第247章 暴かれた狂気、絶望の涙
「お二人とも、本日は一体どのようなご用件で、我が家へお越しになられたのでしょうか……?」
引きつった笑みを浮かべ、必死にその場を取り繕おうとする南条虎之介の問いかけ。その声を、おじさまの冷徹極まりない一言が容赦なく切り裂いた。
「どのような用件か、だと? 白々しいことを。君たちの最愛の息子――南条隼人が何をしでかしたか、本当に何も聞いていないようだな」
おじさまの鋭い視線が、ソファに座る南条夫妻を射抜く。
その隣で、早瀬碧は冷たい殺気をまとったまま、持参していたアタッシュケースから数枚の写真を静かに取り出し、大理石のローテーブルの上へ音もなく滑らせた。
「っ……! これは……なんですの……?」
可憐が恐る恐るその写真に目を落とした瞬間、喉の奥からひっく、と短い悲鳴が漏れた。
そこに写っていたのは、昨日、南条隼人が早瀬ホールディングスのオフィスに乱入し、手当たり次第にパーテーションを蹴り倒し、重要書類をひっちゃかめっちゃかにぶちまけて大暴れしている、防犯カメラの決定的瞬間だった。
「な、何だこれは……! 隼人が、早瀬ホールディングスを……!?」
虎之介は目を見開いたまま完全に絶句し、写真を持つ手がガタガタと激しく震え出した。西園寺家を失い、ただでさえ破滅の淵に立たされているこの状況で、よりによって日本経済の頂点に君臨する早瀬ホールディングスのオフィスを物理的に破壊するなど、国家反逆罪にも等しい愚行だった。
「昨日、隼人はかすみを奪い返すと叫びながら、我が社に不法侵入して狼藉を働いた。器物破損、建造物侵入、そして我が社の社員たちに精神的恐怖を与えた罪……。南条家がどうやってこの落とし前をつけるつもりか、直接聞きにきたわけだ」
碧の低く冷酷な声が、応接室の温度をさらに氷点下へと引き下げる。
あまりの絶望的な事実に、可憐は顔を両手でおおい、ボロボロと涙を流しながら思わず叫んだ。
「嘘よ……あの子、まだあのかすみさんのことが好きなの!? 離婚はもう完全に成立しているのよ!? どうして、どうしてそこまであの女に執着して、私たちの南条家をめちゃくちゃにするのよぉっ!!」
可憐の悲痛な泣き声が響き渡る中、沈黙を守っていた虎之介の顔が、恐怖から一転してドス黒い怒りへと染まっていく。
「あの、馬鹿息子がァーーーッ!!!」
虎之介は立ち上がると、怒りを爆発させてローテーブルを力任せに殴りつけた。あまりの衝撃にガラスの器がガタガタと音を立てる。
西園寺家との縁談を台無しにしただけでなく、未だに過去の女であるかすみへの未練と妄執に狂い、南条家を完全に再起不能の地獄へと叩き落とした息子への、すさまじい怒りの炎が本邸を包み込もうとしていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




