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私の名前はイリシア・ラフィールド。十四歳。三歳の時に前世──地球のブラック企業で過労死するまで働いたおじさん、であった事──を思い出した。が、前世と割り切ってた事もありました。
しかし、両親が成金と私の婚姻を目論んでいると知った現在は、そうは言ってられない!
そりゃ、私は自他共に認める美少女だ。美少女に生んでくれた事──この事は、今世の母親に感謝はしている。が、人の人生を勝手に決めるのは如何なものかと私は思う。
ここは観光名所こそあるが、片田舎の村。そして、我が家は貴族でも村を治める村長宅でもない一市井の家。詰まり、政略結婚など時代錯誤である!
私は両親への反抗の意志と自らの自立する意志を以て、両親のへそくりを“勝手に人の人生を決めようとして、私の心を傷付けた”慰謝料として接収し、自立した己としての自由を求めて旅に出ることにした。勿論、置き手紙は置いてきた。但し、五十ページにも及んだが。
そんな訳で、私は家を出て、現在は旅の無事を祈りに観光名所でもある神殿に参拝に来ている。
──二礼、パンパン、二拍手。
「私の往く旅路が、良き旅路になりますように!」
そして、一礼。これは、前世での作法。この世界では、観光名所と化した、この神殿へのお参りの作法は不明故に、前世の作法に則った。
さて、この神殿の御神体は“約二千年前に、空の果てから襲い来た百億にも及ぶ悪魔を撃滅した、この世界の救世主”だ、そうだ。
更に、この伝説には他にも外伝として伝わってるモノに、“救世主とドラゴンが共闘して、百億の悪魔と対峙した!”といったモノもある。
まあ、この世界には魔法はあるが手品と変わらない程度。鉄道や飛行船、それに車が都会では当たり前の世界。但し、私が今いる片田舎では馬車が主力という格差がある。なので、この伝説も眉唾の可能性もある。が、御神体があるのだがら祈っておいて損はない。って事。
「よし! さあ、ここから私の旅路の第一──!?」
それは唐突な揺れだった!
「……地震?」
──ゴゴゴゴゴ……と、神殿が揺れている。立てない程ではないが何かに掴まっていないとコケてしまうかもしれない揺れ。
その揺れは、徐々に収まり、眼の前の御神体が真ん中から真っ二つに割れていた。そして、
「──ヘイ! そこの美少女! 我のコックピットに乗らないかい? ハァハァ……♡」
「え!?」
割れた御神体の中から、御神体と同じ姿のリアル系ロボットが姿を現し、あろう事か、
「ほら、遠慮せずに“乗って”くれ! ハァハァ♡」
「──キモチ悪ッ!!」
胸元にあるコックピットを開放しながら、変態発言をしてきたのだ。
私は相手が御神体のロボットであろうと変態では関わり合いになるのは流石に無理なので、踵を返すと一目散に村の出入口に向かってダッシュ!
「ちょ、待ってくれよ! そこの美少女!」
しつこい!
「……はぁはぁ……」
ふ、振り切った。私は息を整えながら背後を見やるも遠くに村の出入口が見えるだけ。
改めて、私は旅の第一歩を……!?
「ヘイ! 彼女、ダッシュで逃げる事はないだろ?」
──チッ。隣町へと続く街道。そこを遮るように、御神体──いや、『グランメシアー』が立ち塞がっていた。
「我の名前は──」
「グランメシアーでしょ。貴方の伝承は代々、私の村で伝わってたわ」
「オー、そうかい? なら、君の名は?」
…………。一瞬、無視してやろうかと頭を過ったが、ロハで護衛をゲット出来たと考え直して、
「私はイリシア・ラフィールドよ。宜しくね、グランメシアー」
「オーケー、よろしくだ、イリシア。ところで、我のコックピットには……」
「だが、断る!」
「ノォーッ!! 何故だ? 我のコックピットの操縦シートは二千年経っても綺麗で、ふかふかだぞ?」
「いえ、生理的に無理!」
「アウチ! だが、我は諦めぬぞ! 必ず、イリシア──キミを我のコックピットに乗せてみせる!!」
諦めの悪いロボットだ。だが、やはり美少女とは得なものだ。こうやって、ホイホイと付いてくる輩がいる。
「ところで、イリシアは何処に向かっているのだ?」
私は歩きつつ、答える。
「先ずは、町へ行って旅をするための装備を調える。それからは、風の吹くまま気の向くままに、旅をするの」
「ほう、自分探しの旅、という奴だな」
「ええ、そうね」
現在、私とグランメシアーが行く街道は約二キロおきに憲兵がおり、盗賊や魔物の警戒を自らしなくともよいエリアだ。途中、憲兵がグランメシアーを見て、あんぐりと口を開けていたが、これといった問題なく数時間後には町の手前に到着した。




