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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第9章 うさぎさん遙かな高みを目指せ
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159話 うさぎさん達、気晴らしにキャンプする その2

【秋の旬、キノコ狩りって楽しい気がする】


 山の中に入ると多彩な紅葉(こうよう)の景色が続いていた。

 傾斜面も所々みえるが、歩きづらくはない。

 散りゆくモミジを仰視しながらふと私は立ち止まり。


「絶景だなぁ。ていうか今秋なんだ」

「アキ? 人の名前ですか、何を言っているのか分かりませんけどこちらに生えている木、年中こんな色ですよ」

「え、季節の概念ない感じ?」


 ここで衝撃の事実が。なんと季節要素が皆無だという事が判明した。

 名称とか決められていない感じかな。……この世界においては気温が変わったなぁくらいの実感で済んでいるのだろうか。

 せめて春夏秋冬の要素を取り入れてほしいものだがそれはさておき。


 ここに生えているモミジ。もといモミジっぽい木はシホさん曰く年中こんな色をしているらしい。

 しかも日本と違う点がひとつ。なんと黄、赤、緑以外にも紫や青挙げ句の果てにはモノクロカラーのモミジもあるらしい。

 中には虹色に光る木がごく希に自生するとかなんとかって。……いやなぜにゲーミングカラーあるんだよ。


「とまあ色んな色があるんですよ。花園を営む人にはとても人気らしいですよ」

「……ひとよんでイロモミジ。光源の材料になったり希少性のあるものならそれなり高くつきますね」

「イロモミジか。見た目はモミジと変わらないけど……どれどれ」


 遠くをガジェットの機能を用いて覗き込む。……5倍、10倍と倍率を上げていき遠くを見る。

 よく見る紺色系のモミジがたくさんあるが、中には水色、肌色、黒い緑……多岐に渡る種のイロモミジが林立としていた。

 まじでたくさんあるやんけ。茫漠とした秋の風物詩、とても季節の概念がないとは思えないが……まあこの世界ではこれが当たり前。うん把握した。


「ほら愛理色んなキノコ生えているわよ」

「あ、ほんとだ、シメジ、マイタケ、となんだこのぎざぎざしたようなキノコは」


 ミヤリーの指差した方にはたくさんのキノコが生えていた。……日本にもあったキノコに加えて、独特な色合いのキノコ、よくわからん変わった形状のキノコもあった。

 そちらの方に近づいてスーちゃんに。


「ねえスーちゃんこれ大丈夫なん? まさか毒キノコじゃあないよね?」

「……あぁそれは一見危険そうなキノコではありますけど、調理すると非常に美味しいですよ。スープにすると美味しいみたいです」


 美味しいのかこれ。

 先ほど気になったギザギザなキノコを片手に見つめる。

 カサの部分が青く、赤い飴玉模様がついているが大丈夫らしい。


(どうせ食べるなら日本人の私にとっては味噌汁がいいんだけどな)


 とケチをつけるように心の中で呟く。


「ひとまず少しキノコ採りましたら見晴らしの良い場所見つけてそこを拠点にでも」

「ねえ愛理これ白いキノコだけど大丈夫よね?」


 ミヤリーが採ろうとしていたのは白いカサがだだっ広いキノコ。……あれなんか聞いたことあるぞ。白いキノコだからって100%安心はできないって。……事前に知っておくのが基本だったはず。

 念を押すようにミヤリーに注意をし。


「おいミヤリー言っとくけど、色が白だからって毒が全く入っていないとは限らないぞ。白いキノコ食って死んだヤツも私の元いた国にあってな」

「そ、そうなの、こ、こわ。んじゃこれ採らない方がいいのスーちゃん?」

「……はいそれ毒キノコですよミヤリーさん。ドクシロキノコ高い毒性があるみたいですよ」


 異世界のキノコってなんか怖い。

 シホさんはというと。


「これはオオシメジですね。スープなどで煮ると甘みがよくでますね」

「そういやシホさんの村の近く森があったね。サオさんとこういうのよくやってたの?」


 山育ち並びに田舎育ちあるあるな特殊耐性(物理)持っているよね。昔からこれやっているから呆れるほどになれているとか、よくそのものに対して異常に詳しかったりと。……因みに愛理さんは都会育ちなので、こういう経験全然ありません。


「そうですね。お父さんに食材を採ってくるよう言われ3人で取りに行ったことありますね。……ここのキノコの種類には及びませんが、このオオシメジはよくとりましたねぇ」


 シホさん、サオさん、そしてリホちゃんの3人だろうか。……3人が一緒に狩りに……私がモンスターだったら絶対遭遇したくなくなるけどな。……だって勝てるわけないし。

 つまりは慣れているそういうことになる。……2倍近く大きなシメジを力なく垂直方向に引っこ抜く。


 いやだから力強すぎんか。絶対キノコ『解せぬ』とか思っていたりするんじゃ。

……どれぐらい美味しいのかしらないけど一応言っておこうかな。


「シホさん、そのキノコってね凄く甘みでるんだよ。煮込む度においしさを増させたりしてね」


 シメジって確か甘みでたよな。

 女性のヘルシー料理にもよく入れられたりするが……まあどちらかというと私はブイヨン用途で使うのが主だけどさ。


「そ、そうなんですか。通りでいつも煮ると甘いわけだ、さすが愛理さん博識ですね!」

「いやそんな目を光らせても……因みに野菜やいろんな物を入れればブイヨンってものができる。普通に飲むだけでもおいしいんだよ」


 現地だと肉を入れるの有無で論争が起こっているらしい。……これは長年に渡り決着が未だについていないんだとか。……まるで剣練と盾練の関係柄みたいだな。


「おいしそうですねそれ、今日のご飯が楽しみです」

「ま、まあノープランだけどね……みんなはどう?」


 遠くで必死にキノコ狩りに没頭するふたり。腰に小さめの布袋を巻きながらキノコを採っては袋の中に入れるワンパターンであった。

 袋の膨らみようからして、ペースは順調、たくさん入っている。


「……えぇ順調ですよこっちは、そうですねこっちはざっと20個ぐらいは取れましたよ」


 多いなおい。


「わたしもぉ。ちゃーんとスーちゃんに教えてもらいながらやったわよ」

「そうか、んじゃみんなそろそろ拠点探しに移動しよっか。色々支度……準備しないといけないとだし」


 ふたりに声をかけ招集をかけると場所の良いところを探すべく、山を登り見晴らしの良い場所を探すのだった。


☾ ☾ ☾


【キャンプって仕込みが重要だと思うな取り敢えず腹ごしらえをしたいな】


 高台あたりに見晴らしのいい場所を見つけた。そこにテントを貼り付けて準備をする。


「……愛理さん私達はなにやればいいですか?」

「うーんそうだねぇ」


 キャンプってどうやるんだっけな。……焚き火とか色々必要ではあるが。

 スーちゃんは魔法が使えるから、火、水などの物は全てこれで補える。手元には素材がひとつもないな。木……石……食材に。


「取り敢えずカレーライスを作ろうと考えてる」

「カレーライスね、でも愛理ご飯ってどこにあるのよ。ここじゃスーちゃんによれば採れないらしいし」


 いや山に生えている米とか聞いたことねえよ。

 農業に関してはあまりしらないけど、私でもわかるよご飯が普通に自生する物じゃないってことぐらい。……水がないとだめなんですよあれ!


「つーことで私が作った」


 能力を使って疑似的にスーパーなどでよく売られている米袋をイメージして、ポンと地面に置く。



\ドスンッ!/



 ッ⁉

 妙に重いのはきのせいか、ドスンと大きな音が一瞬響いたけど何事よ。

 明らかに火山噴火と間違える音だったぞ。



 袋には……【ラビット・ライス 1t】とある。



 1t。


 いや重すぎだよ。人の体壊れる壊れる。

 私はパーカーのお陰で軽くできるけど、他の仲間が(シホさんはカウントしない)キツいって。

 一同喫驚し瞠目する。


「……今地響きしませんでした?」

「気のせい気のせい空耳。間違えた……こっち」



【ラビット・ライス 1kg Ⓒ愛理産業】



 会社じゃねえ! ……再度生成したらマシな物になったけど、余分な1文が。変な実際にはない会社名が印刷された米袋が。

 産業立ち上げるとか一言もいわなかったよ私。


「……これをどうしろと? 袋開ければいいんですか?」

「その中お米入っているんだよね、下手に開けると米が吹き出るよ」

「それは大惨事ですよね。……慎重に開けないと」

「ならここは私に任せておきなさい」


 ぽんと。

 自分の胸に手を叩いて剣を取り出すミヤリー。

 それで切るのかお前。


「あのさ、いいけど……いいけどさ、他の人のことも考えて散らかしちゃあだめだよ? ほんとやめろよな」

「分かってるわよ……剣を縮めて……っと」

「ふぁっ⁉」


 とミヤリーに応じて、彼女の持つ黒い剣は形を変えていき、ナイフぐらいの大きさになる。

 あれ、その剣そんな隠し機能あったの? 私の知らない能力がミヤリーの剣に内臓されているのか?


 ツッコんだら負けなようなセリフを言いながらも、繊細に上端の切り取り部分らしき場所から真っ直ぐ切りながら袋を開けていく。

 意外とこいつ器用だな。……全く些かもズレることなく綺麗に袋を切り。


「はいできたわよ、これでいい?」

「は、お前綺麗に切ったな。こんな無駄なn……ごほんごほんすごーい能力があったなんてね」


 ミヤリーは私に食いついて。


「な、なに言い直してんのよ! なにが無駄な能力よ、これぐらいへでもないからね! ふん」

「いや揶揄っているわけじゃあないんだけど、ありがとうな」

「う、うるさい! 嬉しくなんかないんだから!」


 照れくさそうに横目を向くミヤリー。はいはいツンデレ乙。


「……それであとは何があれば」

「ここで待機していてくれない? 私とシホさんが木とそれと石を集めてくるからさ」

「なるほど、焚き火がないといけませんよね、お付き合いしますよ愛理さん」

「……だとしたら私はそれが揃い次第炎魔法、そして水魔法を使えばいいんですね大丈夫です。……鍋なら魔法でいくらでも鉄製の物は作れるので問題ありません」


 知能高すぎるよスーちゃん。私が言おうとしたこと全部自分で言っちゃった。

 なんという黄金の理解力。なら言う事はねえな。


「き、気をつけて行きなさいよ。まあ貴女たち2人なら敵無しって感じだけど」

「心配いらねえよ。そんじゃいくぞシホさん」

「……では待っていますね、美味しいカレー作りましょう」


 そう言い残しながら私とシホさんは素材集めに木々立ち並ぶ山の方へと進む。


 え、カレーなら肝心な物、ルウはどうするかって?

 当然それは。


「カレーの素とかどうするんですか?」

「え、もう私が作っちゃったよ……ほら」


 能力を使い、カレーのルウの入った紙パックを作る。


【アイリーカレー 中辛 :能力で作り出したカレー。山菜の食材とベストマッチする色んな食材を入れて美味しいカレーを作ろう!】


 自分の名前を使われるのはちょいと、公開処刑な気がして腑に落ちない気がするけど大目にみようここは。

 裏表見返すと、スーパーで売られているような長方形型のカレーライスの紙パック。……そっくりだなこれ。


「あ、作ったんですか。ってこれどうしたらチャックみたいな物がありますけどここを開ければいいんですか?」

「あちょちょちょちょちょ……シホさんまだ、その中にルウがあるからまだ開けちゃダメ」

「すみません。くんくん、確かに香ばしいにおいがしますね。……それでは木の伐採を始めにしましょうか」

「うんそうだね、さて軽い飯前の運動でもしようかな。パーカーチェンジ」


 ストロングに服を変える。

 久々にこれ使うけど、力仕事には持って来い。専用武器のラビットハンマーを片手にシホさんと一緒に作業へ取りかかるのであった。

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