表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第7章 うさぎさん達、外海旅行に赴きます
123/274

番外編 うさぎさん、仮想空間に入る? その5

【時にモンスターってガバガバなやつ出てくるけどな】


 コンティニューして再トライ。

 3人となったパーティで平地を彷徨う。自分の体がドット化しているのが少々不慣れだがこれはゲームの仕様上仕方のないことだから我慢。

 改めて道具の一覧から武器をみんなで確認する。


「あ、さきほと゛のふ゛きをかくにんするんて゛すか?」

「うん、とりあえす゛せいのうをかくにんしておきたくてさ」

「……たしかにつよさをねんいりかくにんしておくのはた゛いし゛て゛すからね」


 スーちゃんがなんか熟練のゲーマーみたいな口調で悠長に話してくる。彼女も狂政に大方の説明は受けたんだろうけど、短時間でゲームの内容を網羅してしまうとは末恐ろしく感じる。

 印象的には普通にゲーセンに沸いていそうなゲーマー達と同等な慣れっぷり。……本当にスーちゃん異世界の住人なのかと疑いたくなる感じであった。

 因みに狂政は大方のことは説明したらしいので、ここからは自分でやれ的なノリで言われた。


 まあいつまでもサポートに回られるとこちらとしては過保護にも感じる。

 でも危険な時は説明を入れてくれるらしいので、完全に現実世界とのリンクが途切れたというわけではないらしい。

 ということは、あいつ私達をモニターか何かを介し私達を監視していることになるんじゃね。……でも安全第一とも言うしあまりそこは詮索しない方がいい気も。


 気を取り直して武器、ダイコンブレードの強さを確認しよう。


【タ゛イコンフ゛レート゛ こうけ゛き+100】


「あいりさん100っていりょくは、さいしょた゛とたかいほうなんて゛すか?」

「うーんそこそこ。ふ゛きにもよるけと゛、し゛ょは゛んた゛とつよいふ゛るいにはいってくるかな」


 作品によっては序盤における攻撃力100なんてぶっ壊れ類いなもの。

 けど、さっきみたいな一振りで村を破壊してしまう威力はまずおかしく思える。

 つまりあれか、よく聞く【取扱注意】みたいなあんな感じか。パンドラの箱のような物を私は手にしちゃったと。……まあ常時一撃必殺よりかはまだマシだし許容範囲だ。


 平地を歩いているとエンカウント。


ピロロロロロロロロォ!


【メンテちゅうがあらわれた!】

【サラマント゛があらわれた!】

【スモックンがあらわれた!】


 なんかまた出てきた。

 メンテちゅうというモンスター。見た目は工場ヘルメットを被ったネズミ。片手にスコップを携えて棒立ちしている見た目だ。……これ明らかに『メンテ中』とネズミのちゅーをかけたネーミングだろ。

 サラマンド(2足歩行のドラゴン)とスモックン(雲のモンスター)は序盤によくいそうな見た目をしており、見た目はそこまでたいして強そうにはみえない。

 むしろ一発で落ちそうな感じだが。


 私が早速コマンドを入れようとすると。


【サラマント゛がいきなりおそいかかってきた!】


ズシン! ズシン! ズシン!


【サラマント゛のこ゛うかのいき! なかませ゛んいんに150ホ°イントのタ゛メーシ゛!】


 ちょおま!

 ただの突進攻撃をしてくるのかと思ったらとんでもない全体ブレスを使ってくるクソみたいなモンスターだった。

 というか人によってはこのモンスタートラウマレベルに達する強モンスターなのでは。火力がおかしいし、100以上のダメージを出してくる敵とか反則だって。

 まあこっちが言えた筋ではないけど。

 ようやくこちらのターンだなと。

 コマンドを打とうとすると。


「……あいりさん! あのモンスターまた゛こうけ゛きおわっていないみたいて゛すよ!」

「えうっそ!?」


 考える間もなしに先ほどのモンスターが攻撃してくる。


【サラマント゛のこ゛うかのいき! なかませ゛んいんに146ホ°イントのタ゛メーシ゛!】


 いやいや。

 雑魚がAI2回行動とかやっちゃダメでしょしかもそれが序盤ときて。

 ようやく番が回ってきて、コマンドが表示され反撃開始。

 最初はシホさん。


「と゛うします?」

「ん、そーた゛ね。あのサラマント゛はすは゛やしっこいからあいつからたおしてよ!」

「りょりょうかいて゛す。ええと」


 ▷たたかう

  わさ゛

  と゛うく゛

  まほう

  にけ゛る


 シホさんがコマンドを入力し始める。

 と。


  たたかう

  わさ゛

  と゛うく゛

  ▷まほう

  にけ゛る


「あ、シホさんそれちか゛うよ」

「え?」


【シホはいまつかえるまほうか゛ない!】

【シホはいまつかえるまほうか゛ない!】

【シホはいまつかえるまほうか゛ない!】

【シホはいまつかえるまほうか゛ない!】

【シホはいまつかえるまほうか゛ない!】


 何度も何度も魔法をバグ技でも試すような勢いで連打してばかりいた。

 あそういえばクレーンゲームの時も不器用な感じしていたよな。……もしかしてそれこのゲームでも言えることなのでは。

 にしたらやばくね。私が丁寧に教えてあげなくては。


「シホさんいちは゛んうえ!いちは゛んうえ!」

「うえて゛すか……えぇと」


  たたかう

  わさ゛

 ▷ と゛うく゛

  まほう

  にけ゛る


 道具の画面が開く。


「ってそれちか゛うよおおおおおおおおおおお! そこはと゛うく゛! もと゛って!」

「…………もと゛るときってと゛うするんて゛すっけ? すみませんいまた゛にこういうのうと()くって」

「……まさかシホさんか゛こんなにもこういうケ゛ームか゛にか゛てなんて」

「あぁもう!(したうち) きょうせいか゛いったて゛しょ! したにかいてあるハ゛ツホ゛タンをおすんた゛よ!」


 ▷ たたかう

  わさ゛

  と゛うく゛

  まほう

  にけ゛る


 ようやくその戦うコマンドを押してシホさんの入力は完了。

 次は私。


  ▷たたかう

  わさ゛

  と゛うく゛

  まほう

  にけ゛る


 戦うコマンドを押してサラマンドに攻撃をする。

 他の相手も注意深く見る必要があるがまずは強そうなヤツから倒すのが一番。

 と次はスーちゃんの番だったな。

 さて彼女は………………って。あれ。

 彼女の番はなぜか来ず、戦闘処理に入る。


「シホのこうけ゛き! サラマント゛に350ポイントのタ゛メーシ゛!」


 火力高! これで1レベなんだぜ? まだレベリングも行っていないというのに。それでもサラマンドは立ち尽くし一向に倒れやしない。

 次。

 私の番が回ってきて、サラマンドに攻撃。


【あいりのこうけ゛き! サラマント゛に250ホ°イントのタ゛メーシ゛! ……サラマント゛は倒れた】


 サラマンドが倒れる。やっとか。

 なんだこの長い1ターンは。


【スモックンのこうけ゛き! ステシアに50ポイントのタ゛メーシ゛!】


「……あ、あのちょっときけんなんて゛すか゛」

「え」


【メンテちゅうはと゛ろをかけてきた。……シホは5タ゛メーシ゛をうけた】


 か、硬!

 ゲームでも期待を裏切らないこの高耐久力を持つシホさん。腹ぺこの概念もないみたいだし彼女は心配する必要はなさそうな感じだね。

 おっと次は問題のスーちゃんだ。


【………………ステシアはしひ゛れてうこ゛けない】


 ちょ。


「ちなみにあとHP170ほと゛て゛す」

「やは゛し゛ゃん」

「……はいひし゛ょうにヒ°ンチて゛す」


 どうやらあのブレスは追加効果でしびれになる仕様だった模様。確率がどれくらいなのかはしらないが、運悪くその乱数を彼女は引いてしまったらしい。

 く、クソ過ぎる。

 ひとまずみんなで協力して残り2匹と戦い。


【まもののむれをやっつけた! せ゛んいんに80ホ°イントのけいけんちをてにいれた!】


 あれで80かい。これはメタル系を狩らなきゃだめっぽいか?

 テストプレイ段階でいるかは分からんが、もし出てきたら徹底的に倒そう。

 戦闘終了後、スーちゃんに買ったやくそうを使い。


【ステシアのHPがはんふ゛んかいふくした!】

【ステシアのHPがはんふ゛んかいふくした!】

【ステシアのHPがはんふ゛んかいふくした!】


 全回。意外と少なめな数値であったためそこまで消費することはなかった。

 他のエンカウントするモンスターの平地を突き進み、死者がでることなく次の街……というか城の前に到着する。


「しろし゛ゃないて゛すかこれ」

「……そうて゛すね。てもちもたいふ゛たまってきましたしここて゛いっきにふ゛きをかったりしてきょうかしましょ」

「お、そうた゛ね、し゛ゃあはいろっか」


【現在所持金 1550G】


 城のある街へと入ると、大きな通りのある街へとでた。

 NPCがあちこち歩き回り、少々挙動不審にも見えるが。……仲間と話し合い城の内部へ。

 入国みたいな審査はなく、サクサクと前へと進めた。

 最上階へと進むとこの国の王様が玉座に腰かけ、私達をひたすら待ち続ける様子で鎮座。


「おうさまし゛ゃないて゛すか? ちょっとなやんて゛いるのて゛はきいてみましょう」


 北を押して話しかける。


「おぉよくそ゛きたあいりよ」


 なんでお前私の名前知ってんの。ストーカーですか変態ですか。……まあどっちでもいいやこれも仕様上だから仕方なしに流す。


「このくによりみなみにちいさなと゛うくつか゛ある。そこにきょうあくなまものか゛おってみんなきょうふしておるのた゛。すまぬか゛たいし゛してはくれぬか」


▷はい

いいえ


「……もちろんここは『はい』て゛すよね」

「いや、やらないとた゛めて゛しょ。し゛ゃないとあそこえいえんとさまようはめになりそうた゛し」


 はいを押す。


「て゛はたのんた゛そ゛あいりよ。……ついて゛におまえにふっかつのし゛ゅもんをおしえよう」


 まさかこのふっかつのじゅもんをこの目で拝む日がくるとは。


「おぺなからしなはやあふぁらないきてらちーはらまらきさたててておしなあなっさああたらさららられおす……」


 なげえ。

 王様の長い呪文を教えてもらい私達は言われたとおりに、その洞窟へと向かった。

 と、何か大事なことを忘れている気が。

 ……ま、いっか。歩いていればそのうち思い出すでしょ。

 国を出て、街の南側へと向かう。……その道中。


「あれ、なにかありますよ」

「……かんおけて゛すね。……もしやこれはあいりさん?」

「…………すまん、そんさ゛いわすれていたわ」


 目の前に現れたのはどこか見覚えのある色と模様がある棺桶。

 それは明らかにいつも死にまくっているどこかのMさん。……ていうかここまでにお前声だけの出演とかなに天の声気分になっているんだよ。まあ忘れていた私も悪くはあるんだが。

 その棺桶に私は話しかけ。


「……ミヤリーて゛しょ? どったのなんて゛またしんて゛いるのさ」

「そのこえはあいり……! やっとなの? やっときたわねいいからふっかつさせなさい」


 ゲームの中でもそのワンパターンなんだね。

 ったく場所問わず迷惑かけっぱなやつめ。


「……ちょっとまってくた゛さいね。…………そせいし゛ゅもんか゛つかえる……ミヤリーさんいまふっかつさせますね」


 国に向かう途中、私達のレベルは8まで上がった。

 先ほど寄っていた村に往復しては寝て、出て戦闘、また村に戻って…………の繰り返し、RPGでよくあるやり方でレベリングを行ったが苦労し続けて(途中でスーちゃんが5回くらい死んだ)蘇生呪文を覚えてくれた。

 なのでこれで多少はパーティ崩壊は避けられる。

 最初に蘇生呪文覚えるのはおかしいとかそういうのはなしで。


「…………」


\トゥルルルルルルルル~♪/


 スーちゃんは呪文を唱え始め、ミヤリーの蘇生を試みるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ