~ミドの闘い~
~ミド視点でのお話しです~
戦況は振り出しに戻り、一進一退の攻防を続けている。それこそはミドの狙い通りなのだが…それも時間の問題でこのままでは魔族におしきられてしまうだろう。余裕を持って駆け引きをしているのではなく、ギリギリの綱渡りをしている。それがミドの誤算であった。ミドの見通しではアークが巧く駆け引きをし、相手を釘付けにする。その隙を突いてミドが敵を後方から強襲する。そうすることで被害を最小限に抑え、最速で魔族を撃退出来るはずだったのだが…。
『…ムゥ…なかなか手強いな…。』
手にしたハルバートを振り回しながらミドが呟く。始めは難なく倒せていた相手も、アーク達がいる前線に近づくにつれ、倒すまでに時間がかかるようになっていた。
(…こんな事ではアーク達に合流するのはいつになるやら…まぁ、アイツに限っては何の心配もいらないとおもうが…)
ミドはまだアーク達の事は知らない。何かあればリリスが報告にくる手筈になっているのだが、来ない。それは今のところ作戦が順調と言う意味だと捉えていた。
(…しかし、それでもアークにも限界があるはず…急がねば…。)
手にした得物を振り回し、魔族を1人、また1人と屠る。端からみればさながら竜巻のようだ。
『…まるで竜巻だな…』
その声はどこからともなく聞こえてきた。
『誰じゃ⁉️』
ミドが声に反応し、問う。ミドを囲むようにいる護衛達が弓をあらゆる方向に構える中、1人の魔族が姿を現す。
『はじめまして。エルグランド王とお見受けするが…』
『いかにも‼️儂がエルグランド王じゃ‼️』
ハルバートの柄を地面にドンと突き、答えるミド。
『その勇猛果敢にして獅子奮迅の働き…我等、魔族の間でも有名になっております。』
『そうじゃろ‼️』
ミドが得意気になる。
『指揮官…王の癖に戦場に出てくる馬鹿だとね。』
『なにぃ‼️』
魔族がニヤリと笑い、放った言葉に激昂するミド。その隙をついてか、一瞬でミドとの間合いを詰め、襲いかかる魔族。間一髪攻撃を受け止めるミド。
『…ぐぬぬ…』
(…コイツ並の魔族ではない…‼️)
魔族の攻撃を受け止めているミドだが、その手には今まで以上の力が込められている。
(…気を抜いたら一瞬で圧し負ける‼️)
『…流石はエルフ達の王と言ったところですね。』
またもやニヤリと笑う魔族。かと思えば、攻撃の手を引っ込め、バク転するかのように後ろに飛びのく。
『…申し遅れました。私は四天王の1人。ナガマキと申します。』
ペコリと頭を下げ挨拶をするナガマキ。
『四天王だと‼️ともすれば…この魔族の軍を指揮しているのはお前か?』
『そうとも言えますね。まぁそのうちの1人だとでも思っていてください。』
『そんなやつがなぜここに?』
『なぜ?ですか?…普通は指揮官というのは後方から戦場を見渡し、戦況に応じて的確な指示を出すものではないのですか?ここは我が軍の最後方ですよ?』
『…アークは‼️勇者はどうしたのじゃ‼️』
『勇者?あぁ、そういえばいましたね…。私はあまり強さとか、誰が1番強いとかには興味がないので…何人かはそちらに向かったようですが…それに…』
『それに…なんじゃ⁉️』
『こちらの方が脅威だと思ったのでね…。勇者よりも強いと思われる奴がいるとの報告をうけて来てみれば…まさか敵の指揮官とは…。』
ナガマキがなにやら馬鹿にしたように笑う。それをうけてミドが青筋を立てるばかりの勢いで怒る。
『何がおかしい‼️』
『…これは失礼しました。私が思う指揮官、王の姿とはあまりにかけ離れているもので…本来、王とはもっとドッシリと構えているものではないですか?駒を的確に動かして…』
『民が蹂躙されようとしているときに静観しているなぞ…王のする事では無いわ‼️…民と共に闘い、傷つき、勝利して、共に笑いあう。これこそが王じゃ‼️』
ハルバートの柄を握り締め、臨戦態勢に入るミド。
『…まぁ、いいでしょう。それも上に立つ者の1つの姿として少しの間覚えていてあげましょう。』
『…忘れられなくしてやるわい‼️』
次の瞬間、ミドがハルバートを薙ぎ払う。土埃を巻き上げ、唸りをあげる。それを先ほど見せたようなバク転でかわすナガマキ。そこをめがけ護衛達が矢継早に弓を射る。だが、それら全てをかわすナガマキ。
(…むぅ…一筋縄ではいかんか…雑兵とは違うと言うことか…)
矢を避けたナガマキが着地する瞬間、ミドが間合いを瞬時に詰め、薙ぎ払う。だが、それすらナガマキはかわす。
(…これすらかわすか…)
『…終わりですか?』
攻撃を避けきり体勢を整えたナガマキが口を開く。その言葉からは余裕がうかがえる。
(…コイツは魔族の中でどのくらいの強さかの…)
『…1つ聞いてもいいか?』
『なんでしょう?』
服についた土埃を払う素振りを見せながらナガマキが答える。
『お主は魔族の中でどのくらいの強さなんじゃ?』
『…先ほども申したように私はあまりそのような物に興味がないのですが…そうですね…魔王を除き3本の指には入るのではないですか?』
『そうか…』
『ちなみに残りの2本の指は勇者の元に向かいました。』
『‼️‼️っ。』
ニヤリと笑うナガマキ。ミドに驚きと焦りが見える。
『聡明な王であられるエルグランド王にはこの意味が分かるかと思いますが…』
『あぁ…』
言葉の節々にミドを馬鹿にしたニュアンスを持たせるナガマキ。だが、ミドは先ほどとは違い冷静に見える。
(…いよいよマズイな…仕方が無い…久し振りに本気をだすか…)
『おいっ‼️お前達‼️』
『はいっ‼️』
ミドが護衛達に呼び掛ける。
『ここは…儂の事はもうよい‼️それよりもアーク…エル達の所に向かってくれ‼️』
『…ですが…』
『儂なら大丈夫じゃ‼️久し振りに本気を出す。周りにいられては邪魔になる‼️』
『わかりました。…ご武運を…』
護衛達が足早に去る。
『…間に合うといいですね。』
身だしなみを整えたナガマキが護衛達を見送る。
『追わぬのか?』
『興味が無いので。それよりも貴方の本気とやらの方が興味があります。なぜ、今まで本気を出さなかったのかにもね…』
『…嫌われたくはないからじゃ…』
『フフッ…これは失礼。理由があまりにも可笑しくて…一体、誰に嫌われたくはないのですか?』
『孫じゃ‼️』
『…孫…ですか?』
『そうじゃ‼️あの天使のような孫に嫌われたくは無いからじゃ‼️』
『そうですかね?むしろ好かれるのでは無いのですか?我々魔族と対等に渡り合える存在など…そうそういないのですから…。』
『…お主らは強者至上主義だからそんな事が言えるのじゃ…人族というのは自分とは違う異質の力に畏れを抱く…畏敬の念であればよいが、ほとんどの場合、それは恐怖でしかない‼️』
ハルバートの柄をギュッと握り締める。
『ぬぉぉぉぉ‼️』
力を込めるかのように咆哮するミド。
『行くぞっ‼️』
中途半端な長さですがお楽しみ頂けたなら幸いです。次回には決着するかもしれません。




