第325章:吐き気を催す懇願、剥き出しの狂気
「……何でもしますっ……!!」
床に額を擦り付け、南条隼人は獣のように掠れた声で泣き叫んだ。その姿は、かつて南条財閥の御曹司として世界を睥睨していた男の面影など、微塵も残っていない。ただ、一人の卑屈で醜い、執着の塊がそこにいた。
「かすみの傍にいられるなら……俺はなんだっていい。……愛人でも、使用人でも、影でもいいんだ。かすみと付き合えるなら、そんな関係だって構わない……!!」
男の口から出た言葉は、早瀬碧とおじさまの想像を遥かに超えた、あまりにも身勝手で、あまりにも卑しい提案だった。
「かすみが誰のものかなんて、もうどうでもいいんだ。ただ、かすみの視界の中に、俺という存在を入れてくれればそれでいい……。あいつの顔が見たい。声が聞きたい……! 俺のこの愛を、せめて『愛人』という形で受け入れてくれよ……っ!!」
早瀬碧は、その言葉を聞いた瞬間、凍りつくような沈黙を守った。
あまりの吐き気と嫌悪感に、一瞬、殺意を通り越して「関わることすら汚らわしい」という底知れぬ冷笑がこみ上げてきたのだ。
おじさまは、まるで腐敗した生ゴミを見るような、完全な蔑みの眼差しで隼人を見下ろした。
「……南条隼人。お前は本当に、最後まで自分のことしか考えていないのだな」
おじさまの重く、低い声が響く。
「『かすみが愛人として付き合いたいか』などという、かすみの意思については一切考慮に入れず、ただ自分の寂しさを埋めるためだけに、そんな理屈を並べている……。お前が愛しているのは、かすみではない。自分の欲望を満たしてくれる『おもちゃ』だ」
碧は、静かに、一歩だけ隼人に歩み寄った。その瞳には、すでに人間としての憐れみすら消え失せ、ただの「害獣」を排除するための冷酷な意志だけが宿っている。
「愛人? ……笑わせるな」
碧の低く、鋭い声が、隼人の心臓を直接握りつぶすような圧力で鳴り響く。
「お前は一生、かすみの傍には行けない。……お前がかすみに与えた恐怖、颯と瑠璃の命……。そのすべてを地獄で贖う覚悟があるならまだしも、そんな戯言を並べるお前を、俺は絶対に、二度とかすみに近づけない」
「い、嫌だ……っ、そんなこと言うなよ碧……! 俺はただ……っ!!」
「最後に言っておく」
碧は冷たく言い放ち、床に這いつくばる男を見下ろした。
「かすみは、お前のような虫ケラに心を預ける女じゃない。……今日で終わりだ。お前のその薄汚い妄想も、そして、お前の存在そのものもな」
魔王の宣言に、南条隼人の顔から血の気が完全に失われ、絶望の深淵が男のすべてを飲み込もうとしていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




