146話 うさぎさんのバイタス対策?
【大型アップデートってわくわくするよね】
後日。
またまた狂政の豪邸へと赴いた私達。
新たに使ったマスター・ラビット・パーカー、その結果報告とバイタスの対策を練ようとこちらへと赴いた。
「ふむ、バイタスか。してナメップ星人のブラフからは爾来情報はもらっていないのか?」
「それがですね、情報が手つかずといった感じで明確な場所今どうしているのかも分かってないです」
ブラフからは『いやまだ』や『分からない』など不明様な返答しか返ってこなかった。
探知機らしいものも彼は持っていないらしく、正直な話し現状手詰まり状態。
「無限に再生及び進化を繰り返す生命体か。……そして放っておくと人類滅亡の危機が……みたいな状況なのだな?」
「うん、あのときはなんとかシホさんの力もあって身を引くことはできたけど……次はどうかなって感じ」
「うむ。おまけにあらゆる力が通用しないか。……そうだ愛理君」
案があるのだろうか。
なにかしら思い立った様子をみせた狂政は私を指名。
現に親玉であるナメップ星人もヤツの排除は諦めているくらいだし、そんな実質弱点なしのインチキモンスターをどうしろというのか。
「新たに習得したマスター・ラビットパーカー。あれが全ての鍵になるかも知れない制限時間は1時間と未だ未完成ながらもほぼ十分な性能と言ってもいい」
「それで愛理のそのぴかぴか服がどうだっていうのよ」
ぴかぴか服って。
そんなネーミングセンスもない変な名前つけんなよお前。
「完成体だとこれが無制限で使えるのだが、現状1時間に留めている。……問題はバグやら色々で……そこでだ、バイタスはあらゆる力を倒され再生する度に我が物にしてしまうという。ならそれをコピーできなくさせればいい」
あぁ確かに。
実質あのクソモンスター私の合法コピーみたいな技していたからな。ラビパンだったり姿や能力おまけに武器やわざまで。なんでもありな敵のてんこ盛り能力にはうんざりした。
だがそれが無効化されれば、こっちに軍配があがる。
「だがな、その力を付与できるのはマスター・ラビットパーカーのみ。理由はただ1つ質量がでかすぎるからだ」
「……最強形態ならではの特殊能力みたいな感じでいいじゃあないか。それでいつぐらいでできそう?」
さりげなく彼の手にラビット・ガジェットを手渡す。
「そうだな、数分でできる。そんな手が非常にかかるものではないからな」
「そ、そっかならみんな……ゲーセンでも行って時間でも潰す?」
後ろに控える仲間に問うとスーちゃんが。
「……いいですよ。あの物騒な機械非常に気になりますからね。暇つぶしに行ってみますか」
仲間達と相談し街にあるゲームセンターへと行こうとしたそのとき、狂政に引き留められる。
「おっとそうだシホ君」
なんですかと首を傾げ、狂政の方を向くシホさん。
? 手に持つのは……パッチに似た何か。
「これを使ってくれないか。空に掲げるだけでいい」
「? よく分かりませんけどこうですか」
言われたとおりに天井へ受け取ったパッチをかざす。
すると。
光が瞬くように光るとそのパッチは溶け込み消失する。
「シホ君。君が使った脅精の変異力あれの調整板を疑似的に習得させた」
「はぁ。……ありがとうございます。それで具体的にはどういった違いがあるんですかね?」
シホさんは新たに禁忌の大技である脅精の変異力の調整板。それを習得させたと言う狂政。
どういった魂胆があるのかは分からないが、彼女のためにと作ってくれたのだろう。いつから準備していたのかはそこは詮索しないことにして。
「名付けて脅精の変異力 弐局身! 時間制限がかけられた代わりに、作用がなくなった。……マスター・ラビットパーカー同様1時間の時間制限だが君を全面的に手助けしてくれるはずだ」
「なるほど。ということはこれを使えば、副作用関係なしに思う存分使えるってことですか。……だそうですよ愛理さんこれでまた里に行く手間が省けましたね」
なんでウインクしながら視線送ってくるんですかねシホさん。
よかったよかった。みたいな同意を私に求められても困るんだが。
でも調整板となるとわざわざ彼女が危険なことに曝される心配もなくなるということ。……100倍のバフはそのままに1時間の制限つきの大技なわけか。……まああのとき私気絶していたからな。どんな死闘が繰り広げられていたのかは私はしらない。
仲間からは互いに1歩も引かなかった勝負と聞いている。
「はぁこれならシホさんへの心配はなくなるようなもの。……それでそれは連発とかは行ける感じ?」
もしそんなことができたら、この世界は色々とアカンバグみたいな世界になってしまいそう。
「何を言っているんだ君は。マスター・ラビットパーカー同様に1度使用したらある一定の時間すぎないと使えないぞ」
案の定、多少の制約はあった模様。
さすがにそんなチートみたいな技を幾重にも使われたら、それこそバランス崩壊。良い塩梅に仕上げてくれたなこいつ。
「で、ですよねぇ。知っていたけど」
それから暫くゲーセンで暇つぶししたのち。
☾ ☾ ☾
「ふむ、時間制限ありとはいえ最強耐性だなこれは」
【マスター・ラビットパーカーの固有能力に反則力が追加されました。】
数時間後、狂政の言われたとおり40分後に豪邸へと戻ると、ラビット・ガジェットのアプデが完了していた。
AIさんに分析してもらったところ、マスター・ラビットパーカーに新しい能力が追加されていた。
なんだよ反則力って書いて反則力って。まんま素過ぎて笑いがこみ上げてくるのはきのせいか? ……まあ一応能力を見ようか。
【固】反則力解説:この能力を持っているパーカーはあらゆる敵の干渉を一切受けない。さらに敵の耐性・能力は全て無効化できる。
【補足説明ですが、今まで愛理さんが使っていた作り出す力の能力は、大きな質量を持つ物は生成できませんでした。……これだとこれが可能で上限なしに使えます】
まさかのこれ後付け設定というものでは?
じゃあマスター・ラビットパーカーを使えばでかい惑星の1つや2つ作れたりするってこと!? ……いややめとこう世界観的にミスマッチだこれは。いざというときにこれは使った方がいいだろう。
「すげー強い能力もらっちゃったけど……ありがとうな」
「どうってことはない。そのバイタスってやつをそれでぶちのめしてくるがいい」
「そういやお前は戦ってくれないの? 人類の危機がかかっているこのときにさぁ」
こいつそういえば戦闘面に関してはどうなんだろうか?
実は真の黒幕だったり……あるじゃん仲間の内の1人が実は全ての元凶というオチ。
……まあこいつにそんなどす黒いような雰囲気は微塵も感じられんが。
「何を言っている私は戦闘向きの力は持っていない。……だから単なる導きにしかならんぞ私は」
「うんそれを聞いてさっぱりした」
「まあ愛理さん、狂政さんは私にもこんな力を下さりましたからこれで十分じゃないですか」
それもそうか。
取り敢えず戦闘面に関してはこのクソ総理は皆無っと。
人を頼りすぎにするのもよくないって言うしこれ以上責めるのも良くない気がする。
「……帰ったらブラフさんにバイタスの情報を聞きにいきましょうか」
「スーちゃん、クレープが食べたいだけでしょ?」
「……ばれちゃいました?」
恥ずかしそうに帽子で顔を隠すスーちゃん。
バレバレだよ。愛理さんは見逃さなかったぞ。……スーちゃん最近クレープを夥しい数買っていたもんな。
そういう可愛いところを隠すなんて……正直じゃないんだからスーちゃんは。
「それじゃ狂政さん私達はそろそろ帰るわね。ほら愛理つべこべ言わず行きましょ」
「ちょおま! DQNはなしって言ってるだろうが……そ、そんじゃあな狂政今度またギャルゲ仮にくるぜ」
「おおう! 気をつけて帰るのだぞ!」
ぐいぐいとミヤリーに引っ張られながら私達は、健気に手を振る狂政の元を立ち去る。リーベルへと帰るのであった。
こうしてバイタスの対策を総体練ることはできた。……それでも勝てる見込みは怪しいところではあるけれども。
まあなんとかなるさと緊褌一番前に進む私達なのだった。
決戦の日は近いかな。