第45話 まさかの家族問題で大騒ぎ
ここからはグルルが覚えている、妖精たちと、シー君とクー君の会話。
『ねぇねぇ、好きなら家族なの?』
『そうだよ! パパとママがそう言ってた!!』
『へぇ、家族なんだぁ』
『あ、そういえば、僕たちもパパと家族だよね』
『家族だよねって、パパだもん。家族に決まってるじゃん』
『でも確か、本当のパパとママじゃない、パパとママもいるって言ってたよね? でも、本当のパパとママじゃなくても、家族は家族だから、みんな仲良く暮らしなさいって』
『ん? 言ってたっけ?』
『言ってたわよ。もう、いつも覚えてないんだから』
『その時に、他の家族の話もしてさ。最初はお友達だったけど、どんどんお互いを好きになって、やっぱり家族になったって、誰かの話してなかった?』
『……そういえば?』
『聞いたような、ないような?』
『あっ!! その話、僕覚えてるよ! フレアママが、前に人間と家族になったって。最初は友達、あとで家族!』
『そうそう、フレアママだ!! でも、その後、どうなったんだっけ?』
『今も家族だけど、人間はお爺さんになって、死んじゃったんだよ』
『それでフレアママも、その人間と一緒に消えようと思ったんだけど、でも人間が、もっと後からゆっくりくれば良い、いつかまた会えるんだからって。それで、こっちに来るまでに、いろいろな物を見てもらって、後で会った時に、その見た物の話を、いっぱい聞かせて欲しいって言ったんだよ』
『だから今、フレアママは時々どこかへ行って、新しい物を見てくるんだもんね』
『フレアママ、その人間と最初お友達。それから、どんどんな好きになって、家族になった。シーとクーの話と同じじゃない?』
『うん、同じ!!』
『ヒトミは、僕たちのこと好きかな?』
『みんなはヒトミのこと好き? 僕はヒトミもモルーも、シーとクーも大好き』
『私も』
『ボクも!』
『あたしも!!』
『おいらもみんな好きなんだじょ』
『ちびちび可愛い子パーティーの仲間だもん、僕もヒトミのこと好き』
『ちびちび可愛い子パーティー?』
『あ、クー君には、あとで教えるね。……クー君もちびちび可愛い子パーティーに入れない?』
『あっ、そうだよね!』
『クーも、もちろん入れるよ!』
『みんな、その話はあと。今はヒトミのことでしょう』
『あ、ごめんごめん。でもさ、俺たちみんな、ヒトミのことが好きだろう? じゃあ後は、ヒトミが俺たちのこと好きかどうかだけじゃん。なら、さっさと聞きに行こうぜ。それで、もしも好きじゃないって言われたら、また明日聞けば良いし」
『だね』
『明日ダメでも、また次の日好きになってくれるかも。そうしたら、すぐに家族になれば良いし』
『そうだね。それで良いよ』
『じゃあ、みんな、今からヒトミに聞きに行こう!!』
『『『おー!!』』』
『ま、待て、お前たち!!』
そんな会話が、小屋の中でされたらしい。そしてグルルが慌てて止めたと。
私はパパとママを見る。それからお兄ちゃんたちを見て、他の人たちも見て。そうして少しの沈黙の後、ママとエリオットお兄ちゃんは、何ともいえない顔で、苦笑いしていて。セドリックお兄ちゃんはニヤニヤ。他の人たちは困惑気味に。
セバスチャンさんは……、困った感じはまったくなく、いつも通りニコニコしていたけど。
1番反応、というか、ガックリしたのがパパだった。
「何でパン1つで、ここまでの話になったんだ」
パンは関係ないと思う。シー君とクー君を、どうやって保護するかの話をしていたら、こうなったんだから。そう、関係ないよ。
私のパンの匂いを嗅ぎつけて、妖精さんたちが家に来たけど。それに他の魔獣たちも、虫たちも集まってきちゃったけど。
それから私のパンが、みんなの病気を治すからって、シー君とクー君をそれで治してあげたけど。それで、凄い私って言ってもらえたけど。
保護の話も家族の話も、全然しなかったでしょう? だから関係ない。うん、関係ないもんね。
『どうする? あいつらには一応、家族になれるかは分からないぞ、とは言っておいたが。それと静かに待つようにも言っておいたが。そのうち小屋から出てきて、俺の時のように騒ぎまくるかもしれんぞ』
「はぁ、どうしたものか。スノウタイガだけなら、どうにかなるかもしれないが。妖精までとなると。今までに、こんなことがあったか? いや、グルルが聞いた話だと、以前人間と家族になった妖精がいたようだな。その妖精の話を詳しく……」
「あなた、ちょっと落ち着いて。私たちはまだ、きちんと話すらしていないのよ。グルルから、話を聞いただけなんだから」
「オリヴィア、なぜそんな落ち着いていられるんだ」
「騒いでもしょうがないでしょう。まずは、心を落ち着かせて、それから改めて話を聞かないと。今のまま話を聞きに行ったら、すぐに、家族決定!! という感じで、押し切られる可能性があるわよ」
「はぁ、本当に、何でこんなことになったのか」
ここからは、パパじゃなくてママが、いろいろみんなに指示を出したよ。何を用意してとか、今のパパはダメだから、椅子に座ってお茶を飲んで、ゆっくりしていてとか。
グルルにも、もう少し待っているように、みんなに伝えてとか。私には……とりあえずパパの隣で、パパを落ち着かせておいてとか。
まさかの急な家族問題に、虫さんたちや魔獣たちは帰ってくれたのに、また大騒ぎになっちゃったよ。




