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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第9章 うさぎさん遙かな高みを目指せ
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152話 うさぎさん、二手に分かれて行動する その4

【持ちつ持たれつこれは大事な言葉です。自分の心得にしておきましょう】


 草原を目指し下向していきます。

 尖った岩に注意しながら進み。

 足場が平面でないので非常に進みづらく不安定。


「ねぇスーちゃん。さっきのドッカンする魔法もう1回使ってくれない?」


 危険知らずのミヤリーさんは、私の忠告を顧みず私より先に進んでいました。

 先ほどは倒れそうなくらいに、片足を上げながら歩いていたはずなのですが今はどうでしょう。

 なんということでしょうか。あんなに転けそうになっていた彼女が今では慣れたように足を器用に使い前へ進んでいるではありませんか。

 なんという成長性。


 そんな彼女は後ろでゆっくり歩く私に、爆発の魔法で足場をよくしてくれないかと頼んできました。

 私は魔力に余裕がまだあったので、彼女の頼みを引き受け。


「……わかりました。ですけどあまり大規模な魔法は連発して撃つことはできないので、先ほどより少々弱めのにしておきます ノヴァ!」


 連綿とした小さな爆発が辺りに密集する、岩々を粉々に破壊していきます。

 範囲はそれなりに広範囲でどこまでも引き延ばせるので、私は地面を整地するような感じで爆発魔法を放ちました。


 足場はすっかり綺麗に整い、魔法で壊した部分は平面になり道が開けます。

 ふう。これでなんとかなりましたね。

 下の方にある草原には、強いモンスターがそこそこいるとギルドのお姉さんは言っておられましたが。


「ありがとう。ここから先はそんなに凸凹してないわねぇ」

「……そうですね。ここから先は平らな道ですから安心です。ですがミヤリーさん気を付けください、強いモンスターもそこそこいるようなので」

「そうなんだ。ならここからは一緒にいきましょう。……先に進みながら危険がないか様子みていたんだけど、そうとなれば2人で慎重に行くべきね」

「……ミヤリーさん、熱でもあるんですか? ホーリーキュア…… あれなんともない?」


 いつになく真剣なミヤリーさんに少し違和感を持った私は、状態異常を回復させる魔法を彼女にかけました。

 しかし彼女はなんともない。……なにかしら異常が取り除かれれば黒い煙のようなものが浄化していくはずなのですがそれがでないんです。

 あれ、正常なんですか?


「ちょ、ちょっとスーちゃん! 私なんともないわよ!」

「……え、いつものミヤリーさんみたいにふざけてないので、てっきり熱でもあるのかと」


 否定するように首を激しく横に振るい。


「いやいやいや! 私っていつもそんなふざけt……あ、そうか思えばふざけているわね私いつも…………じゃなくて! 私だってやるときはやるのよ! これでも昔はパーティの主力として勇躍していたんだから!」

「……ほんとうに?」


 正直半信半疑な私は彼女の作り話的な弁明に耳を傾けました。

 もうちょっと地位が高かったらミヤリーさん説得力あったでしょうに。そうすれば愛理さんに揶揄されることもなかったのかも。

 憮然としている私にミヤリーさんは目を見開いて必死に訴え。


「いや本当だって! 作り話じゃない童話でもない創作でもない! 正真正銘の実話だから信じて!」

「わ、わかりましたって。だから胸ぐらを掴まないで……! というか絞め殺さないで! ぐうミヤリーさん!!」

「あ、ごめんスーちゃんついつい力んじゃった」


 私の襟を掴んだ彼女の手は脱力していくと、体が自由になりました。ふう死ぬところだった。

 あまり彼女を唾棄するのは控えた方がいいかと、思う節もあるのですがまあ愛理さんが普通にやっているし憚る必要はないか。


「……それじゃ私が前に進みますよ。ほらミヤリーさんいつも出し抜けに愛理さんがよく言う“自爆特攻”するじゃないですか。なのでここは私が前に」

「だぁ~~~~~~~れが自爆特攻よ! ……ていうかそのあだ名初めてきいたんだけど⁉ 解せぬわ愛理帰ったら覚えてなさい」


 はて、彼女に勝算はあるのでしょうか。

 ミヤリーさんは呆れたような顔を1度すると、憤りながら足を踏みつける様子をしながら怒りを露わとしていました。あぁこれ非常に怒ってますねミヤリーさん。


 仮に勝負したとしても愛理さんの、最強能力には通用しませんって何度もそれは彼女自身も理解しているはず……ですが。これは愛理さんのよく言うドMという自虐行為の性癖が彼女にあるんでしょうか。まあそれはそうと、どう考えても愛理さんに軍配があがりますけど。


 中枢に向かう道中、石に擬態したモンスターと遭遇します。


「ミヤリーさん! それモンスターですよ!」

「へ?」


 丁度ミヤリーさんが踏んでいた石……ゴツゴは表面に顔を浮かび上がらせると、ミヤリーさんに体当たり。


「ふん!」

「ぶべぼぼがじだぁー!」


 言語化不可能な言葉を発しながらミヤリーさんはのたうち回りました。

 彼女は起き上がると。


「なによもう! それ反則じゃない。こういうの3秒ルールっていうのがあるんじゃないの」


※ありません。


 誰が言った言葉ですかそれ。

 剣を構えながら意味不明なことを口走りだすミヤリーさん。

 彼女は助走をつけて回し斬りを試みますが。


カーーーン。


「かっった! なによこの固さは。こりゃこりゃこりゃ……こりゃ!」


 再三斬りかかりますが、鋼鉄のごとくびくともせず、彼女の攻撃はゴツゴには通じませんでした。

 確かこの石のモンスター相当防御力があったような。

 戦士には非常に不向きな防御力を誇っており、これを剣で倒す場合高い攻撃力を持つ剣でないといけないそうです。


 彼女の持つ剣は……あ、駄目ですねこれは。


「……ちょっとミヤリーさん」

「このこのこのこのこのこの!」

「……ミヤリーさん」

「このこのこのこのこのこの!」


※解説:彼女は愛理以下の低脳なため、攻撃すること以外頭にありません。


「……ちょっとミヤリーさん!」

「……この! ……ってスーちゃんなに? 全然食らわなくてむしゃくしゃするんだけど!」

「……それですよ。とっておきの魔法を振りかけてあげますよ……バイスト!」


 私は彼女に向けてとある魔法をかけました。

 一定時間能力値を倍にする魔法なのですが。……因みに重ねはできません。

 まばゆい光が彼女を包むと、淡く体をゆっくり点滅させ始めました。


「こ、これは! ち、力がどんどんみなぎってくるぅぅぅぅぅぅぅう!」


 発狂するような高声を上げるとミヤリーさんは剣を一振り。


「ぐご」


 ゴツゴはあっけなくまっ2つに切られ、その断片が辺りへと散らばりました。

……すると仲間の悲鳴を聞いたのか、同類のゴツゴ達が蟻集を作りながらこちらへと姿を表してきて。


「ごおおおおおおおおおおおお!」


「沢山湧いてきた! スーちゃん!」

「分かってますよ! ……アクアリア!」


 大きい流体の水を回すように撃ちながら応戦します。……私と背中をつけるミヤリーさんは漆黒の剣を振り下ろし。


「たあああああ食らいなさい!」


 屈曲した黒い斬擊が地を裂くがごとく、ゴツゴ達を5体ほど葬り去ります。

 不意に後ろから彼女にのしかかろうとしますが。


「あまい! ふんぬ」


 振り払うように敵をたたき落としました。

 点滅はまだゆっくりですね。……時間に余裕はまだまだありそうですが、後はまだ控えていると察した私は。

 尖った大きめの岩に身を移し、ミヤリーさんに下命し。


「ミヤリーさん! 今から大きな魔法を唱えます。どこか高い岩などに登ってください!」

「え、高い? ……あったあそこでもいいやそっと」


 近くにあった大きめの高い岩に飛び乗り言われたとおり避難します。

 そして私は、天に杖を掲げ、高々に魔法を唱えました。


「ザオザブラ!!」


 巨大な大津波が激しく揺れ踊るように出現し、控えていたゴツゴもろとも津波にのみ込まれていきます。

 激しい波音を立てながら威力は次第に増長していき荒い音を周囲に響き渡らせ。


ザブザブ! バシャーーーーン!!


 数十秒後。

 波が収まると、そこにはゴツゴ達の姿は消えていました。


「すごいわねスーちゃん、あんな激しい波の魔法を使えるなんて。……さあ先を急ぐわよ。もう少しで草原に着地できるしね」

「……はい。敵の数も少なくなってきましたしあともうちょっとです」


 ゴツゴ達の戦いのあと、下る道を真っ直ぐ進みそのまま草原地帯に足を運ぶのでした。

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