あらそいのたえないせかい
ここは、争いの絶えない世界。世界は魔力で満ち溢れ、人々は火、氷などの様々な魔法を使い、日々の生活を豊かにしていった。しかし突然、世界に「晴天」が来なくなった。空は年中通して曇り、時には雨が降る。20年間、未だ太陽の光が地を指すことはなかった。晴天が来なくなり、まもなく大きな街が謎の7人組によって襲撃された。やがて1人の男が口火を切る。
「私の名はアステラ…世の支配者となる者だ…私の命を奪わない限り、この世に晴天は訪れない…戻したいのなら挑め…我が忠実なる6人の僕に…!!東西南北、北東、そして北西の町に新たな塔を築いた…6人全てを打ち負かしたのなら私が真実を教えてやろう…」
そう言い残し、立ち去っていった。あらゆる強者たちが6人のうちの1人に挑んだが、帰って来れたものはいない。そんな絶望的な状況の中、突如として姿を現した少年少女がいた。光の魔法使い「ハルト」闇の魔法使い「サクラ」
世界は、この2人によって守られている。
北東の村 ホクトーにて
辺り一面畑と田、そして家だらけの田舎町の真ん中に、突っ立っている。今日の天気は曇り。当たり前のことだけど、日付が変わった日の朝、毎回空を見上げてしまう。
本当に、この世界に『青い空』なんてあったのだろうか。そう思っていると、この村の人に話しかけられた。
「おいおい、お前さんたちこのクソ戦争が終わったらどうすんのよぉ、結婚か?」
いきなり村人からデリカシーのない質問をされた。
「ちょッ…何言ってんですか!?そんなこと考えたことないですよ…」
白い服装の黒髪のマッシュボブ。俺、ハルトは言った。
「まあ、そりゃあ…できるなら"アイツ"と…過ごしていきたいんだけど…」
「なんだぁ!あんた考えてんじゃねえか!それで?どこで告るつもりで?」
「そこまでは考えてませんけど…って言うか、アイツ、俺のこと好きじゃないだろうし…」
俺の話を聞いて、村人は腹をかかえて笑い出した。
「ンナッハッハッハッハ!!そりゃあわかんねえぜ?勇者さん。それとも、もう告ってフられちまったのかよ?」
「いや違います…だって…アイツって」
続けようとした時に、背後から横槍が入ってきた。
「そこまでだ…」
と、男と男の話に割り込んできたのは全身を黒で包んだ紫髪のショートヘアー、サクラだった。
「おわっ!?サクラ、話聞いてたのか…?」
「もちろん?話の最初から私が割り込む所までキッチリな。それで?アイツと過ごしたいってのは?ん?」
焦りに焦った表情を見せ、どう弁明するかを頭をフルで使って考えた。
「違うんだ、サクラ!これは…えと…その…あの…」
「単刀直入に言うが、お前の気持ちに応えることはできない」
「だっだから違うんだって!これは…」
「でもよお…」
そう言うと、村人が話に割り込んできた。何か弁明してくれるのか…!?普段酒ばっかりなのに…見直したぞ!!
「お嬢ちゃん、こんなにいいイケメンなんて他にいねぇぜ?付き合いも長いんだし、もうくっついちまえよぉ」
お前もう黙れと言いそうになったが引っ込めた。
「お前が前に酔っ払って絡んできたときにも言ったが…私は男が大嫌いなんだ。行くぞハルト。こんな酔い潰れに構う暇はない」
そう言うと、さらに真剣な表情でサクラは言う。
「…塔に向かうぞ」
北東の塔にて
コツコツ、と足音を立てながら、塔の頂上まで静かに歩いていく。本来ならアステラの手下の手下が何人か塔にいるのだが、何週間か前に殲滅させ残すはアステラの手下だけとなっている。倒せばこれで4人目…そう。今日まで3人の手下たちを殺してきた。これで折り返し地点だ。
「…」(気まずいっ!あのクソ酔っ払いが変なこと言うから…どうしよう…最高に気まずい…)
「ハルト」
「はっはい!なんでしょうか?!」
動揺して変な反応をしてしまった。サクラはその反応に、口に手を当てて笑う。
「…ふふっ」
「何笑ってんだよ…」
「いや?さっきからお前の動揺っぷりが面白くてね…まるで子供の言い訳を聞いているみたいだ」
「子供って…お前だってまだ15のくせして…」
そう、サクラはまだ子供。俺でさえ18歳で年上なのに、15歳のこの少女にいいように言われている。
「で?何の用だよ…」
「ああ…ハルト、アステラの新兵器の噂を知っているか?」
「新兵器?」と聞く前にサクラが話をした。
「何でも、鉄砲の弾に魔力を詰め込んだモノが開発されたらしくてな。こないだ、中央街に襲撃があった時に持ち込まれていたそうな…」
「弾に…魔力…?それって、撃たれたらどうなるんだ?」
サクラは声色を変え、言った。
「例えば、火の魔力が詰め込まれた弾が体内に入り込んでしまえば、内臓が焦げるんだと。しかも通常の何倍もの威力があるんだとか」
「怖…」
「もしも手下が鉄砲か何かを構え出したら言ってくれ。お前は目がいいからな…」
それは無茶だろう、と思った。
ふと、さっきの話を思い出して、聞いてみた。
「あとさ、どうでもいいけど…いやどうでもよくはないけど…なんか男に対して恨みでも持ってるのか?」
サクラは極端に男を嫌っている、ちょっと不思議な女だ。前々から話は聞いていたが、理由は聞いたことがなかった。
「だって…あんな下心丸見えの連中のどこがいいって言うんだ?四六時中女の尻を追っかけてナンパ…想像しただけでも気持ちが悪い。それに比べて女はいいよな…」
すると誇らしげな表情で、
「特に南の町にいたあの吟遊詩人…綺麗な歌声…姿を反射してしまいそうなくらい輝く銀髪…華奢なあの足…そして…」
「もういい。わかったから…」
サクラの口が止まらなくなる前に強制終了させた。
「なんだよ…お前だって私という女が好きなくせにな…」
「なっ!?そりゃ………男…だからな。でも、別にお前のことが好きなんてわけじゃねえよ!」
「ほら。やっぱり子供みたいだな」
「黙れ!ほら…もう目の前だぞ…」
目の前に立ちはだかっていたのは、身長の4倍ぐらい大きな扉だった。この先に、手下がいる。サクラは真剣な表情で、"いつもの"言葉をかける。
「いくぞハルト…死ぬなよ」
「…当たり前だ、お前もな」
ギギギギギ…と。言葉を交わした後、重い扉を開けた。
北東の塔 頂上にて
扉を開けると、そこは直径50mくらいの広い部屋が広がっていた。
「ようこそいらっしゃいました…2人の勇者様……」
扉を開けた瞬間、金髪ロングヘアーの男が、俺たちを歓迎する。
ドンッ!!と。不意にサクラが手のひらにためた闇の魔力を手下に放つ。しかし、手下は軽々と躱してみせた。
「おやおや…ずいぶんと殺気が高いようで」
サクラは言う。
「これでお前が3人目だな」
「3人目…?あなた方が倒してきたのは3人のはず…私が4人目ですよ。誰か忘れていませんか?それとも、忘れられるほど簡単な敵だったと言うことですか…」
「いや…私の不意打ちを避けたやつのことだ」
「…1人は当たってたんですね」
手下は一瞬腑に落ちない表情になったが、
「…まあいい!!所詮その程度のものだったと言うことです!!しかし私は簡単にはいかない…!!」
サクラはハルトに話しかける。
「ハルト、マントの準備をしろ」
「わかってる。もうしてある」
マント。それはサクラが持ち込んだ出所不明のアイテムだ。塔を攻略するために、とサクラが俺にくれた物だ。首にかけた途端、体が嘘のように軽くなり、速いスピードで動き回れる。さらに、すこしの間空を飛べるようになる。
「冥土の土産に教えて差し上げましょう…私の名はハイラ…アステラ六天王の第4位だ…」
ハイラの周りに無数の火の玉が現れた。ハイラの使う魔法は…"火"だ。
ヒュン!!!と。構う暇もなく、火の玉がこちら目掛けて突撃してきた。
「行けハルト!!進むんだ!!」
サクラも負けじと闇の力で作った無数の闇の玉をハイラへ放つ。俺は火の玉を避けながらハイラのもとへ進んでいく。
「光よ…今ここで形となれッッ!!」
俺の手のひらから放たれた光は、形となり、やがて直剣となった。火を切り裂き、ハイラの懐へ飛び込もうとした。が。
突然ハイラが火に包まれ、消えた。
辺りを見渡す。すると、いつの間にか自分まで火に包まれていた。業火の中、一人の声が聞こえてくる。
「どうです…わからないでしょう…?6人の中でスピードで場所を誤魔化す馬鹿がいましたが…火で包んでしまえば、どれだけ目が良くても場所は特定できないでしょう…?」
「くそっ…見えない…どこだ…」
いくら辺りを見渡しても姿は見えない。サクラは…火の外にいるのか?仮に光の魔法で辺りを照らしたとしても、これだけ火に囲まれてしまえば効果はまるでないだろう。
「うしろです」
振り向いた時にはもう遅し。ハイラの力いっぱいの拳を腹にくらった。そのまま、サクラがいる方の背後の壁に叩きつけられた。
「かはっっっっ……………」
「ハルトッ!!」
「ふっ…どうです?私の弱点を克服した技は?」
サクラは言った。
「弱点…?」
「単純なことです…私には生まれつき魔法の破壊力はどうしても上げられない体…魔法だけで戦うなんて無謀です。でも、ある日気づいたんです…"姿を見えなくすれば、後は物理で殴ればいい"と…」
そしてもう一度、当たりが炎で包まれ、ハイラの姿は見えなくなった。
「ハルト…大丈夫か?」
「ああ…なんとか…なんてパワーなんだっ…どうすれば…」
「すまない、私も一緒に入っていれば痛い思いをせずに済んだのに…」
俺はサクラの言葉に眉をひそめた。
「何か…方法があるのか?」
「ああ、不確定だが…やってみる価値はある。手に少しだけ光を集めろ。そして私と手を繋げ」
「?…そんなんでいいのか…?」
再び眉をひそめた。しかし、サクラの表情は変わらい。手を繋いだ瞬間、サクラの闇と俺の光が手のひらで合わさり…当たりが光で包まれる。
サァ……と。周りの火を消して見せた。ハイラは明らかに動揺した表情をして言う。
「何っ!?何故消えるんだ!?お前ら何をしたッ!?」
サクラは言う。
「これは"師匠"に教えてもらった技でな。光と闇が合わされば、一時的に空間の魔力を打ち消すことができるんだ…ハルト!腕を狙え!私が後ろで援護する!」
息を合わせ、ハイラのもとへ2人で走り出した。
腕を狙う。
ハイラは、魔法なんかいらないくらいのパワーの持ち主だ。ハイラの腕を切り落としてしまえば、行動はほぼできなくなるはず。サクラはそう思っていたのだろう。
「小癪な…いいでしょう…2人まとめてかかってきなさい!!!」
俺は再びハイラの元に突っ込んだ。最初にサクラが魔法でハイラを狙う。手元から作り出した闇の魔力は、蛇のような素早い動きでハイラに襲いかかる。ハルトに気を取られているせいか、見事命中した。ハイラの動きが、鈍くなった。
「グッ…体が動かないッ…!?」
「いけッ…当たれ…ッ!」
俺は隙を逃さず、ハイラの片腕目掛けて力一杯に剣を振りかざした。鮮血が舞った。
ハイラの左腕が、千切れた。
ハイラが、叫ぶ。
「ぐがァァァァァァァァァァ!!!???!?」
「ナイスだ、ハルト。今のうちに一気に決めるぞ」
「ああ、行くぞ!ここで終わらせてやる!」
今度こそ、2人並行して走り出した。
しかし、ハイラは痛みに悶えながらも、何か準備をしているように見えた。残った右手で何かを取り出しているように見える。
(あれは…鉄砲…?ッ!俺じゃないっ!サクラを狙っているのか!?)
突然、部屋に入る前の記憶がフラッシュバックした。
(もし体内に弾が入り込んでしまえば、内臓が焦げるんだと)
「サクラ!!!避け」
バンッ!!バンッ!!と。
2発の弾は、サクラの心臓に直撃した。
サクラが、倒れた。
「ッッッ!!!!」(駄目だ、今はアイツをッ…!)
止まることなく、走り出した勢いでそのままハイラに突撃していく。
「光よ…剣に宿りて敵を討ち滅ぼせ!!!!」
バチバチバチ!!!と。
直剣に光を集め、ハイラの心臓部を貫いた。しかし、ハイラは、笑っていた。
その先に待っているのは、他の何者でもない"死"なのに。
俺はハイラの死を確認し、急いでサクラの元へかけよった。
「サクラッ!大丈夫か!?今治療して…」
光の魔法で、サクラを治療しようとした。しかし、サクラはその手を除けた。そして、吐息混じりの苦しそうな声で言う。
「無理…だ…ハルト………お前の…回復魔法は…外傷だけを…治せる魔法だろう…心臓を…2回も…撃ち抜かれたんだぞ…」
「やってみなきゃわかんないだろ!!!!そんなこと…言うなよ…!!!」
涙が頬をつたう。まだだ、まだわからないと自分に言い聞かせながらも、最悪の未来が見えてしまう。
「泣くな…ハルト…私なんかが…居なくても…」
「ふざけんな!!『私なんか』じゃないっ!!!お前が居てくれたから…今、光の魔法を使えてるのも!ここで戦えてるのも!みんなから信用されてるのも………………………
お前のことを好きでいられるのもっ!!!!!!
だから…そんなこと…言わないでくれよ…俺の前から…いなくならないでくれよっ……!」
サクラは、俺の言葉を聞いて少し驚いた表情をしていたが、笑った。
「ありがとう………私、そんな風に言われたの、初めて…かもな…」
「でも…」と、サクラは天井を見つめながら話を続ける。
「お前や…他のみんなには…申し訳ないけど…やっと…こんな殺し合いから…逃れられるんだ…やっと………私……家族や…妹に…会えるんだ……………
けど………一度でもいいから…『青い空』を…見てみたかったなぁ…」
「ハルト…」と、再びこちらを見つめて、何かを渡してきた。
…お守りだ。
「それは…私が生まれた村で配られていたお守りだ…それを…私だと思って…いつか…私に『青い空』を見せてくれ…………ごめんな、ハルト…」
薄れていく声で、最後の力を振り絞って、サクラは言った。
「さよなら いきて せかい に せいてん を もどして」
目を閉じて、息をせず眠った。サクラは、死んだ。
ーーーあれからどれだけ泣いていただろうか。どれだけサクラの名前を呼んだのか。どれだけ自分の頬をつねったか。
誰もいなくなったこの場所で、ただ1人嘆く。
「俺は………どうすれば………いいんだよっ…!!」
ここは、どこだ。
辺りを見渡す。私の周りには、木で作られた檻のような物に囲まれている。
「体が…小さくなってる…?……ここは…どこだ…?」
私はなんとか檻から脱出し、辺りを散策してみた。キッチン…らしきスペース。冷気が漏れてくる四角いタンス…のような物。子供のおもちゃ…のような物。黒い四角い大きい、謎の機械。
なんだこれ…と、黒い四角い大きい機械を見つめると、自分の姿らしき像が写った。赤ん坊だった。
「私…何で赤ん坊になってるんだ…?」
もう一度辺りを見渡す。すると、床の一部分に光が灯っていた。光源を探していると、あのカーテンから光が差し込んでいるように見える。
私は、カーテンを恐る恐る開けてみた。するとそこには、目を合わせることさえ難しい、眩しく光り輝く丸い物、小鳥たちが元気そうに空を舞っている背景には、美しい、『青い空』。
「……晴天だ…」
初めて小説を書いてみました。前々からオリジナルのストーリーを考えることが大好きだったのですが、やはり文字にしてみるととても難しい…
特に戦闘のシーンはなかなか納得いかず…何時間もかけてしまいました。でも、初めてにしては上手く書けたのではないかな…と勝手に思っています。
なぜハルトとサクラは2人で行動しているのか?
サクラの師匠とは何なのか?
このエピソードで残した謎は、今後の物語を通じて判明していくでしょう。
もしよかったら、これから先も読んでいただけるととても嬉しいです!




