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Stragglers Party  作者: 榊屋
序章―A phantom theif―
9/12

3話 危急存亡

 スーツケース開く。


 中には様々な工具があるが、今回はあくまで絵の回収。

 額縁も含めて回収しなくてはならない。

 ともすれば、『無理やり』回収するしかない。

 スーツケースの中からビニール製の袋を取り出す。

 そこに掛けられている絵を入れる。

 それから、スーツの内側の背中側にある特別性のポケットにその袋ごと入れた。



 この作業には全く時間はかからない。

 これからやるべきことは、俺の目的物探しだが……。

 この会社は別に宝石に関しては関係のない会社だ。

 つまり、倉庫やどこかの一室にはないはず。

 ならば一番高いくらいにいるこの男……菊川社長の部屋にある可能性が高い。

 恐らく隠していないだろう。この絵を自慢するような社長だ。大事に保管する可能性はかなり低い。

 ……よし。ならば。


 俺は応接室の扉を開けて、外側にスーツケースの中の小型スピーカーを付ける。

 それから俺は自分の襟元にピンマイクを付けた。


 しばらくして菊川社長が帰ってきた。

「申し訳ありませんね。よくわからないご年配の方から苦情がありました」

 間違いなくやっさんだな。ナイス。

 俺は襟を直すふりをする。

「では話を――」

 コンコン。

 と、扉をノックするような・・・音がした。

「何だね?」

『すみません。急なお客様が……』

 女性の声がした。

「全く……」

 と菊川社長が言って、

「申し訳ありません」

 と一礼してから応接室の扉に向かった。


 俺はその隙に社長室に入る。予想通り、デスクの上に堂々と置かれてあった。

「これが……」

 大きさは手のひらのサイズ。しかしそれは妖しく輝いている。

「すげえ……流石バイオレッド……」

「待て!!」

 菊川社長がようやくやってきた。

「それから手を離せ」

「お客様はもうよろしいのですか?」

「……」

「ああ。いなかったでしょうね。誰も。だって、」

 と俺はのどに軽く触れる。


『私が声を出したんですから』

 女の声は俺の口内から発される。


「!?」

「じゃ、また今度」

 俺は自分のポケットから工具を出す。

 小さなハンマーである。

「無駄だ。すべて強化ガラスの窓だ」

 菊川社長は言う。

「いやいや、強化ガラスくらい壊せるって」

 俺はそう言って。

 スーツ内のすべてのポケットから小型のハンマーを出す。計8個。

 すべてを指の間に挟む。

「俺、握力片方ずつ69だから」

 そう言って、そのまま回転して遠心力をかけ、一点集中で窓ガラスをたたく。

 パリン!と。

 少しながら小さな穴が出来た。

「穴が開けばこっちのもんさ」

 俺はそう言ってもう一度叩いた。

 完全に破れた。

「な!?」

「お疲れ様です」

 俺は言った。

 この階から飛び降りて大丈夫だろうか?

 答えは簡単、大丈夫じゃない。


 俺は窓から飛び出した。

「は……!?」

 最後の菊川社長の声は驚きの声だった。


 そう。俺は窓の外から――つまるところ、20階の窓から飛び降りたのだ。

 が、正確にはそうではない。

 近くにある、18階建てくらいのマンションの屋上に飛び移ったに過ぎない。

 まあそれでも10メートルくらいは離れていたから、俺はすごいのかもしれないが実はそんなに驚くべきことでもない。


 パルクール。


 どんな物かというと、スポーツの一種である。

 近所の環境でできるスポーツ。


 街を走り回るスポーツである。

 教えてくれたのはやっさん。

 やっさんは俺に怪盗のためのすべてのことを教えてくれた。

 


 ウー……ウー……と、サイレンが聞こえてきた。

 最近の警察は早いが、俺を捕まえるには100年早い。


 と。


 視野の隙間に何かが飛んでくるのを確認した。

 それは……そう人の影が静かに歩いてくるような

「は……はぁ!?」

 急のその影が歩いていながら迫ってきた。

 これは、そう。

 やっさんが言ってた――

「お前、縮地じゃねーかそれ!!」

 俺は叫んだ。暗闇に溶け込んでいるため向こうの表情は読めない。

 っていうか、どうやってビルの上を走ってきたんだ!?

 いや、それよりも、さっさと行動に移そう。

「くっそが!」

 俺は叫んで、相手に見えないように死角を狙って飛び込んだ。

 恐らく相手には俺が消えたように見えたはず。

 そしてそのままビルを落下する。

 多分、5階建てくらいだろう。だったら17メートル程度。

 心配ない。大丈夫だ。

 俺はそのまま落下した。


 ボスン!

 と。

 俺はごみ箱の上に落下した。


「……助かった……」

 あの人影……誰だかわからないけど、間違いなく俺を殺そうとしていた。


「……まあいいや。帰ろう」

 取り敢えずはやっさんのところへ。


 今回は4話もあります。


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