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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第7章 うさぎさん達、外海旅行に赴きます
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92話 うさぎさん達と魔法大都市 その2

次話遅れましたがようやくの更新です

【魔法はみんなのロマン砲】


 早速魔法の学校と見られる校内へと踏み入れる。辺りが豪華な装飾が施されていて、至るところに魔導具が置かれていた。

 地球儀らしき物が通る廊下から見えた。目映く照らしながら学業に勤しむ生徒が熱心に勉強していらっしゃる。


「え、偉いなみんなぁ」


 こぢんまりとした声を出しながら感想を述べた。

 生徒の数はというと、小学校並の整った部屋となっており、各々筆をノートに走らせながら必死で内容を書き込んでいる。


「愛理ってああいうの嫌な思い出でもあるの? 私は数百年以上前にこういう学校に通ったこと一応あるけど記憶が曖昧ねぇ」

「ミヤリーさん、勉強のお邪魔になるのでもうちょっとお静かに。でないと追い出されてしまいますよ」


 ミヤリーがこの中で一番状況を弁えず中くらいの声で喋っている。DQN認定するぞおい。

 あぁ。こういうやつ絶対映画館とか誘っちゃだめな系の属性だなこれ。店員につまみ出されたあげく追放。……ぷ。自然と笑いがこみ上げてきた。


 無様に彼女が店員に指さされながら説教される無様な顔が。


「な、なによ? 愛理その顔は。……鼻で笑うな」

「いやぁなんでもぉ? でももうちょっとシホさんのいう通りに静かにしたらどうよ」

「わ、分かったわよ。大人しく可愛い子達の授業様子でも見てるわ」



 と私が諫めると周りのことを考慮してか、ボリュームを一段階ほど下げて喋るようにした。

 最初からそうしろと釘を刺そうと思ったが、ミヤリーは非常に私並に短気ではないがよく突っ掛かる。まんどくせぇ私はそれを懸念しやめた。いや興ざめる前にやめたという表現が近いかな。


 内容は魔法の勉強らしい。


「……今しているのは魔法の勉強ですね。電子板を見る限り各属性の原理を勉強しているみたいです」


 現代風な物は1つもなく、各部屋……教室には教師が魔法を教えていた。

 魔法を用いて映し出した画面を使いながら、壇上にいる教師が生徒達に魔法を教える様子が見える。プロジェクターみたいなものか? これなら余計な手間が省けそうだ。


「電子板? 光っているけどあれが?」

「……魔力で作り出した一枚板です。教師は杖を使って勉強を生徒達に教えています」

「ほえぇ。進化した物ね魔法って。私の時代なんて仲間にいた魔法使いは教えてと言っても全然教えてくれなかったわ」


 冷たすぎて草。

 ミヤリーの過去に一体なにが。そんな教える気力をなくすぐらいのことをコイツはやらかしたのか?

 よくある系の黒板にチョークで書くんじゃあないんだな。……うげっ。私の大っ嫌いな数学の方程式に形似している。あぁダイイチジホウテシキ? インスウブンカイ? ……もう嫌だ算数のときに戻りたい。


 すると教室から1人の小さい生徒がこちらを向く。興味津々な目線は次第に他の生徒にも止まっていき気づけば注目の的になっていた。こっち見んなよ。かわいいけどさ。


「なに? あのうさぎの服着た冒険者さん?」

「え、どこどこ? ……ほんとだなんかかわいい」


 先生の声は既に遠い存在となっていた。手でパンパンと叩く仕草をしているが一向に授業に戻らない生徒たち。……こら先生がかわいそうだからそっち向いてあげて。


「み、みなさん! 今は授業中ですよ! 先生の方をちゃんと見て勉強しましょうね」


 小1の教室やん。世界は違えどもこの展開は万国共通らしい。

 すると子供達は短い杖を取り出して、それを私に向けて。


「ほい!」

「いて!」


 子供達はそこら辺に落ちていた紙くずを魔法で操ると、それを私に向かって飛ばしてきた。

紙くずとはいえ反発力が加わっているせいか多少痛む。何発も生徒全員が私に向かって投げてくる物だから反動は大きい。

 私はあれか!? レイドボスみたいなそんな立ち居!?


「お客さんの冒険者さんを虐めてはいけません。授業中は魔法使っちゃダメですよ!」


 教師が生徒を一瞬で黙らせて、魔法をやめさせる。


「はーい」


 すると詫びるように、その教師がこちらに近づいてきて謝ってくる。

 あれ、私のゲリラ時間もう終了? これからだって言うのに短期間過ぎね。


「すみません。彼らはまだ1年生でして……こういう常識まだ分からないんですよ」


 案の定のDQN。

 怖いよ異世界の子供達。普通の子供達はまだしもそれが魔法を使えるとなれば次元が違う。

 私がいくら遠く離れていてもやりたい放題できるから私完全にサンドバッグじゃん。

 まあ1年だし少し妥協したくはなるが、この格好常に狙われるぞ確実に。


「先生も大変だね。授業の方頑張って下さい」


 先生にそのように告げると私達は教室をあとにした。

 す、少しは加減してぇ。


「あ、愛理さん大丈夫ですか? ……すごく体震えてますよ?」

「あ、あぁ大丈夫、愛理さんなら平気。……で、でも異世界の子供達ってちょいとハイレベルな思考持っているなぁって」

「イセカイ? なんですかそれ……よくわかりませんが背中啜ってあげますよ」

「うん別に分からなくてもいいよ。決して深い意味はないからね」


 あまりの恐怖に壁の隅で怖じけ出す私。真っ先に駆け寄ってくれたシホさんに顔を作りながらも返事する。

 私を励まそうと背中を優しく撫でてくれ。……あぁ私こんなお姉ちゃんが欲しかったなぁ。あんなクソ妹さえいなければ!


「……どうやら愛理さんにとって心の傷になってしまったみたいですね。場所を変えましょう。教室意外にも楽しい場所たくさんありますので!」


☾ ☾ ☾


 場所を移して3年生がいる広間へ。杖を前に突き出しながら魔法の練習中だった。

 お、先の部分から火の弾はぐんぐんと大きく。ああやって魔法を習得していくのか。

 どこかの映画みたいに派手なCGエフェクトが私の脳裏で忽然と再生された。……いかんいかん数億円の金を使う余裕は私にはないぞ!


「……あれは実戦の練習ですね、最初の内は魔力のコントロールが中々難しいのでその練習です。最初は難しいですが、練習を積み重ねていけばだいぶ上手くなりますよ」

「それって私達もできるんですか?」

「……ある程度魔力があれば。……でもシホさんの場合多少ぐらいしか使えないかもですよ」


 うーんこの。魔法って難しいな。戦士ってそんなに魔力少ないのか。待てよスーちゃん今少しって言った⁉ 某RPGでも基本デフォの戦士やバトマスは魔力0にされているんだけど……。

 これは俗に言う救済処置的なあれか?


 各属性の魔法も練習しているが、一体どこまで上達するんだろうここの生徒達は。


「おや、冒険者様のみなさまよくぞ我が校へ」


 突如横から現れたのは、ローブを着た年配のおじいさん。頭の上には神官っぽい帽子を着けており長めの杖を突いている。


「……おや、そこにいるのは卒業生のステシア君ではありませんか」

「……校長先生お久しぶりです」


 うん校長先生⁉ この人が。魔導師風の校長先生だけど異世界の校長ってこんな風なの。教頭とかも気になるけど……というかなんでスーちゃんの存在を認知しているわけ?


「校長先生あなたはスーちゃんの存在に気づいているんだ」

「はて、それは一体どういうことで?」

「スーちゃん存在が薄くなる呪い? がかけられているんですけど」

「なるほど。我が国の魔法使いは魔力で簡単に人の存在を感知できますぞ」


 なにその監視カメラを強化したような仕様は。

 あぁだからスーちゃんの存在にも気づけるわけだ納得。

 というかそれある意味恥ずかしくね、常に見られている状態に囚われているじゃねえか。


「……旅行ついでに仲間と話し合ってこの街に来たんですよ。それで少し母校を訪れようかと思いまして」

「ステシア君らしい行いですな。では冒険者様我が校のどこか行きたい場所はありますかね?」

「うーん魔法が覚えたいんだけどさ、それを教えてくれる場所ってある?」


 興味本位で魔法を学びたいと返答する。

 え? お前ボルトがあるじゃねえか? ……そうだけどほら旅行記念のお土産とかあるじゃん。あれみたいな感じで最低1つは欲しいの!


「あぁそれでしたら5階で一般客相手に魔法を教えている教師がおられます、そこに行かれてみては?」


 5階か。ただいま3階。ということはあと2階登る必要があるのか。

 なぜそんな高いところに作ったのか言いたくなるが自重するべきだそれは。

 校長に場所を教えてもらい、その部屋へと向かう。


 スーちゃんに道案内されながら、言われた道を辿っていく。スーちゃんも昔ここを通ったことらしく迷うことなく私に教えてくれた。

 長い螺旋階段を登り、浮遊する板の上に乗ったりと数あるアトラクションを潜り抜けようやく5階へ。


 豪華なカーペットが敷かれた廊下だけど、スーちゃんって昔こんな豪華な学校に通っていたのか。高値つきそうな絵画も飾られているし、相当財産あるぞこの学校。


「にしても楽しみね、私魔法いつか覚えたいって考えていたから」

「できれば私も。そうですねみなさんの補助になりそうなものでしたらなんでもいいです。あでもミヤリーさん炎魔法の悪用はしちゃいけませんよ?」

「なんで?」

「イタズラ半分で愛理さんにイタズラをし……家を燃やしたりしそうですから」


 もはやトラブルメーカー扱いされていて草。


「「はぁ⁉ 私ってそんな問題児扱いされているの⁉」」

「諦めなさいミヤリー。おめぇは土台敗北しているのだよハッハハハ!」


 と揶揄うと呆然とした顔に。

 ミヤリーはともかくシホさんは意外だった。てっきりバフてんこ盛りにする魔法が欲しいとか言ってくるのかと。……その辺は間に合っている感じなのかな? しらんけど。

 お、だいぶ見えてきた。

 目の前に立つ大扉。その中を開けて中へと入る。


 聖堂のようなステンドグラスのつく部屋。

 そこに腰かけている教師が1人。


 修道院さんの服……つまりシスター服を着ている女性が壇上に立っていた。

 魔法使いらしい服を身につけており、豪華な装飾が特徴的な杖を持っている。


「ようこそ冒険者さんの皆様。ここでは短時間で魔法をお教えしております」


 なにその楽器店によくありそうな『短時間レッスンでピアノを覚えられます』的なものは。ここってそういう。

 けど色んな人が各大陸から習いに来るぐらいの大都市なんだし、そういうツッコミは言わない方がいいな。


「魔法を覚えたいんだけど、教えてもらえないかな。私達の中から私と他2人」


 ミヤリーとシホさんを指す。


「いいですよお教えしましょう魔法を。お代は無償にになりますので」


 よっしゃktkr! これで私も一端の魔法使い見習いに!

 そういうわけで講習開始。

 講師の魔法使いさんがなにやら魔法を使い、部屋の構築を変えた。

 壁が動くように変形。それはまるでからくり屋敷のような動き方。

 整備が整う頃には目の前には、練習用の的が。リーベルの練習場にあるものと酷似している。

 それの魔法バージョンといったところだ。


「では始めましょうか……まずは」


 数時間後。

 大方の魔力の基礎を習い、魔法の使い方を学んだ。

 なんでも属性をイメージしてその魔法を使うらしい。

 人によって使える属性が異なるみたいなので、何種にも及ぶ属性魔法を使うのは極めて難しいみたいだが。


「あ……あの?」

「う、嘘でしょ」


 私が撃つ魔法を見てみんな着目。

 なんとほんの数時間で私は全属性の魔法を習得し、完璧にマスターするのであった。


「私なんて、闇の魔法だけなのになんで愛理だけ」

「まあまあミヤリーさん。私は光と風の魔法ぐらいでしたから愛理さんが特別なだけですよ」

「私だけなんか劣等感が。どうしてよ」


 ミヤリーさぁ贅沢言うなよ。

 嫉妬する視線で私の方を見ているけど、お前はイメージ的に闇そのものでしょ。

 逆にコイツが水とか使えたら、イメージが偏ってくる。

 水を使うミヤリー。…………。

 想像しにくいわ。


 とはいえ、習得した魔法は全て初級の魔法。

 教師から一通りの属性魔法を教えてくれと言ったら、素直に了承し簡単な指導のもと魔法の習得に励んだ。

 授業まともに受けるのっていつぶりだろ。あの勉強と聞くとあのクソ教師の顔が未だに脳裏に焼き付いているが。

……結局勉強もなにごとに然り最低限1つ目標を立てておくのが一番だと実感した。授業割でゲームの時間があったら、私は嫌々その授業のために毎日学校へ出席する自信は大いにある。(休まないとは言っていない)


 使っていく度に進化していく仕様とのこと。他人から教わることもできるが、そうする場合は経験値をその分消費する。消費魔力が多ければ多いほど消費経験値も多くなるみたいだ。

 要するに熟練度みたいなもの。面倒くさそうだけど愛理さん辛抱します。


 うん? 待てよ。 魔法がいけるってことは。

 シホさんの方に視線を向け。


「な、なんですか!? その物欲しそうな目は。 ……あぁ1つ忠告しておきますけどね」

「へ?」


 なんか期待を裏切るような返事がきそう。

 あれか。実は魔法はいけるけど、特技とかは一定の職業つかないと無理とか。

 でもこの間教えてもらったぞ? ……どゆことだ。


「私の覚えている特技のほぼは特別なものばかりなんですよ。……恐らく愛理さんは私の強力な技をこの機会に覚えようと考えたんでしょうが無理でしたね」


 がっくし。

 秘伝技的なやつなのかあれ⁉ 普通の特技は覚えられるけど特別な技は無理だと。

 この前に簡単な基本の剣技を教えてもらったが……あれは誰でもできると言っていたが。あの技とシホさんの大技は似て非なるものなのか。


「……因みになんですが愛理さん。魔法もそういう特別な魔法は無理ですね。修行でもして教わらないと」


 まさか魔法もそういう仕様だったとは。

 それもそうか。誰もが勇者の技最初っから覚えたら、ただの反則(チート)集団と疑われてもおかしくないし。


「……それに愛理さん、こういう特別な技を何個も習得したらその人の専用技が専用技ではなくなるのでこの小説的に色々アウトなのでは?」

「ちょっとメタいこと言っているけど正論だね自重するよ」


 ぬか喜びで終わった私の最強技習得計画は儚く散った。

 そうしてそろそろ日が沈みかけていたので、学校を後にし学校外へとでた。

 魔法を習得するのに何時間もかかり、軽く3時間は経ったと思う。

 というか最初何時から始めたっけ覚えてね。


「……そうだ愛理さん」

「うんなになに?」


 ちょっと恥ずかしそうに顔を紅潮させるスーちゃん。

 何か悩み事かなと思っていると次彼女の口から。


「私の家行きませんか? 私の両親は気軽に泊めてくれますよきっと」

「そういえばこの街スーちゃんの故郷だったわね。それは助かったいきましょ愛理」

「私も一言挨拶したいですし遠慮せず泊めてもらいましょうよ」

「……う、分かったよ。ちょっと恥ずかしいけど!」

「…………了解ですそれでは行きましょうか。えぇと確かここを」


 かくしてこの晩は満場一致ということで、スーちゃんの家に行き泊めてもらうことにした。スーちゃんの家族ってどんな感じだろうか。よくあるよね一家美人とかさ。

 度々それで親子丼とか言われているけどこの家族は一体気になり。

 そのように思いを巡らせつつスーちゃんの家へと向かう私達なのだった。 

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