142話 うさぎさん、秘められし奥の手使ってみる その1
【最強? それとも最凶か? 物は試しっていうし】
よくヒーロー物に出てくる最強形態ってなにかしらの制約ってあるじゃん。
副作用が云々だったり、気絶するとか?
あげても切りがないが、強い力には代償がつくもの。
今回、少し難しそうなクエストを受けた。
なんでも巨大モンスターの討伐。その数なんと1000匹! インフレの高速化が急上昇する中私は考え無しにそれを受注し、そのモンスター達が密集する森へと赴いていた。
「ねえ本当にあのクエスト受けてよかったの? ……なんでもAランク級のクエストよ。……全滅するかも……って愛理聞いてる?」
「あーあ聞いてる聞いてる。この森の推奨ランクはBランク1人以上。条件は満たしているから問題ないけどモンスターの強さは知らん」
Aランク級のクエストとなると難易度がぐーんと上がると聞いた記憶がある。
敵モンスターが強すぎて、クエストを諦める人も中にはいるそうだ。
「……大丈夫ですよミヤリーさん。私達4人でかかれば苦戦することは」
「はい、それに私も新技をいくつか習得しているのでピンチになったら言ってください」
「そ、そう? ならいいんだけどさ……って愛理こんな難しそうなクエストを受けたってことはなにかしらの理由あるんでしょ?」
お前と違って無策じゃねえから。
「うん、ようやく服が12個になった。……それでようやく本格的にこれの出番ってわけ」
取り出したのはラビット・ガジェット。
そうパーカーが12個になった。なんやかんやで目標数に達したのだが、押しても起動しない。
なぜ?
【どうやら、一定の時間が経過しないと使えないみたいです。……現状武器なら選択して出せるみたいですが】
お、ならモンスターが出てきたら出してみよっと。
しばらく歩くとモンスターを発見。
巨大な魔人のモンスターだ。木と同じくらいの高さをしたヤツが3匹ほど。……殴られたら痛そうな鈍器をそれぞれ肩に担いでいる。
見つからない位置にある木の後ろでみんなと作戦会議をし策を練る。
「満腹の豆は食べたので大丈夫です。……さてとマックス・ヘルンピンチになったら助けてください」
マックス・ヘルンからおり剣を抜くシホさん。
「……非常に強そうな敵です。これまで戦ったどの敵よりも強いオーラを感じます。ご用心ください」
「もうヘマはしないって分かってるわよ。HPが必ず1残ってしまうけれど……」
ミヤリーとスーちゃんも武器を取り出して身構える。……いつも以上に力強く握りしめるようすからして内心書証怖がっているようにも見えた。
「うし、んじゃやるとするか!」
私はガジェットを使用して剣? の方を取り出す。
前はランダムで2種のうち1つが出るという運要素のある仕様だったが、パーカーが揃ったことにより任意で取り出せるようになったみたいだ。
調子にのって私は無理にその究極最強パーカーを呼ぼうとするが。
【ガジェット起動。EXラビットパーカーチェンジ!】
と機械から音声が流れると私のパーカーの色が発光し。点滅し始めた。……パーカーの姿が変わる……その瞬間。
「……あ、またいいところで切れた」
「? 今のは一体」
気になったシホさんが一声。
またこの前の現状が起きた。一瞬だけそのパーカーに変身できたのだが……1秒も経たないうちに変身解除。元のノマアサに戻ってしまう。
だが手には。
「愛理? その手に持っているのは?」
「? ……これはうわ……めっちゃ重い剣だな」
【ラビット・M・サオリアナ・ソード 説明:とあるパーカー専用の強力な剣。人参を模した大きな剣になっているがその性能は果たして現在調査中】
うん、確かに見た目がまんま人参。……リンゴと来て今度は人参か、うさぎに因んだ物ばかりだがこれって偶然か?
「……それじゃ行きますよ」
スーちゃんが杖を使って雷の魔法を唱える。
すると3体の魔人の真上に黒雲が生成され雷撃が落ちた。
ドゴォォォォン!
「ウガァ!」
3体はこちらに気づいて木をなぎ倒しながら襲ってくる。
「んじゃちょいと散けるぜ。……シホさんいこう。あとマックス・ヘルンも」
「あ、愛理さん」
シホさんが隣に控えるマックス・ヘルンに乗せてくれた。
うん、貸してくれるの?
「その武器なんか重そうでしたので愛理さんがよかったら馬を使ってあげてください」
「え、いいの? ……マックス・ヘルンお前もか?」
「ヒヒーン!」
マックス・ヘルンはやる気満々だった。
「よし、頼むぞマックス・ヘルン。あいつらめっちゃ強いみたいだから注意しろよ」
手綱を引いて私を乗せたマックス・ヘルンは迅速に駆ける。……追うようにシホさんも高速で走る。
速いめっちゃ速い。これならこの剣ちゃんと使えそうだ。……パーカーはまだ使えないみたいだけどこれでも十分な性能だと…………思いたい。
魔人の足目がけて剣を振り払うと、これまでとはひと味違う斬撃の音が木霊し、諸刃が七色に光る。すると諸刃の手前に描いてあるゲージみたいなものにその色が乗る。……何かしらのエネルギーメーターだと思うがこれは一体。
「なんか急にゲーミングカラーに光ったぞ? ……って切れ味もすげえや」
傷はとても深めにえぐられていた。……波打つような深さに亀裂ができており血がそこから大量にあふれ出ていた。
力も何も入れずにこの威力だ。なのにこお火力はちょっとおかしい気がした。
「そこ! 剣術 旋回連撃!」
シホさんが瞬間移動するように回り込み、剣術を反対の肩から振るうように放つ。円状の無数に及ぶ斬撃が魔人の身体に次々と傷を入れていった。
「おらよっと!」
マックス・ヘルンの高いジャンプを駆使し後頭部に振り下ろすように斬撃を使う。また今度は虹色の斬撃が発生する。
「ぐがああああああああああ!」
斬撃によってたちまちその魔人は叫喚をあげると、力尽きその場に倒れ込む。
あれもう倒したの? ……反対で戦っているスーちゃん達はまだ苦戦中だというのに。……それにさっきのシホさんの攻撃ヤツにかすりもしなかったわけだが、どれだけ強いのこの武器?
まだ能力も何も解禁されていない状態なのだが、これはそのパーカーに変身すれば情報が見られたりする?
もう2匹と張り合うスーちゃんとミヤリーの元へ駆け寄り。
「……格が違う。いままで戦った敵よりも全然強いですよミヤリーさん」
「そうね、スーちゃんの魔法のお陰でなんとか張り合えているけど、素だときつそう」
前でミヤリーが両手に持つ剣で攻撃を受け止め、後ろでスーちゃんが攻撃魔法でもう片方を大型魔法で応戦していた。……だが体格差のせいか彼女の魔法でもかすりもしていない。……さすがAランクの任務。……一筋縄にはいかないってことか。
「スーちゃんミヤリー大丈夫?」
急いで駆け寄ろうと2人の近くへと近寄ろうとする。……その距離約数十メートル。今でも力押しに負けそうなくらいに苦戦していた。
ミヤリーとスーちゃんを見て私は、マックス・ヘルンに今以上速く急行するよう手綱を力強く引く。
彼は私の思いに応えるようにスピードを出す。
「く、もっと速くだマックス・ヘルン! 2人を助けて」
私とシホさんは全速力で2人の方へと駆けていった。
そのときラビット・ガジェットの音声がなり。
【ガジェットエネルギー35%……変身可能な数値まであと65% ……】
「? この数値は一体」
ラビット・ガジェットは私の何か言葉に呼応するように目映い虹色の光を微量ながらも発していた。
このとき私は気づかなかった。……それは史上最強のパーカー。そしてとんでもない装備の目覚めを許してしまうことに。
こんばんはです。
次の展開を考えに考え今回の話を作りました。
いつものように巨大モンスター狩りですが今回は格が違うモンスターが森中におりそれを討伐する話です。
まだ出てはいませんが次か次の次で最強のパーカー出てくるかもしれないです。ちなみに色は……と愛理にラビット・パンチくらいそうなので今回はこの辺で。
次回最強パーカー現る? ですどうかお楽しみにではでは。