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5.ファミレス殺人事件 後編

 五位堂が料理人たちに訊ねる。

「皆さんがこの場を離れた時間をお訊ねしたいのですが」

「私は一時間ほど前にトイレへ」

「僕は出勤してからずっと料理を」

「俺は今朝ここに来て、事件の起きるちょっと前にトイレへ」

「てことは貴方が犯人ですね!」

「はあ!? 俺はやってねえよ!」

 バカか、この人は……。

 俺は聡美の下に移動する。

「何か分かった?」

「いや、何も。だから戻って来た。体貸して」

「いいよ」

 俺は聡美に憑依した。

 そして、再び厨房を訪れると、料理人が五位堂に署へ連行されそうになっていた。

「五位堂さん、待って下さい」

「何で?」

「その人が犯人とは限らないからです。連行は真相が分かってからでも、遅くはないでしょ?」

「それもそうか」

 五位堂は料理人を放した。

「刑事さん、その子は?」

「ああ、この子は捜査に協力してくれている子で……」

「坂上 聡美です」

「坂上 聡美!? あの高校生探偵の!?」

 その時、五位堂の携帯が鳴り、彼は応答した。

「はい、五位堂です。……そうですか、分かりました」

 携帯をしまう五位堂。

「何か分かったんですか?」

「厨房で見つかった包丁についていた血は魚のものだってことが分かったよ」

 そうか。てことは、犯人はまだ凶器を隠し持ってる可能性があるな。

「五位堂さんは客の持ち物検査をして下さい」

「客? どうして客なんか? 犯人は店員でしょ?」

「そうとは限りませんよ」

「分かった。じゃあ客を調べてくるよ」

 五位堂は店内の客の荷物検査をしに向かっていった。

 さて、俺は……。

 客席に戻って聡美の体から出る。

「聡美、覚めててまずいだろうけど、ご飯食べてて」

 俺は五位堂の下へ移動した。

 五位堂が客の所持品検査をしている。

 その客の所持品から血のついてナイフが出て来る。

「何ですか、これ?」

「そ、そんなの知らないわよ!」

 更にクロロフォルムをしみ込ませたハンカチも出て来る。

「貴方が殺したんですね」

「知らないわよ!」

「詳しい話は署の方で聞きますよ」

 五位堂が女を連行する。

 背後に気配を感じた俺は振り向いた。

 そこには第一発見者の女性がいた。ほくそ笑んでいる。

 俺は聡美の下へ移動した。

「お帰り。何か分かった?」

「犯人が分かった。また借りるよ」

 俺は聡美に憑依すると、第一発見者の女性の下へ移動した。

「お姉さん」

「ひゃ!? な、何かしら?」

 驚き振り返る女性。

「被害者を殺害したのは貴方ですね?」

「何を言ってるの、お嬢ちゃん?」

「貴方があの女性の所持品にナイフとハンカチを紛れ込ませたんでしょ?」

「そ、そんなことしてないわよ」

「あのナイフから貴方の指紋が出ても違うと言い切れるの?」

「あのナイフから私の指紋が出て来るわけはないわ。だっててぶ……!?」

「てぶ……くろですか?」

「ちっ、バレちゃったらしょうがないわね。いくら欲しいの?」

「お金はいりません」

「じゃあ死ぬ?」

 女が拳銃を取り出す。

 俺は咄嗟とっさにその拳銃を蹴り飛ばした。

「なっ!?」

「刑事さん、この人拳銃を所持してましたよ!」

「何だって!?」

 刑事がすっ飛んでくる。

「あれ?」

 俺は拳銃を指差した。

「それから、殺人事件の容疑者でもあります」

「ご協力感謝します」

 刑事は手錠を取り出した。

「銃刀法違反の現行犯と殺人事件の容疑で逮捕します」

 女に手錠がかけられた。

 連行されていく女。

 俺は客席に戻って聡美の体から出た。

 これで被害者の霊も浮かばれるであろう。


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