな
という顔。
時既に遅し。
地面が震動し始め、
巨大な大岩が転がってきた。
「まずい逃げろ!」
またしても私はシホさんの手を
引っ張り来た道を戻る。
「あぶあぶあぶあぶ……」
しかし戻り道にも
大岩が転がってきた。
動きは鈍いがほどなく加速
していき間合いは狭くなる
ばかり。
「挟み撃ちってマジかよ」
「ま、また私なにかやっ
ちゃいましたー?」
のんきに言ってる場合かぁーッ‼︎
「今はいいからねそれ‼
取りあえず命令に“いのちをだいじに”
をつけておいて!」
「? よくわかりませんが、はい!
命がけで駆け抜けます!」
他の道を探そうと試みたが。
「ここも、ここも……」
「だぁ〰︎〰︎ッ、ダメじゃん」
「どこも逃げ場はないって
ことでしょうか」
どの道も大岩が転がり、
逃げ道はどこにも残されて
いなかった。
理不尽すぎだろ。
四方からくるのは
巨大な大岩ばかり。
……のっぺらなんか
なりたくねえよ。えぇとなにか
なにか考えないと!
「こんちくしょー!」
こうなったらと、乾坤一擲の賭けにでた。
ままよん!
ヤケになった私は掴んでいない
ほうの腕を使い。
その腕に力を込め、迫り来る
大岩に向かってパンチした。
ありったけの力を流し込む
ようにして。
「ラビットパンチ!」
バリバリバリバリバリバリッッ‼
「えうそ、あっさり砕けた?」
巨大な岩は木っ端みじんに砕け、
瓦礫となって崩れ落ちる。
うせやろ。パンチやっぱぱねえ。
そうして。迫り来る大岩を
「粉砕、粉砕、粉砕」
の破壊によるゴリ押しで
強行突破。
全ての大岩を壊し、ようやく
ゴールへとたどり着いた。
…………と思ったら。
「ようやく出られる。……へ?」
「……大きな濁流の流れる音
が聞こえてきますけど」
そう思っている時期が
私にもありました。
見回すと濁流が押し寄せていた。
豪快に自然災害の比ではない
大きさ。
次から次へと一体何なんだよ。
『二重罠だ。
大岩が全て破壊されたときに
作動するようしかけておいた物だな』
「いいだろ!! そんなクソ要素。
……というか勿体ぶらないで
全部教えろよ!」
『ゲームは自分で攻略方法を
見出すのがたしなみだろ?
愛理君こういうときはあれだろう?
『計ったな! 孔明ッ』と言うの
が筋ではないのか?』
スジかどうかは知らねえよ。
「……計ったな狂政ッ!
……って何言わせとんねん!
突拍子もなく飛んでくるから
心臓に悪ぃんだよ!」
「え、そうですか? 私はそれなりに
楽しめていますけど」
例外も中にはいる。
はいとんでも体力を持った最強戦士さんが!
でもおもんないぞこのクソゲー!(難易度的に)
幸い濁流は、迷路内だけ
流れる仕様になっていたおかげで。
「穴が見えた! ぬおおおおおおおお!」
「あ、愛理さんん⁉」
迷路の壁をよじ登り、塀の上へと浮上。
塀を足場代わりにして
歩きづらくはあるものの、綱渡りのように
してせっせと進む。
「壁使えばいいだろぉぉぉ
おおおおッッ‼︎」
『考えたなさすが愛理君だはっは!』
甲高い声が耳から
聞こえてくる。
笑うなうるせえよ。
濁流の道を辛うじて脱出し
事なきを得た。
☾ ☾ ☾
苦難を乗り越え、ようやく最上階へとやってきた。
修羅場の連続、裏ダンジョン並に長いその進路は私の脳裏を強く刺激し、気づけば体は疲弊しきっていた。もうやめてくれ愛理さんのHPはもう既に0だぜ?
「はあはあ散々な目にあった」
『愛理君大丈夫か? クイックセーブかオートセーブしたか? レポートは小まめに書くんだぞ!』
ゲームの基本中の基本だが。
そんな要素、この世界には微塵もありません多分。
「大丈夫なはずねえだろ! つうかねえだろそんなのガチのゲームほんへじゃないんだからさ! こんなの私以外の人がやっても大パンレベルだよ!」
ここまでくるのに他散々な目にあった。
生まれてこんなに動いたのいつ以来だろうか。
小学校のころシャトルランを走って以来だと思う。
……確かあの時先生にいっぱい走れたとか、褒められたこともあったけど。
他の私より、記録が上なヤツがいてそのときイラってしたもある。
『すまん私の調整ミスでこんなことに……報酬は倍にするから許してくれ』
それは嬉しい話だけど。
帰る時もあんな面倒くさい、トラップだらけの道を歩かないと行けないわけでしょ?
めんどくさ。
なんとかして簡約できないかな。
例えばテレポート地点があったりさ。
でもあともう少しだし、頑張ってみよう。
目の前には、何やら封印されていそうな厳重で鎖で縛り付けられた大扉。
なんだこの先、魔王か何かいるのか。
そういえば、この世界に魔王とか大魔王っているのかな、いるとすれば1度会って手合わせ願いたい。
ちょっとした腕試しとしてね。
でも"この世界の半分をやろう"とか言ってこないよね?
はいみんなのトラウマ。そんなことはさておき。
「厳重そうな扉ですね」
「これってどうやったら開くの?」
『愛理君、君なら分かるだろ、“あれ”を言うんだよ』
いや知らねえし。“あれ”ってなんだよ。
というかこのダンジョン。
色んなゲームや、作品の要素てんこ盛りにしたクソダンジョンだから。
情報処理が追いつかねえわ。
なに? まだそんな物があるというの?
とりあえずある言葉が脳裏に浮かんだのでそれを言ってみることにした。
そう誰でも知っている、古の言葉を。
「それってさ……“開けごま!”とか?」
ズズズッ。
「え」
その一言で扉が開き、道が解放される。
安直すぎじゃね。
浅知恵で思いついた適当な言葉だったが、まさかこれが合い言葉だったとは。
『どうせこの異世界にすむ人々はその言葉は知らんからな。……で私の世界に伝わるこの言葉にしたのだよ』
「まあでも開いたことですし、先に行きましょうか手がかりあるかもしれませんよ」
シホさんのその言葉に導かれるように最深部の部屋へと入る。
本当なんでもありだな。このダンジョン。
読んでくださりありがとうございました。
どんな罠を作ろうかと考えてみましたが、結構悩みました。あれでもこれなんか書いてて楽しいわとここの中で思いつつ3人の会話を上手く成立させつつダンジョンに潜らせたわけですが。
狂政の作ったこのダンジョン実は冒険者の間でまだ知れ渡っていないダンジョンでして、いつかその鬼畜さをこの世界に広める為このような難しさにした、そんな設定です。
彼ながらいつか名をはせ知名度のある有名なダンジョンにしたいのが本音ですはい。
さて次回はいよいよダンジョン大詰めです。長々と愛理達は初心者ながらも鬼畜ダンジョンに潜ったわけですが問題点は果たして一体なんなのか。そして愛理達は無事生還できるのか。まあ強いんでまず死ぬことはありませんけどね。
では次またお会いしましょうではでは。




