2-6 幼なじみの女の子
「うん。おまえはこれからずっとひとりだっていわれた」
サタン子ちゃんのその言葉にオレは昔のことを思い出した――。
近所に住む幼なじみの女の子。
出会いは小二のときだった。
春休みのある日、オレは近所の公園に一人で遊びに行った。
いつもだったら、何人かは子どもたちが遊んでいる。
けど、その日は珍しく、オレ以外には一人だけだった。
同い年くらいの見知らぬ女の子が一人寂しそうにブランコに座っていた。
興味を持ったオレは「よう、なにしてんだ」とか「なんて名前?」とか色々話しかけた。
最初は俯きがちであまり反応がなかった女の子。
その子がようやく口を開いた最初の言葉は「私一人になっちゃった」。
女の子はその言葉とともにポロポロと涙をこぼした。
ガキだったオレはどうしたらいいのか分からなかったが、勢いに任せて「じゃあ、オレと遊ぼうぜ」と切り出した。
それで、無理やり女の子の手を引いて、砂場で色々作ったり、すべり台を一緒にすべったり、ジャングルジムに登ったりして遊んだ。
女の子を元気づけようとガキなりに必死だった。
遊び疲れてブランコに座ると、女の子は少しずつ自分のことを話してくれた。
「みさと」っていう名前だってこと。
一人っ子だってこと。
両親が事故で死んでしまったこと。
祖父母に引き取られて引っ越してきたこと。
オレと同学年で新学期から同じ小学校に転校してくること。
家がオレん家のすぐそばなこと。
涙ぐみながら話す女の子を見て、オレはみさとを守ってあげたいと思った。子供ながらにナイト気取りだった。
「今日からオレがずっといっしょだから、みさとは一人じゃないぜ。毎日あそぼうぜ」
その言葉にみさとは笑って「ありがとう」って言ってくれた。
その笑顔は可愛かった。
オレが知っているどんな女の子よりも可愛かった。
クラスで一番可愛いと思ってた石山さとみちゃんよりもずっと。
それから日が暮れるまで一緒に遊んで、みさとを家まで送っていった。
次の日からも朝からみさとを誘って毎日遊んだ。
あの公園で。オレん家で。みさとの家で。冒険ごっこと称して二人で遠出した日もあった。
女の子と二人で遊ぶオレのことを茶化す同級生がいたが、そんなのまったく気にならなかった。
そして、新学期が始まり、奇跡的にもみさとは同じクラス。しかも、オレの隣の席だった。
オレは心の中で大きくガッツポーズ。
隣を見ると、みさとも嬉しそうに微笑んでいた――。
そして、高校生になり、
「もう、勇作、いつまで寝てんのよ~」
ベッドで布団にくるまっているオレを、馬乗りになったみさとが軽くポカポカと叩いてくる。
最初の頃は慌てていたが、毎日のことで慣れきってるオレは「んー、あと五分~」と二度寝を決め込む。
「起きないとキスしちゃうよ~」
「わー、起きる起きる」
――そんな感じで毎朝起こしに来てくれる幼なじみの女の子がいたらいいな、と日々妄想していた高校時代。
ええ、そんな都合いい幼なじみとかいませんがなにか?
全部、オレの妄想ですけどなにか?
妄想しだすとムダなディテールまで作りこみますがなにか?
ちなみに、みさとのモデルは某エ○ァンゲリオン。
彼女とはその後大学時代に同棲するが、その後破局。
数年後に同窓会で再会し、一夜限りの熱い愛を交わし合うんだけど、オレの妄想の話だし、どうでもいいよな。
他にも、某エ○ァンゲリオンのキャラたちをヒロインにした妄想が色々とあるんだが、それも激しくどうでもいいな。
とまあ、そんな感じで妄想に明け暮れた高校時代だった。友達いなかったからな……。
サタン子ちゃんの言葉にそんなオレの暗黒時代を思い出してしまった……。




