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国賊  作者: 火村虎太郎
16/22

もう一人の狂犬


「んっ」黒岩

「お疲れ様」かすみ


今日も黒岩はかすみの家へ。

いつも入ってくるときは簡単な言葉の挨拶だけだ。


今日はここで一人で食事をしているだけの黒岩。


「コーヒー」かすみ

「ありがと」黒岩


食後に出すコーヒーをゆっくり楽しむ黒岩


一流でありたい・・


「・・・どうして聞かないの」かすみ

「ん?えっと・・キリマンジャロ?」黒岩


変った?いつもと豆?って違うわ。


二人で過ごすのはいつもわずかな時間だ。

だが黒岩はいつもたわいもない世間話や笑い話しかしない。


「極東の狂犬」かすみ


私が香月さんの情報を一杯持っているのにこの人は聞こうとはしない。


「だって・・」黒岩


お前が言うような女じゃないのは分かってる・・

当然逆に俺の事を他の人間にも・・


「ふふ・・」かすみ


そう。それとこれは別・・

そりゃ役には立ちたいと思うけど、

香月さんは私の友人でありお客さんでもある。


「ねぇせめてここのマンション代くらい出させてよ」黒岩

「わたくし3流の愛人ではございません」かすみ


お金では選ばない。その人の中身・・


「・・・・クズだけど・・」黒岩

「自分で言う?」かすみ


T-ACEばりのクズだけどって・・


「むりー。色々遊びたーい」黒岩

「遊びなさい。その資格はある。」かすみ


やる事やってお金稼いで、

嘘もつかずその人その人を愛せる人だったらいいと思う。


でもなんでこんなポップな人が、

国の重要人物なんだろって悩むときはある。


「でも似合ってると思う」かすみ


生意気だけど私と・・

私もいずれ王になる・・この夜の街、裏の顔役の・・


でも・・

傍に居てなんて言わない。

私だけなんて言わない。


「かすみが居たから黒岩が在る・・」黒岩


そう言われればいいだろ?

ヤクザから議員、資産家までもが一目置く女性に・・


「ふふ・・」かすみ


まぁよくご理解してるみたいで。


「俺が止まれば、日本が止まる・・」黒岩

「かっこいい・・」かすみ


ふむ。それを言えるのは今の日本ではこの人だけ。


「俺が時計の針ならお前が電池だ」黒岩

「急に例え下手になった!」かすみ


えっとじゃあ・・


「僕のコンセントを君に刺して・・」黒岩

「あはは。だっさー黒岩ぁ。下ネタぁ。」かすみ


さらに・・


「僕のすべてをダブルクリックして欲しい・・」黒岩

「あはは。軽くスワイプしてやるっ」かすみ


ふふ・・もう帰るんだなって分かってるよ・・

言葉が多くなって時間を一気に濃縮しだしたなって時は。


忙しいんでしょ?


「・・じゃあ帰るね」黒岩

「いつもありがと。」かすみ


僅かな時間でも会える時に会いに来てくれる。

ただ唯一嫉妬するのは・・


「会長っ竹永先生がお待ちです」運転手

「ん。すぐ行こう」黒岩


何かしょっちゅう竹永先生のとこ行ってるよなぁ・・

仲良いんだろうな・・勝手に変なあだ名付けてたし・・

先生って地元があんなすごいとこなのかな?

でもありえそう・・元々、そこの大地主で大悪でって感じかな?


そして黒岩は急いで竹永邸に向かい


「黒岩ですっ入ります!」黒岩

「どうぞ」使用人


玄関で大きな声で挨拶をしていつもの中庭を通り・・



『カコォーーーーゥォン・・ウォン・・ゥ・・』



『カコォーーーーゥォン・・ウォン・・ゥ・・』



・・・・やったな・・・竹永・・


なんか音がエコー掛かってるんですけど・・


「先生っ入ります!」黒岩

「入れ・・」竹永


・・・何、腕組んで瞳を閉じて聞き入っちゃってるの?

聞いてほしいの?聞いてほしいの?あのカコーンの音色の事?


「・・・旧都の年金額の件ですが」黒岩

「はぁ!?」竹永


貴様の耳は腐っとるのか!?

仕事の話か!?今一番に仕事の話か!?

TKじゃ!小室テツヤじゃ!

サウンドエフェクト編集を頼んだのじゃ!

どの位置からでも最高の音質をクリエイティブにな!


「・・・・財源は確保しております」黒岩

「進めるかね?まだ仕事の話を?」竹永


あ~、はいはい。大体わかってますよ。

すっげー安く済むんでしょ。ほとんど二名島に行くから。

それに旧都に残った老人どもの年金額なんて、

後30年もすれば全員死んで必要がないし。

それ以降は新規で旧都に移り住もうと思う者も居なくなるし。


「黒岩社長っ私達には、よく理解できないのですが・・」使用人


年金が貰える老人はほとんどが旧都に残るのでは?


「まぁここで竹永先生に一肌脱いでいただいて・・」黒岩


そういって黒岩が何やら原稿を竹永に渡し・・


「最後の一押しを」黒岩

「えええぇ・・・・」竹永


これ俺が言うの?なんで?俺、老人なんて死ねって思ってるよ・・


「私のような若造が言っても・・」黒岩


ご年配の親を持つ世代には響かないので・・


これも黒岩の策だ。

新都に移住させる為の、そしてお金を使わせる為の。


「一番困るのが貯金されることなのよ」黒岩

「なるほど」使用人


収入やベーシックインカムのお金を。

お金は動き続けなければ、国の経済は細くなっていく。


ふむ・・


「川の流れが・・」竹永


悪くなり、堰き止められれば、

水は汚れ、ヘドロは溜まり悪臭を放つ。

あふれ出た水だけでは大きな潤いにはならない。


だけど俺もう隠居したんだけど・・

めっちゃ国民から嫌われてるんだけど・・


「先生の二名島にご寄付頂いた土地の件で・・」黒岩


御誘致頂いた各企業から感謝の言葉があり、

ぜひ公の場でお礼がしたいとA BATHING APEから・・


「名誉アドバイザリーに、ご就任願いたいと・・」黒岩

「受けよう。」竹永


さっきから気になっておったのじゃ!

お主の持ってきたそのショップ紙袋が!

新作か!?まだ未発売の!?

裏原の狂犬?ふふ・・ワシの事じゃろうの!


そして久しぶりに竹永が公の場へと姿を現す事となる・・

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