山賊の時の笛の音
今回は前回の続きにより李克用視点からです
僕の放った矢は黄巣の体を貫いた。それを見た黄巣兵は怒り狂ったように僕達に向かってきた。もうほとんど皆死にかけなんだ。勘弁してくれ。
僕は剣に切り替えた。
そもそも黄巣軍は烏合の衆。ここまで忠義があると思っていなかった。
まさに九死に一生。僕はなにか策がないかと考えを巡らせる。だが打開策が見つからない。
そう分かっていくにつれてどんどん剣を持つ手が震えだした。
その時だった。
「おい克用。 俺はまだ死んでねえぞ。」
四方から槍に刺されボロボロになっている徳威が立ち上がってくれたのだ。
それを合図にしたように死んだと思っていた仲間たちが少しづつ起き上がり始めたのだ。
そして命の炎を全て捧げんと敵兵をなぎ倒し始めたのだ。
今まで全く歯の立っていなかったのにこいつらは僕に活路を開くという目的のために覚醒したのだ。
不意に目頭が熱くなってしまった。いかんいかん。
僕は剣を強く持ち直した。
「皆あと一歩だ! 必ずみんなの家族には良い待遇をする! そして皆はこの長い中華の歴史に名を刻むこととなるだろう! だから、だから俺に力を貸してくれー!」
その叫びに呼応するように兵士たちも加速する。
ー周徳威視点ー
李克用の叫びはすごかった。俺も思わず叫んで返してしまった。
俺も大量の敵兵をなぎ倒していった。
そして見えたのだ。
敵兵の波の終着点が。
だがそう思ったのも束の間だ。黄巣が兵をうまくこっちに回してきたのだ。
全くどうやってそんなに兵を回してくるのか。これで本当に終わりか。
腹いせに目の前の敵兵くらい地獄につれていくか。
鉄槌を再び構え直す。
ウ オ オ オ オ オ !
黄巣め、もう増援はいらねえだろ。ほんと抜かりねえな。
ブ オ オ オ オ !
いやまて、この笛の音は俺達が物を奪ったときに鳴らしたやつ!
ということはこの笛の音は。
仲間たちが来てくれたのか。
建久、娘子、崇韜の3人が前で指揮をしてくれている。
本当に最高だよ。お前ら。
さあてお前ら地獄に良い土産話ができたな。
黄巣軍ども。俺達の粘りがちだ。




