第386章:乙女たちの桜並木、受話器の向こうの行方
青藍高校付属中学での大騒動と同じ刻――。
満開の桜が美しく咲き誇る名門『サファリア女学院中等部』の講堂でも、歴史的な瞬間を迎えていた。壇上に立った院長先生の口から、厳かに、しかし衝撃的な一言が放たれたのだ。
「皆様にお知らせがあります。本校は今年度より、青藍高校付属中学校と全面的に提携し、男女共学となります。なお、伝統ある我が校の制服はそのまま変更はございませんので、どうぞご承知おきを……」
そのアナウンスが響き渡った瞬間、サファリアの純潔な女子生徒たちの間からも、キャーッと黄色い歓声が沸き起こった。
新入生席に座っていた早瀬凛は、その発表を聴いた瞬間、パッと顔を輝かせて隣の席の親友・貝森百合の手をぎゅっと握りしめた。
「えーっ! それじゃあ毎日、湊くんと百合ちゃんと一緒に通学できるのね……っ! 制服はそのままって言ってたし、すっごく嬉しい!」
「本当ね、凛ちゃん! 離れ離れになっちゃうと思って寂しかったけど、これでずっと一緒だよ!」
百合も嬉しそうに微笑み返す。今朝、泣きながら自分たちの家に駆け込んできた凛と蓮の姿を見ていたからこそ、百合は親友の笑顔が戻ったことに心から安堵していた。
しかし、華やかな歓声が講堂を包み込むなか、凛の表情にふと、翳りが差し込む。
今朝、自分たちが制服をクローゼットに残したまま家出したのは、大好きなパパとママの仲直りを願ってのことだった。あやめが裏から手を回して「夫婦揃って出席しないと入学取り消しよ!」とパパたちを脅してくれたけれど、あの頑なだった二人が、本当に揃って蓮の式に出てくれたのだろうか。
凛はステージを見つめたまま、百合の耳元へ不安そうに顔を寄せ、小さく囁いた。
「ねぇ……百合ちゃん。パパとママ、蓮の入学式出たかな……? ちゃんと二人で行ってくれたかな? ……ねぇ百合ちゃん、何か(あやめ叔母様から)聞いてる?」
凛の大きな瞳には、新生活への期待と同じくらい、壊れかけた家族が元に戻るかどうかの、張り裂けそうな不安が滲んでいた。
「凛ちゃん……」
百合は凛の手をもう一度強く握りしめ、自分のスマートフォンのバイブレーションが静かに震えるのを待った。大人たちのプライドを懸けた戦いの結末は、今まさに、隣の青藍の講堂で決着がついているはずなのだ――。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




