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プロローグ


 暖かい朝、爽やかな風がスカートを揺らすように窓から吹き抜ける。教室にはまだ誰もいない、私が一番乗りだ。静かなこの時間は、私…白花吟葉(しらはなことは)にとって至福のひととき。もちろん、友達と話している時も楽しくはある。…あるのだが、何上やはり一人が落ち着く性分なのだ。


「……はあ、やっぱり朝の教室はいい。すっごい落ち着く、風は心地良いし気分がいい。そして、何より…」


 再びスマホへ視線を落とす。そこにあったのは、女の子同士が仲良くしている漫画。しかし、ただ仲良しと思う事勿れ。この子達は付き合っているのだ。

 何を言っているのかって?


 百合。女性同士の恋愛、または恋愛に近い友愛や広く友情を含んだ関係のこと。ガールズラブとも呼ばれる。


 聞いたことぐらいあるだろう。女の子と女の子がイチャコラチュッチュしてる事だ。

 そこに、野郎の介入なんて許されない。私が許さない。


「っと、やば。もうそろそろ、みんな来ちゃうかな」


 私はしっかりとアプリを閉じたのを確認して、スマホを制服のポケットへ仕舞う。

 百合漫画を閉じてしまったのに、顔がニヤついてしまう。


「だめだめ、平成を装って…」


 何故ニヤついているか。その理由は至ってシンプルだ。


「お、吟葉いるじゃん。おはよ」


「えー、私達が一番乗りだと思ったのにー!」


 クラスメイトが挨拶をしてくる、女の子だ。また、教室へ入ってくる、女の子だ。次も女の子。また次も女の子。先生が入ってきた、教卓へ向かう、女性だ。そして、遅れてやってきた子がドアを開けた。もちろん───。


「………女の子」


 その幸せを、静かに噛み締めるのだった。

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