13話 うさぎさんと難攻不落なバグだらけダンジョン その1
【何事もバランスって大事だと思う】
ゲームバランス。
やる上でプレイヤーがいつも気に
かけているもの。
あまりにも度が過ぎていると
クソゲー認定されたり、たんびにアンチ
が湧いたりする。
どんなものであろうと
ほどよい調整を念入り行わなければ
不評を買うことになる。
今の状況もそれとよく当てはまり
ほぼ同義語だ。
「それでそのダンジョンは一体どんな感じなの」
して現在。
部屋にある大きいソファに腰掛け、
内容を聞き始めた頃合い。
隣に座っているシホさんは手を擦り
ながら、何か言いたそうな顔を。
「緊張してる感じ?」
「……あぁいえ、そこまでは
でも心配されなくても平気です」
トイレでも行きたいのかな。
「急にダンジョン行く話
になったので、このまま引き受けて
大丈夫なのかと」
耳打ちして。
彼には聞こえない小さな会話。
乗り出したのは私だしな。
意見を聞かず、話しを進めた私にも
責任があるし。
ここはひとつ。
和らげる言葉でもかけてあげよう。
「それなら心配いらないよ。何が
あっても、私がコテンパンに蹴散
らしてあげるから」
理不尽な耐性を持った敵はともかく
どんなやつだろうと、なんとかする
つもり。
言葉の責任は……保証
できないけれどね。
「愛理さんがそういうなら安心ですけど
どんな場所なのか、いささか気にも
なりますが……心配いりません
よね」
「でも本当に大丈夫なの
でしょうか?」
結局心配はほぐれない
みたいだ。
やや不安症なところも目立つ
が。
重ねてくるか。
そんなこと聞かれると、こっちが逆に
不安になってくるからまじで
やめて。
「大丈夫だって」
「本当に本当ですか?」
身を乗り出して顔を近づけ……。
近い近すぎるって。
「全然心配いらないって…………たぶん」
「まあなにがあっても私が守りますよ」
あのシホさん、目の皮がたるんでいる
けれど……大丈夫?
横目になっているけれど、そんな呆
れたような声しないで!
(念入り空腹対策はして……)
満足そうにほっとしたシホさんは、
狂政の方を向き話を聞く。
そのダンジョンが本当に気に
なってしょうがない。
「話はおわったか? では要件を話すぞ」
案外待ってくれるんだなこの人は。
☾ ☾ ☾
【戦力補充は必要不可欠】
「実は前に作ったダンジョンがあってな」
前に作ったダンジョン?
そんな場所がこの一帯にあったんだな。
RPGでは鉄板中の鉄板だが、密かに
作っていたなんて……。
ずるいぞ、それならそうと早く言えよ。
「一番最初あたりに、私が作った、
世界一鬼畜なダンジョンがあるんだが
わりとそれが問題だらけでな」
「ふーんそうなんや…………って今なんて?」
さらっと鬼畜ダンジョンという
ワードが出てきたぞ?
総理さんバランス大丈夫⁉
もう言っていることからして、
既にやばく感じれるこれなに?
おおかた想像できるのだが。いや
理解したくない。
どうせ、ろくでもない話に
きまっている。
「ん、んで、中がどうなってんの?」
若干動揺。
「内部に入ると、本来上層にいかないとない
ギミックや強力なモンスターが
うじゃうじゃでてきてな」
それなんていうバグゲーですか?
でもとりあえず、優秀なプログラマー
でも雇おうぜ。
求職者くるかは知らないけれど。
「問題を解決させようと、何人か私の部下を
向かわせたが、難しすぎて奥には
辿り着けなかった」
「う、ウソだろ。どんなダンジョンだよ」
あぁ。テストプレイやらずに
作ったやつだこれ。
他人が潜っても攻略できない
とかどんな難易度設定ですかそれ⁉
あまりにも鬼畜要素が高いのなら
覚悟しなくては。
でもバランス! バランスは大事でしょ
総理ぃい。
「ちゃんと作る時確認できな
かったの?」
「すぐにやってからこそ、面白味
があるだろう? 君ならそれが
わかると思うが」
なんだろう。
わかっている前提で話されるの
超困るんだが。
……で、でも。
「まあたしかに一理ある」
「そこでだ、見た感じ、君には
私にはない強力な力があるとみた‼」
「不思議で強そうなパーカー
ただの飾り物というわけでは
ないのだろう?」
「それはそうだけれど」
シホさんのほうに目をやると
依然として理解できない様子
でいた。
た、助けてくれぇ相棒‼
あとで美味しいおにぎりあげる
から。頼む‼
強いのは確かだけど
そこまで私がなんで強いって
わかったのさ。
まだ戦ってもいないのに。
「ひとつ、そのダンジョンに行って
くれるか? 無論、この報酬はやる
なんとこの中には……
50枚の金貨が入っているぞ!」
いいように物で人を釣るの
うまいなこの人は。
でもここまできたら、引き下がるわけには
いかないでしょ。
乗りかかった船っていうし。
言葉だけでなく、行動にも責任感を
持って行うべきだ。
そうして私は、甘んじ受け入れ。
「いいよやってあげる」
言った途端、
狂政は、私の手を握り大きく
振ってみせると。
「おお本当か、それは助かる君がいれば
百人力だ」
百人じゃなくて数百万人の価値
があると思うよ。私じゃなくてこのパーカーは。
はいはいうさぎさんのワンショットキル俺TUEEEE!
伝説が始まるんですね、わかります。
そうと決まれば、すぐ片付けようと
決めた私は。
私は扉の前まで行こうと足を運ぶ。
思い立ったが吉日という、
何かをやろうと心で決めたことはすぐ
やる言葉があるが
私はそうしたまで。
「ちょちょっ愛理君それは早すぎ
なんじゃないか! 自分の力を
過信すぎなんじゃないかね!」
「「いいだろ! 別に減るもんじゃねーし!」」
自分でもこれは図に乗りすぎだと
自覚はあるのだが。
「ふむ、でもこのまま君を無防備に
行かせるわけにはいかん」
すると私の方に近づいてなにかを
しようとする。
ま、まさかナンパか!?
おいやめろ、この小説タグにR18のタグ付
いてないでしょ‼ もしこれ以上なにか
やるというのなら「しばらくお待ちください」
の立て札下ろすからな!
まあ、小説だからそういうのは表現
しづらいけど。ていうかマジで自重
しやがれ!
「お、お前! まさか私にハレンチな
ことをしようと考えているんじゃあ
ないのか!? 言っておくが私に
薄い本の展開なんてないと思いやがれ!」
と一瞬疑った私だったがポロリ。
何かを手渡してきた。
軽やかで手の平サイズに収まる
大きさの物が。
長方形型の物体。
表面には覚えのある液晶画面。
これって。
「スマホ?」
「ああそうだ、私が作ったスマホだ
もちろん、失敗作ではない
……ちゃんと動作する」
そのスマホらしい物体は。
私がよくみるタイプの、均等に整えら
れた端末だった。
形も私がいた世界にあった物と大して
差はない。
完全にうり二つな見た目。
誰がどう見ても、正真正銘スマホじゃあ
ないかこれ。
再現度高すぎ。
「連絡手段がなかったら不便だろ?
だからこれを手渡しておく」
肝心の操作性ってどうなんだろう。
「でもこれってどうやって動かすの?
電気はおろか、SIMカードもない
んじゃあ無理でしょ」
県外などの被害だけは絶対避けたい。
いざという時に読み込み中
なんてことはイヤだし。
「心配はいらん、全て魔力を注入すれば
その機能を十分担うことができるぞ」
魔力使えるんかい‼︎
有能スマホすぎてわろた。
それを聞いてやはりこいつ
凄いなと思う。大統領さん
スペック高杉っす!
でもこういうのに頭は回るのに、
なぜ前の世界では、この知識を
別の形で有効活用できなかったのか。
あ、でも
持つよりできれば……。
「でも私持つより付ける派
なんだけどできる?」
パーカーに内蔵してくれる
よう頼み込む。
ダメ元で言ってみたが。
可能だろうか。
「では愛理君、君のそのパーカー
のことを話してくれたら
それに応じた力をあげよう」
できるんかい! ふぅ、やったぜ。
かくして私はこの私が着ている
うさ耳パーカーの秘密を。
シホさんに聞こえない声で
晒し説明した。
ばれたらばれたらで
なにかと言われそうだし。
一通り説明してあげると
頷いてくる。
すると私に向けて、手を差し出し。
「ふむなるほどな。よしわかった。はっ」
私の着ているパーカーが
煌めきだす。
光が収まると、なんだか体中から
凄まじい力が。
なにか変わったのか。
見た目は変化なしだが湧き上がる
力の存在を五感で認知できた。
「通話機能を追加しておいたぞ。これで念じた相手と通信をいつでも取ることが可能だ。……ついでに」
「ついでに?」
「ラビットボックスという
物を付けておいた、それはいわゆる
無限に収納できる収納箱だ。
メニューを開けばすぐでて来るはずだ」
【ラビットボックス(無限ボックス)
が使用可能になりました】
メッセージウィンドウが
現れたので早速メニューを開いてみた。
そこにはBAGという項目が。
開くと、空白が多くある画面が
現れた。
右下には0/∞と表示された数字が。
ガチで無限に収納するボックス
みたいだな。
序盤に入手できるアイテム
としてはアドが高すぎるんじゃ。
上限ないとかぶっ壊れなのは
まあ、能力使ってくれたんだ。
ありがたく貰っておこう。
「その中に入れた物は、
時間が停止し、時間経過の影響を
一切受けないぞ」
えそれやばくない。
単に収納するだけじゃないとか、
バッグのくせに生意気だぞ!
生肉の保存に最適じゃあないか。
「つまりチンしたグラタンを
入れれば常時保温状態になる
というわけだな」
グラタンどこから出てきたんだよ。
「なぜにグラタン?
因みに私はドリア派だから
そこんとこよろしく」
「私はエビとマカロニ大好き
なんだがな」
「「おめぇは子どもか‼」」
例えが草。
「それはそれでありがたいね。ありがとう」
「ところでシホ君、君も少しいいかな?」
「はっはい!?」
ぴくりと反応したシホさんは
彼の方に近づいて。
また手を振りかざし、何かの力を
彼女に与えた。
「こ、これは?」
「全体的に能力を上げておいた。これで
これから出会う敵とある程度
渡り合えるはずだ」
空腹はともかく、それ以外の能力に
関してはこのお方ハイスペック
なんですが。
でもちょっとした、餞別品
をもらえたし、よかったねシホさん。
本人もにこにこしながら嬉しそう
にしているし。
「えへへ。ありがとうございます」
あそうだ。
「シホさん、これあげるよ」
私が先ほどもらった
スマホを彼女に手渡す。
「これなんですか? 見たことないものですが」
「それはスマホっていうんだよ」
「連絡する魔道具って言えば
わかりやすいかな。使い方は
狂政から聞いて」
異世界の住民にスマホが使える
だろうか。
田舎のおばあちゃんに渡す
ような気分だ。うまくいくかな。
そう言うと狂政は
そのスマホの使い方を分かりやすく
丁寧に教え。
シホさんは数分足らずで
すぐ覚えたのだった。
覚えるのはっや。
「なるほど、便利ですね
ありがとうございます」
ちなみにそのスマホは。
所持者が使う言葉によって、
言葉が自動翻訳されるみたい。
持つ人が困らず使用できる
品物らしい。
どこかのクソガバガバ翻訳サイト
みたいに、曖昧なはたまた
支離滅裂な翻訳にはならない
のでご安心を。
「うむ、有効活用してくれるといい。
ちなみに一部地域限定だがネットも
使えるぞ」
ふと私は敏感に彼の方を振り向き。
「マジで!?」
「うむ、と言ってもここ一帯だけだがな。
独自のサーバーを作りに苦労した」
なんでもありだなこいつは。
「愛理君も欲しいのか? 物欲しそうな
目をしているが」
しまった。欲求のあまりに顔に出たか。
不覚だ。
「ああいや、でも改めて
考えてみたらさ。そうしたらなんか
つまんなくなりそうだなって。
だから今はいいかな」
本当は私、めっちゃネットやりたい
気持ちで一杯です。
だが今は我慢。
とりあえず今は通信機能があれば
いいかな。
最低限でヨシ!
「じゃあ明日そのダンジョンに
向かうとするよ」
こうして今日はもう遅いので、
街にあった宿屋。
ホテルに一泊し、明日目的
のダンジョンへ向かうことにした。
でも。
~♪
~♪
「がぁ! 寝れねえ‼」
布団から起き。
寝ていても騒音が。
やたらと耳に響いてきたので、
なかなか心地よい快眠
は取ることはできなかった。
外から聞こえてくる
騒々しいBGMが私の睡眠を
邪魔する。
BGM自重しやがれ。うるせえ。
そんな長い夜を乗り越えた翌日。
~翌日~
言われた場所へとやってきた。
場所はこの街より、少し進んだ
場所にそびえ立つ山だった。
「やたらと高い山ですね」
頂上には黒雲が渦巻いていた。
この高くそびえ立つ
いかにも攻略難易度が高めな
ダンジョン。
──してその名は。
バグ・マウンテン。
おかしな名前ではあるが。
目的を果たすため中へと潜った。
(つーかもうちょっと
マシな名前他にあっただろ絶対)
補足として、アプリの機能は
まだ未実装です




