カミュ、魔王とおはなし。
なぜここに魔王がと思った。
魔王は
「カミュ殿と話したいと思いお忍びで来た。」
と言い笑った。
俺は魔王とラオンを俺の部屋に案内し、ククリコンを呼んだ。
魔王は
「いきなりすまんな。カミュ殿、話したいと思いラオンに無理を言って来た。」
といい、
「あの船、蒸気船というのか、ありがとう。アイナ村の漁師の方々には非常に世話になった。」
「蒸気船だが、今のは20人乗りとのことだが、500人乗るのは出来ないか。あの船があれば、旧セト、魔王領、竜の港、アイナ村の港を効果的に行き来することが出来る。このルートは荷物の運送用だな。また、兵を乗せて電撃的にセトやホクリクンを攻めることもできる。」
「私の方でも、錬金を使い大型で工期が短い蒸気船を製造しようと思う。蒸気機関の金型を教えてくれぬか。当然金銭はカミュ殿に出す。私は他国を自ら攻める意思はないが、攻めてこられた場合やり返さねばならぬ。」
と言った。
俺は、
「500人乗りをいきなり作るのは難しいです。少しづつ大きいのを作ろうと思っています。では、少しスつ大きいのを作っていって、500人用のが出来たら魔王殿にお渡しするというのでよろしいか。」
と聞くと、魔王は
「うーん。ちょっと考えさせてくれ、私は人間の保護領は基本的には自治を認めているが、保護領にはこちらの指定したものを指定領作って貰っている、アイナ村には今年は蒸気船を作って貰うつもりである。そのうちに村長殿に連絡するが、作るのはカミュ殿になるのだろうから一応先に連絡しておく。ボルチモアクリッパーなら300人乗りを錬金と魔法で作った。船の前後に風魔法を唱える魔法使いを乗せる台を作り、帆に魔法によって風を当てる様にしてみたのだが、風魔法の調整が難しい。それに比べ蒸気船は風魔法を当てなくても早く走るから便利だ。」
と言った。
俺は魔王の魔法力、錬金力に驚嘆した。
「300人乗りを魔法と錬金で作ったのですか。それは凄い。帆は上手く作れましたか。」
魔王は
「一応は。ただし帆は多分上手くいっていない。思ったより遅いので風を無理やり魔法で当てて船の速度を早くしているだけだ。」
と言った。
俺は、
「その300人乗りの船の図面、できれば実物がいいですが見せてくださったら帆を設計しましょうか? 」
と言った。
魔王は、
「では今回来ていただいた漁師、いや我が魔王軍海軍師範をアイナ村に返す時に、最初の任務としてその船で帰ってもらおう。」
といった。
その後、魔王はラオンに聞いたうちの温泉家族風呂に入るといい、入浴後また戻ってきた。
「カミュ殿、竜王がボーナン城を破壊したのは知っているな。」
はい、と俺が答えると
「ボーナンの貴族は竜王が攻め込む前にイナバーン王都に逃げ込み、住民はアイナ村と旧セト領に逃げてきた。こちら、すなわち旧セト領に逃げ込んだ者たちに、竜王のボーナン城破壊は済んだ、もう安全だからボーナンに戻れと言っても戻らぬ。」
「アイナ村に逃げ込んだボーナン民はどうだ。ボーナンに帰ったか。」
と聞かれたので、
「そういえば帰った者は少ないと聞いています。」
と言った。
「頼ってくるものは助けたい。だが、土地が無い。開拓しても間に合わぬ。」
魔王はため息をついて言った。
「竜王に提案しようと思うのだが、竜軍に王都に行ってもらい脅すか暴れてもらってボーナンを竜領としてボーナン民に帰ってもらうか、我ら魔王軍がもぬけの殻のボーナンを一気について占領しボーナン民の自治領とするか。どちらがいいと思う? 」
ククリコンは、
「魔王様、城が空いているのなら、竜と魔王軍の最前線地として竜軍と魔王軍に入ってもらったらどうなんですかね。」
と言った。魔王は
「それもいいが、我ら魔王軍にはセトが敵としているから、あまりよそに人を割いたりしたくはないな。カミュ殿、ククリコン殿、アイナ村は我が魔王領であって竜の租借地という事になっている。ひとつ聞くが竜がボーナンに攻め込んだので、魔王軍としてもイナバーンに脅しをかけておいた方がよいか。例えばラオンの魔族軍第一隊を私が自ら率い王都に行き、城にメテオの2~3発落として、魔族としてイナバーンを脅すか。竜王に聞いたがイナバーンの防衛陣は薄いらしいしな。」
魔王は考え込みながら更に
「ラオン、貴様はアイナ村に駐在せねばならぬゆえその場合私が貴様の隊を借りるぞ。セトにも備えなければならぬから、動かせるのは貴様の隊くらいであるしな。」
と言い俺を見た。俺は
「で、ケルググン殿はセト担当ですか。いいかもしれません。というか、わがアイナ村は魔族領になったのであるから、命令すればよいのです。カミュ、ククリコン王都を脅してこい、と。」
魔王は
「いやここは魔王軍や竜軍が出た方がよい。」
といい、
「アイナ村の軍は我々の敵ではない。示威行為で十分ボーナンは割譲するかもしれぬしな。」
「いや夜分済まんカミュ殿、貴殿に相談してよかった。考えがまとまってきた。」
といい帰ると言ったので
「夜遅いですから宿に泊まるかうちに泊まればどうですか。それに毎朝竜王が温泉に入りに来ますので先ほどまで話していたことを竜王に相談してみるのもよいのではないですか。」
と言ったら
「わかった、それではすまぬが泊めてくれ。」
と言ったので魔王をうちに泊めた。
ラオンも警護と称してうちに泊まっていった。




