1.王都の花時計
神戸の花時計にちなんだ作品を書こうと思ったのですが、間違っていると言われても困るので設定は異世界にしました。
ここフラン王国の王都の中央公園には巨大は花時計がある。花時計と言っても、普通の時計のように時針と分針が動くわけではなく、実際は中に立てられた棒の影が太陽の動きによって、動いて時間を示すのである。だからこれは実際には日時計であるが、時計版の周囲には四季折々の花が植えられており、そのため人々はこれを花時計と呼んでいるのである。
そんな花時計の周りにはいつも子供たちの掛け声が絶えない。必死に駆けっこをする者、ボールを追いかける者、隠れ場所を探してうろうろする者、みんな小さい子供である。そしてそれを近所のガキ大将が監視している。
ティナとジェフはこの公園の近所に住む幼馴染である。ティナは近所の鍛冶屋の娘、ジェフはこの近くの商会の息子である。家が近いこともあって2人はいつも、ここで遊ぶのが日課になっている。
「ジェフ、見てこの花、新しい花が植わっているわ」
「何の花」
「わからない」
「でも、誰が植えたんだろう」
「私、ここで花を植えている人を見たことないわ」
「俺も見たことない」
「この花時計って不思議よね。いつも新しい花が植っている」
「そうだね、まるで花時計が勝手に花を植えているみたいだね」
「そんなことあるのかしら」
「わからない」
「この花時計って生きているのかしら」
「わからない。この花時計はおじいちゃんが『子供頃からある』って言っていた」
「すると、ずいぶん年寄りね」
そう言って、2人は花時計に近付いて、まじまじとその花時計を見た。
「近くで見ると不思議ね、何か暖かいものを感じる」
「そうだね、胸にほんのり暖かいものを感じる」
「私たちを見守っているのかしら」
「そうかもしれない。昔から、『この花時計の側で遊ぶと人さらいにさらわれない』って言われているからしい」
「だから、ここには誰も大人がついていないのね」
2人が花時計の側で遊んでいると日が暮れてきた。
「また、明日ね」
「うん、また明日」
夕方になると、遊び疲れた子供たちは家路につくのであった。今日も一日が暮れていく。何ごともともなく、そして一日が千秋のごとく変わらない姿で花時計はそこにあった。
次の日は雨だった。ティナは降りやまぬ雨を見ていた。
「雨の日はつまんない。公園で遊べない。ジェフは何をしているかな」
することがないので、父親の仕事場へ行った。
「お父さん何しているの」
「これか、これは馬の蹄につける蹄鉄だ」
「剣とかは作らないの」
「剣は俺達には注文が入らない.名刀と言われるような刀が打てる職人にならないと」
「そうなの」
「そうさ、俺はお前が将来鍛冶師になって名刀と言われるような刀を打ってくれたらいいなと思っている」
「鍛冶師、私なれるかな」
「なれるよ、もしスキル授けの儀式で火魔法が授かれば、鍛冶師になれる」
「そうなの、お父さんは火魔法なの」
「そうさ俺は火魔法だ。だから鉄を打ったりするのはお手の物さ」
「でも私、私は将来お嫁さんになりたい」
「お嫁さんか、お嫁さんになったらかわいい孫を産んでくれよ」
「私、頑張る」
「でも、誰のお嫁さんになるの」
「わからない」
「そうだな、わからないな。気になる男の子はいないのか」
「気になる男の子、うーんとね、ジェフかな」
「そうか、ジェフか、ジェフなら家も近いしいいな。お父さんはティナが近くにいてくれてくれたらうれしい」
「私もお父さんから離れたくない」
次の日は天気になったので、また公園で遊んだ。ジェフと一緒におままごとをした。夫役がジェフで妻役がティナである。葉っぱの上に乗せた石をご飯に見たてて
「はいご飯が出来ましたよ」
それをジェフが食べるふりをして
「ティナの料理はおいしいな」
そんな光景を花時計が見守っていた。




