54.エピローグ
(ここはティナとジェフのいた世界とは違います。しかし、ここも現実世界と違う異世界です)
今日は受験の日、今日の試験のでき如何で今後の人生が変わる。いつもだとこの花時計は陸橋の上から見るだけで、素通りして駅へ向かうのだが、今日は何故か心ひかれた。
陸橋の階段を下りて車止めのポールの間を抜けて公園の中に入っていく。すると、巨大な花時計が朝の時間を示している。震災の時は一時止まったらしいが、今はこうして元気に動いている。そんな花時計を見ているとこの時計が生きているような感覚にとらわれる。
すると後ろから呼びかけられた。見るとクラスのキューだった。
「どうしたの、チー。いつもだとここは素通りしていくのに」
「うん、なぜか心ひかれたの。まるで、この花時計が生きているみたいで」
「花時計が生きているわけないじゃないか。この時計は機械仕掛けで動いているのだから」
「でも、この花時計って、この国で最初に作られたっていう話じゃない。そんな歴史のある花時計なら、生きていても不思議じゃないの」
「チーはロマンチストだな」
「そうね、私はロマンチスト、キューはロマンチストは嫌い?」
「嫌いじゃないよ。夢は大事だ。人を動かすのは絶えず夢だからな。夢が無かったら、人は何もしなくなる」
「そうね、夢は大事よね」
そう言って、2人が、花時計に吸い寄せられるように近づいて行くと、急に2人の頬に熱いものが流れた。
「あれ、急に涙が出てきた。どうしたのかしら私」
「俺も、急に涙が出てきた」
(2人同時)
「あれ、あれ」
「私、ティナさんという人の記憶が流れてきた」
「俺はジェフという人の記憶が流れてきた」
「ティナさんは、とても悲しい人生を送ったのね」
「ジェフも一緒みたいだ。随分後悔していたみたいだ」
「ティナさんとジェフさんは幼馴染でいつも一緒にいたからそれが最初は恋だと気づかなかったみたいね」
「そして、2人が学院で学ぶうちに、自分の感情に気がついた」
「そして、『ずっと待っています』と言ったけど、その言葉は周囲の思惑と貴族社会という社会の規範によってかき消されてどうにもならなくなって」
「2人は違う人生を歩んだ」
(2人同時)
「そして、その人生は交わらなかった」
「そして、花時計のところで会う時があったけど」
「もう2人は別々の人生を歩んでいて、もう元には戻れなかった。そして、昔の話をしただけで分かれた」
(2人同時)
「そして、時間だけが流れていった」
「そして、昔を思い出す時、そこには花時計とセピア色の風景だけが広がっていた。悲しい話ね」
「そうだね」
「今の時代だったら、違った人生が歩めるかな」
「どうでしょう、昔も今もあまり変わらないような気もするし、それに2人が恋を認識するのが遅すぎたように思うわ」
「好きだと思ったら、すぐに行動に移していれば、違った人生かもしれなかったね」
「そうね」
「どうする」
「この花時計は何を私たちに言いたかったのかしら」
「そうだね、もし俺たちが違う人生を歩んだら、もう俺たちの人生は交わらないって言いたかったのかな」
「私、キューと離れ離れになるのは嫌」
「俺も、チーと離れたくない」
「これからどうする」
「そうね、試験が終わったら」
「結婚する?」
「キューは私をお嫁さんにもらってくれるの」
「チーなら大歓迎だよ」
「でも周りに知られるのは少し恥ずかしいな」
「そうだね、内緒で結婚する」
「どうでしょう。でも親には言わないと」
「そうだね、親には言わないといけないな」
「学生結婚。親は大反対だろうな」
「でしょうね」
「とりあえず、今日の試験頑張らなくちゃ」
「そうね、とりあえず今日が終わらないと」
「でも、結婚の話は絶対よ」
「わかっている、試験が終わったら親に話をしよう」
その後2人は試験会場に向かうのであった。
(おしまい)
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今後とも私の小説
(連載中)「転生者とバグでない異世界人の物語」
(連載中)「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」
(連載中)「マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの」
(完結)「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」
(短編・完結)「妖精に成れなかったダンゴムシの物語」
(短編・完結)「真冬の祭りそして祠がつなぐもの」
(短編・完結)「雨の日は嫌い、雨の日はやっぱり嫌、でも雨の日もちょっぴり好きかも」
(短編・完結)「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」
をよろしくお願いします。




