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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第7章 うさぎさん達、外海旅行に赴きます
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98話 うさぎさん達、スパム団のボスしばきます その1

【人助けにお金の必要性あるか? どうせならアイテム類がいいんですけど】


 村に奪われた硬貨を返上し、村人達には偽物のムゲンダイセキについて説明した。

 最初はスパム団の手先とか言われたけど、仲間のフォローもあって話を上手く通すことができた。 私達は村の人達全員に感謝され今ちょうどその一仕事がおわったところ。

 おぉあぶねあぶね、変なレッテルを貼られるのは非常に不本意だな。


 村の村長さんの家へ赴くとわざわざ私達にお礼を述べ頭を下げてきた。

 一応この街の危機を救ったことになるのかな。深々と往復するようにやっているけど、どう言葉を返せばいいのやら。


「本当にありがとうございました。村長としてお礼を申し上げます」

「いえいえ大したことないですよ。全ては彼女……愛理さんのお陰ですから」


 シホさん、積極的に私を褒めるのはいいけどさ少しは私のことも考えて欲しいな。とても恥ずかしがり屋なんでこういう場面は非常に顔を出しにくい。

 若干彼女の方にすがりながら、村長さんを見る。……非常に真剣な眼差しを送っておられる。ちょいと照れくさい。

 まあ冒険する上でこれから幾度も同じ場面に出くわすと思う。なので今のうちにここは慣らしておくべきか。でも今だけは他の仲間には言いたくないけど、彼女に甘えたい情けない自分がここにいる。


「あぁいいっすよ、大したことじゃありませんし」

「いえいえうさぎ殿、これはほんのお礼ですお受け取りください」


【愛理は金貨100枚もらった!】


 いや手助けしただけでこんなにいらないよ。常人なら口からヨダレが出るかもしれないが困るよこの量は。

 金銭感覚狂いそうだなこれ。

 手に取った大量の金貨を片手に私は困り果てた表情で答え。


「あのすみません、こんなにいいっすよ。本当に感謝されるぐらいのことしてませんので」

「さ、さようで? …………ならこれでどうですか」


 村の一件はそれで終了し、スパム団のアジトへといち早く足を進めた。

 因みに報酬としてもらったのは、村で必死に育てたという作物の数々だった。……まあこれくらいだったらもらう気になるからその場はよしとした。うん、これが一番だと思う。


☾ ☾ ☾


【物語進めていく内に久々に、序盤のモンスター倒しに行くと敵がとても非常に弱く感じることあると思う】


 村を後にしいよいよ本題のスパム団のアジトへ。

 村の外れ辺りにそれらしいアジトのある洞窟を発見する。


 入り口には照明が両隣に2つ。警備はしてないようだが明らかに無人の洞窟とは言い難い場所。

 みんなに合図をまた出しながら1箇所ずつ丁寧に進む。

 内装は財宝らしき金目のものが多く、あちらこちらと金が散乱していた。すげぇ眩しい。


「すげえ眩しいですね。スパム団のアジト、高そうな宝石の付いたネックレスが山ほどあるじゃねえですか」

「……それは盗賊ですから当然のことですよ。金を取れない盗賊なんているわけないでしょう」

「その通りですねスーちゃん。愛理さん大丈夫ですかね」

「愛理さんなら大丈夫だと思いますよ、盗賊のボスかなんか分かりませんけど愛理さんなら平気ですよきっと」


 平気もクソもあるか。

 セキュリティ滅茶苦茶ガバガバじゃあねえか。待ち伏せしているやつも居やしない。……途上重量感ある宝箱を見つけラッキーと意気込んでそれを開けようとしたが……鍵が掛かっていた。

 おい、こういうのにはちゃんとして警備はしないってどういうことだよ。この世界にも大人の事情でもあるのだろうか。


「そうね愛理、ちゃっちゃと盗賊なんて倒してグリモアに帰るわよ」

「RTAの如く早々とおわらせてやろう」


 アジトを片っ端から駆け回り、ボスの住む部屋を探す。

 湾曲となった数々の道。モンスターはほとんどいないけど、それは言わば小さな迷宮。ダンジョン並ではないけど、同じような道がこれでもかというほどに永遠と続いていた。あぁめんどくせ。


 どうせ大したヤツはいなさそうだから、ここは剛力がいいだろうとストロングへとチェンジ。多少加減ができるくらいに調整させといて、奥へと進む。


「なんか同じような道たくさんない愛理?」

「確かにそうだよね、そっくりそのまんまで整えている感じがするな」

「……愛理さんいっそのこと、その大きな金槌で強行突破した方がいいのでは?」

「え、愛理さんの持つその金槌ってすげえ武器なんですか⁉」


 まあそんな慌てなさんなお二人共。

 言われてみれば、このままでは埒があかない。考えて正当ルートを見出すのも1つの手ではあるが、今は夜中。いい子はもうお休みの就寝時間である。

 なのでここはこのラビット・ハンマーで無理矢理ドリルさながらこじ開け、道を作ることにした。


 ドスン! ドスン! ドスン!


 壁は地響きを慣らしながら崩れ落ち、穴を開けていく。先ほどより場所の目印が穴により出来ているので分かりやすい。

 躊躇いなく壁を破壊しながら直線上の道を進んでいると、ひとつの部屋に出る。

 そこには控えるスパム団の手下共が、蟻集を作りながら集まっていた。どうやら休憩ペースだった模様。


「へへ! ほうお前がうさぎかぁ。噂通りふざけた格好だが本当にお前強いのかぁ?」


 2人のスパム団手下が出てきて、私をバカにしてくる。

 それに便乗し後ろのスパムの手下も私を指差しながら、笑ってくる。こらやめろクラスでひとりだけ浮いている学生みたいになるからまじでやめなさい。


 知りもしないでぬけぬけと。私はスピードを落とさずそのまま走りながら。


「ストロング・ラビットパンチ」

「ぐは!」

「ぐほ!」


 ハンマーだと素早さが落ちてしまうので、パンチで踏み台にした。案の定敵はワンパンで沈みなすすべもなく地面へとうつ伏せに。


「あの二人を踏み台に? なんて高いジャンプ力だ」

「すんませーん、足をすくわれまっせ。……どらどらどら!」


 手下共に少しマジレスをし、私はそいつらの頭を振り向くのを拍子に拳で向かえうつ。

 後ろで仲間も応戦する一方で手下共は為す術なくしてその場に倒れる。


「は、よわ」


 それから幾度もスパム団手下に囲まれるが。

 四方、数人にも及ぶスパム団に襲われた際は。


「ふん、こっちは50人お前らは5人。さすがにここまでだろう」

「うっせえな。だからうさぎ舐めんなって! そんな死亡フラグを立てるヤツには痛い目に遭わせないといけないみたいだな。あぁ⁉」


 立ち止まりストロングの武器、ラビット・ハンマーを大いに天井を仰ぎながら振り回し始める。豪快にブーメランのように外周目がけて投げると、ラビット・ハンマーは凄まじい速度で回転し敵を倒していく。

 なにこの無双ゲー。


「ローリング・ラビット・スマッシュ」

「ば、ばかなぁ! ……あのうさぎなんであんなに強いんだ」


 なんかごめんな強すぎて。

 アンコちゃんがその私の豪快な攻撃を見て。


「す、すげえ。あのスパム団を一瞬で! それにまた服の色が変わりましたが、その服にどんな隠し能力がついているんですか?」


 せめてくるねぇアンコちゃん。もう少し自重して欲しい感はある。ほら例のネタバレ厳禁ってやつ。異世界の人にこういうのを露見しても、ちんぷんかんぷんだと思う。正直私にもまだしらないパーカーの機能があるみたいだし、全てを説明しろって言われてもそれは無理と答えるのがこの愛理さんだ。


「……アンコさんやめましょうよ」

「な、なんでですか!?」

「愛理はいつもこう言ってるわ『これを口にすると爆発するんだぜ』って」


 誰がいつそんな馬鹿げたこと教えたんだよ!? そんなオチ私一切教えてねえぞ。

 信じちゃだめ、だめだからねアンコちゃん‼

 変なお前の創作設定を勝手に追加すんな。今度もしそんなこと言ったらこいつをラビットパンチ1発の刑にしてやろうかな。どうせHP1残るし平気でしょ。


「いえ、ミヤリーさん愛理さんはそんなこと一言も言ってないと思いますが」

「あ、あらそう?」

「……とりあえずアンコさん、そういうのは愛理さんっぽく言うのなら『これは大人の事情だから言わないお約束』です」

「? どういうことか分かりませんが、控えた方がいいってことですかねそれ」


 なんかスーちゃんだいぶ私の性格が感染していってないか。白きツッコミの魔法使いステシア……なんて言われそう。いやスーちゃん私みたいにならないで頼むから。

 こういうときに"よい子はまねしないでね"とか言った方がいいような。でも説明挟むのもあれだし今回は遠慮しとく。


「アンコちゃん、秘密という物はあまり他の人にはあんまり晒さないほうが身のためだよ?」

「了解ですよ」


 アンコちゃんが私のパーカーの秘密を聞かずに済むと、私達は足を再び走らせた。


☾ ☾ ☾


「よくきたな……ほうお前がうさぎか」

「名前呼びするなら愛理って呼んでよ。それが私の本名なんですけどぉ?」


 1時間も経たないうちにボスの部屋へと入った。

 しかもあっさり、鍵も何もなし扉はおろか目に入ったときから、そのボスの姿を視認できた。いやパンツのチャック全開みたいなことすんなちゃんとドアぐらいつけておけ。


 ご丁寧なことに敵さんは身を隠さず、堂々と私を待つ様子でその場に居立つ。

 ボスの立ち場ってこういうのがお約束だよね。……というか何分待っていたんだこの人。

 話は逸れるけど、RPGで主人公達を待つダンジョンのボスってどんな気持ちで待っているんだろうか。暇そうで鼻ほじってたり……いやそれはないか。


 見た目は筋肉質な男で、体にはチャラい金のアクセサリーを至るところに付けていた。出たな目立ちたがり野郎め。


「ふん、では改めて愛理私がスパム団のボスだ! ここに何しに来た」

「当然、お前達スパム団が悪事を働かせてることを聞いてね、いっちょとっ捕まえにきたんだよ」


 名前なんていうかしらないけど、偉そうなそのボスは腕を組みながら言う。


「ふん、バカなことを言うな。お前みたいなふざけた格好のヤツが俺に勝てるはずがないだろう」


 分かりやすい死亡フラグ乙です。

 悪党ってさ、なんでこういう調子こいた台詞しか言えないんだろう。……あれでしょ負けた後にすみませんでしたってなるオチ。

……でも見ていてちょっと腹立ってきたから、少し軽い1発をプレゼントしてやろう。

 ごちゃごちゃと喋るスパム団のリーダーへと距離を詰め。


「これで少しはそのウザい性格治るかな? おりゃ」


 軽くデコピン。


「どべぼぼだばびだー!」


 反発によってボスは勢いよくぶつかる。反りがやばすぎなんで風穴空くのさ。

 え、時速10の領域超えてね、煙も立っているけど生きているよね?


「ぐええええええええ!????」

「声出せる余裕があるってことはまだ余裕ってことっしょ? いいから来いよ達者なのは口だけか? あぁ?」


 なんだこのマウント取り合戦は。

 私の言っていることが不良の言うような文句みたいで草。

 するとボスは何事もなかったかのように再び立って身構え。あれでもなんか汗出てまっせ。

 眉もピクピクと。……相当さっきのデコピン効いちゃったやつ? うそやん。


「ふん! ちょっと油断しただけだ! 5人だからって調子のるなよ!」

「みんな、あいつキレッキレみたいだからさ、私達5人でこらしめてやろうぜ」

「了解です愛理さん、ぶった斬ればいいんですかね?」


 はいシホさん血痕はアウトなんでそこは自重しましょうね。


「シホさん、飽くまで今回のクエストは捕らえるだから……殺しちゃだめ」

「……後ろは私とアンコさんでサポートしますね」

「さて、どういたぶろうかしら…………ってまたHPいつの間にかへっているんだけど!!」


 しらんがな。

 仲間達は、スパム団のボスを前にして身構える。こいつはどんな強さで私達を責めてくるのか、とくと拝見しようじゃないか。そんなに期待できるような強さはなさそうだが。

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