15、騎士団長殺しはこんな話のはずだ
ぼくはいつものようにジャズバーにいた。都会で落ち着けるのはここだけだ。バーテンダーのジェイにこんな話をする。
「イギリスとフランスが戦争するとしたらどっちにつく?」
ジェイはどっちも好きですがねと答える。
「ぼくはフランスさ。劇団にジャンヌ・ダルクのような女の子がいるんだ。歴史上最も男性を虜にした女性はジャンヌさ」
そして、ぼくはパスタを食べた。
隣の男が語りかけてきた。
「おれはイギリスを応援するぜ。ビートルズの国だからな」
「おやおや、イギリスについてどうやってジャンヌをものにするんだ。ジャンヌは敵国の男に体を許したりはしないさ」
隣の男はおどけて答えた。
「おいおい、だからお前はモテないんだよ。フランスの中でジャンヌ・ダルクを抱けるような男はせいぜい騎士団長くらいなものだろ」
ぼくは憤慨して答えた。
「ジャンヌのためなら騎士団長も殺すさ」
「そしたら、戦争に負けるぞ」
「戦争に勝ってから殺すさ」
隣の男は機嫌よくビールを飲んで答えた。
「おまえたち下民にとって騎士団長は神のようなものだろう」
「神を殺すさ」
「騎士団長が神だとしたら、ジャンヌは何なんだ?」
ぼくもビールを飲んで答えた。
「ジャンヌは神の声を聞いたんだ」
そして隣の男はいった。
「お前は気づいていない。騎士団長はお前の父なんだよ」
ぶっとぼくは吹き出した。こんな滑稽な話があるかい?
「騎士団長が父なら、母はジャンヌか。ありえない。ジャンヌは処女だぜ」
「処女だって母親になれるさ」
それは面白い。ぼくは思った。
「なんだったら、今から殺して来いよ。騎士団長を。そろそろ戦争に勝った頃だろうぜ」
そういって、隣の男は一本の剣を差し出した。
ありがたい。ぼくは剣を受け取り、戦争中のフランスへ移動した。そして、剣で騎士団長を殺した。ジャンヌは驚いた表情をしていた。
「どうして殺したの?」
「きみを抱くためにはこれしか方法がなかったのさ」
そしてぼくはジャンヌ・ダルクと交尾した。ジャンヌは初めてなのに関わらず激しく感じていた。何度もいってしまう女だった。
物語はこれでおしまいさ。その後、ジャンヌは火あぶりになった。どうしようもないのさ。




