カミュ、ルオに魔法を教える。
移動式ソバ屋は最初のうちは村民に全く売れなかったが、それを気の毒に思った竜の駐屯所の方々によりあっという間に広がった。
竜の駐屯所の竜は全員独身者で、ビュートルさんの料理には以前大変お世話になっており、あの奥様が作る料理なら美味しいだろうとのことで食べたら大変美味しいと評判になり、口コミで村民にも広まり大評判になった。
村民はソバも食べるが天ぷらをおかずとして買っていく主婦の方も多いとのこと。
あっという間に売り切れる様になった。
仕込み5時間で在庫がなくなるのが1時間とのことだ。
暫くこの状態で商売をし、仕込み量を更に増やすかどうか、家の庭に店舗を増設し店で営業するか等は後々検討するとのことだ。
そんな折、俺はハッサン先生に呼ばれ村営医療所に居た。中にはルオさんが居た。
「ルオさんもハッサン先生もどうしたのですか。」
と聞くとハッサン先生が
「ルオの体内の魔石のふくらみがなくなったのだが、ルオの体から何かを感じる。カミュにも見てほしい。」
と言われた。
俺はルオさんに失礼、といいルオさんの体にサーチをかけた。
義手と体の接合はかなりうまく行っており、ルオさんにきくともう自分の体と同等に動くとのことだった。
ハッサン先生がわざわざ俺を呼ぶということは何かあるのだろうと思い、いつも以上に慎重にサーチを掛けると確かに体全体に感じるものがある。何か・・・ひょっとして。
「ルオさん。ルオさんは実は魔法が使える? 」
「カミュさん。それは無いが。」
「ハッサン先生、ルオさんに魔力を感じます。」
ハッサン先生はハッとして
「そうか。なにかを感じると思ったが魔力であったか。義手の魔石、体内に埋め込んだ魔石の魔力が体に巡って魔力が体に宿ったか。カミュ殿これは大発見だぞ。」
「ハッサン先生、あくまでもこれは体の一部を無くし、その一部が壊死した人の為の研究です。魔石を埋め込み体に魔力をまとわせると言う人体実験の様な研究ではありません。」
と言った。
「そうだったな。すまん。カミュさん。」
とハッサン先生は言った。更に、
「ルオは魔法が使える様になるのか。」
と聞いてきたので
「多分。ただしルオさんが望むのであればです。ルオさんが望むなら俺が魔法を使える様に訓練します。ルオさんどうしますか。」
「そうだな、せっかくだから使える様になりたい。村民を救うために役立つヒール系と自分の身を守る守備力付与系の魔法は特に。」
「解りました。今から時間ありますか。少しでいいので。」
といい、有るとのことなのでハッサン先生に医療所の庭を借りた。
「ではルオさん、自分の体のもわっとした力、それが魔力です。そのもわっとした力を白く想像してください。想像出来ましたか。」
ルオさんは
「想像できた。」
と言ったので
「ではこの白い力を、この俺の腕のひっかき傷に移すように想像してください。」
この腕の傷は午前中の作業でできた傷で小さいものだ。
俺の腕の傷の傷跡がなくなった。ルオさんは驚いている。
「これがヒールです。これを早くできる様にしてください。あと、魔力量は使えば使うほどある程度までは増えますので、本格的に魔法を覚えたいのであれば毎日なるべく魔力がカラになるまで使ってください。」
といい
「まずは魔力をあるていど増やしましょう。魔法を毎日使い切る様にしてください。」
と言い、ハッサン先生を呼んだ。
「ハッサン先生、ルオさんにヒールを教えました。先生、まずはルオさんの魔力を増やそうと思うのです。ですから先生、ルオさん。ルオさんは手が空いたらこの医院に来て患者さんにヒールをかける様にしてください。ハッサン先生、多分ルオさんはヒールの呪文の発動に最初のうちはかなり時間がかかると思いますが、使ってあげてください。」
と言った。ハッサン先生は
「ヒールの呪文が使えるものが足りないのでこちらは大歓迎だ。忙しいとき、ルオの魔法がカラになった場合マジックポーションで魔力量を補充し何度もこき使うのはいいか。」
「ルオさんがよくて、先生が見て魔力量を補充した状態で異常が無ければ大丈夫です。そうして何度も魔力量をカラにすればより魔力量の増加は増えるでしょう。」
と言った。
ルオさんは村営医院の営業中最低でも1時間はヒールの魔法を掛けにくることとなった。
俺はルオさんに
「もう義手を思いきり使っても大丈夫です。以前ククリコンと立ち合いたいと言ってましたが、もしよければ明日うちでしている剣の訓練に来ますか?」
ルオさんは
「是非」
と言った。




