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JKメイドの私が宇宙に留学し20億人の命を奪える女になった話  作者: 環状ブレイド
本編

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11/29

酔いどれ教師と殺人現場が名所の名門校です

イカレタヤカタでの歓迎会の翌日、地球からアビリスターに来た私・浅利淀のオクスタン校生としての新生活がスタートする、はずだった。

「誘拐どころか殺人、強盗、放火、非人道的な人体実験に、洒落にならない能力者の大暴れ……こんな百鬼夜行の町なのに、安全で快適な自室の布団から出て登校しろだなんて、執事の言うことか!」

パジャマ姿のまま布団にくるまり、完全籠城の構えを見せるアギちゃん。

「全部事実ですが、言うことですよ」

「そもそもこの布団の中だって安全とは言えないでしょう? この前も布団ごとトラックに乗せられて誘拐されかけたんですよ」

……全部事実らしいのが本当に怖い。

布団を剥がしながら制服を持ったコウレ君が立っている。

名家の執事とお嬢様というより、ゲームに夢中な子供とお使いを押し付ける親のやり取りみたいだ。

「気にするな。今日は淀の初登校だから、いつもよりはやる気があるんだ」

「いつもは正午過ぎにようやく起床するんです。私やコウレさんがどれだけ起こしても絶対に起きませんしね」

「ミンネさんも手伝ってくださいよ」

「あ、はい」

結局二人でアギちゃんを取り押さえ、パジャマから制服に着替えさせた。

それだけならまだ良かったけど、一昨日から風呂にもろくに入っていなかったらしく、無理やりシャワーまで浴びせられる羽目になった。ミンネさんと男性であるコウレ君の手によって全裸にされた上——地球基準なら完全にアウトな光景だった。

「今日はゴロシ49を一気読みするはずだったのに……結局無理やり登校させられるとは」

「はいはい。文句はそこまでにして、とっとと行きましょう」

オクスタンは山一帯がそのまま学校の敷地になっているらしい。イカレタヤカタから十数分歩いただけで、その全体像が見渡せた。

地球人の目から見ると、学校というより山岳地帯の自然公園に近い。

「校門から丘の中腹が各学年の教室、ドーム型の建物が体育館、滝みたいに見えるのがプール、そして一番上に職員室と生務会室があります」

ロル君の指差す先を目で追う。

生務会とは学校の運営や治安維持のために、理事会やアビリポリス、特別工務隊とは別に活動する生徒組織とのこと。

要するに創作世界の生徒会みたいなものらしい。

「どうする? 能力で飛んでみる? それともあれに乗ってみる?」

ピラーセル君が指差したのは、古風な機関車型のバス——いわゆるロードトレインだった。

某機関車擬人化作品に出てきそうなデザインだ。

「ロードトレインみたいなやつに乗りたいな」

最後尾の車両に乗ったおかげで、どんどん標高が上がっていくのが体感できた。

「学校生活で聞いておきたいことはありますか?」

「ここ、なんか私の故郷の公園に似てる。空気がすごく美味しいし……だから見どころとかあったら教えてほしい」

「ではこの学園一番の見どころを。それがこの酔いどれ教師です」

コウレ君が指差した先には、青緑色の髪の若い女性が道端で酔い潰れて寝ていた。服装は乱れ、下着もチラチラ見える有様だ。かなりの美人なのに、周囲の生徒たちは慣れた様子で素通りしていく。

「……観光名所感覚で紹介するなよ。お前の姉貴だろ?」

「そうですよ。このバス停で降りて起こしましょう!」

「次、止まります」のアナウンスを鳴らすミンネさん。

「えっ、あの人がコウレ君のお姉さんなの?」

「そうだよ。これから君の担任になる先生でもあるけどね」

「こんな状況で授業に間に合うの……?」

「まあ、いつものことだ。コウレの能力で体温をマイナス40℃からプラス80℃くらいに何回か往復させれば起きる」

一般人なら即死レベルの温度変化を、コウレ君はあっさり実行した。数秒後、先生は飛び起きた。「よー、いつめん……ん? 見慣れない黒髪のナイスボディ美人さん。ひょっとしてコウレの彼女?」

その言葉に、アギちゃんが明らかにムッとした顔になる。

「違います。既に上から報告されているでしょう? 彼女が新しいステップ9、浅利淀・サイスプリムさんです」

「あー、あんたが例の……」

一瞬仕事モードに戻ったかと思いきや、

「じゃあホームルームは淀の自己紹介と自習ってことで。私は職員室で寝てるわ」

「ふざけんな。あんたが担任だろ?」

コウレ君の関節技が炸裂した。キレるとタメ口になる辺り、本当の姉弟だとよくわかる。

結局、先生はロードトレインに無理やり乗せられ、手錠までかけられて逃げられないようにされた。

「では次の名所の説明を……」

実の姉を手錠で拘束しながら平然と話題を変えるコウレ君(汗)。

「コウレ……自分の担任の先生のあんな姿を見せられた後で、何を見せられてもなあ」

「そんなことないですよ。あの広場では文化祭の無差別通り魔事件の血痕がまだ残っていますし、図書室のエレベーターには職員が麻薬密売の口封じで殺された時の血痕が……」

確かに見せられたら酔いどれ教師をも上回るインパクトがある。

「……どこがどう名所なんだよ、それら」

「エリート校のくせにクリーニングコストをケチったのか面白がってるからと、痕跡が色濃く残っていることで悪名高い場所ですわよ」

本当に大丈夫なのかな、この学校……。

挿絵(By みてみん)

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