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異世界ちっちゃなパン職人、焼けば魔獣が寄ってくる!? 〜みんな私のパンにメロメロです!!〜  作者: ありぽん


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第49話 バキッでズンッで、モジャモジャでブワッ! ……分からん!!

『バシャバシャ、バシャバシャ♪』


『ワシャワシャ、ワシャワシャ♪』


『フワフワ、フワフワ♪』


『ふよふよ、ふよふよ♪』


『へぁ~なんだじょ~』


『おい、風呂を楽しんでいないで、話の続きをしろ』


『だって、おじちゃん、先にお風呂って言ったもん。ね、クー君』


『うん、先にお風呂って言った。ね、シー君』


『おじさんではない、お兄さんだ。それに、確かにそう言ったが、ジェイコブかオリヴィアが来たら、話をするとも言ったぞ』


 いや、グルルはおじさんでしょう。


『お風呂、楽しいねぇ』


『あったか、ふんわり、楽しいねぇ。それにシー君、ここなら泳げるよ! ここで練習しよう! 途中で寒くならないし、ここには意地悪な魔獣は来ないって言ってたもん。だから、ゆっくり、ほかほか、練習できるよ!!』


『うん!!』


『おいらも泳げるようになりたいじょ。この前少しだけ泳げたじょ。一緒に練習するんだじょ』


 待って待って! 何3匹で練習しようとしてるの。まず、そういうことは、パパやママに聞いてからじゃなくちゃ。いくら、いつでも勝手にお風呂に入っていいと言われていても、泳ぐ練習はね。


 それに、温かくて、冷たい水よりは、ずっと練習できるかもしれないけど。今度はのぼせる心配があるからね? 


「およぐれんしゅ、ちてもいいか、パパかママにきかないとだめ。しょれで、いいっていってもらえたら、れんしゅちていい」


『そうなの?』


『ママ、練習していい?』


 私とモルーが、パパとママって言っているから、シー君とクー君も、もうパパ、ママって呼んでいて。まだ家族って決まっていないのに、もう家族みたいになってるよ。


「その話は、今のお話が終わってからにしましょうか。ね、シー君、クー君。その方が、ゆっくりお話ができて、もしかしたら私に、良いって言ってもらえるかもしれないわよ」


『本当?』


『じゃあお話しする』


 ふぅ、なんとか元の話に戻れた。


 私は今、ライラと他のメイドさん1人と一緒に、シー君とクー君を洗った後。そのまま私も一緒にお風呂に入って、もう1度2匹のシャンプーもどき? をしているところだよ。


 モルーが、パパとママのどちらかを呼びに行ってくれた時。ママは、私がシー君とクー君と洗うと分かっていたからね。2匹を洗った後、一緒にお風呂に入っちゃいなさいって。だから、ママが私たちの方へ来てくれたの。パパは、男性だからね。


 じゃあ、グルルとモルーは? と言われると、今更だし。洞窟で何回グルルの前で裸になったことか。モルーはまだ子供だしね。シー君とクー君も同じ。


 ということで、まずはみんなでシー君とクー君を洗って。そのあと、一緒に泡風呂に入ったんだ。


 シー君とクー君は、お湯も石鹸も、シャンプーも、ぜんぜん怖がらなかったよ。それどころか、グルルとモルーと同じで、シャンプーが気に入ってくれて、シャンプーはとても楽に終わったんだ。


 ただ、それは良かったんだけど。よほどシャンプーが気に入ったのか、泡風呂でまた洗うって言い出しちゃって。


 もちろん、泡風呂は体を洗うための泡じゃないよ、って説明したよ? でも、え~って、なかなか諦めてくれず。これじゃあ、話ができないってことで、シャンプーみたいに、私が泡風呂の泡で2匹をもしゃもしゃしてあげながら、話を始めたんだ。


 その間、モルーは私たちの周りを、仰向けでスイスイ泳ぎ中。こう、羽が水を完璧に弾くから、羽が濡れても大丈夫だし、ぷかぷか浮くのが得意なの。


 モルーがさっき言っていた、泳げるようになりたいって言うのは、水の中に潜って、自由に泳ぎたいっていうこと。


 この前、木の実を取りそこなって、木の実と一緒に池に落ちたんだ。その時に、少しだけ泳げたらしくて。見ていたグルルに聞いても、確かに泳げていたっていうからね。それからずっと泳ぎたいって言っているんだ。


 ちなみにモルー。モルフィンというコウモリみたいな魔獣だけど、半々くらいで泳げるモルフィンと泳げないモルフィンがいるらしい。だからもしかすると、モルーは泳げる方のモルフィンかも。


「それじゃあ、ゴンおじさんのお話の続きよ。ゴンおじさんは、どんな魔獣かしら。種族は分かる?」


『しゅうぞく?』


『しゅっじょく?』


『種族、だ。お前たちはシーとクーという名前を自分たちで考えたが、スノウタイガとも呼ばれるだろう。スノウタイガが、種族名だ』


『うーん。おじさん、何か言ってたかなぁ?』


『ゴンおじさんは、ゴンおじさんっていう名前』


『みんな、そう呼んでるよね』


『おやじって呼んでる魔獣もいるよね』


「そう……」


 ママが苦笑いする。


『聞いたことはあっても、忘れていそうだな』


「その可能性もあるわね。それじゃあ、そうね……。どんな姿をしているか、教えてくれるかしら」


『『バキッでズンッで、モジャモジャでブワッ!!』』


「……」


「……」


『……』


 え? なんて? 思わずシー君とクー君を洗っていた手を止めて、2匹を見る。グルルとママも、話していた時の表情のまま止まっちゃったよ。


 バキッでズンッで、モジャモジャでブワッ、って何? どんな魔獣なの?


「え、ええと、もう1度聞くわね。ゴンおじさんは、どんな姿をしている魔獣かしら」


『『バキッでズンッで、モジャモジャでブワッ!!』』


 うん! 分からん!!


 シー君とクー君は、森で過ごしている時、ゴンおじさんって呼ばれている魔獣と、いつも一緒にいたんだって。


 このゴンおじさん、かなり強いらしく。森にいる怖い肉食の魔獣たちから、草食魔獣や、弱い魔獣たち、そして子魔獣たちを、守ってくれているらしいんだ。


 だから、シー君とクー君のことも、とても心配してくれていて。もし長い間、森に戻って来なかったら、いつも遊びに来ているこの街まで探しに来るかも、的なことを言っていたみたい。ゴンおじさん、優しい魔獣だよね。ただ……。


 ここ、何日も、森へ帰っていなかったシー君とクー君。ゴンおじさんが今の話を、本気で言っていたのだとしたら? もし本当なら、ゴンおじさんは街へ来ることになるでしょう?


 街の周りに、野生の魔獣が現れるのは、珍しいことじゃないから、それは良いんだけど。ゴンおじさんは、怖い肉食魔獣からみんなを守ってくれる、強い魔獣でしょう? そんな強い魔獣だから、人にとっては、危険な魔獣とみなされている可能性があって。


 そうなると、街に現れたら攻撃されて、ゴンおじさんは殺されてしまうかもしれないんだ。


 だからそうなる前に、シー君とクー君に、ゴンおじさんがどんな魔獣か聞いて。グルルが2匹のことを、知らせに行こうって話になったんだ。

 

 だけど、種族が分からず、見た目の説明が、バキッでズンッで、モジャモジャでブワッ、じゃあね。


「……どうしようかしらね」


「そんな魔獣がいたか?」

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