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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第8章 うさぎさんの大きな山場
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121話 うさぎさんモンスター狩りのバイト手伝います

【運ゲーはゲームの神様のみぞ知る】


 モンスター狩りは続く。

 サオさんの強敵感知センサーに導かれながら、力の出す限り奮闘する。

 して気づいたことが1点。


【一撃斬刀流 種類:剣 説明:縫い針と剣を合わせたような見た目をしている剣。攻撃力は差ほど高くないが、使用者に応じて、運が向上する】


 運ってなんぞや。

 そんなパラメーターの表示なかったよ。……よくある隠しステータスってやつか。

 どこかのゲームではレベルが上がるにつれて、会心率が上がるとかいうぶっ飛んだキャラもいたけど、この世界の運がどういう役割を担うかは謎だな。

 一応、先ほどサオさんが使った技もチェックしておこう。


 解析がすぐおわり、サオさんの使用した技の詳細が表示された。


【技:閃疾速斬 威力? 命中率10~ 解説 一定確率で敵を一撃で倒せる大技。耐性無視の攻撃。ただし一定確率でミスしてしまうため、運などを予め上げておく必要がある】


 いや運ゲーええええええええええええ技かよおおおおおおおおおおおおお!???

 素人が扱える技じゃねええええええええ!!

 こんなあたかも玄人向けな大技誰が使うねん。


【AI 因みに精神を集中させるため、その場で待機モードになることで確率はぐーんと上がる模様です】


 お、おうふ。

 大体把握した。なんで彼女があの技を使う際身動きをあまりとらないのかと。……それは単純に

確率をあげるためだと思われる。

 よくこんな技でモンスターを倒せてきたものだと私は感心した。

 えぇとなにかの縛りプレイでもやっているのサオさん? 動画でよくあるような【●●縛りプレイ】みたいな感じでやっている実況者やゲーマーにしか見えないのだが。


 そして現在、再び出くわした大敵(巨大な魔神モンスター)を相手にその構えを再びとっていた。


「一寸剣術……閃疾速斬!」


 仕留めた。

 と思ったのもつかの間。


「………………………………あれ?」


 魔神を仕留めたと思いきや手応えがなく。


「あ、やっちゃいました。……ときどき攻撃が通らないことがあるんですよ」

「うごおおおおおおおおお!」


 運悪く確率の抽選に落ちてしまい、攻撃を外してしまうサオさん。

 やばい感じで少々汗を垂れ流す彼女だったが。


「ねえ愛理サオさんまた剣を……今度は前に突き出しているわよ?」

「ほんとだ。……さ、サオさん大丈夫かなぁ」


 魔神のモンスターの矛先は完全にサオさんに向いていた。よって私達の姿は敵には眼中にないようで敵はサオさん一点に絞られていた。

 仕方ないのでここは見物。


 襲いかかる魔神のモンスターはサオさんに向かって大きな鈍器を振り下ろそうと彼女へ猛突進。

 あ、あぶなくね!?

 距離が縮まり、彼女と魔神の間はゼロ距離となる。して魔神は彼女の位置を捉えその鈍器を振り下ろし攻撃。


「……! 今です 竹篦返(しっぺがえ)しの舞!」


 反射的に魔神の攻撃は跳ね返され、サオさんの一瞬の隙を突いた剣の一撃が放たれる。……魔神はその急所に耐えきれず巨大な体躯にも関わらず、その場に倒れ込み力尽きる。

 まさかのカウンター技か。


【技:竹篦返しの舞 威力? 命中率- 敵が攻撃してきたとき使える技。敵の攻撃を弾いて受けるはずだった攻撃の倍のダメージを相手に与えるカウンター技。ただしゼロ距離の場合しかこの技は使えない】


 近距離専用のカウンター技か。というかなんでこんな危険な技ばかり使うんだろう。

 戦闘が終わったので、サオさんの方に近づき聞いてみる。


「ねえサオさん1ついい?」

「なんでしょう?」

「どうして、サオさんってそういう危険な技ばかり……使うわけ?」

「いやどうしてと聞かれても」


 な、なにさぁ。ふざけるのはよしてくれみたいなその顔は。

 一拍おいて彼女は答える。


「ほら、一撃ってロマンがあるじゃないですか。決まったらかっこいいなと。……まともに普通の技使えませんし、私にとっては願ったり叶ったりだったので基本これを自分の技として使っておりますが」

「さ、サオさん、あなた相当な上級者だね」


 普通の技から専用の技をばりばり使える、シホさんを真逆にしたような存在のサオさん。

 どうやらシホさんの一家である長女は、一撃必殺に強い関心を抱いている模様。


☾ ☾ ☾


 それからというものの、スムーズにモンスター狩りは行われた。


「あ、サオさん危ない! ラビットパンチ!」

「助かりましたよ愛理さん」


 時折ピンチに陥ったときは私が横に入るように敵に攻撃を食らわせてやった。

 スーちゃんやミヤリーも、後ろから私をサポートするように援護を行い、モンスター狩りは着々と進んだのである。


 して。


「これで1000体目です!」


 いつものように彼女の必殺技(運ゲー要素技)を使い、ついに最後の1匹目を一撃必殺技で。


「はああああああああああ!」


 で。


「あああああああああああああぁ!!」


 でぇ?


「あぁああああああああああああああ!!」


 グサリ!


 当たるかどうか怪しいところだったので、確信が持てなかったが今度はちゃんと当たりました。……剣の斬り裂く音が木霊し、巨大モンスターはその場に伏せ、ようやく1000体目のモンスター討伐を成し遂げるのだった。


☾ ☾ ☾


 歩き始めてから大体2時間。夕日が静まりかけで辺りもだいぶ暗くなっていたので近くにあった開けた緑地へと向かい。


「ふぅこれでようやく片付きましたね」

「は、はぁ疲れた」


 ぺたんと体中の力を抜くようにして地面に座り込む私。

 あぁもうダメ疲れた。サオさんの動きが速いのもそうだけど愛理さんそろそろ空腹がやばいです。


「……愛理さん、もうちょっとですから立ちましょうよ」

「うん、分かってるけどバテるめっちゃバテる」


 弱音を吐いていると。

 まさか私にもう一働きするよう言ってくるんじゃ。いやいや殺す気か! 軽い運動以外断固拒否するぞ私は!!


「無理に付き合わせてしまってすみません。拠点までは長くなりそうですし、今日はここで泊まりませんか? ……実は予備用の食料がありましてね」


 どこから取り出したのかはしらないが、彼女の手からは美味しそうな鮮度の良い食材が。肉、野菜など色々。

 く、食わせてくれ。


「それ早く言って。今はもう1歩も動きたくない気分。明日に村に帰るとして、今日はここで泊まろうかな」

「私は大賛成よ」

「こくりこくり」


 2人も私の意見に賛成してくれた。


「では今日はここで野宿するとして、夕ご飯作りますね」


 辺りに散らばっていた、木の枝を集め焚き火を作り。そしてスーちゃんが火の魔法で彼女の調理を手伝う。……日没後の夜。

 真っ暗な森の中、焚き火が燃えさかる一方、夕食をとりながら私達は会話する。


「あのサオさん。真っ暗だけど、危険モンスターとか出ないよね?」

「大丈夫です、(これ)使えばなんとかなりますので」

「そ、そだね」


 自分の身は自分で守るとかそう言う意味だろうか。

 まあ私達の実力は確かなものだし、脅威っていうほどの危険性が発生するとは考え難い。


「ねぇサオさん、寝る前にちょっと話してから寝ない? 私サオさんと話したいことあるし」

「……ミヤリーさんに同意します。シホさんのお姉さんですからね。姉妹にまつわる面白い話をお願いします」

「あ……あの? ……仕方ないですねちょっとだけですよ」


 みんながサオさんの話を聞きたがったので、私も間に入り聞こうとする。

 それに気になるな。姉妹だけしか知らないシホさんの話とやらも。

 別に深く詮索するわけじゃないけど、村ではシホさんどんな暮らししていたんだろうと気になったりする。


「私も少し聞こうかな。できればシホさんに関する話があるとありがたい。…………最近彼女と話せてなくて私達ちょっと寂しくてね」


 2人の方を見ると、眉をひそめている様子がうかがえた。

 そうだよね、やっぱり寂しいよねだってシホさんは私達の大切な仲間だもん。

 すると、サオさんは顔を綻ばせ胸を張って言う。


「いいですよ。私の知っている限りのシホに関する……私達姉妹のお話であれば」


 寝る前の一興を私は過ごすのだった。

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