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第43話 帰ってきた師匠?

 「【大地の息吹(いぶき)】」


 ミカが祈るように両手を握ると、辺りにはブワっと黄緑色の光が広がる。


 ミカの“奥義”だ。

 もう二度とカナタを失わないようにと編み出した技だが、(あるじ)の師であるヴァレリアのために使用した。


 すると、マウロを倒したことで()ちてきていたヴァレリアの体は、まばゆい光に包まれた。


「こ、これは……」


 光はヴァレリアの風化を止め、生命力を(よみがえ)らせているようだ。

 これが“地母(ちぼ)(しん)”という、自然から生まれた存在だからこそできるミカの力である。


 しかし、力を込めていたミカは、突如ハッと目を開く。


「ま、待って……足りない(・・・・)!」

「え?」


 ミカの奥義──【大地の息吹】。

 これは正確には、体を再生するのではなく、一から再構築した成分を元の姿にまで成長させるもの。

 つまり、記憶や力を元にもう一度同じ生命を作り出して、年齢を進めているのだ。


 本来ならば、ミカが生まれた大地で使用することで、周囲の魔力込みで完全に再生できる。

 だが、この現代では魔力が足りず、技が不完全となってしまった。


 何かを察したカナタは、光に包まれるヴァレリアへ目を向ける。


「ま、まさか、師匠……!?」


 再構築を順に終えているのか、黄緑色の光は段々と薄まる。

 光が完全に収まると、再生されたヴァレリアは目を開き、ふわりと地上に舞い降りた。


「カナタ、ミカ、ありがとう」


 心から感謝している表情だ。

 どこか現実だと信じられないながらも、生を実感しているように思える。


「し、師匠……」


 再び死ぬと思われた師匠が復活した、感動の再会シーンだ。

 だが、カナタは言葉を選ぶような表情で、ヴァレリアの両肩に手を乗せた。


「師匠……落ち着いて聞いてください」

「ど、どうした──って、ん!?」


 その違和感を感じ取ったヴァレリアも、何かがおかしいと察知する。


「カナタ達が大きくなって……いや、え!?」


 そして、改めて自分の体を見直して気づく。

 カナタ達が大きくなったのではない。

 |自分が小さくなっている《・・・・・・・・・・・》のだと。


「な、なんだこの姿わあー!?」


 ヴァレリアはあどけない声を上げた。

 

 小さな手足に、低い身長。

 サラサラの金髪はそのままだが、セミロング気味になっている。

 幸い、着ていた装備が大きく体は隠せているが、(ぎょう)(てん)する他ない。


 師匠は、少女(ロリ)になってしまった。


《えええええええええ!?》

《師匠がちっちゃくなったあ!?》

《あの魔人と繋がってたのか!?》

《それでミカママが復活させて……》

《足りないってそういうことかよwww》

《力が足りなかったんか!?》

《それで成長途中で……》

《ロリ師匠爆誕》


 その結果、早速『ロリ師匠』というあだ名を付けられてしまう。

 すると、カナタはヴァレリアと目線を合わせるように姿勢を落とす。


「大丈夫。どんな姿になっても、師匠は師匠だよ」

「カナタ……」

「安心して。これからは俺が守るから」

「やっぱり守られる立場ぁ! その優しい目をやめぇい!」


 さらに、奥義を使ったミカも急いで駆け寄ってきた。


「ごめんなさい、ここだと魔力が足りなくて。成長促進(そくしん)ならまた出来るからね」

「そ、そういうことだったのか。だが、本当に感謝をしている。ありがとう」

「ぐすん。小さくなっても立派なのね」

「小さい言うなぁ!」


 それには、周りの従魔たちも続く。

 ココネ、エルヴィ、ルーゼリアだ。


「ココネにも妹ができたみたいで嬉しいです」

「かわいいじゃん、ヴァレリア」

「ふふっ、お姉さんの立場は守られたわ」


「みんなバカにしてないか!?」


 ココネとエルヴィは、ロリ師匠をなでなで。

 ルーゼリアはお姉さんの立場が返ってきたことに(あん)()していた。

 ヴァレリアが帰ってきたことは嬉しいが、やはりどこか可愛がりたくなる姿のようだ。


《やばいロリ師匠かわいい》

《ロリ師匠うおおおお!》

《かわいいいいいいい!》

《服ブカブカでかわいいな……》

《予備軍もいっぱいいます(俺も)》

《まさかこんな結末が待っているとは》

《待望のロリ枠》

《ココネちゃんに妹扱いされてる笑》

《みんな愛でんじゃんwww》

《お姉さんは安心してて草》

《パーティーにかわいさが増したね^^》


 しかし、ヴァレリアはコメントには首をかしげる。


「ロ、ロリとはなんだ?」

「……あー」


 異世界にはない言葉なのだろう。

 カナタは渋い顔を浮かべつつも、嘘はつけないと説明した。


「少女とか幼女のことだよ。まあ、意味的にはかわいがられてます」

「ワ、ワタシをか!?」

「うん。それもかなり」

「くっ、なんか恥ずかしいような……」


 ロリの意味を知ったヴァレリアは、赤くなる顔を(おお)う。

 もちろん、生き返らせてもらったことはこの上なく嬉しい。

 だが、もう少しなんとか出来なかったのかとも思ってしまう。


 それでも、カナタはヴァレリアに優しく声をかけた。


「おかえり、師匠」

「……! ああ」


 それは本心からの言葉だ。

 もう二度と会えないはずだった師匠が生き返ったのは、かけがえのない事だ。

 

 そして、四天王マウロの姿も消えると、カナタは配信を閉じる。


「本日もありがとうございました。これからもよろしくお願いします!」


《おつ》

《今日も面白かったぞー!》 

《衝撃の展開だったな!w》

《こんな良いものが見られるとは》

《またロリ師匠出してくれええ!》

《ロリ師匠またね!》

《ロリ師匠の次回出演を待ってます》


「ロリ言うなあー!」


 こうして、ロリ師匠のヴァレリアが仲間になった。

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