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15/66

15、騎士団長殺しはこんな話のはずだ

 ぼくはいつものようにジャズバーにいた。都会で落ち着けるのはここだけだ。バーテンダーのジェイにこんな話をする。

「イギリスとフランスが戦争するとしたらどっちにつく?」

 ジェイはどっちも好きですがねと答える。

「ぼくはフランスさ。劇団にジャンヌ・ダルクのような女の子がいるんだ。歴史上最も男性を虜にした女性はジャンヌさ」

 そして、ぼくはパスタを食べた。

 隣の男が語りかけてきた。

「おれはイギリスを応援するぜ。ビートルズの国だからな」

「おやおや、イギリスについてどうやってジャンヌをものにするんだ。ジャンヌは敵国の男に体を許したりはしないさ」

 隣の男はおどけて答えた。

「おいおい、だからお前はモテないんだよ。フランスの中でジャンヌ・ダルクを抱けるような男はせいぜい騎士団長くらいなものだろ」

 ぼくは憤慨して答えた。

「ジャンヌのためなら騎士団長も殺すさ」

「そしたら、戦争に負けるぞ」

「戦争に勝ってから殺すさ」

 隣の男は機嫌よくビールを飲んで答えた。

「おまえたち下民にとって騎士団長は神のようなものだろう」

「神を殺すさ」

「騎士団長が神だとしたら、ジャンヌは何なんだ?」

 ぼくもビールを飲んで答えた。

「ジャンヌは神の声を聞いたんだ」

 そして隣の男はいった。

「お前は気づいていない。騎士団長はお前の父なんだよ」

 ぶっとぼくは吹き出した。こんな滑稽な話があるかい?

「騎士団長が父なら、母はジャンヌか。ありえない。ジャンヌは処女だぜ」

「処女だって母親になれるさ」

 それは面白い。ぼくは思った。

「なんだったら、今から殺して来いよ。騎士団長を。そろそろ戦争に勝った頃だろうぜ」

 そういって、隣の男は一本の剣を差し出した。

 ありがたい。ぼくは剣を受け取り、戦争中のフランスへ移動した。そして、剣で騎士団長を殺した。ジャンヌは驚いた表情をしていた。

「どうして殺したの?」

「きみを抱くためにはこれしか方法がなかったのさ」

 そしてぼくはジャンヌ・ダルクと交尾した。ジャンヌは初めてなのに関わらず激しく感じていた。何度もいってしまう女だった。

 物語はこれでおしまいさ。その後、ジャンヌは火あぶりになった。どうしようもないのさ。


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