第234章 薬指の輝き、私の気持ち
前夜の貝森財閥のお屋敷での、賑やかで温かい恋バナの余韻を残したまま、私は翌日、碧様と共にまばゆい光に満ちた場所にいた。
格式高い扉の向こうに広がる、洗練された美しい空間。
そこは、業界でも最高峰と謳われる「森野海斗ジュエリーショップ」のVIPルームだった。
「お待たせいたしました。早瀬様がデザインされたリング、完璧に仕上がっております」
恭しく差し出されたベロアのケース。その蓋が開いた瞬間、思わず小さく息をのんだ。
そこにあったのは、上品で繊細な輝きを放つ、世界にたった一つの結婚指輪。碧様が私のために、一から想いを込めてデザインしてくれた、私たちの未来の証だった。
「かすみさん、手を出して」
碧様の低く優しい声に促され、少し震える左手を差し出す。
彼の大きな、温かい指先が私の手を包み込み、ゆっくりと、私の薬指にその指輪を滑らせた。
ぴったりと、まるであつらえたかのように馴染む冷たい金属の感触。だけど、そこから碧様の熱い想いがじわりと伝わってくるようで、胸の奥から突き上げるような嬉しさが溢れ出した。鏡に映る自分の顔は、今まで見たことがないくらい幸せそうに上気している。
(ああ……私、本当に碧様と結ばれるんだ……)
思い返せば、私の周りにいた男たちは、いつも自分のことばかりだった。
御曹司としてのプライドに縛られ、義務や体裁だけで私をコントロールしようとした南条隼人。そして、秘書という立場でありながら、どこか冷徹で「自分がよければそれでいい」と、私の心を踏みにじるような態度を崩さなかった長谷部誠。
彼らはいつも、自分たちの都合や利益を最優先し、私という一人の人間の本当の気持ちなんて、見ようともしてくれなかった。
だけど、碧様は違う。
私の過去も、私の愛する凛と蓮のことも、すべてをその大きな腕で包み込み、何よりも私の幸せを一番に考えてくれる。この指輪の輝きは、碧様のその底なしの誠実さそのものだった。
「碧様、本当に素敵です……。すごく、すごく嬉しい……!」
薬指の指輪を見つめながら涙ぐむ私を、碧様は愛おしそうに目を細めて見つめていた。
そんな最高に優しい婚約者と、私たちのために指輪を用意してくれた森野海斗社長、そして昨日から私たちを実の家族のように支えてくれている貝森のおじさまに向けて、私はずっと胸に秘めていた「準備」を切り出すことにした。
バッグの中から、丁寧にラッピングされた小さな包みを二つ、そっと取り出す。
「あの、碧さん……森野社長、そしておじさま。実は私からも、おじさまと碧さんに、プレゼントがあるんです」
「え……? かすみさんから、俺たちに?」
驚いたように瞬きをする碧様。
私はその包みを、大切な宝物を差し出すように、碧様とおじさま(お屋敷で待つ彼の姿を思い浮かべながら)の分として、碧様の手にそっと重ねた。
「今まで、たくさん傷ついて、居場所をなくしていた私と子供たちを、おじさまは温かく迎えて守ってくれました。そして碧さんは、こんなにも大きな愛で私を救って、世界で一番幸せな未来をくれました。……これは、私の心からの、いっぱいの感謝の気持ちです。どうか、受け取ってください」
自分がよければいい男たちに囲まれていた私が、初めて見つけた「大切な人を喜ばせたい」という、純粋な私の気持ち。
受け取った碧様の手が、心なしか微かに震えている。薬指の指輪に負けないくらい温かい光が、私たちの間に優しく広がっていった。
森野社長には、何かと気にかけてくれていたので、ゆっくりしてほしいと高級スパに招待しました。海斗社長いつもありがとう
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




