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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第9章 うさぎさん遙かな高みを目指せ
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160話 うさぎさん達、気晴らしにキャンプする その3

【山には危険なこといっぱいあるから油断するな】


 山。

 それは子供にとって楽しい場所である。

 私が通っていた小学校や中学でも何回か登ったことあるが、楽しいだけでは決してない。

 必ずどこいっても危険はつきもので、油断も隙もない。

 つーわけで本編へゴー。


「ラビット・パンチ」

「はあ!」


 拠点をあとにし少し先で木の伐採を行っていた。

 自然破壊になるんじゃあないかって? ……シホさんに聞いたところ直ぐさま生える木のためイロモミジを切ることは許容の範疇なんだとか。

 これなら焼き芋何個も焼けるねと思った私。あでもやる場合は山火事にも注意配らないとだな。


 林立とした木に向かってストロングのパンチをひとつ軽く入れると、木は崩れゆくドミノごとく転倒。

 大きな地響きと共に横たわり。


「ハンマーじゃあ粉々になりそうだな……よしここは」


 ハンマーだと切れ味が悪いと判断した私は、ストロングの違う武器を呼び出す。

 楔の付いた大きな刃。手の甲よりも明らかに大きい度量を誇る物体は軽いながらも迫力を感じさせる。

 名付けてラビット・アックス。

 これもサーセン博士にもらった拡張パッチに付いていた武器なんだけど、一言で言うのならなんでも綺麗に切っちゃうマン(テレショ風に言ってみる)


「ラビット・クラッシュ!」


 適当の斧を振り下ろす。

 そうすると、大木は一振りしただけで何束かの木材へと形を変える何故に。

 この技攻撃技だけでなく、どんなものでも切ろうとしただけで綺麗に切断できる。……軌道が曲がったとしても均等に木材になったりね。

 切る瞬間に念じるだけで任意の数に自動的に当分してくれるおまけ機能つき。優れ過ぎだろこれ。


「こっちは大方おわったよ……シホさんそっちはどう?」

「あぁ問題ないですよ今全部切り終わったので」

「ふーん今終わったところなんだ…………って なんじゃこりゃああああああ‼」


 うんうんと聞き流し、彼女の切ったと見られる木材に目をやった。

 そのあまりの尋常ではない数に私は思わず一喝。

 シホさんが切った木材は数十メートルはなるであろう大きさに積もりに積もっている。……周りには切り株がいくつも。

 いややり過ぎだって!


「どうしたんですが大きな口なんか開けて?」

「いや“どうした”じゃねえよ。なんだよこの数は」

「あ、あぁ……すみません調子にのってバサバサ切っていたらこんな数に。感覚的には10本くらいでしたがちょっとやりすぎましたかね」


 と後ろでにこにこしながら髪を撫でるシホさん。

 いやちょっとのレベル超過しているよこの人! あなたこんなに木材を……なんだどこかのゲームみたいにクラフターでも目指しているの?


「し、シホさんとりあえず下にあるだけでいいよ。後は私が再生して直しておくから」

「すみませんね愛理さん。私どうもこういうのに関して加減がイマイチ分からなくて。……昔お父さんにシカのモンスターを数匹狩るよう山に狩りに行ったことあるんですけど……大体100匹倒して持って帰ったら両親に呆られた顔でみられましたよはは」


 それもう数匹じゃねえだろ。

 お父さん昔っからシホさんて凄い力持ちだったんすね。

 うーん今度シホさんには加減っていうものを教えないとだね。


「い、いい? シホさん大体手で持てるぐらいでいいんだよこの量は。だからさっきみたいに大量に伐採しなくていいからね」

「あ、そういうことでしたか。長年の謎が解消できましたありがとうございます」


……理解するのはっや。というかいままでこれを少量と思っていた方が不思議なのだが。

 シホさんの伐採した残りの木は能力を使って元の木に戻す。

 そうして私達は2人の待つ拠点へと戻るのだった。


☾ ☾ ☾


 その道中。


「そういえば知ってます愛理さん、ここ熊が出るって話」

「うん、さっきちらっと登るときに看板みたけど……いるってマ?」


 出し抜けに熊の話題を切り出す。

 パーカーの能力である、思い出す機能は使ってみる。あれそういえばこれ使うの実質初めてなんじゃね。

 先ほどみた物のテキスト文が浮かんでくる。……記憶が掘り起こされるように次第に思い出してくる。


『⚠注意 バーサークベアーにはご注意を。命が惜しいなら慎重に戦うか逃げましょう』


 そうやったなバーサークベアー。

 名前からやばいなと思っていた記憶がある。バーサーク……バーサーカー狂戦士が由来かこれ。


「はい、冒険者とある一向が何人か首を刎ねられお亡くなりになったとか。あ、因みにその人は帰った後ちゃんと蘇生してもらったそうですよ」


 こわ。

 クマって繰り返しになるけど、噛む力が人間以上あるらしいからなぁ……このパーカーで戦える……いや倒せないとおかしいだろ。


「まあ出たら出たらでそのとき戦えばいいし……」


 迂闊に私が前を向かず歩いていると。


「愛理さん! 愛理さん! 前、前! なんか大きな物がいますよ!」

「へ?」


 ドスン!


「…………ぐるる!」


 彼女に注意された頃にはもう既に遅かった。

 なにかにぶつかり倒れる。いて。

 立ち上がり眼前にあるある黒い物体を確認し凝視。


(え、うそやん)


 それは物……ではなく、大きな体をした動物のモンスター。

 体毛が全体的に黒く、尖った黒い爪が特徴的。私達より数センチほど大きく図体もそれなりにある。

 あれ、これってフラグ回収っていうんじゃあないですかね⁉


 ドッキリ企画みたいに誰かが被っていた……とか。


「ぐごおおおおおおお‼‼」


 巨大なクマは大きな怒鳴り声を上げ、大いに爪を振ってくる。

 まあですよね。

 丁度真正面側だったのでもろに食らいそうになった私は、仰け反り回避した。

 引き下がってシホさんへと駆け寄り。


「あの、愛理さんこれって愛理さんがいつも言っているフラグカイシュウっていうものでは?」

「う、うるさい! なんだよこの唐突なDQNイベントは。……人が着ぐるみ着てはいないけどあたかも誰かが前もって仕掛けていたみたいじゃあないか」


 虫が良すぎるにもほどがあるというかなんというか。

 はい、案の定すげー強そうなクマさんとエンカ。


「愛理さんそんな母親の後ろで隠れる子供みたいにやらないでくださいよ。ほ、ほら私も一緒に戦ってあげますから」

「まじで。……それとこういうときにマックス・ヘルンがいたらいいなぁって」

「あ、マックス・ヘルンなら眠そうだったので今日は連れてきていないですすみません」


 いや呑気かーい! こういうときに限って不在とか……遠足でもそうでしょ事前に準備は済ませとけって……あ、言わなかった私が悪いか。自業自得やん。


 こいつがあの。


【バーサークベアー 解説:山に多く分布する気性が荒い凶暴なモンスター。図に乗って攻撃を諸に食らうとモザイクをかけないといけなくなるので注意が必要だぞ】


 やっぱかあああああああ‼

 モザイク注意って作品的にそれNGでしょうが、くそ見るからにこちらを憎ましいほどに睨み付けているぞ。息を荒くしてうなり声を上げ……げ、ぶつかっただけなのにマジギレしてんぞ。

 どう考えても帰路を進ませてくれない雰囲気だ。許すまじな感じで。


 シホさんは盾と剣を構えて攻撃の準備をする。


「愛理さんも早く。先に進むためにはこのバーサークベアーを倒さないと行けないみたいです…………っと!」


 言っている傍からバーサークベアーは猛スピードで突進し、シホさんに向かって連続でひっかく。強固な盾を瞬時に突き出し守りに出た彼女だったが、敵の力量がそれなりに高いせいか、壁へ壁へと次第に引きずられていき、逃げ道がなくなっていく。


「く……」

「ちっこうなったらやるしかねえな。……シホさん待っててそのデカブツをとっちめにいくからさ!」


 やれやれと思いながら駆け出す。

 こうして伐採するだけだったはずがクマまでも狩る羽目になった私。前に注意が行き届いていない私が招いた言わば種なので責任はちゃんと愛理さんとります。

 果たしてクマとうさぎ一体どっちが上手(うわて)か。敵の威圧に怯えつつも仲間のために一肌脱ぐのだった。

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