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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第2章 うさぎさんと近未来的な都市
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12話 うさぎさん、街に驚愕するあの街は一体なんなんだ? その3

 今回愛理がツッコミ役として回るシーンがあります。そこのセリフは「」で表現していますので把握よろしくです

【やりたいことを積極的に取り組むことはとてもいいことである】


 中へと入り、村長さんがいる部屋へと向かう。

 肝心の建物内に入ってみたんだけれど、おかしいどころの感じではなかった。

 いたるところにモニターが数台設置されており、その画面には。


「なんですかこれ」

「うっわ。私も知っているよそれ有名な作品だから」


 モニターに映るのはとあるアニメの一部シーンが流れている。

 恐らく録画した映像だと思うんだけれど、この世界に録画機あるの。

 マジで予想もつかない斜め上をいくような設定だけど、異世界なんだよねここは。

 私の頭の中で、異世界と現代が入り混じった世界が思考を狂わせてくる。


 やめろ。

 とりあえず異世界なのか、現代なのか白黒はっきりさせてくれないか。

 今映し出されているアニメ。


 私がこの間完走した作品じゃないか。

 2期がまだかと何回にも渡り、思いふけっていたが待ち遠しいな。

 まさかこの世界でもアニメを見ることになろうとは、もうツッコミどころが多すぎて処理が追いつかない。

 でもここまで興味に浸れる人物ってどういう人なのだろうか。


 人のこと言えないけど、絶対二次元オタクだろここに住んでいる人。

 まあ同志としてそれは喜ばしい話なんだが、街全体を自分好き勝手に作りました的な流れにするのは少し度が過ぎる。

 早い話が自重しろ。


「おや、お客様。どのようなご用件で」


 私がモニターに目を奪われていると、タキシード姿の男性が話しかけてきた。

 恐らく受け付けや案内役を全うする人だろう。

 ホテルやらによく居る見た目だが、そんな礼儀正しい態度なんて取られると私が困る。

 こういうのあまり慣れてないからさ、砕けた感じの接待に私事的に落ち着く。

 でも立場上、無理だと言われかねないので愛理さん少し頑張ってみる。


「あの、村長さんに会いたくてこちらを訪ねたのですがおられますかね?」

「えぇもちろんですよ。村長さんはただいまご自身の作ったVRゲームを楽しんでおられます」


「ぶ、VR!?」


 もうなんでもありか。

 この世界に来て、私の予想を遥かに覆す要素を次から次へと。今自分で作った? って言ったか。VRを。


 自分で?

 村長さんハイスペック過ぎてわろた。逆にそれ余計気になるんだけど。

 そろそろゲーム成分が欲しくてウズウズしている。


 あ、みなさん。

 私は決してゲーム中毒でそうなっているとかそういうわけじゃないからね? いやガチガチ。


 VRか懐かしい響き。引きこもった当初。

 よく家でネッ友と一緒に、色々他愛の無い話をしながらゲームしていたな。

 FPSゲームにて、仲間の人を誤射でキルした際は「サーセン」と返していたことも。募ることがたくさんあるものだねえ。


「愛理さん、ぶいあーるってなんですか?」


 異世界住民の方から、難しい質問が。

 ここで私が変なこと言えば。

 愛理さんエアプ厨疑惑などかけられるから、そういうのは開発したプログラマーに聞いて頼む。

 簡潔的にどんなものか答えれば大方理解してくれるか。 


「VRっていうのはね、架空空間で遊ぶゲーム……遊戯だよ」


 異世界の住民にとっては未知の言葉だろうな。

 とても頭悩まさせていそう。目を丸くして興味津々にこちらに顔を近づけてくるシホさんは。


「カクウクウカン? よく分かりませんがやってみたいです」


 知らないことにはとことん挑戦する鋼の意志を持ったシホさんに感服。

 拳を引いて、目を光らせたが頭が困惑するどころか。

 逆に彼女の関心力を促進させてしまったようだ。

 興味があることに積極的になることはいいことだし悪くはないかな。


 結構遊ぶこと好きなのかな。

 でも初心者あるあるだけどVR酔いはよくなるって聞くし。


「村長さんでしたら上の階段を上ってすぐ見える大きな両扉の部屋におられますよ」

「ありがとうございます。じゃあシホさんいこっか」


 案内人さんに言われた通り、歩いてすぐあったカーペットの敷かれた階段を上って。

 すぐ見えた大扉へと進む。


「この部屋か」


 部屋前の扉は二次元キャラの彫刻が彫られていた。

 なんで扉まで萌えキャラなんだよ。


「それじゃノックして開けるよ」


 えっとノックは3回だったっけ。

 確か3回が無難だったはず。

 社会人になるみなさん、これぐらい覚えて帰ってくれると愛理さん嬉しいな。


 あ、因みに4回以上だと、お化けが出るぞって意味になるんだとかくだらねえ。

 私はノックして、その重厚感ある大扉の取っ手を掴み思いっきり開けた。


ゴゴゴーン。


「くっそ! ちくしょおおおおおおお! おりりゃああああそこだあああああああ!! 逃げるな逃げるなよ~~~~~~!!」


「…………………………」

「…………………………」


 呆然。

 双方、突然目に映り込んだ人物の様子に言葉を失った。黙々と大きなソファに腰掛けVRゴーグルを掛けながら。

 熱心にゲームする短髪端正のスーツ姿をした男性の姿が。

 なんかゲームでイライラしている様子なんですが、果たして何をしておられるのか。


「あの~」

「くたばれ! ……よしあともうちょっとだ! ……おらあああああ!」


 どこにでもいるような廃人を、見ているような感覚。

 まるで聞こえてないなこれは。

 お取り込み中だし、今日はここでおとなしく帰るか。

 シホさんと相槌を打ち、そのまま引き返そうと背を向けたそのとき。


「くっそおおおおお!! あと一歩だったというのに、さて少し休憩するか…………とおや、お客人か」


 一旦休憩しようと、ゴーグルを取り。

 こちらの方へと振り返ったその男性。そして私達の方へ立ち上がりすぐ向かい立ち合う。

 ……その顔ぶれにどことなく、見覚えがあったそうとても。


 ……。

 ……。

 ……。

 あっ思い出した。


「初めまして愛理です。……こっちは仲間のシホさんです」


 軽く挨拶。

 挨拶は最初が肝心っていうし、これぐらいはちゃんとしないと。


「ふむ、愛理君にシホ君か。よろしく」


 その私達を覆い尽くすぐらい大きいその男性は、手を掴んできて握手してきた。

 案外フレンドリーなキャラ?

 てっきり作法がなってないから出直してこいと、言ってくるような頑固キャラかと思ったがそこまで厳しい人ではないようだ。

 握られた手から凄まじい力が流れてくる。うん、痛い痛い。


「よ、よろしくお願いします」


 少し不安がるシホさん痛いのかな。


「急に申訳ないのですが1ついいですか」


 とりあえず話したいことがあるので問うてみる。

 もしかしたら、私の記憶違い。

 なんてこともあるかもしれないし一応確認として。

 男は手の平を前に出し言い放つ。


「おっと愛理君! かしこまらなくていいぞ。タメでも全然OKだからな」


 結構フレンドリーな人だこれ。

 威勢といいその性格といい、曇り全くなしといった感じなのだが。

 そっちがその気なら躊躇う必要はない。了承がおりたので、それに応じて。

 お言葉に甘えることにしよう。


「じゃあ改めて聞くけど」

「ふむふむ」


 男性は顎に指をあてがい、私の質問を待つ。

 なんか自信満々な様子だから、少し照れくさくも感じたりする。

 まじまじと見んなよ。言いずらいじゃないか。

 あ、はい私チキンですよ認めますよすみませんでしたー!

 気を取り直し。


「あなた、大羽河狂政(おおばかわきょうせい)さんでしょ? 前総理大臣していた」


 変な名前だけど、ペンネームでも異称や愛称でもない、素の名前なんだこれが。

 瞠目して。私の方に目力入れながら見つめると、快活とした様子で私を歓迎する。

 まるでその様子は、古き友人に再会したような喜びに満ちた表情であった。

 うん、大人ってよくわからん。


「おぉ。まさか元いた同じ世界の人がこの世界に転生してきていたとは……正直驚いたぞ」


 まさかの転生前提!? 死んでねえよ。


「いや、私転移で来たんだけど」

「??? 転移? 転生? 前の世界??? 私には何が何だかよくわかりません」


 目を渦巻き状にし、言っていることをよく理解できていないシホさんは放っておいて。


「その通りだ。いやあ知っている人がいて助かったぞ、これでまた毎日が楽しくなるな。はっは!」

 何を前提に話しているんだろうかこの人は。

 ありもしない変な妄想でもしてなにか企んでいるんじゃないか。


……大羽河狂政。

 前私がいた世界で総理大臣を務めていた人物。

 彼は意気込みはよかったものの、あることをしでかして強制辞任させられてしまった。


 そのやらかしたこととは。

 なんと集めた税金を全て全部自身の趣味である、二次元グッズに投資し。たちまちそれを丁度目撃していた政治の人にチクられ。

 後日朝一のニュースにそれが報じられ、様々な騒動のすえに強制辞任を受けた。

 そういうよく分からんあたおかな総理大臣だったのだ。

 昔からオタクグッズを集めるのは、趣味だと聞いていた人が政治でちらほら聞いていた人がいたんだとか。


 辞任後、署に連行されるまでは至らなかったものの。

 行く当てもなくそのまま消息を絶ち、誰一人とてその存在を確認することはできなかったと言う。

 それもまだ20代後半の一端の男性なのにも関わらず。

 どうしてこんなところに、そんな馬鹿なことをしでかしたこの馬鹿総理がいるのだろうか。


「いや、苦労したんだぞ! 総理クビにされるわ。職は失うで散々な目にあってな! はっは!」


 こいつ反省の色全く見えねえんだけど。

 いや心底絶対反省してねえだろ。


「少しは恥じらったらどうなの? 世間のみんなめっちゃ困ってたよ」

「ハハ! ついやってしまうんだ☆」

「「ざけんな!」」


 一声を上げて叫ぶ。

 もうディスっているだろこいつ。

 どこかの赤アフロじゃないんだから、少しは頭下げるべきだろ。

 がっはは笑うんじゃなくてさ。

 正直なところ殴りたい面々があるのだが我慢。……今はね。


 まあ政治のことなんぞ、私にはどうでもいい話だから。

 怒りそのものはこみあげはしないのだが。

 この異世界に来て、反省するよう言われたのかどうか知らないけど。

 街の様子をみれば、そんなこと全くしていないってすぐ分かるわ。


「まあまあ、そんな怒るんじゃない。確かに前の世界では市民の怒りを買うことをしてしまったが、今度は違うだろう?」


 ど・こ・が・だ・よ!!

 色んな意味で神経疑っているから!


「ちゃんと市民の為、街を作り、しまいに都市の街として発展させた。 凄いと思わないか? キリッ」


 お前あれだろ絶対褒めてほしいタイプ。そうにしか見えん。

 かっこつけ決まったと確信する馬鹿総理。いや街作ったのは確かに凄いけどさ。


「「あのさ、異世界に近未来都市なんて合わねえよ!」」

「「何を言う!! これだからお子様はぁ SF未来こそ男のロマン異世界にこういう街の1つや2つ! 合ってもいいだろう!」」


 口喧嘩で言い争い、互いの意見を張り合う。

 して一拍おいたのち。


「まあ作ってしまったのはしょうがないし……。取りあえず経緯ぐらい教えて」

「よかろう」

 大羽河狂政は彼がここまでくる経緯の話を始めた。

(愛理がツッコミ役に回ります)





【調子乗った馬鹿総理は恥知らず】


 あれはな、私がクビされて間もない頃の話だ。


『ふう。職失ったがこれからどうするべきか』


 酒飲みながら新作のギャルゲーを私は、日に日に攻略する毎日を送っていた。


「初っぱなからだめだめじゃねーか」


 それでな、ある日の夜。


『おっと。上がって食事済ませたら、レイコちゃんの隠しルートの攻略をするとしよう』


 食ったらゲームのヒロインの一人である。

 レイコちゃんの隠しルートをしようと、風呂に浸かりながら思いふけっていたのだが。


【私……忘れないよ。だってあなたがあの時『好き』って言ってくれたから】

【もう思い残すことは何もないよ。私がいなくなっても元気でね】


『うぅ……っ。レイコちゃんこんな事って……』


【レイコルート END(隠)完】


 隠しルートを攻略していくのち、涙がこみ上げてきてな。

 咄嗟に嗚咽が。


「すいませーんここに駄目総理がいま〜す。とりあえずどこでもいいのでこの人をハ●ワに向かわせてくださーい!(切実)」

『『うおおおおおおおおおおおお!! レイコちゃあああああああああああん!! いかないでくれええええええええええええええええ!!』』


 悲しさのあまりに私は。

 テレビを無意識に手で揺すってしまい。


「やばい妄想オタクのパターンじゃんこれ」


 ぷつんッ……。

 部屋中の電気類が一斉に消灯した。

 酔い気味な私はそのまま。

 マンションのベランダに出て、手すりに登ってしまい。


「「泥酔とかそういう次元のレベルじゃねえええ!!」」


 足を踏み外して、そのまま私は落ち。


『はあ。願わくばレイコちゃんと幸せになれるENDが見たかった』

「執着心高杉だろ。それで乙ったと」


 ああ。それでこのまま天国行きかなと思ったら。


「お前の行き先決める神様絶対困惑しない!? 大丈夫?」


 急に見知らぬ虚無の空間にいた。

 眼前には見知らぬ人物が現れ。


『あなたは前世で重罪となる騒ぎを立てました。ですがチャンスを与えましょうこれからあなたを送る世界で第二の人生を歩みなさい』


 と。


「送る人だめ! この人送っちゃだめだからろくなこと起きないって!」


 そしてその異世界の恒例行事となる、異世界特典の能力をもらった。

 肝心の能力なんだが。


「こいつは一体、どんな能力をもらったというのか」


 それは不完全な物を作り出す力。

 失敗する度に完成度は高くなり、上品な物に仕上がっていく。

 異世界についてから、手始めにモンスターを何体か作りだした。


(ん? なんか嫌な予感がする)


 始めにRPGによく出てきそうな、モンスターを私の思いつく限り作った。

 その作ったモンスター達は各方向へと私の言うことを聞きもせず、どこかへ行きそしてそのまま繁殖したのか野生化してしまった。


 本当は従者にして。

 戦力を増やそうとしたのだが、上手くいかず失敗してしまったなこれは。


「なに動画でよくある『●●やってみた!』的な動画でも撮っているの?」

(やっぱりそうか、こいつがこの世界にいる厄介なモンスターを作っていた……いや正確には作ってしまったのか。……えじゃ実質黒幕なんじゃ……)


 そして私は次のいくつか街を能力で作りだした。

 当然いくつかは駄作に終わってしまったが。

 数回目でようやくこの私の思い描く、最高の街オタクシティを作り上げたのだ。


「ということは、大抵の街などの建造物はお前が作ったそういうことか」

(ようするに私の持つ能力の劣化版じゃん。とはいえこれはいくらなんでも度が過ぎる)


 オタクシティ設立後、各場所から人々がやってきて。

 やがて人々はこの街が気に入ったせいか、自然と住み着いて今にいたるという訳だな。

(だめだこいつ早くなんとかしないと)


 つまり、私が今まで戦ってきたあの敵。

 大抵この馬鹿総理が作った失敗作ってことなのか。

……人は誰だって失敗する。そこから学び成長し学習していく。

 確かにその理屈は間違ってはいない。

 ただこれは、規模が違い過ぎる大きな失敗だと思うのだが。


「大抵の物やモンスターはお前が作り出した失敗作かよ」

「ああそうだ。まあ元々この世界に物やモンスターが存在しなかったわけではないぞ。……本来あった物やモンスターも当然あった。……まあ私はそのつまりリフォームをしてやったというか。……なんというこうとでしょうあんな少なかった地が賑やかな街が大幅に増えたではありませんか! なーんてな」


 私は拳に力を込め、攻撃態勢を取った。

 馬鹿は馬鹿らしく根本的に1回痛めつけないと分からないと察した。正真正銘の馬鹿だこの野郎。


「あ、愛理さん! どうか落ち着いてください」


 私達が何か喧嘩をしていると、勘違いするシホさんは私の攻撃の止めに入った。

 怖い笑顔でシホさんの方を振り向き言う。


「大丈夫だよシホさん、この馬鹿をぶっ飛ばせばすぐ解決するから」

「愛理君よさぬか! 頼む迷惑かけたのならこの通りだ! だから許してくれ! そうだ……なんでも……君の欲しいものなんでもあげよう……なっな?」


 急に反省の意を示した彼は、その場で土下座をして。

 1つなんでも欲しいものをくれると提案してきた。

 ……ん?

 なんでもかぁ。

 ……悪くはなさそうだし、こういう話にわざと乗ってやるのも悪くないのかも。


「いいよじゃあさ」


 攻撃を止め願いごとを言う。

 なんでもって言われるとなんか困っちゃうな。

 …………そうだ。


「じゃあさ私の好きな小説『幸福な世界の毎日を』の最新巻くれない? 異世界来る前予約はしていたんだけどさ、発売する前にここに来ちゃったからさ」


 うん、学校サボっている期間中予約していた私の大好きな本。

 笑いを堪えられず何周も読み返したものだ。

……余興用の物が1つでもいいから欲しいし、これはいい機会だから彼に創造してもらおうか。

 違法? 著作権、なにそれおいしいの?


「よかろう! お安いご用だあの本私も大好きだからな! ふんむ!」


 そう言うと彼は立ち上がり、手を前に突き出すと何やら念じ始めた。

 数分足らずで私の手元にある物が現れた。


『幸福な世界の毎日を 10』予約していた同じ表紙に1回ペラペラとめくってみたが、飲み込めるちゃんとした内容だった。

 こいつ神かよ。言動はアレだけど、やる時はやるタイプなのかね。


「ふうんやるじゃん」


 少し関心は持てたし、これはこれでいいとしようかな。

 本をもらい満足した私は、しばきたい気持ちが一瞬で消え失せた。


「愛理さん、それなんですか。小さな字が縦列で並んでいますが」

「小説って言うんだよシホさん。結構これ面白いよ」


 私はひとしきり読書する時間にふけ、黙々と読み続けた。

 読み終わり、そろそろお暇しようとした時。


「それじゃそろそろ帰るとするよ。いいか余計なことしでかすんじゃないぞ分かったなじゃあな」


 睨みつけるように馬鹿総理を指差しながら言う。

 だって絶対こう言わないとさ、なにしでかすかわかんないし。

 今の内に伝えるべきかなと思っただけ。


「あぁ待ってくださいよ愛理さん」


 だが、私が立ち去ろうとした瞬間。

 大羽河狂政は呼び止めてきた。


「愛理君、すまない」


 なんぞや。


「ん? なんかようか。金なら出さねえぞ」


 まだなにか話し足りないことでもあるのか。

 しょうもないことなら、この場でぶん殴ってもいいのだが。

 次。彼の発した話の趣旨はとても興味深い内容だった。


「少し頼まれてくれないか。私の作ったダンジョンがあるのだが、問題がおおありでなどうだ」


 と布袋にどっさり詰まった、硬貨の袋を私にみせ話を持ちかける。

 せ、せっこ。

 ならこの話快く受けようじゃないか。こいつ、いつから私の弱点を。

 その音に釣られるがごとく、彼の方へと間合いを詰め即答で。


「話を詳しく教えてくれ!」


 身を乗り出し、彼にとあるダンジョンの話を聞くことにした。

読んでくださりありがとうございます。

今日合計して3日に及ぶ連続投稿ですが、張り切って執筆に専念しております。

ほんと自分でも書いていて思っていたのですが「あぁこいつ頭おかしいな」と自覚した自分がここにいます。彼、狂政は愛理とは違い転生する形での異世界入りをしています。能力は愛理の能力が劣化したくらいの強さですがそれでも愛すべき馬鹿そんな存在に思えてきます。でもやり過ぎは……ねぇ。さて次回愛理達は大羽河狂政からダンジョンの情報を聞き潜り込む予定をしております。

一体どうなる愛理! 異世界生活は始まったばかりだぞ! それでは次回またお会いしましょう

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