第396章:未来の放棄、絶望の宣告
貝森財閥の本邸、重苦しい空気が支配する客間。
凛と蓮は、お祝いのプレゼントすら視界に入らないかのように、冷たく固く、碧を見つめていた。その瞳には、かつて碧がその強さで守り抜こうとした「輝き」が、欠片も残っていない。
「ねぇ、パパ。……パパとママ、離婚するんでしょ?」
蓮が淡々とした口調で問いかけた。子供らしからぬ、冷めた、あまりに大人びた絶望の色がその声にはあった。
「……っ!」
碧は言葉を失った。否定しようとしたが、喉が引きつって声にならない。そんな碧の反応を「肯定」だと受け取ったのか、二人はさらに淡々と続ける。
「もう学校、いかない。サファリアも青藍も、もういいや」
凛がポツリと言った。かつて「お付き合いできるかな?」とあんなに目を輝かせていた少女はどこにもいない。
「だって、行っても仕方ないもん。パパとママがバラバラで、私たちだけあんな学校に行っても意味がないよ」
蓮が、まるで荷物を整理するように、大切にしていた筆記用具や制服をバッグから無造作に取り出した。
「入学取り消しだから、パパ、もう来なくていいから。そんなことのために時間を使わなくていいよ。……私たち、もうどうなってもいいの」
その言葉は、碧がこれまでに戦ってきたどんな弾丸よりも鋭く、深く彼の肉体を、そして魂を切り裂いた。
碧は、自分たちが必死になって準備し、南将暉の妨害を跳ね除けてまで守り抜いたはずの「子供たちの入学」という未来を、自らの醜い嫉妬と未熟さによって完全に焼き払ってしまったのだ。
「そんなことはない! お前たちの入学は、パパとママにとって最高の誇りなんだ……!」
碧が震える声で叫ぶが、凛は悲しげに、そして酷く冷ややかな瞳で碧を見た。
「誇り……? ママを泣かせて、追い出したパパに、そんなこと言う権利あるの? 私たち、パパとママが一緒じゃないと……あんな場所、ただの知らない人たちだけの怖い場所だよ」
凛と蓮は背中を向け、沈黙の中に消えていった。
閉ざされたドアの向こうから聞こえるのは、子供たちの涙ではなく、未来への希望を全て諦めた者特有の、恐ろしいほどの静寂。
碧は膝をつき、二人が去った床をただ見つめていた。自分が愛した家族という城は、もうどこにも存在しない。自分が壊したのだという事実に、魔王は初めて、血の涙を流して崩れ落ちるのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




