突然のガチバトル!ファイヤープリンセス登場
オクスタン高の中自体は、地球の高校とそれほど変わらなかった。
私はロル君、ミンネちゃん、アギちゃんと同じクラスになったらしい。
ピラーセル君は3年生で、コウレ君は既に飛び級で卒業済みだという。
「今日来る転校生はこのアビリスターの新しいステップ9よ。黒髪でナイスボディの超美人さん!」
……ステップ9を自慢されるのも、注目されるのも苦手だ。なにより、自分ではそこまで容姿やスタイルが優れているとは思っていない。
教室のドアを開け、教壇に立つ。
「はじめまして。地球から留学してきた浅利淀です。不束者ですが、これからどうぞよろしくお願いします」
先生の派手な紹介のせいか、教室はすぐにひそひそとした噂話でざわついた。
しかし私の視線が真っ先に捉えたのは、アギちゃんとその周囲にいる二人の少女だった。
「予想以上にすごい美人でナイスボディやな、サイスプリムさん。確かアギちゃんと同じイカレタヤカタ住まいなんやろ?」
灰色髪のショートボブの女の子が言う。
「そうだ。おまけに勉強も武術も料理も得意らしいぞ」
「つまり、まるっきりアギちゃんと正反対の人種ってことだよねー」
今度は紫髪に青目の女の子が笑う。
「お前に言われたくないわ!」
三人が同レベルの美人同士で、しかも砕けた口調で話しているところを見ると、どうやら彼女たちも飛び級組らしい。授業の内容自体は、地球にいた頃の私の高校の方がむしろハイレベルだった。たまに小中学生レベルの内容すらあったほどだ。
それでもアギちゃんは授業中ずっと居眠りの常習犯で、そのたびにミンネさんに無理やり叩き起こされていた。
彼女の頭が冴えるのは、歴史の授業で漫画のネタを思いついた時と、ミンネさんに「あとでコウレ君に補習してもらいますよ」と脅された時だけだった。
周囲の二人の少女も、先生に起こされる以外は似たようなものだった。
放課後、私はピラーセル君、ロル君と学校の敷地内を散歩していた。アギちゃんはミンネさんの補習に付き合わされているらしい。
すると突然、視界の正面に一人の少女が現れた。
「私と勝負してもらいますわ。新しいステップ9、サイスプリム」
そこに立っていたのは、オレンジ色の長髪に帽子を被った少女。両手に拳銃型のボーガンを持ち、私とほぼ同い年くらいだ。
正直「サイスプリム」と呼ばれることにもまだ慣れていないが、一つだけ確かなことがある
——彼女はアギちゃんやミンネさんと互角以上、ピラーセル君と並ぶレベルのかなりの美人だということだ。私服のセンスは少しダサいが、それすら個性になっている。
「あなたは一体誰?」
「私はファイヤープリンセス。貴女と同じステップ9の一人ですわ」
「勝負って……」
「当然、ステップ9同士のガチバトルですよ」
「ガチバトルって……私はなったばかりだし、こんなところでできるわけないでしょう」
「上に広いスペースがあるでしょう?」
そう言うと彼女は背中からジェット機のような炎を噴射して浮かび上がり、私に向かってボーガンを放った。矢は発射直後に着火しており、おそらくそれも彼女の能力だ。かなり遠くからだけど狙い自体は非常に正確で、打つ速度も速い。彼女は射的全般の相当な実力者なのは明白だった。
私は咄嗟に能力を使うより先に体を動かした。武道の有段者で、凶悪事件に何度も巻き込まれた経験があるだけあって、銃弾程度なら避けられる。
「まさか私のボーガンを避けるなんて……なかなかやりますわね」
「戦いたいのはわかったわ。でもここでやったら目立つし、いろいろ問題でしょ。せめて広大な敷地があるところでやりましょう?」
この手のタイプの子は、勝負をつけるまで絶対に引き下がらないだろう。
私はピラーセル君たちに助け舟を求めた。
「じゃあ学園の裏山はどうかな」
「裏山なんてあるの?」
「生徒会室よりさらに奥だけどね」
ロードトレインで山頂の生徒会室前まで移動すると、ようやく裏山が見えてきた。人工的に整備された跡がはっきりわかる。
どうやらこの超能力開発惑星アビリスターの超エリート校らしく、能力者同士の本気バトルのために用意された戦闘区域らしい。
「じゃあ審判は僕とロルで。先に相手の額に触れた方が勝ち。負けた方は勝った方に一つだけ、常識の範囲内で頼みごとを聞くということで」
こうして、私は――サイクロン・スプリームは、ファイヤープリンセスとの能力勝負をすることになった。




