139話 うさぎさん、無法な地帯へと赴く? その2
【物の取り扱い注意には気を配ろう】
ムホウタウンに訪れた私達は、依頼主の家へと訪れた。
私のパーティに1名、指名手配犯みたいになっている人がいるけど気にしない。
「それでうさぎさん、この依頼引き受けてくれるかい?」
怖ず怖ずとこちらに視線を送ってくるこの男性。この人が今回の依頼主だ。
隣にはもう既にモザイク状態にかけられた重症者がベッドに横たわっていた。
話の内容を説明すると。
ある日突然、あのポリスマンとかいうへんてこりんに街を1日足らずで支配され、以後使ってはいけない言葉、行為をいくつか決められたらしい。それに反するつまり禁句を口にしたりするとどことなくそいつが湧いてきて、攻撃を食らった者は全身モザイク状態をかけられてしまうのだそう。
街の人々はその恐怖に怯え、禁句を口にしないようにしているらしいが。
その禁句・行為は……何個かあるけど、依頼主さんからもらった紙の一部を拝借すると。
ださい、くだらん。行為は嫌いな物残す、夜更かしをする。1食抜かすなど。いずれか1つでも違反行為をしてしまうと自分自身が著作権をかけられ全身をモザイク状態にさせられてしまい、惨めな姿にされるってわけ。モザイク状態の人に向かって名前を呼ぶとそれも違反行為に該当するみたい。
え、嫌なんだけど! 小学生のとき妹が好きなアニメを合法的にダウンロードしていたけど……それよりここ縛りがきつそうに感じてくるんだが。
因みにエロ全般の言葉も、不快になる(死ねや殺すぞを含む)も使えないらしいよ。
あ、じゃあ私が1つでも違反するだけで私の目線に海苔のテープが貼られ、加工ボイスに……い、嫌だあああこの小説が犯罪者が異世界転移したような作品になっちゃうからだめだそんなことおおお!
なので厄介ごとにならないうちにこの依頼を引き受けようと思います。 因みに愛理さんは妹と違って違法ダウンロードしてないよガチ。ちゃんとDVDレンタルショップで毎月借りていました。
「あぁいいよ。最初うちの仲間がそのモザイク状態を浴びてこうなっちゃってびっくりしたけど……なあM?」
「それって私のこと? 名前で呼びなさいよ」
名前が駄目なら名前のアルファベットを取ってやろうと。あだ名はなんか悟られるから候補外今のところ問題ない。……問題ないってことはセーフか。
ってことは問題なしというのにこいつは。
「あのお前聞いてなかった? 名前聞くと私だってお前みたいになるの! だから迂闊に言えないってこと……おーけー?」
すると困り果てた様子で。
「お、おーけー」
納得のいっていない声が返ってきた。
聴衆している察になっている気分。あ、カツ丼なら……。
「とりまお前これでも食っとけ」
能力を使い、カツ丼を作り出す。口が悪いって有名なあのお店の再現した品だがお気に召してくれるか心配。
「くんくん。なにこの美味しそうな料理! この箸を使って食べればいいの? ……じゃあいっただきまーす!」
気に入ってくれたのか、お盆に置かれた箸を手に取りむしゃむしゃと食べ出すミヤリー。
これで少しは。
「そのできればうちの妻の病気を治して欲しい。……本題はこの街全体を救って欲しいのが本日の依頼だけど」
うーんかつてないぶっ飛んだ状態異常(もはや世界が異常か)に直面。色んなゲームしてきたけど初めて聞いたよ“モザイク状態”って! 恥ずかしいからこれ解決してくれとかそんな話でしょ? ……あの詰んだんじゃね? 私口悪いしすぐゲームに切れるとタヒとか言う短気なアホだよ? この小説今回で終わりかな?
【いいえまだおわりませんよ愛理さん。そんな呑気なこと考えている暇あったら動きましょうよ!】
AIさん分かっているよ。読者もこれからどうなるん? とか思っているはずだからこれだけ断言しておこうまだおわらんよ。
「……でもどうするんですか? そのチョサクケンっていうものはよく分かりませんが、危険な状態になるとかそんな感じですか?」
「まぁ近いかな。色々やらかすと多額の料金を支払うハメになるんだ。それが駄目だったら捕まってしまうだぜ?」
するとスーちゃんは少し青ざめた顔でビクビクっと。
「あ、あぁあのとき黒魔術という禁忌に手を染めなくてよかったです……ブルブル」
「大丈夫ですよスーさん。それで愛理さん策はあるんですか?」
それなんだよねぇ。
パーカーの素材……なんか使えるやつあったかなあ。
お、これは。
素材一覧をみていたら懐かしい物を発見。
アシッドワームの毒液。
以前シホさんがワンパンで倒した巨大毒ミミズからドロップしたこの液体。念入りと今日まで保留していたが、使うとき来たの……か?
【毒特化のパーカーが作れます】
え、それ駄目なヤツでは?
救うとどころか街は大惨事だよ。
【でも抗体も作れるらしいです。試してみます?】
諦めていたそのとき救いとなる言葉をAIさんが言ってくる。
抗体を作る? マ? マジで言ってんの? 作る作って良いんだね!?
ていうわけでAIさんお願いしゃーす!
すると合成モードに移りノーマルパーカーを複製そのまま素材に、そして合わせる素材としてアシッドワームの毒液が自動的に選ばれた。
そのまま合成開始。
まばゆい光りが発生し新しいパーカーが作り出された。
☾ ☾ ☾
案の定イメージ通り画面上に写し出されていたパーカーは、濃い蛍光色の目立つ毒々しい紫色をしたパーカーであった。
いかにも見た目は毒ですよと主張しているかのような服だが果たして。
まさかとは思うけど、孔明が仕掛けられてたり……もうゾンビのときみたいなことは懲り懲りですはい。
「その……もしかしたらできるかも知れないよ?」
「本当か?」
「うん、服をちょいと変えて……」
ラビット・パーカーチェンジをしてそのフォームへ。
全身が紫気味がかかった着色へと変化する。
体中からは毒の力が宿り……取りあえず能力でも見てみよう。
【アシッド・ラビットパーカー 解説:毒を帯びたラビットパーカー。カリ25万倍の猛毒を持つ。有害物質に対応した抗体(薬)も作り出せる】
危険すぎて草。
昔妹に聞いたことがあるが、世界で一番強い猛毒を持ったイソギンチャクがいるって聞いたことが。テレビで報じられる沙汰にもなったらしいし余程危険だったと伺えるけど。
※妹知恵袋:世界で一番強い猛毒を持つのはマウイイワスナギンチャクというハワイに住むイソギンチャクの仲間。日本にもその仲間も居るらしいわね。青酸カリ8000倍(10万という表記もあり)強力な毒を持つ生物よ。
まあとにかく能力の一覧を。
【アシッド・ラビットパーカー 攻撃35%+ 素早さ25%+ 防御20%+ 武器:チェーンソー、銃】
【固】ラビット・アシッドスモッグ:パーカーに含む毒素を広範囲にばら撒く。害のある敵にだけ感染させ、感染後数秒で息絶え呼吸困難、過呼吸などを一瞬でさせ敵は即死する。
【固】ラビット・アシッド・リザレクト 技:専用武器アシッドシューターから放つことが可能。対象の有害な物質を治すための抗体を作り完治させる。
【固】触れた敵を強烈な猛毒に犯す。
え、えぐなぁ。
武器もなんとなく強さが想像できるが。え、これやばくね?
ラビット・アシッドシューター 武器:アシッド専用の武器。直撃した敵は一瞬で溶解し始め骨にさせることが可能な電動毒の弾を撃てる(連射可)。毒の浸食スピードは桁違い。
ラビット・ポイズンソー 武器:電気毒の含む刃を回転させることが可能なチェーンソー。シューター同様触れた敵を瞬時に溶かせる溶解力がある。非常に高い切断力と高火力も持ち合わせている。
ありのまま今知ったことを話すぜ! 私はとんでもない化け物武器を作り出してしまったらしい!
いややばいって!? エンディングまで無双できるぞこれ? ボスに効んかなこれあたおかぶっ壊れパワーで笑う。
「……また服の色変わりましたね新色です」
「本当だ! む、紫? なんか危険な色だけど大丈夫?」
「うん、危険なのは確かだけど、大丈夫かな使い方を誤らなければ」
「それでどうしたら妻が治るんだ?」
「まあ見ててよ」
手に何かを持つように手のひらを構えた。
ぐいっと何かを持つような感覚をさせて。
そして呼びかけるように私は叫ぶ。
「アシッド・シューター!」
すると紫色を発光させて毒々しい銃が出てきた。
それをその人の奥さんに向けて。
危険を悟ったか、その村人さんはかばうように前へ出て。
「な、何をする!? こ、殺す気じゃないんだろうな?」
「……そう見える? 言っとくけど私の一言一句は嘘偽りのない言葉として捉えていいよ。……だから私を信じて村人さん」
すると理解したようにほっとため息をつき退ける。
私は人の命を弄ぶようなサイコパス野郎(時と場合にもよるが)ではない。苦しんでいる誰かがいるならこの力……パーカーの力をその人の為に使ってあげたい。だからこの弾丸は人を救うための弾。
見せてやる。うさぎさんは口先だけじゃないってことをな。
「じゃあ撃つよ……ラビット・リザレクト!」
そっと銃の引き金に指を置くと紫味がかかった砲弾がベッドに横たわる女性を優しく包むのだった。