3-2 平身低○覇
「うるさいわねー! あさからなにさわいでんのよっ!!」
オレと抱き枕の正体の目が合った――。
赤みがかった短めの髪。
大きく見開かれたクリクリの瞳。
ムスッと曲げられた口元。
蒲団からチョコンと覗くむき出しの両肩。
すらりと細長い二の腕。すべすべの肌。
今は蒲団に隠れて見えないが、オレの肌が感触を覚えている――ほとんどなにも身に着けていない、その肢体。
――総合すると、抱き枕の正体は下着一枚のロリ美少女だった。
しかも、一方のオレは、その子が寝ていた蒲団のわきでパンツいっちょでアタフタしてるわけだ。さらには、さっきまでその子を抱き枕として堪能しまくり、すりすりしまくりだったわけだ。
うん、100パーセント犯罪だな……。
オレはその場で飛び上がり、
――平○低頭覇。
別名、猛○落地勢とも呼ばれる最終奥義を繰り出したんだが、まあ、いわゆる土下座したわけだ。フライング土下座だ。
「まじすいませんっしたあああああああぁ~~~~」
ここに至って、ようやくオレは昨夜の失態を思い出した――。
「――もういいから、早く服着なさいよ」
土下座のまま必死で謝罪を続けるオレに、彼女は呆れたようにそう言い放つ。
その声に顔を上げると、蒲団の中からこちらを見ている彼女が視界に入る。
そして、蒲団の脇にはきちんと畳まれたオレの服が置かれていることにようやく気づいた。
「あっ、はい」
オレはそれに手を伸ばし、急いで身につけ始める。
「わたしも服着ちゃうから後ろ向いてて」
「あっ、はい」
お互い背を向け、黙って着替える。
オレのほうが先に着替え終わったので、後ろ向きのまま正座して待つ。
蒲団の中からは、もぞもぞと動く音がしている――。
「もういいよ。こっち向いて」
「あっ、はい」
オレは正座のまま、クルッと反転。
彼女と同じ高さで目線が交わる。
彼女が口を開く気配がした瞬間、オレは再度ソッコー土下座。
「まじすいませんでした。ほんとごめんなさい」
「もういいから……」
「昨日は酔っ払っていたとはいえ、失礼な態度で本当に申しわけありませんでした」
「別に怒ってないから」
「それに……その後のこともまったく覚えていなくて…………」
「朝から大声出されたことにはちょっと腹たったけど、それ以外のことには怒ってないよ。寝起きでイライラしちゃって、こっちこそゴメン」
「さっきも抱き枕と間違えて、さんざんすりすりしちゃったし……」
「…………」
気まずい沈黙が流れる――。
「――もういいから、顔上げてよ」
そう言われて見上げた神様の顔は、羞恥のためか少し赤らんでいた――。




