第261章 光溢れる場所、そして墜ちゆく者の咆哮
「さぁさぁ、最高のシャンパンと、子供たちには特製のフルーツジュースを用意させなさい! 今夜は貝森財閥の歴史に新しく刻まれる最高の記念日だ!」
おじさまの弾んだ声が響き渡るお屋敷では、集まった皆様が我がことのように顔を綻ばせ、新しい命の誕生を祝福してくれていた。
凛と蓮は「ねぇねぇ、赤ちゃんが生まれたら一緒に遊園地行ける?」と早くも碧さんに懐いて離れようとせず、碧さんもまた、いつになく崩れた笑顔で二人の頭を愛おしそうに撫でている。
お屋敷のどこを見渡しても、温かい笑顔と祝福の拍手に満ちていた。
私を苦しめた暗闇はもうどこにもない。ここにいる全員の愛に守られて、私と碧さん、そして子供たちの新しい未来が、確かに今、ここから始まろうとしていた。
◇◇◇
――その頃。
貝森財閥の溢れんばかりの光とは対照的に、重苦しく冷え切った空気に包まれている場所があった。南条財閥の本邸である。
ラグジュアリーな調度品が並ぶ広いリビングに、ヒステリックな怒鳴り声が突き刺さる。
「神宮寺かりんとの縁談がダメだったって、一体どういうことなの!? 早瀬ホールディングスを乗っ取る計画も失敗して、挙句にあのかすみさんにも逃げられて……! 医療界の最大手である神宮寺家との繋がりまで失っていたなんて、何がダメだったの、隼人言いなさい!」
親からの容赦ない追及の言葉に、高級ソファーに深く腰掛けた南条隼人は、苛立ちを隠そうともせずに髪をボサボサとかきむしった。その顔は苦虫を噛み潰したように歪み、プライドをズタズタにされた男の、見るに耐えない醜さに満ちている。
「チッ……うるせぇな! 何がダメだったかって? あいつの親が、あいつ自身が、俺じゃなくて『家系』が気に入らねぇって言ったんだよ!」
隼人はテーブルを大きな音を立てて叩き、荒々しく立ち上がって逆ギレの声をあげた。
「お医者の家系じゃないからダメだってさ! 同じ医療関係者じゃなきゃお付き合いもお断りだってよ! ふざけやがって……! おい、南条財閥に一人でも医者の親戚がいるのかよ!? いねぇだろ! そんな条件出されたら、俺にどうしろって言うんだよ!」
自分が完璧な御曹司だと信じて疑わなかった隼人にとって、家柄を理由に、それも自分たちが見下していた「医者じゃないから」という理由できっぱりと袖にされていた過去は、耐え難い屈辱だった。
かすみという極上の存在を失い、早瀬碧に完敗し、過去の縁談の恥部まで泥を塗られるように引っ張り出された南条隼人。
彼らがいくら権力にしがみつき、リビングで醜い怒鳴り合いを続けていようとも、もう二度と、あの温かい光の中にいるかすみたちの足元にすら及ぶことはないのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




