第185章:所有物ではない
長谷部財閥の邸宅に絶望の嵐が吹き荒れていたのと、まさに同じ頃。
南条財閥の厳かな応接室にも、あの「伝説のおじさま」の姿があった。
重苦しい空気の中、おじさまは正面に座る南条隼人を、射抜くような冷たい眼差しで見つめている。その背後では、独占欲の強い支配者である父親の南条龍駕もまた、不機嫌そうに戦況を睨みつけていた。
だが、おじさまの威圧感は、南条親子の放つ傲慢なオーラを完全に圧している。おじさまは、ゆっくりと、しかし確実に隼人を追い詰めるように口を開いた。
「かすみが、ずっと怯えていたそうじゃないか」
その静かな一言に、隼人の身体がびくりと強張る。おじさまの追及は、容赦なく続けられた。
「しかも、付き合っている時にあらゆる物を送ったそうだな。ジュエリーに、バラの花束……。――かすみはそれを見て、本当に喜んでいたかね?」
「それは……」
隼人が言い淀む。毎日欠かさず贈り続けた高価なプレゼント。それこそが自分の愛の証であり、かすみを繋ぎ止めるためのすべてだった。しかし、おじさまの手によって、その傲慢な自負は一瞬で切り捨てられる。
「物で縛りつけるのはどうかと思うがね。かすみは君の所有物ではない」
おじさまの声はどこまでも冷酷で、応接室の温度を凍りつかせていく。隼人は拳を握りしめ、必死に反論の言葉を探そうとするが、おじさまはそれを許さず、さらに核心へと踏み込んできた。
「……もう一度聞くが、君はかすみ以外の女性とお付き合いしたことはあるのかね?」
「なっ……」
予期せぬ問いに、隼人の顔から血の気が引いていく。その動揺を見透かしたように、おじさまは最後に、決定的な宣告を突きつけた。
「かすみとは、離婚してほしい」
長谷部家を倒産へと追い込み、今度は南条家に対して、かすみとの完全な決別を突きつける。伝説のおじさまの容赦のない冷徹な刃が、南条財閥の誇り高き御曹司へと容赦なく振り下ろされた瞬間だった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




